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ホーム学会案内各賞の紹介Best Author賞>平成11年度〜13年度
最終更新日:2003.11.28

平成13年度Best Author賞の表彰

 

本会では平成3年度から「Best Author賞」を設け,会誌「情報処理」に掲載された記事の中から,特に多数の会員の研修ならびに学術・技術の啓蒙,普及に貢献したものを選び,その著者を表彰することにしております.

 本賞の選考は,表彰規程およびBest Author賞候補者選定手続に基づき,選定委員会(委員長 石田晴久)が,会誌「情報処理」第42巻第1号〜第12号に掲載された対象記事230編につき慎重に審議を行いました.その結果,下記の6編が受賞候補記事として選定され,第473回理事会(平成14年3月)の承認を得て決定されました.なお,本会表彰規程により,第44回通常総会(平成14年5月)において著者に表彰状および賞金が授与されました.



○解説「次世代インターネットを利用した高等教育環境の構築実験 GIOSプロジェクト」(Vol.42, No.1)

[推薦理由]
 本解説は,WIDEプロジェクトにおいて,最先端のインターネット技術を集約化して設計構築された,インターネット上の仮想大学環境であるSOI(School of Internet)のシステム概要の解説を行っている. IPバージョン6技術,マルチキャスト技術,高品質DV転送技術,認証技術,などの技術を用いて統合的なテストベッドを用いて,日米の大学,家庭を相互接続し,リアルタイムおよびアーカイブによる遠隔教育環境の実証的検証を行った. 本解説の研究成果は,インターネットを用いた新しい遠隔教育のあり方や実現方法,あるいは,今後の技術課題などを,明らかにしており,インターネットを用いた教育システムの構成のみならず,これを支えるための新しい基盤技術も明らかにしており,多くの知見を読者に提示している.

大川恵子 大川 恵子君(正会員)
 株式会社スクールオブインターネット研究所 代表取締役.慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教授(非常勤).1985年慶應義塾大学大学院工学研究科修士課程修了後,日本サン・マイクロシステムズ勤務,国連大学高等研究所研究員を経て,1997年よりWIDEプロジェクトでSOIワーキンググループの責任者として,インターネット上の高等教育に関する研究に従事.2000年スクールオンインターネット研究所設立.2001年博士号取得(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科).
泉山英孝 泉山 英孝君
 1988年3月筑波大学第3学群情報学類卒業.1991年10月株式会社サテライトジャパン(現JSAT株式会社)入社.以後,衛星インターネット関連の研究・開発に従事.IETFのUDLR(Uni Directional Link Routing)working groupで衛星インターネット技術に関する標準化活動中.
加藤朗

加藤  朗君(正会員)
  東京大学情報基盤センター助手.1961年生.1986年東京工業大学大学院理工学研究科情報工学専攻修士課程修了,1990年同博士後期課程単位取得退学,1990年慶應義塾大学環境情報学部助手,1994年東京大学大型計算機センター助手,1999年改組により現職.1985 年からJUNET,1988 年からWIDE Projectにおいて,ネットワークの運用や関連する研究開発に従事.

村井純 村井  純君(正会員)
  慶應義塾大学環境情報学部教授.1955年生.1984 年慶應義塾大学工学部数理工学博士課程修了.1987年博士号取得.1984年東京工業大学総合情報処理センター助手,1987年東京大学大型計算機センター助手.1990年慶應義塾大学環境情報学部助教授を経て1997年より現職.1999年慶應義塾大学SFC研究所所長1984年JUNETを設立.1988年WIDEプロジェクトを設立し,今日までその代表として指導にあたる.


○コラム「本当のインターネットをめざして」(Vol.42, No.4)
 インターネット常時接続

[推薦理由]
 「本当のインターネットを目指して」は,著者の深い洞察力と,巧みな語り口で,インターネットの現状を喝破し,読者に深い感銘を与えました.毎号,現在のインターネットが内包し,かつ一般読者が興味を持ちそうな話題を提供し,分かりやすく解説してあります.単なる解説と異なり,皮相的に信じられている事を歯に衣を着せない語り口で,事実分析してみせ,蒙を啓く役割を演じたことは会誌の面目,躍如とするところです.特に4月号の「インターネット常時接続」は,インターネットの専門家の問題ではなく,むしろ一般読者に直接関係のある内容であり,その強い関心を引きました.本質的な問題に対する鋭い切り込みと,簡明な解説は賞賛に値し,ここにBest Author賞候補として推薦します.

太田昌孝 太田 昌孝君(正会員)
 1959年生.1987年東京工業大学総合情報処理センター助手,2000年同大情報理工学研究科講師.理学博士.コンピュータグラフィクス,UNIX,計算の高速化,文字コード,DNS,マルチキャスト,QoS保証,超高速ルーティングなどの研究に従事.


○特集「コンピュータが描く科学の世界−進化するシミュレーション技術−」(Vol.42, No.6)
 計算科学−未知への挑戦−

[推薦理由]
  本解説は,固体,液体,気体の相が混在する環境を1つの手法でシミュレーションできる CIP 法を,身近な例を使って紹介している.簡単な原理,応用,可能性が軽快に述べられている.さらに CIP 法の考案者である著者の研究経過や苦労話も盛り込まれ,計算機科学分野の幅広い読者の興味を引くものとなっており, Best Author賞に値するものである.

矢部孝 矢部  孝君
 昭和48年東京工業大学工学部卒業後,同助手,大阪大学レーザー核融合研究センター講師,助教授,群馬大学教授を経て,平成7年より東京工業大学教授.レーザー学会研究進歩賞,日本機械学会計算力学部門業績賞等各受賞.1999年には英国王立研究所200周年記念招待講演.現在,J.Comput.Phys. Associate Editor,日本機械学会計算力学部門長,プラズマ・核融合学会理事等.


○情報処理最前線「次世代携帯電話のベースバンド・アーキテクチャ」(Vol.42, No.8)

[推薦理由]
 「次世代携帯電話のベースバンド・アーキテクチャ」は,2001年に世界に先駆けて国内サービス開始となったW-CDMA携帯電話に向けて,筆者らが開発を進めた端末用ベースバンド・モデムLSIのアーキテクチャ技術を紹介したものである.本稿の技術主題は,「マルチエンジン・アーキテクチャ」と称する,専用HW+小型プロセッサを複数ペア用いた並列処理活用のSOC(System on Chip)設計方法論にある.この形態は,特に要求性能の達成に多くの専用HW設計もが不可欠とされるSOC領域で有効性を発揮すると考えられている.筆者らが性能要件の達成とともに,HWとSW間の入り組みあう設計トレードオフ問題をも解決する方策として,マルチエンジン・アーキテクチャの開発・採用に至り,技術確立を図った知見紹介は秀逸である.本稿は,世界各所でのSOCのアーキテクチャとシステム設計技術のプラットフォーム化を図ろうとする潮流の中で,多くの読者/技術者にインパクトある技術成果であり,ここにBestAuthor賞候補として推薦します.

鈴木芽衣 鈴木 芽衣君
 1997年早稲田大学大学院理工学研究科卒業.同年(株)日立製作所に入社.中央研究所通信システム研究部にて,W-CDMAをはじめとする移動体通信システムの研究開発に従事.


○解説「サーチエンジンGoogle」(Vol.42, No.8)

[推薦理由]
 インターネットの発展にともない,検索エンジンは欠かせないツールとなっている.最近特によく使われているインターネット上のデータ検索エンジン Google について,ハード,ソフトの技術面にとどまらず,開発経緯,ビジネスモデルにわたって解説している.著名なサービスの内幕を分かりやすく紹介しており,たいへん多くの読者の興味を引く話題を取り上げた記事で, Best Author 賞に値する.

山名早人 山名 早人君(正会員)
 昭和39年生.昭和62年早稲田大学理工学部電子通信卒業.平成元年修士課程修了.平成5年博士後期課程修了.博士(工学).平成元〜5年早稲田大学情報科学研究教育センター助手.平成5〜12年通産省工業技術院電子技術総合研究所.平成8〜9年通産省機械情報産業局電子機器課課付.平成12年早稲田大学理工学部助教授,現在に至る.平成5年研究奨励賞,平成7年山下記念研究賞各受賞.並列化コンパイラ・アーキテクチャ,広域分散処理,情報検索等の研究に従事.
近藤秀和 近藤 秀和君(正会員)
 昭和52年生.平成14年早稲田大学大学院理工学研究科情報修士課程修了.大学時代はインターネットにおけるウェブサイト視聴傾向の動的収集・解析法,およびWebの効果的な閲覧法の研究に従事(Lunascape).現在,ソニー(株)ネットワークアプリケーション&コンテンツサービスセクター・BNCにてブロードバンドについての研究開発を行う.


○特集「家庭の情報化」(Vol.42, No.11)
 ユーザからみた「情報」家電

[推薦理由]
 家庭の情報化が取りざたされるようになったのはかなり前からである.しかし,その実現はいっこうに進んでいないように見える.家電機器メーカ,情報機器メーカ,通信事業者等々,そうそうたる技術者集団が,およそ考えられる,ありとあらゆる技術成果を盛り込んだ商品,サービス,規格を提案してきた.しかし,そこには最終ユーザである家庭の個人という視点が足りなかったのであろう.
 こういう状況に対して,本編では情報動線という考えを用い,情報の流れを整理することで情報家電のあり方を考えようとしている.また,オフィスとは異なる環境として家庭を捉えることによってどこに問題があるかを明らかにし,その対処について考察を加えている.
 情報家電への1つのアプローチとして興味深いものであり,同時に関連するプロジェクト,技術動向などの解説も適切であり,多くの読者に対して情報家電を考える糸口を与えるものであると思われる.

土井美和子 土井美和子君(正会員)
 (株)東芝研究開発センターマルチメディアラボラトリー.1977年東京大学工学部電子工学科卒業.1979年同大工学系電気子専攻修士課程修了.同年東京芝浦電気(株)(現(株)東芝)入社,総合研究所(現,研究開発センター)入所.以来,日本語ワープロ,機械翻訳,電子出版,CG,バーチャルリアリティ,ジェスチャインタフェース,モバイルインタフェースの研究開発に従事.現在,マルチメディアラボラトリー研究主幹.慶應義塾大学非常勤講師,総務省情報通信議会委員,文部科学省科学技術・学術審議会専門委員.ACM SIG-CHI論文査読委員,情報処理学会論文査読委員,電子情報通信学会評議員,企画委員,第7次ハンドブック委員会幹事,ヒューマン情報処理研究会委員長.ヒューマンインタフェース学会理事.平成13年度関東地方発明表彰 発明奨励賞「翻訳文書編集技術」他受賞.電子情報通信学会,ヒューマンインタフェース学会,ACM各会員.