角田 啓介 日本電信電話(株)NTTサービスエボリューション研究所 |
キーワード
生体計測 | 個人特性把握 | 行動変化 |
[背景]個人特性に基づく適切な行動変化は健康のために重要
[問題]日常生活において注意や情動の個人特性把握は困難
[貢献]センサで注意・情動を低負荷に推定し特性理解を支援
[貢献]センサで注意・情動を低負荷に推定し特性理解を支援
日常生活で人が周囲から受ける刺激は,その人の心身にさまざまな影響を及ぼすが,影響へ適切に対応できないことで心身への負荷が高まり,疾患等を発症する恐れがある.そのため,人が健康的に生活するためには,自身が周囲から受ける影響の傾向である「特性」を正確に理解した上で,自身の行動を適切に変化させることが重要である.刺激により影響を受け得る人の内面状態として注意(Attention)や情動(Emotion)がある.注意とは,刺激に対して人が適切に判断・反応するための能力である.情動とは外部刺激によって生じる感情的反応である.従来,内面状態は主に検査や,多数センサで測定した多種類の生体情報から推定されてきた.しかし,検査は日常生活での行動を中断させ,また多数のセンサは装着の手間を強いる上に活動を制限するため,日常生活での継続的利用は困難であった.
本研究の目的は,人の刺激に対する適切な行動変化の支援による健康的な日常生活の実現に向け,日常生活で人が周囲から受ける刺激により生じ,かつ把握することで行動変化に役立つ内面状態変化を低負荷に推定することである.本研究では,心拍や呼吸から,個人差を吸収しつつ注意・情動状態を推定して提示することで,正しい特性理解を実現する方法論を提案する.さらに提案方法論の実現性を検証するため,提案方法論に基づく4つの内面状態推定手法を提案する.
1つ目は,人の知的作業に深く関係する注意の変化を取り上げた上で,心拍変動を用いることで,個人差を吸収しつつ,低負荷に注意変化を推定できる手法である.注意変化と心拍変動変化の関係は大きく2パタンに分けられることから,パタンに基づいて学習データを選択することで,個人差を吸収しつつ注意変化を推定できる.
2つ目は,余暇時の娯楽に関連する情動を取り上げた上で,コンテンツ視聴などで生じる情動変化を推定するため,心拍数と呼吸数から情動変化を推定できる手法である.娯楽活動で起こる体動によるノイズを軽減するため,心拍数と呼吸数の長期変動に着目することで,短期的・瞬時的なノイズにロバストな推定が実現される.
3つ目としては再び注意に着目した上で,自身の過去の注意水準や他者の注意水準と現在の自身の注意水準を比較した上で行動を変化させるケースを実現するための,他者や自身の過去と比較可能な高精度に注意水準を逐次推定できる手法である.推定対象ユーザと心拍変動の傾向が近い学習データを用いることで,高精度な推定が実現される.
4つ目は,プロアクティブな行動変化を促すことを目的に,心拍より,注意の低下を予測する手法である.具体的には,ある時点から10分以内に生じる注意低下を,心拍変動のみから高精度に予測する手法を提案する.
上述の技術が実現されたことにより,提案方法論によって日常生活においても継続的に,行動変化に役立つ注意や情動を推定でき,人の特性の顕在化を実現できることが示された.よって本研究は,日常生活における人の特性理解と正しい行動変化に寄与できると考えられる.
本研究の目的は,人の刺激に対する適切な行動変化の支援による健康的な日常生活の実現に向け,日常生活で人が周囲から受ける刺激により生じ,かつ把握することで行動変化に役立つ内面状態変化を低負荷に推定することである.本研究では,心拍や呼吸から,個人差を吸収しつつ注意・情動状態を推定して提示することで,正しい特性理解を実現する方法論を提案する.さらに提案方法論の実現性を検証するため,提案方法論に基づく4つの内面状態推定手法を提案する.
1つ目は,人の知的作業に深く関係する注意の変化を取り上げた上で,心拍変動を用いることで,個人差を吸収しつつ,低負荷に注意変化を推定できる手法である.注意変化と心拍変動変化の関係は大きく2パタンに分けられることから,パタンに基づいて学習データを選択することで,個人差を吸収しつつ注意変化を推定できる.
2つ目は,余暇時の娯楽に関連する情動を取り上げた上で,コンテンツ視聴などで生じる情動変化を推定するため,心拍数と呼吸数から情動変化を推定できる手法である.娯楽活動で起こる体動によるノイズを軽減するため,心拍数と呼吸数の長期変動に着目することで,短期的・瞬時的なノイズにロバストな推定が実現される.
3つ目としては再び注意に着目した上で,自身の過去の注意水準や他者の注意水準と現在の自身の注意水準を比較した上で行動を変化させるケースを実現するための,他者や自身の過去と比較可能な高精度に注意水準を逐次推定できる手法である.推定対象ユーザと心拍変動の傾向が近い学習データを用いることで,高精度な推定が実現される.
4つ目は,プロアクティブな行動変化を促すことを目的に,心拍より,注意の低下を予測する手法である.具体的には,ある時点から10分以内に生じる注意低下を,心拍変動のみから高精度に予測する手法を提案する.
上述の技術が実現されたことにより,提案方法論によって日常生活においても継続的に,行動変化に役立つ注意や情動を推定でき,人の特性の顕在化を実現できることが示された.よって本研究は,日常生活における人の特性理解と正しい行動変化に寄与できると考えられる.

(2019年5月26日受付)