情報処理学会 第78回全国大会 会期:2016年3月10日~12日 会場:慶應義塾大学 矢上キャンパス 情報処理学会 第78回全国大会 会期:2016年3月10日~12日 会場:慶應義塾大学 矢上キャンパス
2020年に向けた音声翻訳の研究開発
※協賛団体 一般社団法人 電子情報通信学会,一般社団法人 言語処理学会,一般社団法人 人工知能学会,一般社団法人 日本音響学会
日時:3月12日(土)9:30-12:00
会場:第1イベント会場(MMR)
【セッション概要】2020年の東京オリンピック・パラリンピックを,日本のICT技術を世界に知ってもらうステージとすることを目指した活動が活発化している.音声翻訳もその一つであり,本イベントでは,音声翻訳技術,その社会的な位置づけ,国プロとして実施される実証実験から社会実装まで,デモンストレーションも交えてご紹介し,多くの学会員にとって魅力あるイベントを目指す.
司会:隅田 英一郎 (NICT/UCRI 副研究所長)
【略歴】1982年電気通信大学大学院修士課程修了.1999年京都大学大学院博士(工学).日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所,国際電気通信基礎技術研究所を経て,2007年より国立研究開発法人情報通信研究機構に勤務,現在,ユニバーサルコミュニケーション研究所副所長. 自動翻訳,eラーニングに関する研究開発に従事.<受賞>2007,2014年アジア太平洋機械翻訳協会長尾賞, 2007年情報処理学会喜安記念業績賞, 2010年文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門), 2013年第11回産学官連携功労者表彰・総務大臣賞.<所属学会>情報処理学会,電子情報通信学会,ACL(Association for Computational Linguistics),日本音響学会,ACM(Association for Computing Machinery)各会員.
9:30-10:15 講演(1) 音声翻訳の歴史と概要
中村 哲 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 知能コミュニケーション研究室 教授)
【講演概要】音声翻訳は話した音声をその場で認識,翻訳,相手言語で音声合成することで異なる言語の人々とのコミュニケーションを可能にする技術である.我が国では1986年にATRにおいて国のプロジェクトとして研究が始まり,約30年を経て,旅行会話で実利用可能なところまで来た.この間,大規模なコーパスを用いた統計的モデリングへのパラダイムシフト,種々の実証実験とスマートフォン用音声翻訳アプリの公開によるフィージビリティスタディとデータ収集が行われた.本講演では,音声翻訳に関わる研究開発の経緯,現在の技術,今後の展望について述べる.
【略歴】1981年京都工芸繊維大学電子卒.京都大学博士(工学).シャープ(株).奈良先端大助教授,ATR音声言語コミュニケーション研究所室長,所長,2006年(独)情報通信研究機構研究センター長,けいはんな研究所長などを経て,現在,奈良先端大教授. ATRフェロー.カールスルーエ大学客員教授.音声翻訳,音声認識,自然言語処理の研究に従事.情報処理学会喜安記念業績賞,総務大臣表彰,文部科学大臣表彰,Antonio Zampoli賞受賞.IEEE SLTC 委員, ISCA 理事.
 
10:15-10:45 講演(2) グローバルコミュニケーション計画の推進-多言語音声翻訳システムの研究開発及び社会実証-
中川 拓哉 (総務省 情報通信国際戦略局 技術政策課 研究推進室 課長補佐)
【講演概要】国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)を中心に,言葉の壁を越えたコミュニケーションの実現を目指した「多言語音声翻訳システム」を開発.現在はスマートフォンアプリとして利用が拡大している.総務省は2014年4月に,医療等,旅行会話以外でも実用レベルで翻訳可能とし,対応言語を10言語に拡大する研究開発と社会実証を実施することで,2020年までに本システムを社会に普及した状態(社会実装)を実現する「グローバルコミュニケーション計画」を発表.多言語音声翻訳システムを用いた訪日外国人への対応の充実により,観光産業の更なる活性化を支援し,地方創生にも貢献する施策のご紹介を行い,研究開発と社会実証の方向性についてともに考察を深めたい.
【略歴】情報通信国際戦略局技術政策課研究推進室課長補佐(2014〜).在ロシア日本国大使館書記官(2009-12),情報通信国際戦略局国際経済課課長補佐(地デジ・ICT国際展開アフリカ,中南米担当)(2012〜14).
 
10:45-11:15 講演(3) 多言語音声翻訳システムの研究開発および社会実装に向けた取り組み
石黒 敬三 (パナソニック株式会社 AVCネットワークス社 技術本部 技術開発研究所 所長)
【講演概要】2015年は9月時点で1400万人を超え,年々増加する訪日外国人の皆さまが「言葉の壁」を感じることなくコミュニケーションすることを可能とする多言語音声翻訳技術について,5ヵ年を目途に技術研究・開発を実施し,2020年までに社会実装の実現を目指す「総務省委託研究開発・多言語音声翻訳技術推進コンソーシアム」が2015年10月に設立されました.本コンソーシアムの概要と社会実証への取り組みについてご紹介し,さらにパナソニックの最新の活動として,端末を用いた実証実験などの取り組みをご紹介します.
【略歴】1984年大阪大学工学部応用物理学科卒業,同年松下電器産業(株)(現パナソニック(株))入社.撮像の非球面レンズ,オートフォーカスの技術開発を手がけ,2001年より光学技術の開発責任者としてデジタルカメラの事業を立上げる.2015年より技術開発研究所所長,現在に至る.2008年米PMDAよりTechnical Achievement Award受賞.
 
11:15-12:00 講演(4) 多言語対応の取組におけるICTの活用
岡安 雅人 (東京都 オリンピック・パラリンピック準備局 連絡調整担当部長)
【講演概要】東京都は,2020年オリンピック・パラリンピック大会に向け,外国人旅行者が快適かつ安心して滞在できるよう,2014年3月,国との連携のもと多言語対応協議会を設置し,言葉のバリアフリーの実現に向け,官民一体で取組を推進している.翻訳アプリなどのICTは,多言語対応を進める上で極めて有用なツールであり,都は,2015年2月の東京マラソン2015をはじめ,様々なイベント・事業において翻訳アプリを活用しており,総務省との連携のもと実証機会の拡大を進めている.本講演では,多言語対応協議会の概要や取組状況のほか,総務省と連携した翻訳アプリの活用状況について説明するとともに,2020年大会においてICTを活用するユーザーとしての期待について言及する.
【略歴】1984年東京理科大学工学部機械工学科卒業.1989年入都.2003年財務局主計部予算第1課予算主査.2005年同局主計部財政課課長補佐.2006年知事本局企画調整部副参事.2007年総務局総務部副参事.2009年知事本局総務部調整課長.2011年知事本局総務部総務課長.2013年総務局担当部長(公立大学法人首都大学東京).2015年10月オリンピック・パラリンピック準備局連絡調整担当部長.