情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス 情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス
特別講演(1)
松岡 聡(東京工業大学 学術国際情報センター 教授)
「ITの,ITによる,ITの為のスーパーコンピュータ研究」IEEE Computer Society Sidney Fernbach 賞受賞によせて

日時:3月17日(火曜日)16:35-16:50
会場:第1イベント会場(百周年時計台記念館 1F 百周年記念ホール)

【講演概要】スパコンはかつて計算機科学全体,特にアーキテクチャやコンパイラ等を牽引する最先端分野であった.しかし80年代後半からKiller Micro,高性能ネットワークの汎用化,マルチメディアや3Dゲーミング等高性能演算ニーズの発生など,種々要因で高性能ハードのコモディティ化が始まり,基礎研究は計算モデル・言語・ソフトウェアシステムに振れはじめ,駆け出し計算機科学研究者だった自分は,それらを活用する非主流な並列分散ソフトウェアの研究に従事し,既存の主流派スパコンとの圧倒的な性能差に打ちひしがれつつも並列オブジェクト・クラスタ・グリッド・GPUなどに関する多くの「変てこ」な成果をあげた.その後,スパコンが100万並列に巨大化し,その性能向上が電力等の物理限界に制約され始めると,我々の非主流の研究が転じて主流化し,TSUBAMEに代表される新世代の,再び計算機科学を牽引するスパコンに具現化され今日に至る.では今後はどうであろうか?本講演では更なる「変てこ」な将来予測をも語る.

【略歴】博士(理学)(東京大学1993年).2001年東京工業大学学術国際情報センター教授.高性能並列システムソフトウェア(GPU・省電力・高信頼・大規模データ処理)研究に従事.開発したスパコンTSUBAME2.0は2010年Top500世界4位,二期連続「世界一グリーンな運用スパコン」と認定.2013年TSUBAME-KFCがGreen500リストで世界一に.ACM/IEEE Supercomputing含む多くの主要国際学会の委員長職等を歴任.情報処理学会坂井記念特別賞(1999),学術振興会賞(2006),ACMフェロー・ゴードンベル賞(2011),文部科学大臣表彰(2012),IEEE-CSシドニー・ファーンバック賞(2014)等受賞.