(邦訳:購買行動に影響を与える個人要因の推定とその応用)
土井 千章 (株)NTTドコモ |
キーワード
購買履歴 | 位置情報 | 個人要因の推定 | One to one マーケティング |
[背景]消費者個々人に合わせたOne to oneマーケティングの実現が期待されている
[問題]購入意思決定に影響する個人要因を把握するためのコスト
[貢献]個人要因を行動データから推定する手法の提案,有効性を確認
[貢献]個人要因を行動データから推定する手法の提案,有効性を確認
近年,消費者個々人に合わせてマーケティングを行う高度なOne to oneマーケティングの実現が期待されている.これを実現するためには,購入意思決定に影響するデモグラフィック要因やサイコグラフィック要因等の個人要因の影響や,文化や社会階層等の環境要因の影響を把握した上で消費者へ商品やサービスを提供する必要がある.これらの要因は,アンケートやインタビューを通じて取得するのが一般的であるが,すべての消費者から取得することは多大なコストがかかり困難である. そのため,消費者に対して個人情報を開示することへの物理的かつ心理的な負担をかけることなく,消費者を理解することを目的とする.
本研究では,購買履歴に加えてアンケート情報,位置情報の多面的かつ長期・高密度の観測可能な行動データを用い,購買行動と購買行動に影響する個人要因の関係性について分析を行う.ライフスタイル,商品に対する嗜好,特定の店舗での購買意思,家族構成の4つの要因を購買行動に影響を与える個人要因とし,これらの個人要因を行動データから推定する手法を提案し,評価実験や実証実験よりその有効性を明らかにする.
1つ目は,消費者のセグメンテーションの基準とされているライフスタイルに着目する. 購買履歴からライフスタイルが強く現れる商品に関する購買行動のみを抽出することでライフスタイルを推定する手法を提案する.7,023人の購買履歴を用いた評価実験により,44.0%の精度でライフスタイルを推定できることを示した.
2つ目は,商品に対する嗜好に着目し,位置情報から商品に対する嗜好を推定する手法を提案する.406名の購買履歴を用いた評価実験により,44.9%の精度で推定できることを示した.また,8,863人を対象とした推定した嗜好に合わせた情報を配信する実店舗での実証実験により,商品に対する嗜好の違いが閲覧率や来店率に影響を与えることを示した.
3つ目は,家族の人数や年代などの家族構成に着目し,購買履歴から家族構成を推定する手法を提案する.6,358人の購買履歴を用いた評価実験により,家族構成を45.8%,乳幼児の有無は85.0%の精度で推定できることを示した.さらに推定に有効な商品種類を明らかにし,取得するデータを削減できる可能性についても言及した.
4つ目は,購買意思の強さに着目し,位置情報から対象店舗における購買意思の強い顧客を推定する手法を提案する.評価実験により,購買意思の強い顧客を60.8%の精度で推定できることを示した.また,18,302人を対象とした実証実験により,購買意思の強さの違いが閲覧率や来店率に影響を与えることを示した.
以上4つの購買行動に影響を与える個人要因を推定する手法を提案し,実世界のデータを用いて検証を行うことでその応用可能性を明らかにした.
本研究では,購買履歴に加えてアンケート情報,位置情報の多面的かつ長期・高密度の観測可能な行動データを用い,購買行動と購買行動に影響する個人要因の関係性について分析を行う.ライフスタイル,商品に対する嗜好,特定の店舗での購買意思,家族構成の4つの要因を購買行動に影響を与える個人要因とし,これらの個人要因を行動データから推定する手法を提案し,評価実験や実証実験よりその有効性を明らかにする.
1つ目は,消費者のセグメンテーションの基準とされているライフスタイルに着目する. 購買履歴からライフスタイルが強く現れる商品に関する購買行動のみを抽出することでライフスタイルを推定する手法を提案する.7,023人の購買履歴を用いた評価実験により,44.0%の精度でライフスタイルを推定できることを示した.
2つ目は,商品に対する嗜好に着目し,位置情報から商品に対する嗜好を推定する手法を提案する.406名の購買履歴を用いた評価実験により,44.9%の精度で推定できることを示した.また,8,863人を対象とした推定した嗜好に合わせた情報を配信する実店舗での実証実験により,商品に対する嗜好の違いが閲覧率や来店率に影響を与えることを示した.
3つ目は,家族の人数や年代などの家族構成に着目し,購買履歴から家族構成を推定する手法を提案する.6,358人の購買履歴を用いた評価実験により,家族構成を45.8%,乳幼児の有無は85.0%の精度で推定できることを示した.さらに推定に有効な商品種類を明らかにし,取得するデータを削減できる可能性についても言及した.
4つ目は,購買意思の強さに着目し,位置情報から対象店舗における購買意思の強い顧客を推定する手法を提案する.評価実験により,購買意思の強い顧客を60.8%の精度で推定できることを示した.また,18,302人を対象とした実証実験により,購買意思の強さの違いが閲覧率や来店率に影響を与えることを示した.
以上4つの購買行動に影響を与える個人要因を推定する手法を提案し,実世界のデータを用いて検証を行うことでその応用可能性を明らかにした.

(2019年5月21日受付)