赤澤 紀子 電気通信大学 研究員 |
[背景]情報通信技術を用いた, 協働的な学びを支援する環境の必要性
[問題]児童の学習意欲を高め児童同士が教え合い学び合う教育支援システムの実現
[貢献]情報通信技術を用いた,協働的な学びを促す教育支援システムの提案および実証
近年,情報通信技術の発展に伴い,小学校,中学校,高等学校および大学において,電子黒板,情報端末,ネットワーク環境等が整備され始めている.さらに,このICT(Information and Communication Technology)の特長を活用し,「一斉指導による学び(一斉学習)」に加え,「子どもたち一人一人の能力や特性に応じた学び(個別学習)」「子どもたち同士が教え合い学び合う協働的な学び(協働学習)」を行う21世紀にふさわしい学びの環境とそれに基づく学びの姿が注目されている.また,学習において,覚えることを苦痛に感じ,暗記に苦労する児童もいる.これを軽減し,学習に取り組む意欲を育成する方法として,リズムやアクションを利用した学習や,コンピュータを活用した学習などが注目されている.そこで,本研究では,児童が,対象の学習に取り組む意欲を高め,児童同士が教え合い学び合う協働的な学びを支援する教育システムの探求を目的としている.
本研究では,この目的を達成するための具体化のひとつとして,非接触型入力デバイスを活用して,体を動かして空中に文字を書くことで問題に解答する教育支援システムを提案している.さらに,本システムを活用して,小学生を対象に行った学習体験から実証を行っている.本研究の主な成果は次の通りである.
初めに,学習の対象として掛け算九九の習得を支援するシステムを構築した.このシステムを用いて,東京都内の公立学童保育クラブに在籍する児童らに学習実践を行った.アンケート結果から,8割の児童が本システムを使った学習実践が楽しかったと回答するなど,児童達は,楽しみながら学習実践に取り組み,自発的に相互に教え合う協働学習を行うことを確認した.また,厚生労働省の放課後児童クラブガイドラインに示される指導員の活動「遊びを通しての自主性,社会性,創造性を培うこと.」「子どもが宿題・自習等の学習活動を自主的に行える環境を整え,必要な援助を行うこと.」の支援にもつながることを指導員とともに確認した.このことより,体を動かし空中に文字を書くことにより解答する九九の学習支援システムは,学習意欲を向上させ,協働学習を促すシステムである可能性を示した.
次に,学習対象としてローマ字の習得を支援するシステムを構築した.構築したシステムを活用し,小学生らによる,ローマ字の学習実践を行った.学習意欲の向上や互いに教え合う様子を確認した.加えて,体験の前後に,出題されたひらがなに対応する単語をローマ字で記述するプレテストとポストテストを行った.その結果,本システムが,ローマ字の習得に効果的なシステムである可能性を示すことができた.さらに,後日,追加のペーパーテストを行い,本システムが,長期的にも学習対象の習得効果がある可能性を示した.
本研究では,この目的を達成するための具体化のひとつとして,非接触型入力デバイスを活用して,体を動かして空中に文字を書くことで問題に解答する教育支援システムを提案している.さらに,本システムを活用して,小学生を対象に行った学習体験から実証を行っている.本研究の主な成果は次の通りである.
初めに,学習の対象として掛け算九九の習得を支援するシステムを構築した.このシステムを用いて,東京都内の公立学童保育クラブに在籍する児童らに学習実践を行った.アンケート結果から,8割の児童が本システムを使った学習実践が楽しかったと回答するなど,児童達は,楽しみながら学習実践に取り組み,自発的に相互に教え合う協働学習を行うことを確認した.また,厚生労働省の放課後児童クラブガイドラインに示される指導員の活動「遊びを通しての自主性,社会性,創造性を培うこと.」「子どもが宿題・自習等の学習活動を自主的に行える環境を整え,必要な援助を行うこと.」の支援にもつながることを指導員とともに確認した.このことより,体を動かし空中に文字を書くことにより解答する九九の学習支援システムは,学習意欲を向上させ,協働学習を促すシステムである可能性を示した.
次に,学習対象としてローマ字の習得を支援するシステムを構築した.構築したシステムを活用し,小学生らによる,ローマ字の学習実践を行った.学習意欲の向上や互いに教え合う様子を確認した.加えて,体験の前後に,出題されたひらがなに対応する単語をローマ字で記述するプレテストとポストテストを行った.その結果,本システムが,ローマ字の習得に効果的なシステムである可能性を示すことができた.さらに,後日,追加のペーパーテストを行い,本システムが,長期的にも学習対象の習得効果がある可能性を示した.

(2015年6月11日受付)