情報処理学会 第79回全国大会 会期:2017年3月16日~18日 会場:名古屋大学 東山キャンパス 情報処理学会 第79回全国大会 会期:2017年3月16日~18日 会場:名古屋大学 東山キャンパス
将来の情報学リーダーが創造する新しい価値
日時:3月17日(金)9:30‐12:00
会場:第1イベント会場(坂田平田ホール)
【セッション概要】日本学術振興会「博士課程教育リーディングプログラム」は,優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーとして養成する博士課程前期・後期一貫の学位プログラムです.本イベント企画では,複合領域型(情報)に属し,平成25年度に採択された4つのプログラムにおける取り組みと成果を紹介し,将来の情報学リーダーとして期待されるプログラム履修生が創造する新たな経済的価値,学術的価値,そして政治的価値について言及します.
司会:平山 高嗣 (名古屋大学 大学院情報科学研究科メディア科学専攻 特任准教授)
【略歴】2005年大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).同年より京都大学大学院情報学研究科特任助教.2011年より名古屋大学大学院情報科学研究科特任助教.同助教を経て,2014年より名古屋大学博士課程教育リーディングプログラム「実世界データ循環学リーダー人材養成プログラム」特任准教授.コンピュータビジョン,ヒューマンビジョン,ヒューマンコンピュータインタラクションに関する研究に従事.
9:30-9:35 オープニング
9:35-9:50 講演(1) 超大規模脳情報を高度に技術するブレイン情報アーキテクトの育成
【講演概要】豊橋技術科学大学博士課程教育リーディングプログラム「超大規模脳情報を高度に技術するブレイン情報アーキテクトの育成」の履修生は,私たちのあらゆる感覚,知覚,行動を司る超大規模な脳情報に対し,直接的な計測,心理物理学的アプローチ,モデリングを用いることで,脳科学の様々な課題解決に挑みます.同時に,この脳に学んだ新規の原理を次のサイエンスに活かし,テクノロジーに展開できる能力をもつ人材として,国内外で活躍することを目指しています.講演では,これまでに本学博士課程リーディングプログラムが行ってきた,ブレイン情報アーキテクトの育成のため独自の活動について報告します.
田村 秀希 (豊橋技術科学大学 大学院工学研究科情報・知能工学専攻視覚認知情報学研究室)
【略歴】2012年大島商船高等専門学校情報工学科卒業,2014年豊橋技術科学大学情報・知能工学課程卒業,2016年同大学院情報・知能工学専攻博士前期課程修了,同年4月同大学院情報・知能工学専攻博士後期課程入学,同大学院博士課程教育リーディングプログラム履修生,及び日本学術振興会特別研究員(DC1).APCV 2014 Best Student Presentation Award,VSS 2015 The Best Student Poster Awardsを受賞.Vision Sciences Society Predoctoral Member.日本視覚学会学生会員.ヒト視覚系の質感認知メカニズムに関する研究に従事.
 
関 博史 (豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 情報・知能工学専攻 自然言語処理研究室)
【略歴】2012年香川高等専門学校詫間キャンパス情報工学科卒業,2014年豊橋技術科学大学情報・知能工学課程卒業,2016年同大学院情報・知能工学専攻博士前期課程修了.現在,同大学院情報・知能工学専攻博士後期課程在学中.博士課程教育リーディングプログラム「ブレイン情報アーキテクトの育成」履修生.日本音響学会学生会員.自動音声認識システムの開発に関する研究を行い,現在はディープラーニングを用いた音響モデリングの研究に従事.
 
10:05-10:35 講演(2) 実体情報学博士プログラム〜機械と情報の融合の場〜
【講演概要】実体情報学博士プログラムでは,機械と情報通信の融合学として「実体情報学」を構築し,イノベーションを先導するグローバル人材の育成を目指しています.異分野の学生の交流・相互研鑽の場である「工房」でのこれまでの活動から生まれた開発事例を紹介します.
個別研究紹介
金井: 宇宙船の火星や地球着陸時に使用されるパラシュートの数値解析を行っています.パラシュートは実験による正確な航行条件の再現が難しく,正確な性能を評価することは困難な状況にあります.設計支援のための数値解析の研究について発表します.
鈴木: 私たちの便利で豊かな情報社会を支える音声処理,画像処理,センシングデバイスなどの技術を活用して,自分にとって,社会にとって新しい価値を創出するソフトウェアを誰もが手軽に開発できれば素敵です.インタラクションのためのプログラミングツール「Siv3D」はそんな未来を先取りします.
鈴木 遼 (早稲田大学 基幹理工学研究科表現工学専攻長研究室)
【略歴】早稲田大学基幹理工学研究科表現工学専攻,長研究室所属(博士後期1年).2013年度IPA未踏IT人材発掘・育成事業採択,同年度スーパークリエータ認定.プログラミングを楽しく簡単にする,インタラクションのためのプログラミングツール「Siv3D」を開発.
 
金井 太郎 (早稲田大学 大学院創造理工学研究科総合機械工学専攻滝沢研究室)
【略歴】早稲田大学大学院創造理工学研究科総合機械工学専攻博士後期課程在学中.2014年よりリーディング大学院実体情報学博士プログラムに所属.2016年から日本学術振興会特別研究員(DC1).2014年日本機械学会若手優秀講演フェロー賞.2015年計算工学講演会グラフィクスアワード最優秀賞.日本機械学会,日本計算工学会会員.
 
10:40-11:10 講演(3) 人々の身体的・社会的インタラクションをエンパワーする拡張生体技術
西田 惇 (筑波大学 グローバル教育院 人工知能研究室)
【講演概要】本講演では,人の自立を支援し,人々の生活の質を向上させる新しいインタラクションとこれを実現する拡張生体技術について紹介する.運動覚体験の融合に基づく身体性共有とリハビリ支援や,身体性変換に基づく小児の身体性の再現とデザイン支援といった,人々の相互理解を支援するウェアラブルデバイスについて述べる.エンパワー(Empower)とは人に能力や権限を与えるという意味であり,これまで個人や集団が潜在的な能力を発揮することを可能にする社会を実現しようという社会学的な意味で用いられてきた.ここでは人々の残存機能の最大活用と主体的なインタラクションの保存に着目した新たな情報学を提唱し,その展望について述べる.
【略歴】2014年筑波大学理工学群工学システム学類卒業.現在同大学院グローバル教育院一貫制博士課程エンパワーメント情報学プログラム在学中.2016年より日本学術振興会特別研究員(DC1).ヒューマンコンピュータインタフェース,拡張生体技術,ウェアラブルデバイスに関する研究に従事.受賞: Microsoft Research Asia Fellowship Award,IEEE VR Honorable Mention,筑波大学長表彰他35件.
 
11:10-11:50 講演(4) 実世界データ循環学リーダー人材養成プログラム
長江 祐樹 (名古屋大学 大学院工学研究科結晶材料工学専攻 博士課程後期課程1年)
【講演概要】昨今,ビッグデータや人工知能が学術領域・ビジネスへ応用され始めている.「実世界データによる社会価値創出」を可能とするリーダー人材の輩出を目指す教育プログラムの履修生の立場から,研究・事業・グローバル経験の3トピックに沿って講演する.研究は主専攻の材料科学領域への応用について,近年着目されているマテリアルズインフォマティクスプロジェクトについて紹介する.また,本プログラムで得た知見を土台にして2016年6月に立ち上げたスタートアップ事業についても,本プログラムとの関係性を中心に述べる.また「産学官にわたりグローバルに活躍するリーダー」育成のための海外研究支援の取り組みについても,自らの経験に基づいて話題提供を行う予定である.
【略歴】2016年名古屋大学大学院工学研究科結晶材料工学専攻博士課程前期課程修了.同年より,同大学院博士課程後期課程在学.2014年より博士課程教育リーディングプログラム「実世界データ循環学リーダー人材養成プログラム」1期生として活動.第一原理計算(計算物性物理)と機械学習(情報科学)の異分野融合を土台にした材料探索研究に従事.現在,立石科学研究助成を受けて「無給電センサーデバイスを応用を見据えた,環境調和型センサーモジュールの開発」研究を遂行中.同年6月より名古屋大学発ベンチャー・(株)Tryeting代表取締役CEOとして人工知能を用いた人材分析・マッチングサービスに従事.応用物理学会,日本金属学会,データサインティスト協会会員.
 
橘川 雄樹 (名古屋大学 大学院 情報科学研究科 情報システム学専攻 枝廣研究室 博士課程後期課程1年)
【講演概要】自動運転は将来の人々のモビリティを変える技術として注目され,多くの企業,研究機関で研究開発が進められている.我々の研究室では,オープンソース自動運転ソフトウェア「Autoware」の開発を進めており,市街地における実証実験にも取り組んでいる.自動運転を実現する上で欠かせない要素が高精度3次元地図である.高精度3次元地図は,自動運転車両の位置推定や行動計画に用いられる.本講演では,データ循環に基づく,自動運転車両から得られるデータを用いた大規模高精度3次元地図の作成・更新技術について述べる.
【略歴】2014年名古屋大学工学部電気電子・情報工学科卒業.2016年名古屋大学大学院情報科学研究科情報システム学専攻博士前期課程修了.現在同博士後期課程在学中.博士課程教育リーディングプログラム「実世界データ循環学リーダー人材養成プログラム」1期生.大学発ベンチャー(株)マップフォー代表取締役.自動運転の位置推定・地図作成技術に関する研究に従事.
 
松下 健 (名古屋大学 情報科学研究科 計算機数理科学専攻 柳浦研究室)
【講演概要】所属する名古屋大学博士課程リーディングプログラム「実世界データ循環学リーダー育成プログラム」に2年間所属したことで,得られた様々な経験と価値,成長した部分について触れさせて頂くとともに,その活動が,現在の自分で起業した会社とどのように結びついてきているのか,について報告させていただきます.また,周りのメンバーとの環境であったり,得られた海外経験,今後の自分の目指す姿,リーディングプログラムの進む道のイメージなどについてもご報告させていただきます.
【略歴】2015年名古屋大学情報文化学部自然情報学科卒業.同年,名古屋大学大学院情報科学研究科計算機数理科学専攻入学.専門は組合せ最適化,オペレーションズ・リサーチ.現在,博士課程前期2年.また,名古屋大学博士課程データ循環学リーディングプログラムに参画.ベンチャー企業・(合)オプティマインドを立ち上げ,教育,講演会向けシステムの販売,ならびに新サービスの開発に従事.
 
11:50-12:00 クロージング