2015年度研究会活動報告

2015年度研究会・研究グループ活動報告

<コンピュータサイエンス領域>
DBS SE ARC OS SLDM HPC PRO AL MPS EMB

<情報環境領域>
DPS HCI CG IS IFAT AVM GN DC MBL CSEC ITS UBI IOT SPT CDS DCC ASD

<メディア知能情報領域>
NL ICS CVIM CE CH MUS SLP EIP GI EC BIO CLE  NEgr SSRgr  AACgr LIPgr
 

コンピュータサイエンス領域

◆データベースシステム(DBS)研究会

[主査: 森嶋厚行,幹事:奥 健太,櫻井一貴,櫻井保志,鈴木 優,田島敬史,
  寺田 努,三島 健,渡辺知恵美,渡辺陽介]

1.定例の研究会活動報告

 第161回,第162回の定例の研究会を開催し,合計45件の発表があった.第161回は8月に東大寺総合文化センターにおいて,IFAT研究会との合同,および電子情報通信学会DE研究会との連立開催として実施した.若手研究者の育成のため,研究会運営委員を中心としたメンターとの議論をじっくり行うことのできる「メンタリングセッション」を設置した.第162回は11月に芝浦工業大学豊洲キャンパスにおいて,WebDB Forum2015との連続開催として実施した.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 DBS研究会では,年間3つの主なシンポジウムを実施している.

  • 「データベース,Web,情報マネジメントに関する若手研究者国際ワークショップ (iDB Workshop 2015)」(8月実施)は,データベースやデータ工学,情報検索に関連する分野の若手・中堅研究者を対象とした会議である.2015年度は実施形態を変え,海外研究者との連携を深めたい若手・中堅研究者をサポートするというコンセプトのイベントとした.海外研究者との共同研究や,国際会議の開催,データベース分野の新たなトピックを開始するきっかけ作りができるように,若手・中堅研究者から,議論をしたい海外研究者の提案を募集し,提案者を中心としたミニワークショップを構成した.今回は4件のミニワークショップ("Mini Workshop on Novel Web Search Interfaces and Systems","Towards a Large-scale Graph Data Management","Workshop on Event Detection Using Microblogs","Workshop on Spatio-Temporal Data Retrieval")が実施され,テーマごとに充実した議論が交わされた.また,海外研究者による招待講演が4件行われた.iDB Workshop 2015全体では,総勢70名の参加があった.

  • 「Webとデータベースに関するフォーラム (WebDB Forum 2015)」(11月実施)は,2008年から開催している査読付シンポジウムである.一般セッションでは,41件の投稿から選抜された27件の研究発表が行われた.また,その内,最優秀論文賞1件,優秀論文賞2件,学生奨励賞5件,企業賞5件を表彰した.併設の技術報告セッションでは,最新のWeb/DB技術に関して企業から10件の発表が行われた.参加者は,学生131名を含む356名であった.WebDBフォーラムは,大学や研究所の研究者ばかりではなく,Webに関係する企業の協賛・参加が多く,産学連携のために重要な役割を果たしている.

  • 「データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM Forum 2016)」(3月実施)は,本分野最大の規模で実施されるシンポジウムである.発表件数は一般発表400件,インタラクティブ発表は214件(一般発表との同時発表181件を含む),参加者数は623名となった.
3.情報処理学会論文誌 データベースの報告

 「情報処理学会論文誌 データベース」(電子情報通信学会データ工学研究専門委員会共同編集)のVol.7 No.2~No.4,Vo.8 No.1(合計21件)の発行を終えた.投稿数が前年比で24%減少し採択率も低下したため、掲載件数は前年比で38%減であった.Vol.8 No.1より英文論文はJournal of Information Processing (JIP)に正本を掲載し,本論文誌にそのプレプリントを掲載することとなった.来年度からのWebDB Forum との連携強化に向けて議論を進めた.

4.総括

 本研究会では,通常の研究会に加えて年間3つの大きなシンポジウム(日本データベース学会,電子情報通信学会データ工学専門委員会と共催)を実施しており,今年度も多くの方に発表と参加をいただくことができた.本研究会の領域の研究者の広がりとアクティビティの高さを示していると考えている.

5.その他
 データの重要性が広く認識されている現在,DBS研が対象とする分野の重要性も益々増大している.本研究会は引き続き,様々な分野の研究者,そして社会で活躍されている皆様との接点が重要であることを認識し,様々な企画を続けていく.その一方で,ネットワーク時代・国際化時代における研究会のあり方を見直さなければならないのも事実である. DBS研では研究会のあり方について継続して検討を重ねており,2016年度よりイベントの大幅な変更を行う予定である.

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◆ソフトウェア(SE)工学研究会

[主査:鵜林尚靖,幹事:大平雅雄,亀井靖高,菊地奈穂美,立石孝彰,長谷川勇,丸山勝久]

1.定例の研究会活動報告
 以下に示す第188~191回の研究発表会を計画し,合計89件の研究発表申込み(活動報告を含む)があった.
  • 第188回 6月4日~5日 川崎・東芝スマートコミュニティセンター 発表11件(SIGEMBとの共同開催)
  • 第189回 7月22日~24日 札幌・教育文化会館(SIGSE/KBSE/SIGSS連立開催・FOSE協賛)発表27件
  • 第190回 12月15日~16日 福岡・JR博多シティ会議室 発表21件
  • 第191回 3月14日~15日 大阪・阪大吹田キャンパス 発表30件

 本年度も多数の発表があった.分野は,要求分析から設計・実装・テストに至るソフトウェアライフサイクルの一部分または全体を対象とした発表が多く,全体的には大きな傾向の変化は見られなかった.またビジネス系や組込み系,研究や事例・経験といったドメインや発表内容も従来通り幅広くとりあげられていた.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2015(SES2015)
    2015年9月7日~9月9日の3日間にわたり,慶應義塾大学日吉キャンパス(横浜市・港北区)にて開催した.研究論文はフルペーパ(10 ページ以内)が14 件,ショートペーパ(6 ページ以内)が2 件の投稿があり,実践論文はフルペーパ(8 ページ以内)が6 件の投稿があった.一般論文(8 ページ以内)には,9件の投稿があった.シンポジウム論文(研究論文・実践論文)に対しては,3名のプログラム委員による並列査読を行い,その結果をプログラム委員会にて慎重に議論した結果,4 件の研究論文フルペーパ,1 件の実践論文フルペーパ,9 件の研究論文ショートペーパ,3 件の実践論文ショートペーパを採択した.本年も例年同様,要求からテスト・保守まで,ソフトウェア開発の上流から下流に渡る幅広いテーマでの発表があった.本シンポジウムでは,これらの論文発表に加え,基調講演に京都大学学際融合教育研究推進センターデザイン学ユニット特定教授/株式会社SRA 先端技術研究所長の中小路久美代氏,日本電気株式会社ソフトウェア生産革新本部・主席品質保証主幹/上席ソフトウェアプロセス&品質プロフェッショナルの誉田直美氏をお迎えし,ソフトウェアシステムの機能と作用の関係,アジャイル開発における品質確保に関してご講演いただいた.さらに,ビッグデータとマーケティング,コードクローン研究に関するチュートリアルに加え,昨年度から設置した技術セミナーとして,ソフトウェアレビュー支援活動において効果のあった取組みについての講演を実施した.また,昨年度盛況であったポスター展示に関しても,10 件のポスター論文を採択し,合計35 件というSES過去最多のポスター発表があった.ワークショップに関しては,昨年に引き続きテーマを設定した議論の場として討論テーマを公募し,4 件のワークショップを開催した.採録論文の中から優秀な論文3件に最優秀論文賞(研究論文部門2件,実践論文部門1件)を,ポスター発表の中から参加者の投票により優秀な発表3件にインタラクティブ賞を贈呈した.また,研究成果・ツールの実用性,対象問題の必要性,提案内容の有用性を重視し,産業界におけるニーズ・問題意識により近い研究発表2件に対して企業賞を贈呈した.参加者は164名と目標を上回り,参加者には有意義なシンポジウムであったと思われる.参加者アンケートでは,いずれの企画も高い有益度と満足度であった.
  • ウィンターワークショップ2016・イン・逗子(WWS2016)
    2016年2月4日~5日の2日間にわたり,湘南国際村センター(神奈川県・葉山町)にて開催した.論文投稿は47件で,様々な問題提起や研究成果の速報を含むものであり,これらを基に活発な議論を行うことができた.参加者は63名で,密度の濃い議論が行われ,充実したワークショップとなった.今回のワークショップでは,研究会会員を中心とするソフトウェア工学の研究コミュニティからセッションテーマを募集し,6つのテーマ(「形式手法 −普及拡大における課題とその解決−」「ソフトウェア設計技術」「スマートサービスの実用化に向けて」「短期繰り返しリリースのためのテスト,品質管理」「ソフトウェア開発データの分析と応用」「要求工学」)に関するセッションを設定した.参加者は,それぞれの討論グループに分かれて,1 日目午後から2 日目午前にかけて深い議論を行った.今回のワークショップにより,ソフトウェア工学分野における研究および実践のさらなる発展に貢献できたと考える.

  • ICSE2015勉強会(国際的研究活動活性化WG主催)
    2015年7月8日に,ソフトウェア工学の分野で最高峰のカンファレンスであるICSE(International Conference on Software Engineering)の論文勉強会を行った.全国4拠点(東京工業大学,名古屋大学,大阪大学,九州大学)をTV会議でつなぎ,ICSE2015で発表された研究論文84件(27セッション)を1論文3分程度でダイジェスト紹介した.1日で会議の全論文の概要を理解することができ,最新の研究動向を効果的に調査する機会を共有しようというのが狙いである.今回も多数の参加があり盛況であった.
3.総括

 上記で報告した研究会,シンポジウム,ワークショップ,勉強会等,本年度の活動には概ね多くの方の参加を頂くことができた.ワーキンググループとして,本年度も要求工学WG,パターンWG,国際的研究活動活性化WGの3つが継続的に活動した.また,本年度は国際会議SANER2016(23rd IEEE International Conference on Software Analysis, Evolution, and Reengineering)を協賛すると共に第191回研究発表会を同時開催した.

4.その他

 2016年度は,4回の定例研究会,SES2016,WWS2017を開催する予定であり,一部は既に準備を進めている.さらに,国際化の一環として、2つの国際会議ER2016(35th International Conference on Conceptual Modeling)とAPRES2016(3rd Asia-Pacific Requirements Engineering Symposium)を本研究会が主催する.今後とも質と量の両面からソフトウェア工学分野の活性化につながるように,会員に対するサービスレベルの向上に努めていき,さらに充実した活動を行っていきたい.

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◆システム・アーキテクチャ(ARC)研究会

[主査:五島正裕,幹事:小野貴継,津邑公暁,三輪 忍,山下浩一郎]

1.定例の研究会活動報告

 第207~211回の研究発表会を開催した.

  • 第207回 2015/05/26(火)~ 27(水) @ルネッサンスリゾート沖縄(OSと共催)発表20件.
  • 第208回 2015/08/4(火)~ 06(木) @別府国際コンベンションセンター ビーコンプラザ(SWoPP)発表44件.SWoPPとして,HPC,OS,PROなどと同時開催であるが,IEICE CPSYとは単一のプログラムを構成した.ARC若手奨励賞4件.
  • 第209回 2015/10/08(木)@ CEATEC会場(IEICE CPSYと連催)発表21件.CPSYと連催し,萌芽的コンピュータシステム研究展示会として開催した.CEATEC会場内において,ポスターセッションのみの会となる.
  • 第210回 2016/01/19(火)~ 21(木) @慶應大学 日吉キャンパス 来往舎(IEICE CPSYほかと連催)発表38件.IEICE CPSY,VLD,RECONF,IPSJ SLDMと連催.ARC若手奨励賞1件.
  • 第211回 2016/03/24(木)~ 25(金) @福江勤労福祉センター(ETNET)発表47件.IEICE CPSY,DC,IPSJ EMB SLDMと連催.ARC若手奨励賞1件
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2015/12/08(火)~11(金)に札幌市産業振興センターで開催された,International Symposium on Computing and Networking  - Across Practical Development and Theoretical Research - (CANDAR)2015,および,その併設ワークショップInternational Workshop on Computer Systems and Architectures(CSA)2015に,CPSYとともに協賛(technical cosponsor)した.

3.総括

 主に国内の環境の変化が激しく,ARCとしても変化を迫られている.昨年度から,研究会の名称を計算機アーキテクチャ研究会からシステム・アーキテクチャ研究会へと変更した.また,長年競合関係にあった電子情報通信学会CPSYとの連携を強化することとなった.2015年度は,第208回以降のすべての研究会を連催とし,また,上記の国際会議CANDARにも共同で協賛した.ゆくゆくは,実際上一体としての運営を目指す.
 その結果,情報処理学会のEMB,SLDM,電子情報通信学会のDC,RECONF,RIS,VLDなど,ハードウェア分野の研究会との連携が強化された一方で,HPC,OS,PROなど,IPSJのシステム分野の研究会との共催は少なくなってしまった.
 今後は,関連する研究会との連携をさらに強化し,登録会員が必要とする研究発表の場を提供すべく,活動を盛り上げていく予定である.

4.その他
 長年に渡り主催をとして参加してきたJoint Symposium on Parallel Processing(JSPP),Symposium on Advance Computing Systems and Infrastructures(SACSIS)の系譜に連なるAnnual Meeting on Advanced Computing System and Infrastructure(ACSI)は一旦終了することとなった.現在,多くの研究会とともに「考える会」を立ち上げ,その後について検討中である.

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◆システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)研究会

[主査:廣津登志夫,幹事:齋藤彰一,高野了成,高宮安仁,山田浩史]

1.定例の研究会活動報告

 第133-136回の研究発表会を開催した.

  • 第133回 2015年5月26日(火)~27日(水) ルネッサンス リゾート オキナワ
    計算機アーキテクチャ研究会と共催で開催し,計算機アーキテクチャとの境界領域のシステムソフトウェアなどを議論した.メニーコア,分散システム,コンパイラ,ストレージ・メモリ管理,OSアーキテクチャ,データベース管理システムなど計 20 件の発表があり,一泊二日の滞在型の研究会として活発な議論が行われた.
  • 第134回 2015年8月4日(火)~8月6日(木) ビーコンプラザ 別府国際コンベンションセンター
    例年と同じく「並列/分散/協調処理に関するサマー・ワークショップ」として複数研究会の共催の形態で開催した.メニーコア・GPU,省電力,仮想化,データベース,OS アーキテクチャ,入出力,ファイルシステム,大規模分散処理,などについて全 22 件の発表が行われた.
  • 第135回 2015年11月24日(火) お茶の水女子大学
    今年も,ComSys 併設の形で組込みシステム研究会との共催により開催した.「システムソフトウェア,組込みソフトウェア技術および一般」というトピックで発表の募集を行い,クラウドコンピューティング,仮想化,並列分散処理,組込みプログラミング,信頼性,OSアーキテクチャなどについて全 16 件の発表が行われた.
  • 第136回 2016年2月29日(月)~3月1日(火) 理化学研究所計算科学研究機構
    システムソフトウェア一般について発表を募集し,ストレージシステム,データベース,OSアーキテクチャ,資源管理などについて 18 件の発表が行われた.計算科学研究機構の共催で開催され,会期中に京コンピュータの見学会が開催された.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 第27回 コンピュータシステムシンポジウム 2015年11月25日(水)
    場所: お茶の水女子大学 理学部
     コンピュータシステムシンポジウムはOS研究会が長らく主催してきた会議で,年に一回,OSやシステムソフトウェアの研究者が集い,研究成果を発表し意見交換をすることでさらに研究を進展させる場として重要な役割を担ってきた.昨今の国際会議への投稿の活発化を背景として,国際会議の前段階としての議論の場としての位置づけを重視して,2014年度から査読付き論文の募集をとりやめ,投稿論文にはコメントのフィードバックを行うようにした.これは,コメントのフィードバックにより研究会との差別化をはかるとともに,国際会議への投稿に向けたブラッシュアップの場として活用してもらうことを期待したものであるが,4件という投稿件数を見ると未だに定着には至っていないと思われる.この枠組みで期待している方向性のプロモーションに力を入れる必要があると考えられる.
     2015年度の開催については,前年と同様に EMB との合同研究会および BitVisorサミットの併設を行った.合同研究会の報告は前述のとおりで,BitVisor サミットについては 8 件の講演が行われた.また,ComSys 本体としては,「Network Softwarizationと Software Defined Data-Plane の可能性 (NFV/SDN/MEC/MVNO/5Gへの適用)」というタイトルで東京大学大学院情報学環の中尾彰宏教授に招待講演をお願いした
3.総括

 システムソフトウェアとオペレーティングシステムの分野の研究発表活動は,実際の情報システムの技術の変更に沿って変遷してきた.最近では,クラウドやKVSなどの大規模情報システムや,仮想化・メニーコアといったものが主要な技術基盤として堅調に発表が行われている.年4回の研究会は,どの回も発表件数が十分に集まっており,萌芽的な研究の発表の場として有意義に活用されていると考えられる.一方で,シンポジウムについては,幹事団・運営委員会でも更なる改革に向けて議論・検討が必要な時期が来ていると考えられる.また,若手育成の視点から2006年度より継続している学生表彰も継続して行っており,これについては今後も継続していく.

 

◆システムとLSIの設計技術(SLDM)研究会

[主査: 福井正博,幹事:高島康裕,西出岳央,横山昌生]
1.定例の研究会活動報告
 以下に示す第171~175回の研究発表会を開催した.
  • 第171回:発表件数 10件,5月14日,北九州国際会議場,テーマ:システム設計および一般,電子情報通信学会 VLD研究会と連催
  • 第172回:発表件数 13件,10月26・27日,一の坊(作並温泉),テーマ:システム LSI の応用とその要素技術,専用プロセッサ,プロセッサ,DSP,画像処理技術,および一般,電子情報通信学会 IE/ICD/VLD研究会と連催
  • 第173回:発表件数 46件,12月1-3日,長崎県勤労福祉会館,テーマ:デザインガイア2015 VLSIの設計/検証/テストおよび一般,電子情報通信学会 DC/VLD研究会と連催,ICD/CPSY/RECONF/CPM研究会と併催,情報処理学会SIGARC研究会と共催
  • 第174回:発表件数 41件,1月19-21日,慶應義塾大学日吉キャンパス,テーマ:FPGA応用および一般,電子情報通信学会 VLD/CPSY/RECONF研究会と連催. 情報処理学会SIGARC研究会と共催
  • 第175回:発表件数 53件,3月24・25日,福江文化会館および勤労福祉センター,テーマ:組込技術とネットワークに関するワークショップ ETNET2016,情報処理学会 SIGEMB/SIGARC研究会と共催,電子情報通信学会 CPSY/DC研究会と連催
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 以下に示すシンポジウムを開催した.

  • DAシンポジウム2015:8月26-28日,山代温泉 ゆのくに天祥(石川県加賀市),発表件数 59件
3.総括

 本研究会は,システムLSIを中心とする電子装置の設計技術,設計自動化技術の研究分野をスコープとして活動している.2014年度に「システムLSI設計技術研究会」から改称を実施し,それに伴うスコープの拡大により,活動の活性化が進んでいる.

 研究会単独主催の「DAシンポジウム2015」ではVDECデザイナーズフォーラムと連続開催したことにより,相互に技術交流を図った.アルゴリズムデザインコンテストでは参加者間の切磋琢磨を通じて新しい解法が提案されるなどの成果に寄与している.本シンポジウムへの参加者数は111名と昨年と同様に盛況で,引き続き当研究会の活動が支持を得ていることが示されたと考えている.

 学生会員育成のための表彰SWGの活動(2006年度創設)は,研究活動の更なる発展に向けた活動として定着し,DAシンポジウム2015にて学生賞7名が表彰された.

 2008年度に創刊された,研究会独自のオンライン・トランザクション(TSLDM:Transactions on System LSI Design Methodology)は,2015年8月に第15号(Vol.8 August Issue),2016年2月に第16号(Vol.9 February Issue)を発行した..

4.その他
 活動履歴や予定の詳細については,下記をご参照ください.
http://www.sig-sldm.org/

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◆ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)研究会

[主査:横川三津夫,幹事:遠藤敏夫,櫻井隆雄,中田真秀,林 亮子]

1.定例の研究会活動報告

 2015年度は,第149-153回の研究発表会を開催し,合計139件の発表が行われた.

  • 第149回研究発表会は,6月26日(金)に工学院大学にて開催,13件の発表があった.
  • 第150回研究発表会は,8月4日(火)-6(木)の3日間,ARC,PRO,OSなどの研究会と共同で2015年並列/分散/協調処理に関する『別府』サマー・ワークショップ(SWoPP2015)を開催,44件の発表があった.
  • また,HPC研究会150回開催を記念して,歴代主査を招いて「過去,現在,そして未来に向かって」と題するパネル討論会を開催した.
  • 第151回研究発表会は,9月30日(水),10月1日(木)の2日間,沖縄産業支援センターにて開催,26件の発表があった.
  • 第152回研究発表会は,12月16日(水),17日(木)の2日間,札幌市の北海道立道民活動センターにて開催,18件の発表が行われた.
  • 第153回研究発表会は,3月1日(月)-3日(木)の3日間,愛媛県松山市にて開催,38件の発表があった.メニーコアシステムやGPGPUに関する研究に加え,「ポスト京」のシステムに向けた研究発表が多いた.
 また,2014年度の研究発表の中から,コンピュータサイエンス領域奨励賞2件,山下記念研究賞2件を推薦した.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
 2015年5月19日(火),20日(水)の2日間,東京大学武田先端知ビルにて,2015年ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム(HPCS2015)を開催した.一般論文15件,ポスター発表24件,企業展示11件に加え,計算科学分野の研究者と計算機科学の研究者との交流を深めるための新たな試みとして,3名の招待講演者で構成する6件のオーガナイズドセッションを行った.また,採録論文より2件の論文に対し,HPCS2015最優秀論文賞,IEEE Computer Society Japan Chapterの優秀若手研究賞を授与した.
 2016年1月18日(月)-20日(水)の3日間,九州大学医学部百年講堂にて,The 2nd Annual Meeting on Advanced Computing System and Infrastructure(ACSI2016)を,OS,PROの研究会と共同で主催した.
3.総括

 HPC研究会は,2014年度に5回の研究発表会を行い,活発な活動を行うことができた.研究集会ACSIでは初めての試みであり,今後の発展に向けた努力が必要と考えている.また,ACSIが1月開催となったため,例年開催していた「ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学」シンポジウムの開催時期を変更することとなり,2015年度5月の開催に向けた活動も行った.
 登録会員数はほぼ横ばいであり,登録数を増やす方策が必要である.また,若手会員,女性会員の増加にも考慮しながら,研究分野全体の活発化に繋げるように努力したい.

4.その他

 2015年度は,発表件数が若干少なかったように思う.2016年度も同様の活動を計画しているので,HPC研究会をますます発展させ,登録会員に対する情報提供を進めるとともに,活発に議論できる場を提供していきたい.

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◆プログラミング(PRO)研究会

[主査:南出靖彦,幹事:河内谷清久仁,小宮常康,田浦健次朗,千葉 滋,西崎真也,増原英彦]

1.定例の研究会活動報告
 第104-108回の研究発表会を開催し,合計48件の発表があった.このうち,第105回(8月,SWoPP2015)が他研究会との連続開催であり,残りの4回が単独開催である.

 平成27年度も,トランザクションプログラミング(PRO)と密着した体制で研究発表会を開催した.トランザクション(PRO)に投稿された論文は,まず研究会で発表され,発表会の直後に開催されるトランザクション(PRO)編集委員会において議論し,査読者を定めて本査読を行なった.第107回研究会において研究会活性化の試みとして,投稿をともなわない短い発表を募集し6件の発表があった.短い発表は,発表20分,質疑・討論10分とした.それ以外の発表については,例年通り,投稿の有無に関わらず,1件あたり発表25分,質疑・討論20分の時間を確保し,参加者が研究の内容を十分に理解するとともに,発表者にとっても有益な示唆が得られるように務めた.
 発表総数は48件で,その中,トランザクションへの投稿件数は29件であった.本稿執筆時点では一部の投稿論文の採否が確定していないため,採択率に関する報告は行わないが,今後とも,編集委員会において査読の観点を論文の欠点を見つけて評価する減点法ではなく,論文の長所を見つけて評価するようにこころがけていく方針である.

 若手を対象としたコンピュータサイエンス領域奨励賞の受賞者を2名選んだ.第106回研究発表会の場で受賞者およびその研究を紹介した.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
 情報処理学会3研究会(OS,HPC,PRO)の共同主催により,ACSI2016を,1月18~20日に九州大学医学部百年講堂で開催した.

 また,日本ソフトウェア科学会インタラクティブシステムとソフトウェア研究会が12月2~4日に主催した第23回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2015)に協賛した.
3.総括

 プログラミング研究会の平成25-27年度の発表件数は順に43件,42件,48件であった.件数の増減がある一方で,発表テーマの多様性が増しているのが近年の傾向であると感じられる.

4.その他

 平成28年度もこれまで同様に5回の研究発表会を予定している。今後も,開催時期や場所の検討,査読方針や編集・査読体制の確認と検討をおこなうとともに, 会員にとってより便利で有益な研究会となることを目指したい.

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◆アルゴリズム(AL)研究会

[主査:上原隆平,幹事:内澤 啓,岡本吉央,山内由紀子]

1.定例の研究会活動報告

 第153回から第157回までの合計5回の研究発表会を開催し,総発表数は43件であった.発表の内容は,グラフアルゴリズム,ネットワーク通信,列挙アルゴリズム,近似アルゴリズム,分散アルゴリズム,計算複雑度,計算幾何,情報セキュリティなど,多岐に渡っている.本年度は2件の特別講演を企画した.

 第153回には北海道大学の湊真一先生に「離散構造処理系に関する最近の研究状況と今後の展望」というタイトルで招待講演をしていただいた.近年,北海道大学を中心として大きく発展した二分決定木の研究の中心人物に,当該分野の最新の研究成果と今後の見通しを講演してもらった.データ構造とアルゴリズムの重要性と有効性を再認識させられる講演であった.また第155回には九州大学の山下雅史先生に「分散(計算)論」というタイトルで招待講演をしていただいた.多数のロボットの協調動作に関する理論的な枠組み等についてのレクチャーであり,近い未来に必ずや必要となるであろう群ロボットの制御に関する理論的な枠組みの重要性を実感できる講演であった.どちらの招待講演も参加者の研究に対して新たな視点と刺激を与えるよい機会となった.

 他研究会との交流として,電子情報通信学会の「コンピュテーション研究会」と連催(6月),同学会の「回路とシステム研究会」・「システム数理と応用研究会」と連催(11月),人工知能学会の「人工知能基礎問題研究会」と同時開催(1月),「組合せゲーム・パズル研究集会」との併催(3月)を行なった.それぞれ,興味の対象や問題意識が近いこともあり,実りの多い交流となった.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 小規模国際会議として,韓国の研究グループと連携してJapan-Korea Joint Workshop on Algorithms and Computation(アルゴリズムと計算理論に関する日韓合同ワークショップ)を定期的に開催している.本年度は第18回のワークショップを韓国サイドによる開催で,8月に韓国のインチョンで行なった.またインドやバングラデシュのグループが開催しているInternational Workshop on Algorithms and Computationを協賛という形で支援しているが,これは3月にネパールのカトマンズで開催された.

3.総括

  近年,国内の他の研究会との交流を深めるための連催等に積極的に取り組んできた.どの研究会も,興味が共通する部分もあれば,多少違う部分もあり,互いに良い刺激となっており,研究会の盛り上がりに役立っている.今後もこうした交流は続けていくとよいだろう.また上記の国際会議においては,アルゴリズム研究会のメンバーの貢献は大きく,国際的な活動も引き続き力を入れて取り組んでいくべきであろう.

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◆数理モデル化と問題解決(MPS)研究会

[主査:棟朝雅晴,幹事:岩田具治,小野智司,但馬康宏,林田守弘,松田 健,吉田哲也]

1.定例の研究会活動報告

 第103-107回として計5回の研究発表会(うち1回は海外開催)を行った.

  • 第103回:6月23日(火)~25日(木),沖縄科学技術大学院大学(沖縄県),発表14件(合同研究会全体では 40件)(バイオ情報学研究会・電子情報通信学会NC, IBISML研究会との共催)
  • 第104回:7月27日(月),モンテカルロリゾート(米国),発表13件.
  • 第105回:9月29日(火)~30日(水),北見工業大学(北海道),発表15件.
  • 第106回:12月15日(火),電気通信大学(東京都),発表10件.
  • 第107回: 3月 8日(火)~9日(水),山口健康づくりセンター(山口県),発表24件.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2015年度は,特になし.

3.総括

 本研究会では,さまざまな問題の数理モデル化と解析,機械学習や最適化など問題解決に必要となる手法やアルゴリズムに関する研究分野を対象としてきた.
 研究会開催は,例年通り5回執り行い年間76件の発表件数があった.これらの研究会発表において,数理モデル化,最適化,解析手法,機械学習などに関わる研究や,それら手法の現実の問題への応用として,ソーシャルメディア,クラウドコンピューティング,ゲーム,バイオ・医療情報処理などさまざまな研究成果について活発な議論がなされた.研究会開催は100回を超えてきてはいるが,未だに研究発表及び討論の場として,未だに重要な役割を果たしていると考えられる.
 また第103回研究会は,前年度からと同様にバイオ情報学研究会,電子情報通信学会ニューロコンピューティング(NC)研究会,情報論的学習理論と機械学習(IBISML)との研究会共催をとり行い,異分野の研究者との討論を深めるとともに親睦を深めることができた.このような交流研究会は,研究に対するモチベーションを高め,イノベーションを産んでいくと考えられるので定例の行事として執り行っていきたい.

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◆組込みシステム(EMB)研究会

[主査:枝廣正人,幹事:武内良典,中條拓伯,福田浩章,横山孝典]

1.定例の研究会活動報告

 第37回~40回の研究発表会を開催.組込みシステムというテーマに関してCS領域内CS領域内の他研究会が扱う分野間の横串を指す役割を担っていることから,本年度も各関連研究会との共催の研究発表会を実施した.

  • 第37回研究会(6月4~5日@東芝)ソフトウェア工学研究会と共催,発表11件および東芝様からの研究紹介
  • 第38回研究会(8月28日@下呂温泉) SWESTと同時開催,発表6件,招待1件
  • 第39回研究会(11月24日@お茶の水女子大) オペレーティングシステムとシステムソフトウェア研究会と共催,発表16件
  • 第40回研究会「組込み技術とネットワークに関するワークショップ ETNET2016」(3月24〜25日@福江文化会館) システム・アーキテクチャ,システムとLSI設計技術研究会,および電子情報通信学会コンピュータシステム研究会,ディペンダブルコンピューティング研究会と共催,発表46件
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 組組込みシステムシンポジウム(ESS2015)を,10月21~23日に早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究開発センターにおいて開催.産業界・学術界から14件の論文発表や実践報告,26件のポスター発表があり,また基調講演として国立情報学研究所の佐藤一郎教授に登壇いただいた.また,10周年記念企画として2件のパネルセッションを実施した.

3.総括

 研究会として発足し10年が経過し,その活動が多くの方々に理解されるようになってきている.研究会運営委員も初期のメンバーから徐々に世代交代をしながら,その裾野を広げつつあり,情報処理学会内に閉じることなく電子情報通信学会などの関係する研究会や産業界の団体などとも連携を保ち,組込みシステムの技術発展に向けて学術の世界のみならず実務の世界への積極的な発信が出来るようになりつつある.組込みシステム分野はIoT (Internet of Things)の中核技術となっており,10周年を機に,これまでの活動を振り返りつつ,新たな一歩を踏み出すことが望まれる.

4.その他
  • 情報処理学会論文誌「組込みシステム工学」特集号を平成27年8月および平成28年2月に発刊した.合わせて28編投稿,10編採録.
  • 情報処理学会誌研究会推薦博士論文速報については1編推薦,採択.
  • 山下賞1名,CS領域賞1名を推薦.

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情報環境領域

◆マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会

[主査: 重野 寛,幹事: 木原民雄,斉藤裕樹,新保宏之,乃村能成]

1.定例の研究会活動報告

 定例の研究会は,以下の通り4回実施した.

  1. 第163回DPS研究会/2015年05月28日-29日/宮古島フェリーターミナル (沖縄県宮古市)
  2. 第164回DPS研究会/2015年09月10日-11日/倉敷市芸文館 (岡山県倉敷市)
  3. 第165回DPS研究会/2015年12月10日-11日/宇奈月国際ホテル (富山県黒部市)
  4. 第166回DPS研究会/2016年03月03日-04日/明治大学駿河台キャンパス(東京都千代田区)
  • 第163回は,宮古島で MBL(合同),信学会MoNa(連催)と連携し,全体で36件の研究発表(うちDPSは12件)があり,シングルトラックで分野を越えた活発な議論が行われた.
  • 第164回は,EIP との合同で,岡山県倉敷市で行われた.全体で19件(うちDPSは6件)の研究発表があった.一部の発表にポスター形式を取り入れ,新たな試みを実施した.また,岡山大学資源植物科学研究所 平山隆志教授より「農業を支援する植物科学:基礎生物学+情報科学の新たな展開 」,広島大学法学部 岡田昌浩 准教授より「コスプレと著作権」 という題目でそれぞれ招待講演をいただいた.
  • 第165回は,富山県黒部市で,20件の研究発表があった.ここでは合宿形式での開催を試み,参加者全員による研究討論が活発に行われた.
  • 第166回は,東京でCSECとの合同開催とし,全体で37件の研究発表(うちDPSは14件)が行われた.また,高知工科大学 吉田真一教授より「機械学習とニューラルネットワークの研究動向」,筑波大学 岡本栄司教授より「ネットワーク・通信・暗号の研究 - 私の研究紹介-」という題目でそれぞれ招待講演をいただいた.
  • 今年度の発表件数は,招待講演を除き52件であった.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア,分散,協調とモーバイルシンポジウム(DICOMO2015)
    2015年7月8日(水)から 10日(金)に岩手県八幡平市・ホテル安比グランドにて開催された.統一テーマ「世界をむすび、未来にいどむ」を掲げ,260 件の研究発表が行われた.本シンポジウムは,DPS, GN, MBL, CSEC, ITS, UBI, IOT, SPT, CDS, DCCの合同よる大規模なシンポジウムである.DPS関連では,10 セッション,39件(デモを除く)の発表があり,多くのDPS関連発表者がこのシンポジウムに参加し,交流を深めた.また,名古屋大学/位置情報サービス研究機構の河口信夫教授に「移動体ビッグデータの時空間解析」というタイトルでご講演を頂いた.

  • マルチメディア通信と分散処理ワークショップ(DPSWS2015)
    今年で23回目となった本ワークショップは,2015年10月14日(水)から16日(金)に長崎県雲仙市・雲仙富貴屋で開催された.論文発表28件とデモ・ポスター発表23件を合宿形式で行い,参加者は93名であった.招待講演を早坂昌彦氏(ハウステンボス)から,DPS研究会発足40年記念講演を白鳥則郎先生(早稲田大学)から,それぞれいただいた.投稿されたすべての論文は,プログラム委員によって並列査読された.参加者全員による深い議論を目指し,今回もシングルセッション構成とした.昨年同様,若手研究者・学生をエンカレッジし,世界に羽ばたく研究者・ 技術者へと育成することを意図し,テーブルディスカッションを実施した.査読結果に基づく優れた論文に対して,最優秀論文賞 1件,優秀論文賞 4件,奨励賞 6件,審査員及び参加者の投票によって優秀ポスター賞 4件,優秀デモンストレーション賞 2件,最優秀プレゼンテーション賞 1件,優秀プレゼンテーション賞 2件,ベストカンバサント賞 1件を授与した.セッション中はもちろんのこと,懇親会や宿泊している部屋などでも,大学や企業組織の枠を超えた議論が深夜まで続き,本研究領域の学術の進展のみならず,研究者・学生間の交流の促進にも貢献する有意義なワークショップになったものと考える.

  • 論文誌「ネットワークサービスと分散処理」特集号
    従来の分散処理とネットワークの研究分野にとどまらず,萌芽的な研究,アプリケーション分野での横断的な研究,新サービスのための技術研究,新たなアプリケーションの基盤となるセキュリティ技術など,当研究会の研究分野に関する優れた論文を一括掲載することを目的として特集号を企画し,2016年2月に発行された.ゲストエディタに串間和彦氏(NTTソフトウェア)を迎え、当研究会の主査,幹事,運営委員を中心に編集委員会を組織した.合計43編の論文が投稿され,4回の編集会議において慎重な審議を経た上で,30件の論文が採録された(採録率 69.8%).採録された論文は,無線・モバイルネットワーク 11件,モバイルコンピューティング 5件,ネットワークサービス 4件,セキュリティ 3件,ネットワークプロトコル 2件,ITS,ネットワークアーキテクチャ,ウェアラブルコンピューティング,並列・分散処理技術,分散システム運用管理それぞれ1件となっており,いずれの論文も将来のネットワークサービス実現に必要なさまざまな研究課題に取り組んだものであり,特集号の狙いに合致した論文を採録することができた.当研究会関連分野から招待論文を産業界と学術界からそれぞれ1件ずつ掲載し,タイムリーかつ高度な技術についての知見を広めることができた.また,研究会推薦2件を含め全体として3件の特選論文が選定されたことは、採録論文の質の高さを示していると言える.
3.総括

 本研究会では,4回の定例研究会,シンポジウム,ワークショップを通して,研究者相互の交流と研究に対する活発な意見交換の場を提供することができた.論文誌特集号については,非常に多くの方にご協力頂き,遅延のない査読プロセスを進めることができた.改めて,ご協力頂いた皆様に感謝する.今後も,DPS関連研究者の更なる研究の活性化,また国際化への支援を進めていく予定である.皆様の積極的な参加とご協力をお願いしたい.

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◆ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会

[主査:河野恭之,
  幹事:井原雅行,小倉加奈代,小松孝徳,鈴木 優,玉城絵美,寺田和憲,真鍋宏幸,光永法明]

1.定例の研究会活動報告

 第163~167回の研究発表会を開催した.各回のテーマと招待講演,発表件数等は以下の通り.

  • 第163回(和倉温泉) 2015/5/14,15
    テーマ:近づけるインタラクション
    招待講演:「身体動作から行為を切り出す方法論」 日高昇平氏(北陸先端科学技術大学院大学)
    発表件数:12件
  • 第164回(長崎県五島市 福江島)2015/7/31~8/1
    テーマ:自然とインタラクション
    招待講演:「痕跡学への誘い」 林良平氏(鹿児島工業高等専門学校)
    発表件数:9件
  • 第165回(別府国際コンベンションセンター)2015/11/29~30 SIGUBIと共催
    テーマ:ヘルプ
    招待講演:「音響・センサ技術で地域産業の活性化、そして面白い商品開発について」 佐藤寧氏(九州工業大学)
    発表件数:17件
  • 第166回(関西学院大学梅田キャンパス ) 2016/1/21~22
    テーマ:ロボットとインタラクション
    招待講演:「-社会人博士奮闘記- 仮面型テレプレゼンスシステム、ChameleonMaskの着想から野望まで」 三澤加奈氏(東京大/電通)
    発表件数:10件
  • 第167回(早稲田大学) 2016/3/8~9
    テーマ:優しくないインタラクション
    招待講演:「不便がもたらすうれしさのデザイン」 川上浩司氏(京大)
    発表件数:19件
 以上,発表総件数67件

 第163回~167回研究会より,以下の4件を学生奨励賞として表彰した:
  • 第164回研究会
    ・石井晃君(筑波大学)「Flickey: 超小型タッチパネル端末におけるフリック操作を活用したQWERTYキーボード」
  • 第165回研究会
    ・山下大輔君(同志社大学)「内蔵照度センサによるハンドジェスチャ認識を用いたモバイルアプリケーションの検討」
  • 第166回研究会
    ・河野大器君(筑波大学)「眼球型ディスプレイによる視線方向提示手法の開発」
  • 第167回研究会
    ・平野貴之君(金沢大学)「電力重畳通信機能を持つブロック型デバイスを用いたインタラクティブデバイスのプロトタイピングシステム」
    ・奥川遼君(神戸大学)「サドルカバー型センサを用いた自転車運転時の状況認識システム」
2.シンポジウム・国際会議等の報告
 インタラクション2016シンポジウム(2016/3/2-4)をGN研・UBI研・DCC研およびEC研と共催した.当研究会の宮下教授(明治大)が退会副委員長を担当した.従来通り質・量ともにきわめて高いレベルのシンポジウムとなり,参加者も前年同様に700名を超えた.しかしながら会場経費増のために厳しい決算が予想されている.
3.総括

 通常研究会での発表件数は減少傾向が続いているものの研究会登録会員数は高い水準を維持している.前述のようにインタラクション2016シンポジウムも多くの参加者を数えるなど研究会活動は全体として引き続き活発である.前年までと同様に発表申込件数・参加者数が研究発表会によって大きく増減する現象が発生しており,開催時期・開催地の選定,テーマ設定などで訴求力を高めたい.

4.その他

 2016年度も引き続き研究会の活性化に努める所存である.

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◆グラフィクスとCAD(CG)研究会

[主査:栗山 繁,幹事:楽詠コウ,竹島由里子,鶴野玲治,豊浦正広,向井智彦]

1.定例の研究会活動報告
  • 第159回 テーマ:身体性およびCG一般
    2015年 6月30日(火) 広島大学 東広島キャンパス 情報メディア教育研究センター
    発表件数 13件 招待講演 1件 (日本バーチャルリアリティ学会力触覚の提示と計算研究委員会との合同開催)
  • 第160回 テーマ:エンターテイメントに関わるCG,およびCG一般
    2015年 8月 29日(土) 東京工科大学 蒲田キャンパス
    発表件数 8件 招待講演 1件
  • 第161回 テーマ:実世界まるごと3D
    2015年11月 6日(金)~ 7日(土) 神戸大学 六甲台第2キャンパス 瀧川記念学術交流会館
    発表件数 25件 招待講演 5件(CVIMとの合同開催)
  • 第162回 テーマ:CG教育
    2016年 2月 8日(月) 国立情報学研究所(NII)
    発表件数 6件 活動報告2件(CGARTSとの合同開催)
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • Visual Computing/グラフィクスとCAD合同シンポジウム2015
    2015年 6月28日(日)~29日(月)
    姫路市市民会館
    発表件数36件(うちポスター発表17件)  招待発表7件 投稿件数47件
    画像合成,アニメーション,物理シミュレーション,モデリング,レンダリングなど,多岐にわたる分野での研究が報告された..
  • CEDEC2015共催イベント「流体アニメーション制作を効率化する技術」
    2015年 8月 26日(水)
    パシフィコ横浜
    招待講演 1件
    CEDEC2015から1セッションの提供を受けて,当研究会から招待された1名の若手研究者の講演を実施した.聴講者は約90名で,流体アニメーションに関する先端的理論や応用に関する講演の終了後も,活発な質疑応答や議論が交わされた.講演参加者アンケートにおいても,本イベントに対するゲーム開発者からの高い評価が示されていた.
3.総括

 34年間使った研究会名称「グラフィクスとCAD」を2016年度から「コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学」と変更することを決定した.優秀研究発表賞としてシンポジウムも含めた年間86件の発表から11件を選出した.本研究会申込発表数は,2013年度の44件から43件,38件と減少傾向で,2015年度は特に2月開催が減少した.共催による発表件数増加だけでなく本研究会自体の魅力で投稿を増やす策が必要である.

4.その他

 本研究会の改称に伴い,活動紹介用のWebサイトを新たに構築した.また,「次世代刷新ワーキンググループ」を発展的に解消したのでその担当幹事を廃止し,それに伴い幹事間の役割分担に関して,過重な主査の業務を軽減する方向で調整した.
 近年の発表および参加者数の漸減傾向に対する対策として,2016年度からはCVIM研究会との合同開催をDCC研究会および日本VR学会・HDC研究委員会との4研究会による共催として開催する.また,CGARTS協会との合同開催に関しては,「CG技術の実装と数理」というテーマを掲げ,独自の形態での研究発表会を実施して活性化を図る.

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◆情報システムと社会環境(IS)研究会

[主査:刀川 眞,幹事:柿崎淑郎,高橋尚子,深田秀実]

1.定例の研究会活動報告

 4回の研究発表会を開催し計30件の発表があった. 全体的に見て,情報システムの分析・設計・開発・運用・人材育成などに関して多様な研究報告が行われた.

  • 第132回(6月13日,青山学院大学,発表10件)
  • 第133回(9月3・4日,岩手県立大学,発表7件)
  • 第134回(12月5日,武蔵大学,発表7件)
  • 第135回(3月7日,東京電機大学,発表6件)
 また昨年度より,研究発表会の中で有識者による時宜にかなったテーマの招待講演を開催することにし,以下を実施した.
  • 第133回 「室蘭市におけるオープンデータ推進について」(室蘭市役所 丸田之人) パネル討論:オープンデータと情報システム(丸田之 室蘭市役所,深田秀実 小樽商科大学,畑山満則 京都大学,司会‥阿部昭博 岩手県立大学)
  • 第134回 「マイクロソフトのアカデミックストラテジー」(日本マイクロソフト 板倉真由美)
  • 第135回 「トラスト~情報システムと社会の一接点~」(セコム 島岡政基)
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  1. 情報システムのデザイン論シンポジウム
    情報システムをどのようにとらえ,発想し,デザインし,評価し,伝え,測り,計画し,作り上げて,現実世界に提供し,効果を発揮させればよいか,について考えるシンポジウムを開催し,55名の参加を得た.また,CITPおよび技術士のCPDのために,必要に応じて受講証明を発行した.
    講演1:製品設計分野のデザイナーの“デザインとは”(産技大 國澤好衛)
    講演2:建築分野のアーキテクトの“デザインとは”(滋賀県立大 松岡拓公雄)
    講演3:社会システムのデザイナーの“デザインとは”(名古屋大 金森 亮様)
    パネル討論:情報システムにおける“デザインとは”(松岡拓公雄 滋賀県立大,國澤好衛 産技大,金森 亮 名大,児玉公信 情報システム総研,中谷多哉子 放送大,司会‥刀川 眞 室蘭工大)

  2. 災害コミュニケーションシンポジウム(共同開催)
    一昨年度からセキュリティ心理学とトラスト研究会(SPT),インターネットと運用技術研究会(IOT)と共同開催しており,12月26日に第5回を行った.年末の多忙な時期にもかかわらず積極的な参加者を得ることができ,活発な議論が行われた.
3.総括

 本年度も,情報システムにおける広い分野からの多くの種類の発表や議論が活発に行われた.当研究会が編集母体となる情報システム関連のジャーナル特集号の発刊も継続し,一昨年度から始めた若手研究者を中心とする研究会(若手の会)での優れた発表に対する「若手の会奨励賞」も授与した.

4.その他

 本研究会の特徴である社会とのつながりを重視し,ビジネス的視点から優れた研究を顕彰する賞の設立を計画している.

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◆情報基礎とアクセス技術(IFAT)研究会

[主査:藤井 敦,幹事: 荒牧英治,加藤恒昭,蔵川 圭,関 洋平,野本忠司,山田一郎,吉田一星]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・国際会議等の報告

3.総 括

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◆オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)研究会

[主査:川村春美,幹事:石井大祐,加藤晴久,藤井 寛]

1.定例の研究会活動報告

 第89回~92回の研究発表会を開催した.

  • 第89回研究発表会
    日時:2015年8月3日
    会場:首都大学東京 南大沢キャンパス
    連催:電子情報通信学会 画像工学研究会(IEICE-IE)
    共催:映像情報メディア学会 メディア工学研究会(ITE-ME), コンシューマエレクトロニクス研究会(ITE-CE)
    テーマ:マルチメディア情報処理・配信・検索・インタフェースとその応用,  およびコンシューマエレクトロニクス,メディアエレクトロニクス,画像工学,一般
    発表件数:8件
  • 第90回研究発表会
    日時:2015年9月3日,4日
    会場:関西大学 千里山キャンパス
    連催:電子情報通信学会 スマートインフォメディア研究会(IEICE-SIS)
    テーマ:知的マルチメディアシステム、オーディオビジュアル、一般
    発表件数:14件
  • 第91回研究発表会
    日時:2015年12月3日,4日
    会場:神戸大学 瀧川記念学術交流会館
    連催:電子情報通信学会 通信方式研究会(IEICE-CS),画像工学研究会(IEICE-IE)
    共催:映像情報メディア学会 放送技術研究会(ITE-BCT)
    テーマ:画像符号化,通信・ストリーム技術,一般
    発表件数:28件
  • 第92回研究発表会
    日時:2016年2月26日
    会場:沖縄セルラー電話株式会社
    テーマ:マルチメディア処理・符号化・理解,通信・ストリーム技術,一般
    発表件数:5件
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 画像符号化シンポジウム,映像メディア処理シンポジウム(PCSJ/IMPS)
    日時:2015年11月18日~20日
    会場:ラフォーレ修善寺(静岡県伊豆市)
    主催 電子情報通信学会画像工学研究専門委員会
    共催 映像情報メディア学会メディア工学研究委員会・画像電子学会

  • 2015  International Workshop on Smart Info-Media Systems in Asia(SISA)
    日時:2015年8月26日~28日
    会場:千葉工業大学
    連催:電子情報通信学会スマートインフォメディアシステム研究会(SIS)
    当研究会の特別セッションを組み,積極的に国際会議との連携を図ることで,昨年に引き続き研究会の国際化へ向けた活動を推進した.
3.総括

 本年度は,映像音声に関する符号化,変換,編集,伝送,検索,認識等について定例研究会4件とシンポジウムおよび国際会議が開催された.萌芽的研究内容を取り扱う学生セッションを設け若手研究者の参加を促す施策を行うと同時に,2014年度のAVM研究会発表の中から優秀な若手研究者に対しAVM最優秀賞,AVM優秀賞を授与した.今後も関連研究会と綿密に連携し,当該研究分野全体の活性化に取り組む予定である.

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◆グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会

[主査:市村 哲,幹事:市川裕介,岡本昌之,由井薗隆也,吉野 孝]

1.定例の研究会活動報告

 平成27年度は以下の通り,第95-98回の研究発表会を開催しました.

  • 第95回(平成27年5月14-15日 津田塾大学 小平キャンパス):発表19件
         SPTと共催,電子情報通信学会LOIS研究会と連催.
  • 第96回(平成27年10月2-3日 高山市民文化会館):発表23件
         電子情報通信学会HCS研究会と連催.
  • 第97回(平成28年1月21-22日 天草市民センター):発表39件
         CDS,DCCと共催.
  • 第98回(平成28年3月14-15日 大妻女子大学 千代田キャンパス):発表14件
         単独開催.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成27年度は以下の通り,シンポジウム2回,ワークショップ1回を開催しました.

  • DICOMO2015シンポジウム(平成27年7月8-10日 岩手県八幡平市 ホテル安比グランド):
    発表258件,デモ6件,招待講演・特別講演9件
    平成9年より開催しているDICOMOシンポジウムは,DPS,MBL,CSEC,ITS,UBI,IOT,SPT,CDS,DCCと共催.
     
  • グループウェアとネットワークサービスワークショップ2015(平成27年11月27-28日 栃木県那須塩原市 ホテルニュー塩原):
    発表8件(査読付き論文1件,一般5件,ポジション2件),招待講演1件
    平成16年に第1回を開催して以来,GN研究会ならではの発表の場を提供するべく開催しています.質の高い研究成果の報告を得ると同時に,研究の芽や方向性に関する報告など,ワークショップにふさわしい多様な研究報告が行われました.
     
  • インタラクション2016(平成28年3月2-4日 科学技術館):
    一般講演18件,インタラクティブ発表223件,特別講演1件
    平成9年より開催しているインタラクションシンポジウムは,HCI,UBI,EC,DCCと共催.
3.総括

 当研究会は,平成5年度の発足以来,グループウェア技術に関して,理論から応用,情報科学から社会科学,と幅広い学際的研究活動を活発に推進してきました.この間,Webなどのグループウェアの実用化が急速に進みました.この動向を踏まえて,平成13年度より,研究会名称をグループウェアとネットワークサービス研究会へと変更し,現在ではネットワークアプリケーション,インターネットサービス,ゲーミフィケーション,コラボレーション支援などの広い研究分野をカバーしています.
 例年,定例研究会を開催する以外にも,泊まり込みのワークショップ(GNワークショップ),隔年の国際会議(CollabTech),2回の研究会合同シンポジウム(DICOMO,インタラクション)を主催しています.平成28年度は,金沢市しいのき迎賓館にてCollabTech2016を開催予定です.
 平成24年度からは,研究の萌芽段階を支援する目的で論文・発表を通常の研究発表よりも短くしたサポートセッションを設けています.また毎年論文誌ジャーナル特集号を発行しており,平成27年度特集号においても多くの原著論文を採録しました.通常の発表の他,平成27年度は招待講演も積極的に企画しており,ヤフーの坂本竜基様,奈良先端大の荒牧英治先生,NTTの渡邊淳司様から,関連分野の最新動向についてご講演いただきました.

4.その他

 研究会関連メンバへのサービスとしては,平成13年4月から毎月メーリングリストによるニュースレターの発行を継続しており,現在約300名がメーリングリストに登録されています.

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◆ドキュメントコミュニケーション(DC)研究会

[主査:中挾知延子,幹事:天笠俊之,菅沼 明,鈴木俊哉]

1.定例の研究会活動報告
  • 第98回研究会
    日時:平成27年7月13日(月)・14日(火)
    場所:公立はこだて未来大学
    発表件数:19件
    特別講演「視覚心理にもとづく日本語電子リーダーの「よみ」体験デザイン」
    川嶋稔夫氏(はこだて未来大),小林潤平氏(大日本印刷/はこだて未来大)
    招待講演「乳児と高齢者対象のライフログへ向けて」
    藤野雄一氏,佐藤生馬氏(はこだて未来大)
    ※電子情報通信学会ライフインテリジェンスとオフィス情報システム研究会(LOIS) との併催
  • 第99回研究会「文字・フォント・電子出版および一般」
    日時:平成27年(2015年)10月23日(金)
    場所:凸版印刷(株)印刷博物館 グーテンベルクルーム
    発表件数:3件
  • 第100回研究会「コミュニティのドキュメント活用技術」
    日時:平成27年12月1日(火)
    場所:セコム本社 セコムホール
    発表件数:5件
    招待講演「共想法による認知症予防の実践研究-体験記憶の記録とその利活用」
    大武美保子氏(千葉大学)
  • 第101回研究会「多言語ドキュメントと情報アクセス技術」
    日時:平成28年3月24日(木)
    場所:東京工業大学大岡山キャンパス
    発表件数:11件
    ※情報処理学会情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT)との合同研究会
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成27年度は実施なし

3.総括 
 デジタル化されたドキュメントを取り巻く多様な課題について現在まで継続して研究活動を行っているが,今年度はとりわけ以下の点に着目するとともに,研究会登録者・参加者の増加を目指して活動を行った.
  1. ドキュメントコミュニケーション研究会としての新たな出発
    本年度より研究会は名称を「ドキュメントコミュニケーション(DC)」研究会として,新たな一歩を踏み出した.コミュニケーションという名称を冠することで,ドキュメントを記録の手段としてだけではなく,伝達の手段そのもの,すなわちドキュメントを介して人と人がよりよくつながっていくということを強く意識している.名称を改定したことで,本年度の研究報告もそれに呼応した内容が以前よりも加わってきたように感じられる.昨年度研究会プロジェクトの創設を試みて下地作りを推進してきたが,諸事情から人的リソースが確保できなくなり,現在保留の状態になっている.良い方向へ向かうように研究会内での議論が必要である.
  2. 登録者・参加者増加に向けての試み
    開かれた研究会を心掛け,初めて参加していただいた方に次も参加・発表をしたい雰囲気作りに努力している.(1)と関連するが,より広い学問分野の研究者からも参加してもらった.例として,地域コミュニティメンバー間でドキュメントを授受することでの支え合うコミュニケーション研究の報告では,社会福祉分野からの参加もあった.また,多言語ドキュメントのセッションでは,技術翻訳業界からの発表もあり,ドキュメントを中心に異分野がつながる研究会を実現することができた.
4.その他

 本研究会の特徴として,ドキュメントを扱う研究分野であるがゆえに,産業界からの参加が多く,理論研究と実践のバランスが常に要求される.実践に偏りすぎるとアカデミックな要素が感じられないという批判も受けてしまうため,実践を行いつつ,ドキュメントによるコミュニケーションのモデル化や分析も行い研究会を盛り上げていく.また,ここ数年行っていないシンポジウムの開催も来年度は視野に入れて準備を行っていく.

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◆モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL)研究会

[主査:稲村 浩,幹事:荒川 豊,北村操代,久保 健,内藤克浩,深澤佑介]

1.定例の研究会活動報告

 第75-78回の研究発表会を開催した.

  • 第75回研究発表会 5月28,29日,沖縄県 宮古島マリンターミナル
    ・共催:情報処理学会マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会
    ・連催:モバイルネットワークとアプリケーション研究会(MoNA)研究会
  • 第76回研究発表会 10月1,2日,NTT武蔵野研究開発センタ
    ・共催:情報処理学会 コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会
    ・スマートフォンアプリコンテスト,優秀論文,優秀発表,奨励発表の表彰式を実施
  • 第77回研究発表会 12月3,4日,愛知工業大学 八草キャンパス
    ・共催: 高度交通システム研究会(ITS)
    ・泊まり込みワークショップでwork in progress研究の発表と討議
  • 第78回研究発表会 2月29,3月1日,東京理科大学 森戸記念館
    ・共催:情報処理学会 知的環境とセンサネットワーク(ASN)研究会,ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会,
    ・連催:電子情報通信学会モバイルネットワークとアプリケーション(MoNA)研究会
 本年度の定例研究会は計画通り4回実施した.発表件数(招待講演・共催分は含まない)は52件であり,活発な研究発表が行われている.昨年度に引き続き,Work in Progress テーマに関する発表と集中討議を行う泊り込みワークショップを開催し,好評であった.2015年度は優秀発表4件,奨励発表8件,WiP奨励賞3件,WiP萌芽賞1件,WiPプレゼン賞1件,を選出し,研究発表の奨励と会員拡大に努めている.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム
    7月8~10日,会場:岩手県 ホテル安比グランド
    共催:情報処理学会 マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会,グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会,モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会,コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会,高度交通システム(ITS)研究会,ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会,コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会,情報セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会,デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会
  • 論文誌特集号の発行・企画
    ITS/MBL特集号:平成28年1月号
    ITS/MBL両研究会の共同企画による論文誌特集号は平成13(2001)年7月号以来16回目の発行となる.今回は,テクニカルノート3件を含めて31件の投稿があり最終的に15件を採録した.移動体の移動推定,車車間通信を含むアドホックネットワーク,自動運転や渋滞緩和など多岐に渡る論文が採録され,最新の研究成果をタイムリーに発表する場を提供できたと考えている.
3.総括
 平成27年度は,MBL運営委員会の活動の元,4回の定例研究会の他,シンポジウムを開催し,論文誌特集号の企画を滞りなく進めた.これにより,モバイルコンピューティング技術の発展に寄与するとともに,国内外の研究者相互の交流ならびに大学と産業界の連携のための意見交換の場を積極的に提供することができた.今後とも,これらの交流で得た研究者間の関係をベースに本研究会をさらに発展・充実させたい.

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◆コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会

[主査:鳥居 悟,幹事:岡本 健,須賀祐治,高橋健一,千田浩司,寺田雅之]                      

1.定例の研究会活動報告

 第69回~第72回の研究発表会を開催した.内容は,ネットワークセキュリティ,マルウェア対策,暗号,生体認証,セキュリティ評価,プライバシーなど多岐に渡っている.

  • 第第69回 2015年 5月21日~22日(別府市,発表34件)
  • 第70回 2015年 7月 2日~ 3日(名古屋市,発表26件)
  • 第71回 2015年12月 4日   (横浜市,発表16件)
  • 第72回 2016年 3月 3日~ 4日(東京都千代田区,発表39件)

 第69回は,インターネットと運用技術研究会(IOT)との合同開催かつ電子情報通信学会情報通信マネジメント研究専門委員会(ICM)との連立開催(連催)であった.
 第70回は,我が国の情報セキュリティ関連研究会の交流を目的として,セキュリティ心理学とトラスト研究会(SPT)との合同開催,電子情報通信学会情報セキュリティ研究専門委員会(ISEC),技術と社会・倫理研究専門委員会(SITE),情報通信システムセキュリティ研究専門委員会(ICSS),マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント研究専門委員会(EMM)との連催で開催した.
 第71回は,日本セキュリティ・マネジメント学会ITリスク学研究会およびデジタル・フォレンジック研究会との合同開催であった.
 第72回は,マルチメディア通信と分散処理研究会(DPS)との合同開催であった.

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 第18回コンピュータセキュリティシンポジウム2015(CSS2015)
    マルウェア対策研究人材育成ワークショップ2015(MWS2015),プライバシーワークショップ(PWS2015)と併催の形で,2015年10月21日~23日に長崎ブリックホール,長崎新聞文化ホール(長崎市)で開催した.参加者数は548名,投稿数は184件であり,これまでのコンピュータセキュリティシンポジウムの中で最大の参加者数となった.
    昨年までのCSSならびにMWSの各論文賞に加え,セキュリティ心理学とトラスト分野のSPT論文賞ならびにプライバシー分野のPWS優秀論文賞を新設した.また,昨年までの2件の特別講演に加え,海外の著名な研究者を招いた特別国際講演を設けた.
    さらに匿名加工・再識別コンテスト(PWS Cup)の本戦を会期中に開催.予備戦(17チーム,81名の参加申し込み)を勝ち抜いた9チーム約20名が技術を競った.本コンテストが日経コンピュータ電子版ITProに紹介された(9/14).
  • 10th International Workshop on Security(IWSEC2015)
    今回で10回目の開催となる国際会議であり,電子情報通信学会情報セキュリティ研究専門委員会(ISEC)の協賛で,奈良市の東大寺総合文化センター金鐘ホールにおいて2015年8月26日~28日の日程で開催した.2件の基調講演と10件のSCIS/CSSの優秀論文からの招待講演に加え,58件の投稿論文から21件(採択率36%)の非常にレベルの高い論文を精選し,充実した内容の論文集が作成された(Springer LNCSシリーズで出版).招待及びレギュラーセッションに加えてポスターセッションが行われ,19件のポスター発表による意見交換が行われた.日本を含む6カ国から104名の参加者が集まり,国際色豊かな会議となった.

  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム
    2015年7月8日(水)~10日(金)にホテル安比グランド(岩手県八幡平市)で開催された.10の研究会が集い,幅広い分野をカバーしている.セキュリティと関連の深いセッションとしては,フォレンジック,クラウドセキュリティ,ネットワークセキュリティ,マルウェア対策,暗号,などが用意された.また,統一セッションではSPT研究会と共同で「災害対策と復興」が企画された.分野の垣根を超えた研究者の交流が本シンポジウムの魅力の一つである.

  • 論文誌「社会に浸透していくコンピュータセキュリティ技術」特集
    インターネットに代表されるICTは日々の生活に欠かすことのできないものとなってきており、様々な場面で今後より一層コンピュータセキュリティ技術が必要とされ欠かせないもととなっていくという認識の元で、社会に浸透していくコンピュータセキュリティ技術に関する研究論文を掲載することを目的として,2015年9月に発行した.62件の投稿から30件の論文を採録した(採録論文のうち英語論文は11件).一方で著者からの取り下げが6件あった.
    2016年9月発行の予定で次の特集号「社会の変革に挑戦するセキュリティ技術とプライバシー保護技術」を企画し,編集作業を進めている.

3.総括

 定例研究会の発表件数が減少したものの,国内会議であるCSS2015と国際会議であるIWSEC2015の参加者は増加し,高いアクティビティを維持することができたと考える.特にCSS2015においては,ワークショップ・コンテスト・特別講演など様々な企画を用意するとともに,多様な観点での論文賞を新設.コンピュータセキュリティ研究コミュニティの活動の活性化に寄与したと考える.
 来年度も本研究会の活動を更に活性化させるための施策を継続していく.また,本研究会の活動に留まらず,我が国のコンピュータセキュリティ分野全体の発展への貢献に努めていく.

4.その他

 2016年度は,定例研究発表会4回に加え,7月6日~8日に鳥羽シーサイドホテル(三重県鳥羽市)でマルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2016)シンポジウムを,9月12日~14日にソラシティカンファレンスセンター(神田駿河台)で第11回情報セキュリティ国際会議IWSEC2016を,10月11日~13日に秋田キャッスルホテル(秋田市)でコンピュータセキュリティシンポジウムCSS2016(マルウェア対策研究人材育成ワークショップ2016(MWS2016),プライバシーワークショップ(PWS2016))を開催予定である.今後共,会員及び関係者の方々には積極的な論文投稿と参加をお願いしたい.

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◆高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS)研究会

[主査:齋藤正史,幹事:川股幸博,木谷友哉,清原良三,深澤紀子]

1.定例の研究会活動報告

2.シンポジウム・国際会議等の報告

3.総括

4.その他

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◆ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会

[主査:大内一成,幹事:井上創造,大村 廉,中澤仁,藤波香織]

1.定例の研究会活動報告
 第46-49回の研究発表会を開催した.
  • 第46回研究発表会 2015年5月11日(月)~12日(火),名古屋大学(東山キャンパス)
    ※平成26年度UBI研究会優秀論文賞・学生奨励賞表彰式を開催
  • 第47回研究発表会 2015年7月27日(月)~28日(火),立命館大学(大阪いばらきキャンパス)
    ※共催:高齢社会デザイン(ASD)研究会
  • 第48回研究発表会 2015年11月29日(日)~30日(月),別府国際コンベンションセンター
    ※共催:ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会
  • 第49回研究発表会 2016年2月29日(月)~3月1日(火),東京理科大学(森戸記念館)
    ※共催:モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会
    ※連催:電子情報通信学会 モバイルネットワークとアプリケーション(MoNA)研究会
    ※連催:電子情報通信学会 知的環境とセンサネットワーク(ASN)研究会
    ※国際発表奨励賞受賞者による国際会議発表・参加報告を実施
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム
    2015年7月8日(水)~10日(金) 岩手県八幡平市安比高原・ホテル安比グランド
    ※共催:マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会,グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会,モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会,コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会,高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS)研究会,インターネットと運用技術(IOT)研究会,セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会,コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会,デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会

  • インタラクション2016
    2015年3月2日(水)~4日(金) 科学技術館
    ※共催:ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会,グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会,エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会,デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会
3.総括

 2015年度も4回の定例研究発表会を開催した.4回中3回の研究発表会を他研究会と合同で開催し,かつ1回を他学会と連催として,様々な視点からユビキタスコンピューティングシステムについて活発な議論を行った.議論のテーマは,行動認識やセンサネットワークに関するものから,コミュニケーション支援,ヘルスケア,ライフログなど非常に幅広く,本分野がより広い分野に適用され始めていることを示唆するものであった.また,国際発表奨励賞として,今年度も2名の学生に対してユビキタスコンピューティングシステム関連国際会議への参加をサポートした.また,ユビキタスコンピューティング/ウェアラブルコンピューティング分野でトップの国際会議であるUbiComp/ISWC 2015が9月7日~11日にグランフロント大阪で開催され,多くのUBI研究会関係者が運営に携わり,会議の成功に大きく貢献した.

4.その他

 ユビキタスコンピューティングの研究は黎明期を過ぎ,いよいよ産業実用化が問われる時期となってきたが,その本質である「コンピュータの存在を意識することなく,その恩恵を享受できる世の中」はまだ実現されていない.産業界との連携を積極的に図り,社会的意義の高い議論を研究会の中で行いたい.多くの会員の参加を期待する.

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◆インターネットと運用技術(IOT)研究会

[主査:山井成良,幹事:今泉貴史,大谷 誠,柏崎礼生,岸場清悟,坂下 秀,桝田秀夫,松本直人,宮下健輔]

1.定例の研究会活動報告

 以下に示すように第29~32回の研究発表会を開催した.

  • 第29回 5月21日(木)~22日(金)
    場所:別府国際コンベンションセンター
    発表件数:一般9件(全体:一般34件)
    ※コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会と共催
    ※電子情報通信学会情報通信マネジメント(ICM)研究会と連催
  • 第30回 7月3日(金)~4日(土)
    場所:岐阜市文化産業交流センター
    発表件数:一般12件
  • 第31回 9月25日(金)~26日(土)
    場所:宮崎市民プラザ
    発表件数:一般16件
    ※情報セキュリティ心理学とトラスト研究会(SPT)との合同研究会
  • 第32回 3月3日(木)~4日(金)
    場所:虹の松原ホテル
    発表件数:一般23件(全体:一般46件,招待講演1件)
    ※電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ(IA)および技術と社会・倫理(SITE)研究会と連催
 いずれの研究会においても,情報教育関連,インターネット運用技術,分散シ ステム運用技術,ネットワーク構築,セキュリティ,性能評価など,幅広いテーマで議論が行われた.第32回では1件の招待講演が行われ,好評であった.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 第8回インターネットと運用技術シンポジウム(IOTS2015)
    本シンポジウムは「モノのインターネット(IoT)時代の情報セキュリティとネットワーク運用」をメインテーマとし,11月26日(木)~27日(金)に千葉大学(千葉県千葉市)で開催した(後援:千葉大学,電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ(IA)研究会,ACM SIGUCCS Tokyo Chapter).講演数は招待講演2件,Work in Progress(査読無しの研究速報)11件および一般講演(査読あり)14件(計27件)であった.また,企業展示として29社(フライヤー展示1社を含む)からの協賛を頂き,非常に盛況であった.

  • 第14回情報科学技術フォーラム(FIT2015)
    本フォーラムは9月15日(火)~17日(木)に愛媛大学城北キャンパス(愛媛県松山市)で開催された.FIT2015ではIOT研究会関連セッション(6L,7L)において14件の発表(うち1件は査読付き)が行われた.また,「災害コミュニケーションとその課題」と題したパネルセッションを開催した.IOT研究会は一貫して査読付き論文の受け入れを行っており,FIT2015では4件の申込みに対して1件の査読付き論文が発表された.

  • The 3rd IEEE International Workshop on Architecture, Design, Deployment and Management of Networks & Applications (ADMNET2015)
    本ワークショップはIEEE Computer Societyが主催し本会が後援する国際会議COMPSAC 2015の一部として7月4日(土)~5日(日)に台中(台湾)で開催され,6件の発表と1件の招待講演が行われた.

  • マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2015)
    本シンポジウムは7月8日(水)~10日(金)にホテル安比グランド(岩手県八幡平市)で本研究会を含む10研究会の共催により開催された.本研究会に関連したテーマで4つのセッションが開催され一般講演16件,招待講演1件が行われた.

  • 第5回災害コミュニケーションシンポジウム
    本シンポジウムは, 12月26日(土)に東京電機大学(東京都足立区)において,セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会および情報システムと社会環境(IS)研究会,グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会と共催し,災害時の情報共有や課題などについて情報交換を行った.講演は6件であった.なお,このシンポジウムの開催にあたっては,情報処理学会情報環境領域委員会(IEプロジェクト)の補助を受けた.

  • 論文誌ジャーナルIOT特集号
    本特集号では編集委員の約半数を前年末のインターネットと運用技術シンポジウム(IOTS)プログラム委員経験者とすること等で例年IOTSとの連携を図っている.「クラウド時代のインターネットと運用技術」をテーマとした今回もIOTS2014の発表をベースとした論文5編を含む13編の投稿があり,10編(うちIOTS2014からのもの4編)を採録した(採択率77%).クラウドシステムや分散システムにおける構築・運用技術,さらにそれらに関連するセキュリティに関する研究等について論じられた優れた論文を掲載できた.
3.総括
 IOT研究会では従来から優れた計算機・ネットワーク運用技術に関する研究を高く評価し,それらを国際的に発表することを推奨している.2015年度には計算機やネットワーク運用上のベストプラクティスに関する研究発表に対して授賞する藤村記念ベストプラクティス賞を創設し,またIOT研究会元主査や幹事,運営委員が中心となって2014年度に設立したACM SIGUCCS東京支部も連携して活動するなど,このような研究活動をますます促進する体制を整えられた.2016年度にもこれらの方針を継続して活動したい.

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◆セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会

[主査:松浦幹太,幹事:角尾幸保,寺田真敏,村山優子,山口高康]

1.定例の研究会活動報告

 平成27年度は,以下の通り第13~17回の研究発表会を開催した.

  • 第13回研究発表会 
    平成27(2015)年5月14 日(木)~15日(金) 津田塾大学小平キャンパス (小平市) 発表19件
    グループウェアとネットワークサービス研究会(GN)と合同開催,電子情報通信学会ライフインテリジェンスとオフィス情報システム研究会(LOIS)と連催.
  • 第14回研究発表会 
    平成27(2015)年7月2日(木)~3日(金)  名古屋市中小企業振興会館 吹上ホール (名古屋市) 発表26件
    コンピュータセキュリティ研究会(CSEC)と合同開催,電子情報通信学会情報セキュリティ研究会(ISEC),技術と社会・倫理研究会(SITE),情報通信システムセキュリティ研究会(ICSS),マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント研究会(EMM)と連催.
  • 第15回研究発表会 
    平成27(2015)年9月25日(金)~26日(土)  宮崎市民プラザ (宮崎市) 発表16件
    インターネットと運用技術研究会(IOT)と合同開催.
  • 第16回研究発表会 
    平成27(2015)年11月20日 (金)  新潟大学 駅南キャンパス「ときめいと」 (新潟市)  発表15件(招待講演1件, ポスター発表4件を含む)
    電子化知的財産・社会基盤研究会(EIP)と合同開催.
  • 第17回研究発表会 
    平成28(2016)年3月3日(木)~4日(金)  京都大学学術情報メディアセンター(京都市) 発表30件(招待講演1件を含む)
    京都大学学術情報メディアセンターと共催,電子情報通信学会情報通信システムセキュリティ研究会(ICSS)と連催.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成27年度は,次のシンポジウムを共催,協賛した.

  • マルチメディア,分散,協調とモバイル (DICOMO2015)シンポジウム
    平成27(2015)年7月8日(水)~10日(金) 岩手県八幡平市 ホテル安比グランド
    発表279件(招待講演8件,特別講演1件,企業展示6件を含む)
  • コンピュータセキュリティシンポジウム 2015(CSS 2015)
    平成27(2015)年10月21日(水)~10月23日(金) 長崎ブリックホールおよび長崎新聞文化ホール・アストピア (長崎市) 
    発表187件,特別講演2件,特別国際講演1件
    コンピュータセキュリティ研究会(CSEC)と共催,マルウェア対策研究人材育成ワークショップ2015(MWS2015),プライバシーワークショップ2015(PWS2015)と合同開催.CSS2015SPT論文賞として1件を表彰した.
  • SOUPS2015論文読破会
    平成27(2015)年10月29日(木) SECOM本社 セコムホール(渋谷区) 発表17件(うち招待講演2件)
  • 第5回災害コミュニケーションシンポジウム
    平成27(2015)年12月26日(土)  東京電機大学(足立区)
    発表10件. インターネットと運用技術(IOT)研究会,情報システムと社会環境(IS)研究会,グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会と共催.
3.総括

 今年度は研究会として5年目にはいり,定着したシンポジウムにさらに共催先が増えるなど,着実な発展を示した.研究会は昨年度比で1回増え,5回開催した.
 米国で毎年開催されるSOUPS(Symposium On Usable Privacy and Security)2015の発表論文を, 1日で読破するための勉強会は,セキュリティやトラストとユーザビリティの分野の推進と,若い研究者や学生諸君に関連研究調査の練習も兼ねたイベントである.論文評価のプロセスに関するチュートリアルを兼ねた招待講演を企画するなど,さらに普及啓蒙の工夫を凝らした内容として開催した.

4.その他

 コンピュータセキュリティシンポジウムにおいて,新たに論文賞を創設し,CSS2015SPT論文賞として1件を表彰した.研究会およびシンポジウム開催回数が多いという本研究会の特徴を活かし,今後も会員に多くの機会を提供し,他研究会等との連携も深め,セキュリティ心理学とトラストの立場から技術の人間的な側面についての研究分野の普及に努めたい.

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◆コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会

[主査:寺島美昭,幹事:神崎映光,小林 透,高橋秀幸,望月理香,森信一郎]

1.定例の研究会活動報告

 第13-15回の研究発表会を開催した.

  • 第13回研究発表会 平成27年5月21日(木)~22日(金),神奈川工科大学横浜オフィス 発表11件(特別講演1件)
    ※共催:高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS)研究会
  • 第14回研究発表会 平成27年10月1日(木)~2日(金),NTT武蔵野研究開発センタ 発表16件(奨励講演1件)
    ※共催:モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会
    第3回学生スマートフォンアプリコンテスト,優秀論文賞,優秀発表賞,学生奨励賞の表彰式を実施
  • 第15回研究発表会 平成28年1月21日(木)~22日(金),天草市民センター 発表39件
    ※共催:グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会,デジタルコンテンツクリエーション(DCC)
 本年度は,計画に従い研究発表会を3回開催した.様々な企業からコンシューマ・デバイスとシステムに関する幅広い分野の発表があり,活発な議論が行われ盛況であった.また,第3回学生スマートフォンアプリコンテストを開催し,書類審査を経て17チームの学生がコンテストに参加した.コンテストは盛況であり,コンテストの内容の一部が,毎日新聞に掲載された(2015年11月23日).
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム7月8日(水)~10日(金),ホテル安比グランド
    ※共催:マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会,グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会,モバイルコンピュー ティングとユビキタス通信(MBL)研究会,コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会,高度交通システム(ITS)研究会,ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会,インターネットと運用技術(IOT)研究会,セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会,デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会
  • IEEE COMPSAC 2015: CDS 2015 (3rd IEEE International Workshop on Consumer Devices and Systems) held in conjunction with COMPSAC2015
    (The 39th Annual International Computers, Software & ApplicationsConference),平成27年7月1日~5日 Taichung,Taiwan
  • GCCE2015 (2015 IEEE 4th Global Conference on Consumer Electronics)
    CNW: Systems & Applications for Consumer Networks,平成27年10月27日~30日 大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)
  • 情報処理学会論文誌:コンシューマ・デバイス&システムの発行状況
    Vol.5(2015) 25編
3.総括
 平成27年度は,平成26年度と同様に,様々な企業からの発表および参加があり,実践的なコンシューマ向けデバイス,新サービスを実現したシステムに関する発表と活発な議論が行われた.また,平成27年度より学生奨励賞を新たに設立した.加えて,第3回学生スマートフォンアプリコンテストを開催し,これまで大学生のみの参加であったが,ジュニア会員の対象である中学生,高専生へと参加者の幅を広げることができた.内容の一部は新聞に掲載され社会からの注目を集めた.
 平成27 年度において,情報処理学会論文誌 コンシューマ・デバイス&システム(CDSトランザクション)は,25編の論文を採択し掲載済みである.
 平成28年度は,引き続き,研究会およびシンポジウム・国際会議等を積極的に開催し,さらに活動を広げていきたい.
4.その他
 平成28年度は,CDSトランザクションの新たな推薦方法の導入,学生スマートフォンアプリコンテストの開催を行い,企業および大学に加えて,学生会員・ジュニア会員をはじめとする若い世代の学生と学会をつなぐ架け橋としての役割を担うような取り組みにも注力したい.また,産学交流,技術者の相互情報交換の場を提供し,学会会員数,研究会登録会員数,学生会員数の増加につながるような取り組みを行い,本研究会の更なる活性化を目指す.

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◆デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会

[主査:塚本昌彦,幹事:阿倍博信,小川剛史,高橋光輝,水野慎士]

1.定例の研究会活動報告

 下記の研究会を開催した.

  • 第10回研究会
    2015年6月5日(金),日本大学法学部
  • 第11回研究会
    2015年11月9日(月),多摩美術大学
  • 第12回研究会(DN, CDS共催)
    2015年1月21日(木)~22(金),天草市民センター
2.シンポジウム・国際会議等の報告
 下記のシンポジウムおよび発表会を開催した.
  • ママルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2015)シンポジウム
    2015年7月8日(水)~10日(金),岩手県八幡平市 ホテル安比グランド
    ※主催
     マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会
     グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会
     モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会
     コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会
     高度交通システム(ITS)研究会
     ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会
     インターネットと運用技術(IOT)研究会
     セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会
     コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会
     デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会
  • DICOMO2015併設デジタルコンテンツ制作発表会
    2015年7月8日(水),岩手県八幡平市 ホテル安比グランド
  • インタラクション2016
    2016年3月2日(水)~4日(金),科学技術館
    ※主催
     ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(HCI)
     グループウェアとネットワークサービス研究会(GN)
     ユビキタスコンピューティングシステム研究会(UBI)
     エンタテインメントコンピューティング研究会(EC)
     デジタルコンテンツクリエーション研究会(DCC)
  • 情報処理学会論文誌:デジタルコンテンツ(DCON)の発行
     5号 (Vol.3, No.2, Aug. 2015)
     6号 (Vol.4, No.1, Feb. 2016)
3.総括
 DCC研究会ではデジタルコンテンツやその制作手法,関連技術,コンテンツビジネスなど,デジタルコンテンツに関する幅広い分野を包括しており,前年に引き続き研究発表会,シンポジウム,制作発表会などを通じて,様々な研究分野や業界の人たちとの交流を行った.

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◆高齢社会デザイン(ASD)研究会

[主査:竹林洋一,幹事:金澤博史,松浦 博,山田和範]

1.定例の研究会活動報告

2.シンポジウム・国際会議等の報告
3.総括

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メディア知能情報領域

◆自然言語処理(NL)研究会

[主査:乾健太郎,幹事:荒瀬由紀, 岡﨑直観,木村俊也, 小町 守,森 信介]

1.定例の研究会活動報告

 第221-225回の研究発表会を開催した.

  • 第221回(2015年5月)@東北大学
  • 第222回(2015年7月)@首都大学東京 秋葉原サテライトキャンパス
  • 第223回 (2015年9月)@広島経済大学 セミナーハウス成風館
  • 第224回 (2015年12月)@名古屋工業大学
  • 第225回 (2016年1月)@ミクシー
2.シンポジウム・国際会議等の報告
 2015年度は実施なし.
3.総括

 研究会の活性化を進めるための試みとして,(a)全発表の動画配信,(b)自然言語処理研究会優秀研究賞の設置,(c)若手研究者による招待講演の常設化を前年度に実施したが,今年度もこれらすべての施策を継続し,定着化をはかった.また,今年度は研究会のウェブサイトを全面改定し,恒常的な情報発信の改善にも努めた.さらに,こうした新施策に伴う運営業務の拡大に対応するため,幹事を2名,運営委員を7名増員し,運営体制を強化した.研究会はこれまでと同様,年5回開催し,70件の発表を集めた.長期に渡って減少が続いていた会員数も底を打ち,2年連続の増加となった.

4.その他

 2016年度は,情報発信体制の強化を継続するとともに,トップ国際会議に採択された発表等を積極的に招待するなど,さらにいくつかの新しい施策を実施し,研究コミュニティの発展に寄与する研究会運営をめざす.

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◆知能システム(ICS)研究会

[主査:栗原 聡,幹事:飯塚博幸,篠田孝祐,藤田桂英,松原茂樹]

1.定例の研究会活動報告
  • 第180回研究会
    開催日時 2015年7月15日(水),16日(木曜)
    開催場所 ホテルニュー種子島
    テーマ 暗黙知の活用と人工知能 および 知能システム一般
    情報技術をはじめとして知能システムは,社会において活用されることで社会の価値創造や問題解決の有効な手段となりうる.そして,運用してくなかで,要素技術の評価・更新,対象の拡大など現実社会との調和を模索することで,新しい社会のイノベーションへとつながる.そのようなシステムを構築するうえで暗黙知の活用は欠かせない.暗黙知の活用に有用な人工知能技術に関わるテーマの研究を募集した.4件の発表と,「さとうきびの育種における情報研究へ期待」と題した九沖農研の樽本祐助氏による招待講演も企画された.
  • 第181回研究会
    開催日時 2015年12月22日(火)
    開催場所 東京農工大学小金井キャンパス
    テーマ 持続可能な社会実現のための知能システム
    近年,社会における持続可能性(サステナビリティ)が注目されており,社会システムや環境問題,経済発展などに貢献する技術が必要とされています.人工知能の分野においても,人工知能技術と持続可能な社会実現をつなぐ研究が求められています.特に,スマートグリッドやスマートシティ,エコシステムなどの実現のために,知能システムに関する研究分野が築き上げてきた基礎原理,要素技術,システムが貢献できると考えられています.そこで,181回研究会では,持続可能な社会実現のための知能システム研究に焦点を当て,5件の発表と,浜田良樹氏(タイ王国タマサート大学シリントーン国際工学部技術経営専攻)による「人工知能と法律;技術者が考えなければならないこと」ならびに,名古屋工業大学の伊藤孝行氏による「エージェント技術に基づく大規模合意形成支援システムの創成」と題した招待講演が行われた.
  • 第182回研究会
    開催日時 2016年3月1日(火)-4日(金)
    開催場所 ルスツリゾート
    テーマ 社会システムと情報技術
    知能や社会・経済システムのモデル化・データマイニング・シミュレーション・ネットワーク分析,複雑系の解明と利用,環境・福祉・金融・デジタルコンテンツなどに関する社会システムの諸問題と情報技術など,人間生活や社会システムと情報技術に関連する基礎的研究から応用研究に関する分野横断的な発表を幅広く募集した.活発な議論を通して,現存の社会の仕組みに情報技術を適応させる方法ではなく,最新の情報技術をベースとした新しい社会のあり方について模索する場として研究会を開催した.全29件の発表が行われ,その内の10件がICSとしての発表であった.
  • 第183回研究会
    開催日時 2016年3月16日(水)
    開催場所 名古屋工業大学
    テーマ ロボットの知能と感性,及び,知能システム一般
    ロボットの情報処理能力の進展に向け,知能システム技術と感性処理技術の融合に関する研究が活発化している.そこで,本研究会では,このような現状を受けて,昨年度に引き続き「ロボットの知能と感性」をテーマに,研究発表会を開催した.ロボット,及び,エージェント,対話システム等の知能と感性,及びその融合に関わる幅広い分野からの研究発表,ならびに,知能システム一般に関する研究発表を募集し,20件という多くの発表が行われた.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2015年9月30日(水)-10月2日(金)に,山中温泉河鹿荘ロイヤルホテルにて,JAWS2015(合同エージェントワークショップ&シンポジウム)を開催した.JAWSは,複数学会研究会が協同で開催する学会横断的なイベントである.エージェント研究に関する国内の主要研究会が集結した場でエージェントの研究・開発者が一同に集まり,討論や情報交換を行うことを目的として,毎年100件近い発表と,150名程度の参加者によるアクティブな活動が継続されており,当研究会もそのコア研究会として参画した.JAWS2016は九州にて開催予定である.

3.総括

 昨今の人工知能ブームもあり,本研究会での発表件数も増加傾向にあるものの,近年の関連学会における類似する研究会の乱立により,単独開催において潤沢に論文発表件数を集めることが困難になりつつある.しかし,その反目多様性の観点からはこの乱立の流れを止めるべきではない.

 参加者の観点から,そして新しい研究テーマの芽を成長させるためにも,可能であれば他(同一学会や他学会)の類似・関連する複数の研究会と共催・連続開催することで,研究会への参加を容易なものとし,かつ成長を促す新しい研究会運営の流れを構築することが重要であると考える.

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◆コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会

[主査:杉本晃宏,幹事: 大石岳史,岡谷貴之,斎藤英雄,中澤篤志,延原章平,橋本学,槇原靖,横矢直和]

1.定例の研究会活動報告

 第197-201回の定例の研究会を下記のように開催した.毎回100名前後の聴講者があり,熱心な討論が行われた.各研究発表会では,以下のようなテーマを設定し,それぞれオーガナイズドセッションを企画した.

  • 2015年5月: 卒論・D論セッション,第一次産業(MVA2015と併催)
  • 2015年9月: ビッグデータ時代のメディア処理と機械学習,データ収集と活用(PRMU/IBISMLと連催)
  • 2015年11月: 実世界まるごと3D(GCADと共催)
  • 2016年1月: 安心・安全・健康のための人物センシングと解析(PRMU/MVE/SIG-MRと連催)
  • 2016年3月: 人体の総合理解のためのコンピュータビジョンと関連技術
 通常の研究発表に加えて,テーマに沿った講演者も積極的に招待し,年間を通して計13件の特別講演を企画し,好評を博した.また,昨年度から設けたポスター形式の発表が盛況で定着しつつあることを受けて,CVIM研究会奨励賞を新設し,1月および3月研究会において,参加者の投票に基づいて,各1名ずつを表彰した.
 5月研究会では,若手研究者の育成を目的に,前年度に学部を卒業した方を対象とした「卒論セッション」及び,前年度に博士の学位を取得した方を対象とした「D論セッション」を開催した.卒論セッションでは19件,D論セッションでは8件と多数の発表があった.なお,卒論セッションにおいては,最優秀賞1件ならびに優秀賞2件の表彰を行い,若手研究者の奨励を積極的に行った.また,同日同会場で開催されたMVA2015と連携し,MVA2015招待講演,D論セッション,及び,卒論・D論セッションのポスター発表とMVAポスター発表を相互に聴講できる機会を設け,世界標準を意識する場を提供した.
 1月研究会はCVIMの200回目の開催となったため,これを記念して200回記念特別講演2件および歴代主査によるパネルディスカッションを企画した.パネルディスカッションでは,これまでの研究会の歴史を振り返るとともに,今後の研究会の方向性について熱心な議論が行われた.また第101回~200回のCVIM研究会と,関連する日本のコンピュータビジョン分野の歴史を整理した第200回CVIM研究会記念資料集を編纂した.本資料集は,CVIM研究会ホームページ上で公開している.
 CVIM研究会では,互いの研究について議論し切磋琢磨すべく,コメント制度を設けている.この制度では,運営委員が事前に発表論文をチェックしてコメントをアップロードことで,より質の高い議論を提供し,発表者には有意義なフィードバックが得られるよう図っている.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 第18回画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2015)を,7月27-30日の4日間,大阪ホテル阪急エキスポパークにて主催し,624名の参加者を迎えた(共催:電子情報通信学会PRMU研究会).口頭発表の中からMIRU長尾賞1件,MIRU優秀賞1件,MIRU学生優秀賞1件,MIRUフロンティア賞1件を表彰した.また,インタラクティブ発表のなかからはインタラクティブ発表賞5件,デモセッション賞1件を表彰した.またMIRU CEB Technical Committee Memberの中から査読に際して顕著な貢献のあったOutstanding Reviewersを16名選出した.
 MIRUでは2013年より,査読付き発表に投稿されたものの中から優秀な研究は,著者の希望により,英文論文誌であるIPSJ Transactions on Computer Vision and Applications(CVA)に採択され,国際発信される仕組みになっている.今回の開催でも11件がCVAに掲載された.また難関国際会議で発表した研究者に招待講演の機会を与えて発表してもらうことで,講演者をエンカレッジするとともに,聴衆も世界標準を意識できる場を提供している.本年度はコンピュータビジョン分野だけでなく,NIPSやICMLといった機械学習の会議からも多数の発表者が招待された.さらに学会は議論する場であるという理念のもと,招待講演も含めたすべての講演者は,ポスター発表を行い,可能な限り議論できる場を提供している.

3.総 括

 研究会発表に対するコメント制度,卒論・D論セッション,ポスター発表,CVIM研究会奨励賞の新設,研究会推薦論文制度など,研究者育成の活動を重視してきた.また,2009年2 月より英文オンライン出版としている CVAには,今年度は22件が採録された.なお,CVAは現在Impact Factorを取得申請中であり,出版社もSpringerへと移行している.

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◆コンピュータと教育(CE)研究会

[主査:西田知博,幹事:兼宗 進,隅谷孝洋,中鉢直宏,高木正則,中野由章,渡辺博芳]

1.定例の研究会活動報告

 第130回~134回の研究発表会を,順に岩手県立大学,静岡大学,福井市地域交流プラザ AOSSA,東京農工大学,京都情報大学院大学で開催し,発表総数は112件,招待講演3件であった.前年よりも発表件数は大幅に増え,後述のシンポジウムも含め,安定した研究発表活動が行われていると言える.中でも,第132回はCLE研究会との共催,電子情報通信学会のET,SITE研究会との連催により39件の発表があり,質疑も活発で盛況な研究発表会となった.2014年度から設けている学生セッションは第131回では発表者がなかったが,第132回目からの発表件数は順に,3件,5件,5件,11件であり定着したと考える.前年度と同様に学生セッションで行われた発表のクオリティは高く,発表者の中から5件の学生奨励賞を選出した.また,論文作成のアドバイスを行う研究論文セッションには8件の発表があり,情報処理学会論文誌「教育とコンピュータ」と連携して論文投稿の活性化につながっている.このような試みは,研究発表会の活性化につながっているので,今後も継続していきたい.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成27年8月17日~19日に「情報教育シンポジウム SSS2015」を境港マリーナホテル(鳥取県境港市)で開催した.本シンポジウムは,情報教育,教育の情報化に関わる幅広い分野の教育者や研究者の参加を募り,初回のSSS99以来,熱気のこもった合宿型研究発表会となっている.80名の参加者があり,25件の口頭発表(反転発表2件を含む)とポスターセッション8件が行われ,夜遅くまでの議論が続いた.今回は企画セッションとして,竹内郁雄氏やまつもとゆきひろ氏をはじめとする4名を招き,招待講演とパネルセッションでプログラミング教育について議論した.このセッションは学会のニコニコ生放送の情報処理学会チャンネルを通した放送を行ない,1,777アクセスを記録するなど盛況なものとなった.なお,今回も教育学習支援情報システム(CLE)研究会との共催となっている.

3.総括

 当研究会は,情報の本質を理解し,教育の実践をしっかりと視野に捉えながら情報教育の可能性を探ることにより,情報教育に関連する学界と教育界へ寄与することを目的としている.近年の活動により,初等中等教育から高等教育にわたる情報教育に関係する様々な立場の方々の間に,教育という側面から情報の本質に関わる議論ができる場としての認知度が高まっている.また,学生セッションの定着により,若い世代の研究者が発表しやすい環境が整備でき,新しい技術の利用など,柔軟で幅広い視野の研究発表が増えてきており,今後一層,研究会活動の充実が期待される.一方で,研究会発表論文の質の向上を目指し,CLE研の協力の下,論文誌「教育とコンピュータ」を平成27年1月に創刊した.掲載論文も徐々に増加しており,研究論文セッションとの連携で,今後,掲載論文がさらに増えると期待される.このように研究発表会,論文誌の双方を通じて,質的・量的に充実した研究会活動を社会へアピールしていきたいと考えている

4.その他

 学生セッションが定着するなど若手研究者の参加を増やす試みは一定の成果を上げ,研究会活動に大きな刺激を与えている.また,第129回研究発表会での試行を受け,今年度は全国高等学校情報教育研究会の協賛を受け,すべての研究発表会で初等中等教育関係者の聴講を無料とした.無料聴講者は6名と少数ではあったが,初等中等教育に携わる先生方の研究発表会は今後の研究会活動の活性化に必須であるので,このような試みを継続していきたいと考える.

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◆人文科学とコンピュータ(CH)研究会

[主査:松村 敦,幹事:亀田尭宙,鹿内菜穂,土山 玄,山田太造]

1.定例の研究会活動報告

 第106-109回の研究発表会を開催した.

  • 第106回 2015年5月16日(土)@国立国会図書館 東京本館 発表13件
    学生セッション(ポスター発表)を開催した.学生による5件の発表の中から,運営委員の選考による奨励賞を1名に授与した.また,国立国会図書館(NDL)の協力により,企画セッション「CH×NDL=? —NDLがもっと活用されるようにするためにCHにできること・NDLにできること—」が実施され,NDLの活動やNDLのデータを利用した研究についての発表とパネルディスカッションが行われた.
  • 第107回 2015年8月9日(日)@奈良大学 発表9件
    チュートリアルセッションとして,樋口耕一氏を迎え,計量テキスト分析のフリーソフトである「KH Coder」の操作からその思想に至るまで解説いただいた.
  • 第108回 2015年10月24日(土)@立命館大学アート・リサーチセンター 発表5件
    企画セッション(モーションキャプチャ特集)「理工学・情報学からみたモーションキャプチャ活用のこれまでとこれから~人文科学との連携とその可能性を探る~」が実施され,5件の発表とパネルディスカッションが行われた.
  • 第109回 2016年1月30日(土)@国立情報学研究所 発表3件
    企画セッション「研究者の一日をみてみよう」が実施され,様々な立場のCH研究会の研究者総勢11名により,研究者の日常を垣間見るショート・プレゼンテーションが行われた..
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん2015)
 日程:12月19日?20日
 場所:同志社大学京田辺校地
 主催:情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会
 共催:同志社大学文化情報学会
 実行委員長:村上征勝(同志社大学)
 プログラム委員長:後藤真(国立歴史民俗博物館)

 人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん2015)は,2015年12月19~20日の日程で,同志社大学京田辺校地 夢告館にて開催した.また,12月18日には併催イベントとして,「歴史的典籍オープンデータワークショップ~古典をつかって何ができるか!じんもんそん2015~」をメルパルク京都6F会議室にて開催した.テーマは「じんもんこんの新たな役割 ~知の創成を目指す文理融合のこれから~」であり,参加者は145名,全体で26件の口頭発表と15件のポスター・デモ発表があった.発表の中から,最優秀論文賞1件,ベストポスター賞2件,学生奨励賞2件を選考し表彰した.また,NTアソシエイツ取締役の中津良平氏による招待講演,同志社大学の村上征勝教授による特別講演,パネルディスカッション「じんもんこんの新たな役割~知の創成を目指す文理融合のこれから~」を企画した.パネルディスカッションでは,4人の研究者をパネリストとして,文理融合のその次を見据えた,じんもんこんの役割について議論を深めた.

3.総括

 2015年度は,4回の定例研究会と1回のシンポジウムを開催した.第106回,第108回では,企画セッションを行い,各テーマに応じた公募および招待発表を行うとともに,パネルディスカッションを実施した.企画セッションでは当研究会とは交流のなかった研究者をお呼びして,異分野交流が行われた.一方,第107回のチュートリアルセッションは新しい試みであり,KH Coderの利用を活発に行っている研究分野から大勢の参加があり,こちらも新しい交流が生まれることとなった.
 第109回の企画セッションでは,普段あまり語られることのない研究者の日常を披露することで研究者同士の理解を深めることに成功した.シンポジウムでは,最優秀論文賞,ポスタープレゼンテーション賞,学生奨励賞を設け,優秀な研究発表に対する表彰を行い,研究者のモチベーション向上を果たした.いくつかの新しい試みを行ったことは評価できるが,年間の発表件数が減少した点に反省が残る.

4.その他

 今年度から主査・幹事の交代で,段取りがうまくいかなかった点など反省点がある.発表件数の減少は,予定の確定が遅かったことにも一因があると考えている.その一方で,若手ならではの勢いから,チュートリアルセッションなど,新しい試みも実施し,運営が身軽になったところもある.
 来年度は要所を抑えつつ,この勢いを活かした活動を展開していきたい.また,2019年にCH研究会が30周年を迎えるにあたって,30周年企画準備委員会を立ち上げ,幾つかのイベントおよび企画の検討を始めている.これらの企画を効率良く進めながら,CH研究会がより一層発展できる1年としたい.

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◆音楽情報科学(MUS)研究会

[主査:北原鉄朗,幹事:伊藤彰則,亀岡弘和,馬場哲明,平田圭二,吉井和佳]

1.定例の研究会活動報告

2.シンポジウム・国際会議等の報告

3.総括

4.その他

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◆音声言語情報処理(SLP)研究会

[主査:篠田浩一,幹事:篠原雄介,南條浩輝,李 晃伸]

1.定例の研究会活動報告

 第106回~第110回の研究発表会を開催した.

  • 第106回 (5月 東北大学 片平キャンパス): SIG-NLと共催.言語処理に関連した発表が多かった.学生セッションを企画し,「学生奨励賞」を選定・授与した.
  • 第107回 (7月 上諏訪温泉 かたくら諏訪湖ホテル):1泊2日の日程で,信学会SPと同時並列開催とした.「特徴量抽出器としてのDNN」というテーマセッションを行い,また国際会議動向のサーベイを行った.盛況であった.
  • 第108回 (10月 早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究開発センター):音声技術の実用化に重点をおいた「音声言語情報処理技術デベロッパーズフォーラム」を開催した.人工知能学会SLUDの第6回対話シンポジウムとの連催とした.Google社からの後援を受け,同社のMike Schuster氏による「Googleにおける機械学習のR&D」と題した招待講演を始め,企業関係者による講演・報告を中心に実施した.たいへん盛況であった.
  • 第109回 (12月 名古屋工業大学):信学会SPと連立開催の「音声言語シンポジウム」を,情処NL、信学会NLCの第2回自然言語処理シンポジウムと併催の形で開催した.音声処理技術の未来,音声処理技術の実用化,音声合成に関する3件の招待講演を行った.学生ポスター賞を新設し,授与した.
  • 第110回 (2月 越中つるぎ温泉・万葉のかくれ里つるぎ恋月):1泊2日の日程で行った.国際会議動向のサーベイを行ったほか,SNSを研究・教育にどう活用するかを議論するパネル・ディスカッションを行った.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成27年度は実施なし.

3.総括

 今年度も,昨年度に引き続き,2月を除く各研究会でインターネット中継を行うとともに,講演の音声アーカイブ化を試行した.より省力化が可能になってきている.10月の研究会における人工知能学会との連催など、他の研究会との共催を積極的に推進した.さらに,Googleからの協賛金を獲得するなど,企業との連携手段を模索した.今後も,対象分野を広げ,研究会をいっそう活性化していく方法を検討する必要がある.

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◆電子化知的財産・社会基盤(EIP)研究会

[主査:金子 格,幹事:板倉陽一郎,橋本 誠志,原田 要之助, 吉見 憲二]

1.定例の研究会活動報告

 第68-71回の研究発表会を開催した.

  • 第68回: 2015年5月28日(木)~29日(金)情報セキュリティ大学院大学(横浜市)
    発表件数14件(内招待講演1件)
    共催: 電子情報通信学会 技術と社会・倫理研究会(SITE)
  • 第69回: 2015年9月10日(木)~9月11日(金)倉敷市芸文館 2(岡山県)
    発表件数19件(内招待講演1件)
    マルチメディア通信と分散処理研究会(DPS)と合同
  • 第70回: 2015年11月20日(金)新潟大学 駅南キャンパス(新潟市)
    発表件数13件(内招待講演1件)
    セキュリティ心理学とトラスト研究会(SPT)と合同
  • 第71回: 2016年2月19日(金)佛教大学二条キャンパス(京都市)
    発表件数11件(内招待講演1件)
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 FIT2015にてイベント「シンギュラリティが社会に与える影響」を開催.人工知能の能力が人間を超えるとするシンギュラリティの時代の社会制度について議論を行った.このシンポジウムは各方面の関心を引き,情報処理学会誌「情報処理」2016年3月号で同シンポジウムの結果報告を行い,日経ITプロの3月号紹介記事にも採用された.このテーマについては今後も引き続き研究会で扱い,議論の内容を深めていくこととした. 

3.総括

 知的財産保護,社会基盤を中心に,昨今重要性を増しているプライバシー,マイナンバー,人工知能,情報セキュリティを含め研究発表,招待講演を行った.対外的にもこれらの専門家集団として社会に発信することができた.
 現在人工知能と知的財産の法的問題,実用化が進む次世代放送,国際標準関係, フィンテックなどへの関心が高まっているので,本年度はこれらのテーマにも取り組んでいく予定である.
Facebook利用サーバー更新により運営費の削減が実現した.

4.その他

 Facebook利用者が増えつつあり議論の活性化に役立てたい. 

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◆ゲーム情報学(GI)研究会

[主査:伊藤毅志,幹事:大久保誠也,篠田正人,保木邦仁,横山大作]

1.定例の研究会活動報告
  • 第34回研究会は2015年7月4日(土)に九州工業大学サテライト福岡天神において 開催された.地方開催としては,9件の発表を集めて盛 会であった.発表内容も 将棋4件,麻雀,大貧民などの不完全情報ゲーム2件,カーリング,アメフトなど その他のゲーム3件と多彩な発表が集 まった.
  • 第35回研究会は2016年3月8日(火)9日(水)の二日間に電気通信大学におい て開催された.発表件数は13件を集めた.発表の内容 も,ゲームAIを単に強く するという方向性の研究から学習支援,解説の自動生成,機械学習など,多岐に わたった.初の試みとして,9日の午後 にGAT(Game AI Tournament)という 様々なゲームのAIを競うトーナメントを併設した.こちらのイベントも多くの人 を集め,相互に影響する盛会となった
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 本研究会主催の第20回ゲームプログラミングワークショップ(GPW2015)を2015年11月6日(金)-8日(日)の3日間の日程で軽井沢学習研修所において開催した.国内外から,約90名の参加者,29件の一般発表(口頭発表16件,ポスター発表13件)が集まり盛況であった.このワークショップは1994年からほぼ毎年開催されているゲームプログラミング全般に関する我が国最大規模の学術研究集会である. 当該分野の研究者らが合宿形式で一同に会し,時間に拘束されずじっくり討論で きる貴重な機会となっている.例年,箱根セミナーハウスで行われてきたが, 火山活動の影響もあり,今回は,軽井沢での開催となった.
 このワークショップでは一般発表以外に毎回招待講演が企画されている.今回 は川中真耶氏にぷよぷよAIの現状を紹介していただいた.また,videogameにお けるAI研究について,Julian Togelius氏にご講演いただいた.有意義な講演会 であった.さらに,夜には,将棋,囲碁,カーリング,5五将棋,ターン制スト ラテジーなど様々な ゲームAIの大会も開催され,夜遅くまで,ゲームを通し て,時間の制限なく議論を深めることが出来た.

3.総括

 本研究会は発足後17年が経過し,関係者の発表の機会を与えるものとして十分に定着している.発表の内容を見ると,将棋や囲碁などの伝統的なゲームに加 え不完全情報ゲームである大貧民,麻雀などのゲームやカーリングやアメフトのような不確定ゲーム,更には,ビデオゲームや戦略シミュレーションなど, ゲームの種類は多岐に渡ってきている.また,単にアルゴリズム的に強くすると いう方向性だけでなく,ゲームの評価や面白 さ,対戦してためになる技術に関 する研究,人狼などに代表されるゲームとコミュニケーションの研究などへと広 がりも見せている.これらの研究 テーマは,これからの情報処理技術にとって重要な貢献を果たすものと考えられ,さらなる発展が期待される.

4.その他

 平成26年度から,若手の研究者のモティベーションの向上のために,若手奨励賞を新設した.徐々に浸透しており,学生参加者が増えてきている印象があ る.ゲームAIの大会も積極的に併設していることも影響があるのかも知れないが,着実に研究会の会員数も増加している.平成28年度は,8月にエンタテイン メントコンピューティング研究会と共催も企画しており,関連研究会とも相互に リンクして,さらに発展させていきた い.GPW,3月の研究会も予定通り開催の 予定である.

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◆エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会

[主査:倉本 到,幹事:杉本麻樹,鳴海拓志,馬場哲晃]

1.定例の研究会活動報告

 第36-39回の研究発表会を開催した.

  • 第36回: 2015年6月8日,9日,於 出雲科学館(発表 16件) 
    電子情報通信学会 マルチメディア・仮想環境基礎(MVE)研究会との連催で実施された.本研究会では試みとしてポスターセッションを設け,新しい発表形態の研究会との親和性を検討した.会場が科学館ということもあり,一般の方々へ公開することを目指したが,一般参加者は少数であり,今後の活性化方法を検討する必要があることがわかった.
  • 第37回: 2015年 8月22日,23日,於 金沢市・中安旅館(発表 6件)
    研究分野を概観するワークショップ的な意味を持ち,本研究会ではメタ研究会と位置づけている第37回研究会は,本研究会の数年間の経緯を振り返りつつ,本研究会が扱う研究領域とは何か,研究領域の国内外での動向,またその未来ビジョンを議論した.また,他の関連研究分野の紹介や,研究の事例紹介もあり,有意義な議論を行うことができた.
  • 第38回: 2015年12月11日,於 東京都・ヤフー株式会社 (発表 8件)
    本研究会は,ヤフー株式会社のご協力により,本社のある東京ミッドタウンでの開催となった.また,「応用研究は実サービス化可能か」と題して,同社で研究の実用化に携わっっている坂本竜基氏による基調講演がおこなわれた.本研究会では,エンタテインメントに利用可能な新しいインタフェースの提案や,ゲームの学習応用等に関する発表と議論がなされた.
  • 第39回: 2016年3月16日~17日,於 京都大学(発表 28件)
    本研究会では,「引っかかりとエンタテインメント」と題し,不便益研究とエンタテインメントの関係性について積極的な議論が行われた.また,基調講演は,テレビタレントでもある越前屋俵太氏により「面白いの創り方」と題して行われ,テレビ番組構成という観点から見たエンタテインメント性に関する貴重な話を聞くことができた.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
2.1 エンタテインメントコンピューティング 2015(主催)
2015年 9月25日~27日,於 札幌市教育文化会館・北海道大学
(口頭発表 99件(内ショート発表66件),デモ 97件(全件一般公開,内オーガナイズドデモ4件),オーガナイズドセッション2セッション)
本年は「ECどうでしょう」をテーマとして,幅広くエンタテインメントシステムに関係する発表を募集した.本シンポジウムでも昨年同様に参加者みんなを巻き込んだ遊び「Organized Game」を開催し,参加者は実際に実世界ゲームを楽しみながらエンタテインメントシステムの設計に対する理解を深めることができた.招待講演ではカーリングの日本代表 船山弓枝氏,カーリング協会強化委員長 柳等氏を招き,オリンピック選手やスポーツを支える計算機技術の進展について深い議論を行うことができた.また,デモ発表においては全件デモを一般公開する,高校生以下の参加者は参加費を無料にするなど,社会に開かれた学会運営に挑戦した.

2.2 インタラクション2016(共催)
2014年 3月 2日~ 3月4日,於 科学技術館
(発表18件,デモ214件)
インタラクション技術はECと密接な関係にある研究分野であり,本年度も共催という形式で協力し,EC主査の倉本が大会委員長として運営を実施した.本シンポジウムにおいても,最終日の一般公開の日程が確保されるなど,積極的な情報発信を目指したシンポジウム運営を行った.さらに,口頭発表をインターネット放送にて生中継することにより,積極的に社会へ発信する取り組みを行った.
3.総括

 ECは情報科学の多くの分野と関係が深い研究領域である.そこで,関連する諸研究会との連携を深めることで幅広くECとそれに関する研究発表の場を提供することを目指す一方で,メタ研究会に代表されるEC研究そのものの深化を図ることを,初年度来継続して実践してきている.
 本年度は特に,活動の活性化に向けて(1)シンポジウムへの積極的貢献= EC2015の主催・インタラクション2016への共催,(2)情報発信の活性化(ニューズレターの発行,およびtwitterやYouTubeを用いた情報発信)が実施・検討されてきた.また,国際的な活動の拡大として(3)ICEC2015での招待講演による日本のエンタテインメントコンピューティング研究の紹介を行った.さらには(4)EC2015・インタラクション2016における一般公開デモの拡充,学生会員参加者の参加費無料化(後者のみ)などの施策により,学会外でのプレゼンスを向上させる施策をおこない,学会員,登録会員を増加させることを狙った活動を実施しているこれにより,定期研究会の発表件数の安定的な確保や登録会員の増加を目論み,一定の成果を出すことができたと考えている.

4.その他
4.1 今後の計画
来年度もこれまで同様に研究会4回(うち1回はメタ研究会)の開催を計画している.加えて,エンタテインメントコンピューティング2016シンポジウム(EC2016)の主催団体として,本学会と協力して運営することを計画している.また,昨年度同様にインタラクション2017を共催する.
EC2016については,今年度国内開催される国際会議ACE(Advances in Computer Entertainment Technology)と同一箇所開催することを計画している.これにより,EC分野のさらなる国際交流の活性化を見込んでいる.

4.2 主査抱負
昨本年はACEを大阪で開催し,それに合わせてECシンポジウムを開催する予定があり,これを成功させることが大切だと考えている.研究会では,通常の研究会に加えて,メタ研究会も活性化したい.エンタテインメントコンテンツだけでなく,日常生活を含めた,楽しく潤いのある体験の科学技術としてのEC研究会の位置づけを確立したいと考えている.
論文誌に動画などのマルチメディアデータが添付できるようになったことに合わせ,EC研究会の研究会資料に動画を含めるなど,EC研究に必要な体験を伝える機能の拡充を図りたい.産業界との連携では,ゲーム産業がバーチャルリアリティに注目していることから,CEDECに関連セッションを提供するなどして交流を深めていきたい.

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◆バイオ情報学(BIO)研究会

[主査:関嶋政和,幹事:倉田博之,五斗 進,竹中要一]

1.定例の研究会活動報告

2.シンポジウム・国際会議等の報告

3.総括

4.その他

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◆教育学習支援情報システム(CLE)研究会

[主査:梶田将司,幹事:林 雄介,椋木雅之,安武公一,山川 修]

1.定例の研究会活動報告

 2015年度は,第16~18回の研究発表会を開催した.

  • 第16回は5月22・23日に熊本大学熊本学習センターで開催し,募集テーマ「アクティブラーニング」等に関する15件の発表があった.
  • 第17回は,12月4?6日の3日間にわたりJR福井駅前AOSSAにおいて「コンピュータと教育」研究会(CE)との共催,電子情報通信学会「技術と社会・倫理」研究会(SITE)・「教育工学研究会(ET)」との連催により開催し,募集テーマ「教育改善を目指したマルチレベルな学習分析」に関連する発表を含め,39件の発表があった.
  • 第18回は,2月6日日本女子大学目白キャンパスで開催し,募集テーマ「社会人基礎力育成のための教育データ活用」に関連する発表を含め,7件の発表があった.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 8月17~19日に境港マリーナホテル(島根県境港市)で,情報教育シンポジウム(Summer Symposium in Shizukuishi 2015(SSS2015))を「コンピュータと教育」研究会と共同で開催した.本シンポジウムでは,例年通り,初等中等教育から大学における情報教育,各種教育学習支援情報システムに関連する様々な研究や実践報告が行われた.本研究会との共同開催も6年目になり,本研究会関係者の参加・発表も定着しつつある.

 また,9月15日には,愛媛大学で開催された FIT2015 第14回情報科学技術フォーラムにおいてイベント企画「スマートデバイスやクラウドを用いた教育・学習インフラとその活用技術」を電子情報通信学会「教育工学」研究会とともに開催した.本企画では,スマートデバイスやクラウドコンピューティングを活用した教育・学習環境の可能性と技術的な課題を最先端の応用事例を基調講演として前主査の竹村教授(大阪大学サイバーメディアセンター)に発表頂くとともに,パネル討論を通じて国内の最新動向を発信した.

3.総括

 本研究会では,教育学習活動を支援する情報システムに関する研究開発及び実践報告に関する発表が行われれており,ラーニングアナリティクス,教育ビッグデータ等,国際的に関心が高まっている潮流に関する発表も増えてきている.今後は,ハッカソンのようなより深みのある人的交流も国内・国際連携の枠組みの中で試みながら,国内の研究活動と国際的な取り組みを結びつけられるような研究会となるよう,意識的に取り組みたいと考えている.

4.その他

 2015年度は,5月20・21日に信州大学長野キャンパス(電子情報通信学会「教育工学研究会(ET)」との連催),11月に徳島大学(20回記念研究会),3月に京都大学での開催を予定している.また,8月22~24日に(北海道函館市)で情報教育シンポジウム(SSS2015,「コンピュータと教育」研究会との共催)を予定している.

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◇ネットワーク生態学(NE)研究グループ

[主査:林 幸雄,幹事:鳥海不二夫,田中 敦,友知政樹]

1.定例の研究会活動報告
会合名:第12回ネットワーク生態学シンポジウム合宿
日時:2015年8月3-4日
場所:静岡県 山喜旅館
http://www.neteco.jp/symposium/201508/index.html

 参加者は,招待講演者2名,一般22名と学生23名の計47名(一般と学生を合わせた新規参加者は25名)で,57,643円の黒字となった.参加者数は,FITと同時期で影響が出た前年と同程度にはなったが,学生の就職活動や期末試験等と日程が重なる事が後から判明して,その影響が少なからずあったと考えられる.

 下記の特別セッションに加えて,ポスター発表26件が行われた.

 チュートリアル講演
 講演者  村田剛志 氏(東京工業大学 大学院情報理工学研究科)
 題目    「Multilayerネットワークとコミュニティ抽出」
 講演者  佐藤彰洋 氏(京都大学 大学院情報学研究科)
 題目     「社会経済システムに対するデータ中心科学:空間リスク,経済,エネルギーをめぐって」
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 上記の報告通り.

3.総括

 発表件数は前々回及び前回と同様に維持しながら,新規参加者数も半数近くで新陳代謝も良い.財政的にも特に問題はなく,引き続き合宿形式の会合を開催していく.
 次回は,2016年8月22-23日に第13回ネットワーク生態学シンポジウムを千葉県木更津市にて開催予定である.ポスター投稿から厳選したオーラル発表と国際会議速報を新たに加えてより会合内容を充実させる.
http://www.neteco.jp/symposium/2016/index.html

4.その他

 2017年6月号刊行予定の論文誌特集号を企画中. 

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◇会員の力を社会につなげる(SSR)研究グループ

[主査:筧 捷彦,幹事:寺田真敏,中山泰一]

1.定例の研究会活動報告
 2011年12月27日に公開された『情報処理学会教育ビジョン 2011』に記載されている,「教育に携わる諸部門とのさまざまな形での協働の推進に努めます」を実践する場として,2012年度より研究会グループとして活動を開始した.
 2015年度は,次の3つの会合を主催した.
  • 会合名:第4回 東大での『一般情報教育』を体験しよう
    日時:2015年08月03日(月)~05日(水)
    場所:東京大学駒場キャンパス情報教育棟
  • 会合名:第4回 情報科教員を目指す学生さんに向けてのガイダンス会
    日時:2015年10月04日(日)
    場所:筑波大学東京キャンパス文京校舎
  • 会合名:SSR討論会「高校から大学までの一貫した情報教育を考える」
    日時:2015年10月17日(土)
    場所:早稲田大学西早稲田キャンパス
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2015年5月23日(土),大阪工業大学うめきたナレッジセンターにおいて開催された,高校教科「情報」シンポジウム2015春,10月31日(土),早稲田大学西早稲田キャンパスにおいて開催された,高校教科「情報」シンポジウム2015秋に,共催組織として参画した.

3.総括

 情報科教員を目指す学生さんに向けてのガイダンス会は,高校の先生と大学の先生のコミュニティを活用して,複数大学間にまたがって,情報科の先生になりたい学生さんを応援しようという思いを形にしたものである.多くの方に参加して頂くため,2014年から開催日を固定(10月の第1日曜日)し,2015年はインターネットを利用したガイダンス会への参加を試みた.2016年は10月2日(日)を予定している.
 「教育に携わる諸部門とのさまざまな形での協働の推進に努めます」という活動は「継続は力なり」によって,少しずつではあるが,形となって動き始めつつある.今後も,課題をひとつずつ解決していくことで,「教育に携わる諸部門とのさまざまな形での協働の推進に努めます」を継続して実践していく予定である.

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◇アクセシビリティ(AAC)研究グループ

[主査:平賀瑠美,幹事:大島千佳,佐藤大輔,澤田秀之,坊農真弓]

1.定例の研究会活動報告
 2016年8月22日,2017年2月13日にそれぞれ第1回,第2回“シンポジウム”として研究会を開催した.それぞれの回の参加者は80/77,ライブ動画視聴者数は第1回午前659/午後363,第2回午前608/午後500で,いずれの回も想像以上の盛況となった.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2015年度は実施なし.

3.総括

 アクセシビリティ分野の研究会として,国内にも既に複数の学会・研究会がある状況で始まった研究グループであるため,アクセシビリティ関連の研究者が集まり研究発表を行うことに加え,特色を以下とし,実現してきた.
-    当事者参加を促進する
-    研究会を研究の実験の場とする

 第1回シンポジウムに先立ち,様々な種類の障害の当事者の執筆から構成される特集を情報処理学会誌に掲載し,シンポジウムの講演は執筆者に依頼した.発表予稿集がない状況で,シンポジウムの講演で用いる発表資料の配布,学会誌,講演により,内容を深く知ってもらいたいと考えたためである.
 第2回シンポジウムの音楽セッションについても小特集を掲載した.

4.その他

 2015年度は研究グループとして活動したため,学会準拠の研究報告集を作れないことにより,発表公募は行わなかった.研究グループ初年度として,金銭的にも困窮していたため,多忙な招待講演者には全員無料での講演をご快諾いただき,感謝の念に堪えない.

 本研究グループは様々な障害をもつ当事者になるべく多く参加していただくことを望み,開催においては,通常の研究発表会の準備以外に,情報保障,ガイドヘルプ,座席配置や移動の少ない懇親会の配慮,といったことが必要となる.
 2回のシンポジウムでの情報保障として,ライブ字幕表示,手話通訳,磁気ループの使用を行った.いずれも,聴覚障害の当事者からの希望が出たものである.ライブ字幕は情報処理学会からいただいた補助により実現できた.手話通訳は筑波技術大学,総合研究大学院大学からの提供,磁気ループは筑波技術大学からの提供である.2016年度より障害者差別解消法が施行となり,合理的配慮が研究会の場でも望まれる.2015年度は障害者からの希望を実現できたのであるが,補助や提供が続くことが約束されていない状況で,アクセシビリティ研究会の自助努力で情報保障をはじめとする障害者支援を続けることには大きな不安がある.障害者差別解消法は遍く浸透しているとはまだまだ言えない状況であるが,AACのみならず情報処理学会はその意味を理解し,先んじた対応をし,情報処理技術によりアクセシビリティに貢献する研究を推進していると広く認めてもらえるように活動を続けていく.

 本研究グループでは,アクセシビリティ研究を広め,実用に耐える技術を目指すために,研究会に集まる障害者・健常者全員での実験を行いたいと考えている.第2回シンポジウムでは,スクール形式の会場を,聴覚障害者,弱視者がいる状況で参加者全員でディスカッションできるように机と椅子を移動し,お互いに面識がない者同士,障害のことを詳しく知らない者同士が“障害者の就労”というテーマに沿ってディスカッションを行った.このような試みを通して,障害者が研究会に参加して聴講している,という状況から,少しでも障害者の発言機会を研究会で増やしていければと考える.全員が参加してアクセシビリティに関して考える機会を繰り返すことにより,様々な状況下で多種多様な障害に対する情報処理技術の活用やアクセシビリティ研究が今後一層活性化されることを期待する.
情報保障についても,音声認識による字幕表示への期待が高まってはいるが,実際に研究発表での使用の妥当性も研究会を通じて情報共有していく予定である.
http://ipsj-aac.org

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◇情報処理に関する法的問題(LIP)研究グループ

[主査:高岡詠子,幹事:市毛由美子,中山泰一,登 大遊]

1.定例の研究会活動報告
 情報処理Vol.55 No.3の特集「弁護士から見た情報処理」特集のモニタ評価が好評であったことを受け企画した,第77回情報処理学会イベント企画「弁護士から見たICTの落とし穴」で,パネリストと会場からの意見を総合すると,情報処理に関して法整備が追い付いていない状況において,弁護士側からも情報処理学会側からも早急な対応が必要と認識するに至った.この背景を受け,あらたに「情報処理に関する新たなルール作り」に関する研究グループを2015年9月に立ち上げた.
 2015年度は,今後グループの活動として,新たなソフトウェア契約のモデル案を提案しようという方向で次の2つの勉強会を設けた.
  • 第1回
    日時:2015年09月14日(月)18:00~20:30
    場所:のぞみ総合法律事務所
  • 第2回
    日時:2015年12月9日(水)18:00~20:30
    場所:のぞみ総合法律事務所
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2015年度は実施なし.

3.総括

 2回の勉強会を通してわかってきたことは,これまでのソフトウェア契約のモデルはウォーターフォール開発を想定したものであり,アジャイル方式のモデルはそれらを踏襲しているため,実際のベンダやユーザ側からの意見を踏まえると,現状のアジャイル開発契約に役立つとは考えにくい.また,調査の結果,アジャイル開発の現状は,比較的小規模でお互いの信頼関係の上で成り立っており,その中で大きな紛争までに至っているケースが少ないが,どちらかが泣き寝入りしているパターンが多く,今後紛争になると考えられる.あるいは,ベンダーの能力不足によるトラブルはあり得ることがわかってきた.また,アジャイル開発の定義自体のズレが,弁護士側,開発者側にあることから,ベンダーやユーザによっても定義は一様でないことも問題となることがわかってきた.また,アジャイル開発はもともと海外で提案された手法である.今後の方針としては,日本におけるアジャイルソフトウェア開発に対応する契約モデルを作ることを目指すべきである.
 2016年度はこれらのことを踏まえ,「どんなプロジェクトタイプにはどういう契約タイプがマッチするか」ということからモデル案を作成したいと思っている.

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