GPU Optimization and Hardware Acceleration for Light-field Image Processing

(邦訳:ライトフィールド画像処理向けGPU最適化とハードウェアアクセラレーション)
 
Yuttakonkit Yuttakon
(株)ソシオネクスト

[背景]単一カメラで多くの情報を引き出せるライトフィールド画像が注目されている
[問題]ライトフィールド画像処理の計算コストはきわめて高い
[貢献]組み込み機器にてライトフィールド画像処理を可能とする低電力アーキテクチャ


 ディジタルカメラ技術が急速に改良されています.誰もが小さなスマートフォンで壮大な美しい画像を撮り,ソーシャルメディア上で共有することができます.しかし,真の3次元画像として見たものを記録し再生することは難しいのが現状です.それは,最近のスマートフォンに採用されているデュアルカメラモジュールでも,真の3次元画像を再現できないためです.

 デュアルカメラシステムの問題は,あまりに少ない情報とアルゴリズムの制約にあります.デュアルカメラシステムは,物体の2つの写真を比較することによって距離を測定し,擬似的に深度情報を求めます.このため,どうしても不自然な深度情報になります.

 ライトフィールドカメラは,より多くの情報と画像再構成アルゴリズムにより,自然な3次元画像の再生を行うことができます.ただし,複雑なメモリ参照パターンと多くの計算コストを伴う点が問題です.

 スマートフォンやディジタルカメラなどの組み込み機器でライトフィールド画像処理を可能にするために,2つのアプローチを提案します.
  1. GPUなどの現在利用可能な高速デバイスでアプリケーションの性能を向上させる.個々のGPUのアーキテクチャに合わせて,アプリケーションのパフォーマンスを向上させるメモリアクセスパターンを提案します.
  2. CGRAアクセラレータのような電力効率の良いアクセラレータを使用する.EMAXVは,シンプルかつ膨大な演算器データパスとプログラムに組み込み可能なローカルメモリを備えています.GPUアーキテクチャと比較して,メモリ・トランザクションの量を削減することが可能です.消費電力を削減し,アプリケーションのパフォーマンスを向上させることができました.
 両方の手法を用いて,ライトフィールド画像処理アプリケーションをGPUとアクセラレータの両方で適切に処理する方法を提案しました.
 

 
 
 (2017年6月14日受付)
取得年月日:2017年3月
学位種別:博士(工学)
大学:奈良先端科学技術大学院大学



推薦文
:(システム・アーキテクチャ研究会)


ライトフィールド画像は,携帯機器や不良検査システムなどさまざまな分野に応用されつつある.しかし,原画像から有用な情報を取り出すためには膨大な計算を必要とする.本論文は,アーキテクチャの改良により,電力効率の良い高性能計算基盤を提案した.高効率計算基盤としての今後の発展を期待する.


著者からの一言


博士課程を修了することは私の人生では大きなチャレンジでした.私は苦労しながら何度も失敗しました.そして,最も大変な問題は,いかに難しかったかではなく,困難に直面してもいかに立ち直るか,そして正しい方向を継続して目指すかにあると思いました.私は指導いただいた多くの方々,教授,友人,家族に感謝します.