情報処理学会 第79回全国大会講演要旨

交渉は相互利益のために，競合解決と合意形成を行うための重要な社会活動である．
ゲーム理論では，交渉を提案応答ゲームという形で表現することで，数理的な分析を行っている．
本論文では，特定の交渉戦略のみが使用可能な提案応答ゲームにおいて，新たに頑強で有効なメタ交渉戦略をプレイヤーに提案することを目的とする．
本論文において，「交渉戦略」はゲームにおけるプレイヤーの行動を決定するための指針を示し，ゲーム理論における「戦略」とは区別して扱う．
提案手法では，メタ交渉戦略を含む使用可能な交渉戦略間の戦略型ゲームにおいて，新たに提案するメタ交渉戦略がstrictナッシュ均衡となるように，メタ交渉戦略を定義する譲歩関数の適切なパラメータセットを探索する．
提案手法の評価実験として，自動交渉エージェント国際競技会（ANAC）に提出されたエージェントとの交渉シミュレーションを行う．
そして，メタ交渉戦略を選択する組み合わせがstrictナッシュ均衡となるようなパラメータセットが探索可能であることを示す．