情報処理学会 第78回全国大会 会期:2016年3月10日~12日 会場:慶應義塾大学 矢上キャンパス 情報処理学会 第78回全国大会 会期:2016年3月10日~12日 会場:慶應義塾大学 矢上キャンパス
自動車の自動走行・高度運転支援技術開発の最前線
日時:3月12日(土)13:00-15:00
会場:第3イベント会場(厚生棟大中会議室)
【セッション概要】現在,自動車の自動走行技術,次世代の運転支援技術の実用化に向けた技術開発が加速しています.このパネルディスカッションでは,自動車の自動走行・高度運転支援技術開発をリードされている官庁,自動車メーカー,電装品メーカー,ベンチャー,研究所,大学の方々に,それぞれの取り組みをご紹介して頂きます.その後,技術開発やサービス創出の現状,課題,将来等について聴講者からの質問を交えて議論を行います.
司会:大前 学 (慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科 教授)
【略歴】2000年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.2000年慶應義塾大学環境情報学部助手,2001年同講師,2005年同大学院 政策・メディア研究科助教授を経て,2013年より現職.自動車の自動運転,隊列走行,遠隔操縦等における自動車の運動制御,車車協調,路車協調技術の研究に従事.
13:00-13:15 パネルセッション(1) SIP「自動走行システム」の取組について
森下 信 (内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付 参事官(戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)担当)付 企画官)
【講演概要】「自動走行システム」は,府省庁の枠を超えて研究開発から出口(実用化・事業化)までを見据えた取組を行う「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」において,取組むべき11の課題のうちの1つとして「総合科学技術・イノベーション会議」で選定されており,その実用化に向けて,産学官が連携して推進している.SIPにおける「自動走行システム」は開発・実証をはじめとし,交通事故死者低減・渋滞低減のための基盤技術の整備,国際連携の構築,次世代都市交通への展開という4分野について35に及ぶテーマが進められている.今回は,SIP主管の立場から今までの研究成果と最新の研究内容を紹介する.
【略歴】1994年 郵政省(当時)に入省.2011年総務省総合通信基盤局電波部基幹通信課重要無線室長.2013年 総務省総合通信基盤局電波部移動通信課新世代移動通信システム推進室長.2015年 内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付 参事官(戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)担当)付 企画官.SIP「自動走行システム」プロジェクトを担当.
 
13:15-13:30 パネルセッション(2) TOYOTAの自動運転技術が目指す交通社会
遠藤 徳和 (トヨタ自動車株式会社 BR高度知能化運転支援開発室)
【講演概要】トヨタ自動車は,「すべての人が安全,スムース,自由に移動できる社会の実現を目指す」Mobility Teammate Conceptを発表し,スマートな交通社会に貢献できる自動運転技術を開発しています.人とクルマが,同じ目的を目指し,ある時は見守り,ある時は助け合う,気持ちが通った仲間の関係を築く,高度に安全な車作りの開発の現状を,社会・人・車の関係からご紹介いたします.
【略歴】1986年トヨタ自動車に入社.米国のトヨタテクニカルセンター,トヨタIT開発センター等を歴任.JASPAR,自動車技術会,自動車工業会等の標準化活動にも参画し,トヨタでは東富士研究所・豊田本社・東京開発センターの電子,制御領域にて,一貫して自動車の電子電機システム開発に取り組む.現在,制御システム先行開発部主査.
 
13:30-13:45 パネルセッション(3) 自動運転実用化に向けた日立の研究開発
横山 篤 (株式会社日立製作所 研究開発グループ 制御イノベーションセンタ グリーンモビリティ研究部 ユニットリーダ主任研究員)
【講演概要】日立グループでは,駐車場や高速道路における自動運転に加え,一般道での自動運転実現に貢献する技術の先行研究にも取り組んでいます.一般道では,様々な障害物を認知し,これらの行動を予測・判断しながら,安全かつ周囲の流れに沿った運転操作が必要であり,自動運転実現に向けた課題は複雑です.人間が行う高度な認知・判断・操作を含む運転を一時的に代替するためには,移動体や障害物を認知することに加えて,その行動変化予測に基づいた運転を計画すること,安全に手動運転へ復帰することが求められます.このような課題に対する日立の研究開発の取り組みについて講演します.
【略歴】1997年東京大学大学院工学系研究科修了後,(株)日立製作所機械研究所に入社.その後,一貫して自動車の走行制御システムの研究開発に従事.現在は,同社研究開発グループにて,自動運転システム,予防安全システムの研究開発を担当.
 
13:45-14:00 パネルセッション(4) Robot of Everything 〜 ZMPで取り組む自動運転技術〜
景山 浩二 (株式会社 ZMP 新規事業推進室 室長、自動運転技術統括フェロー)
【講演概要】ZMPは,総合ロボット会社として,Robot of Everything,人が運転するあらゆる機械を自動化し,安全で,楽しく,便利なライフスタイルを創造する,というミッションの下,自律移動技術,自動運転技術を核にロボットタクシーの実用化をはじめとして,自動車分野のみならず,物流,建機や農機,航空機への応用など,様々な分野での事業を展開しています.自動運転の早期実現に向けては,ベンチャーならではのスピードで日々研究開発を進めています.講演では,ZMPが目指す自動運転の世界と自動運転技術のご説明をし,自動運転実現に向けて考えていることなどをご紹介いたします.
【略歴】1956年,高知県生まれ.1981年,京都大学理学部卒業.同年,ソニー(株)入社.1994年から2004年まで,家庭用自律型エンターテインメント・ロボットAIBOの開発責任者を務める.2015年,(株)ZMP入社.現在,同社新規事業推進室長,自動運転技術統括フェロー.
 
14:00-14:15 パネルセッション(5) JARIの自動走行研究実証事業への取組み
谷川 浩 (一般財団法人 日本自動車研究所 ITS研究部 部長)
【講演概要】クルマ周辺の障害物を検出するセンサ技術や人工知能のような危険予測・判断技術などが飛躍的に進化しており,近い将来,ミスを犯し易い人間よりも運転の上手なクルマ(クルマの情報化や知能化等による自動走行)が実用化される可能性が見えてきました.自動走行の実用化によって,運転負担からの開放,交通事故やCO2の削減,ドライバー不足の解消,高齢者等の移動自由度が確保できるなど,数々の社会的メリットも期待されています.また,その一方では,安全性や信頼性が心配されており,これまでのように製品・技術やそれを使うユーザーだけの責任ではなく,交通社会全体の課題として取り組むことが重要となります.本講演では,政府の成長戦略に掲げられた「自動走行」の技術研究や実用化に向けた取組み動向等をJARIの立場からご紹介するとともに,将来展望や課題について語ります.
【略歴】1983年トヨタ自動車に入社,エンジン制御用電子システム,センサー開発,車内LAN,ソフトPFのや国際標準化活動等に従事,標準化活動,自動車メーカー・サプライヤー連携テーマの企画,共同開発やビジネスの仕組みつくりなどを幅広く経験.2004年にJaspar設立にも参画した.近年では先進的な制御システム開発の仕組み作りや先行開発業務に従事,2013年5月から日本自動車研究所に籍を置き現在に至る.
 
14:15-14:30 パネルセッション(6) 金沢大学の市街地公道走行実証実験の概要とその成果について
菅沼 直樹 (金沢大学 新学術創成研究機構 未来社会創造コア 自動運転ユニット ユニットリーダー/准教授)
【講演概要】これまで世界各国において自動運転自動車に関する研究が行われてきた.従来は高速道路のみを対象とした自動運転システムが研究されてきたが,近年では市街地をも含めた自動運転システムについても実フィールドにおけるテストが実際に行われるようになってきた.市街地を含めたいわゆるDoor-to-doorでの自動運転はまさに夢の技術であり,これが可能となれば安全快適性の向上を図ることができると同時に,将来のライフスタイルをも変えうる様々な可能性を秘めている.このような自動運転自動車では様々なセンサを用いて周辺環境を認識すると同時に,それらの情報を処理し適切な判断を行う必要がある.本講演では金沢大学において開発した自動運転自動車の概要について述べるとともに,国内の大学としては初の試みとして実施中の市街地における公道走行実証試験の概要とその成果について述べる.
【略歴】1998年金沢大学工学部機械システム工学科卒業.2002年金沢大学大学院博士後期課程早期修了.2002年日本学術振興会特別研究員(PD)を経て,同年金沢大学助手に着任.2015年より異分野融合の研究を主任務とする金沢大学新学術創成研究機構に移籍し,現在同機構自動運転ユニット ユニットリーダー,准教授を務める.1998年から自動運転自動車の研究を開始し,2015年からは国内の大学として初となる市街地での公道走行実験も開始.日本ロボット学会,自動車技術会,計測自動制御学会,日本機械学会会員.
 
14:30-15:00 全体質疑