2R-02
協力進化における間接互恵性と空間的局所性の相互作用に関するゲーム論的検討
○陳 煥新,鈴木麗璽,有田隆也(名大)
利己的ゆえに自然選択されてきたはずの生物がなぜ協力行動をするか,その理
論は直接的利益に帰する個体レベルの理論と間接的利益に帰する遺伝子レベル
の理論に分類できる.本研究ではそれぞれの有力理論である間接互恵性と空間
的局所性を取り上げ,未解明である両者の相互作用を検討する.具体的には,
2次元平面上の個体群が全面協力,全面裏切り,評判に基づく戦略の3戦略を
用いる寄付ゲームを行い,利得に応じて戦略が伝搬して進化する.実験の結果,
裏切りが占める中に協力が進化するには,全面協力または評判依存戦略による
協力のクラスタが必要なことが示された.また,評判依存戦略として,単に協
力か裏切りかだけでなく,その行動相手の評判も考慮することが重要であるこ
とや,ゲームの報酬/コストの設定が各戦略の頑健性と協力の創発に大きな影
響を与えることも示された.

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