3F-02
津波災害時の行動特性に着目した安全避難の共創
○上田 遼(富士通総研)
2011年の東日本大震災では、津波による甚大な人的被害が生じた。その要因として、多くの人が揺れを感じてから自発的には避難を開始せず、他者の動きに追従することなどにより避難遅れが生じたこと、安全と言われていた避難場所にも一部に津波が襲来し被害が生じたことなどが挙げられる。本研究は、マルチ・エージェントモデルを用いて、上記の教訓を分析するとともに、対策のための新たなICTの在り方を検討することを目的とする。追従等の行動特性をモデル化し、震災のシミュレーションと複数の対策スタディを行った。その結果、住民の一部に安全な避難先情報を端末によって与え、その端末から避難経路を投影し、端末所有者、追従者も含めて人流を創発することが、追従という人間の本能的行動とICT端末の双方の特性を活かし合う有効な対策案であることを示す。