情報処理学会 第79回全国大会 会期:2017年3月16日~18日 会場:名古屋大学 東山キャンパス 情報処理学会 第79回全国大会 会期:2017年3月16日~18日 会場:名古屋大学 東山キャンパス
〜コンピュータパイオニアが語る〜「私の詩と真実」
日時:3月16日(木)10:00‐12:00
会場:第3イベント会場(IB大講義室)
【セッション概要】情報処理学会歴史特別委員会ではオーラルヒストリのインタビューを進めているが,大先輩のお話は毎回大変示唆に富み印象的なので,これを広く会員の方々,特に若い世代の会員に直接お聞かせ出来ないものかと検討してきた.そして海外の事例なども参考にし,コンピュータパイオニアあるいは情報処理学会会長経験者,またはそれらに相当する経歴の大先輩をお招きして,若い頃の研究生活の思い出や今の若い世代に伝えたい経験談などをお話頂くシンポジウムを企画した.なお本シンポジウムは第70回大会から開催しており今回が第10回目となる.
司会:浦城 恒雄 (東京工科大学 名誉教授)
【略歴】1959年東京大学理学部物理学科卒業.1991年日立製作所研究開発推進本部長.1995年同所技師長.1999年東京工科大学教授.2007年同大名誉教授.
10:05-11:00 講演(1) コンピュータが計算機と呼ばれた時代
三輪 修 (富士通株式会社 OB)
【講演概要】京都大学工学部電気電子工学科の階段教室で,富士通の池田敏雄さんによる計算機の講義があった.その時,池田さんから,「一緒に計算機を作らないか」と声を掛けられた.この一言が,富士通でコンピュータ開発に心血を注ぐ契機となった.その頃の我が国は,銀行や電力会社をはじめ,多くの企業が,IBMやUNIVACのコンピュータを導入していた.このような時代背景で,日本のメーカが次々とアメリカのメーカと技術提携を結ぶ中,富士通は独自路線を歩むことを決断した.そこで生まれたのが,革新的コンピュータFACOM 230-60システムである.本講演では,このFACOM 230-60システム開発にかかわる話が中心になるが,これまで公表されたことのない,「今だから話せる」ことにも触れたいと考えている.
【略歴】1959年3月京都大学工学部電子工学科卒業.同年富士通信機製造(株)(現富士通(株))入社.以来電算機技術部門において20年余にわたり大型,超大型コンピュータ,スーパーコンピュータ等の開発に従事.1970年科学技術庁長官賞受賞(「大型計算機システムFACOM230-60の開発」).1991年(株)富士通東北システムエンジニアリング代表取締役社長就任.2007年4月週刊朝日創刊85周年記念懸賞エッセーに投稿,最優秀賞受賞,週刊朝日5|4・11合併増大号に受賞作「夕日街道をゆく」が掲載される.
 
11:05-12:00 講演(2) オートマトンに人工知能研究の夢を見た
稲垣 康善 (名古屋大学/愛知県立大学 名誉教授/豊橋技術科学大学 名誉教授・特命教授)
【講演概要】東京大学で真空管式電子計算機TACの開発が進んでいた頃,「電子計算機は0と1でどうやって計算するのですか」と問うた名古屋の中学生が,やがて名古屋大学工学部電子工学科4年生.卒業研究,そして大学院に進学,「情報は,論理と確率.二つの融合を試みたまえ」のサジェスション.戸惑いながら始めた確率論理,そしてオートマトンの研究.1962年のことだった.当時,オートマトンは人工知能研究であった.ダートマス会議で人工知能という用語が使われたのが1956年,その年は,プリンストン大学出版局からAutomata Studiesが出版された年でもあった.電気通信学会雑誌1963年11月号はオートマトン特集号,1966年3月開催の東北大学通信研究所シンポジュウムのテーマはArtificial Intelligenceであった.当時を振り返って「私の詩と真実」をお話してみたい.情報工学分野で研究と教育の中に身を置いて55年になるこの3月,母校で開催の第79回全国大会で.
【略歴】1939年生.1967年名古屋大学大学院工学研究科博士課程修了,工学博士.1967〜1977年同大講師・助教授,1977〜1980年三重大学教授,1981〜2003年名古屋大学教授,1997〜2000年同大工学部長・研究科長併任,2000〜2002年同大大型計算機センター長併任,2003〜2007年愛知県立大学教授,2004〜2007年同大情報科学部長・研究科長併任,2008〜2014年豊橋技術科学大学理事・副学長.2001年情報処理学会功績賞,2005年電子情報通信学会功績賞,2006年情報処理学会名誉員,電子情報通信学会名誉員.電子情報通信学会副会長,理事,情報処理学会理事・調査研究運営委員会委員長,人工知能学会理事・会誌編集委員長など歴任,IEEE,ACM各会員.