【富士通】 FACOM 230(FACOM 230-30)

富士通信機製造(現富士通)の中型汎用コンピュータで,1964年5月に発表された.当時,評判のよかったFACOM 231の機能を完全に包含することにより,FACOM 231用プログラムが変更なしに完全に動作する互換性を実現した.さらに,最新技術を導入して,演算速度の向上(FACOM 231の10倍)と記憶装置の容量拡大(FACOM 231の2倍の最大64K桁まで)など機能拡張を図り,オンライン使用等の新しい時代の要求に応えるべく開発された.記憶装置としてサイクルタイム2.2μs(FACOM 231の約5倍高速)の30milの磁心記憶を採用し,演算速度として,10桁の固定小数点加算/減算/乗算 として58.3μs /82.5μs /平均850μs,仮数10桁の浮動小数点加算/減算/乗算として,平均それぞれ150μs /200μs /1,400μsを実現した.また,入出力装置と記憶装置とのデータ転送をCPUによる演算と同時並行処理を行うデータチャネルを開発し,高効率な入出力システムを構築できた.

本機は,大型機FACOM 230-50の発表を機に,FACOM 230-30と改名され,小型機FACOM 230-10(1965年3月発表)および大型機FACOM 230-50とともにファミリを構成し,FACOM 230シリーズの体系が完成し(1965年9月発表),IBM 360シリーズ(1964年4月発表)に対抗した.このFACOM 230シリーズは,一貫した設計思想によって各機種間にソフトウェアの互換性を持ち,各機種がそのレベルで最高の価格性能比を実現できるように,中小型では可変語長方式,大型では固定語長方式を持つ独特なシリーズであった.


  
FACOM 230(後に230-30に改名)