情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス 情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス
ダイバーシティの実現化を目指して--女性IT技術者の活躍について考える
日時:3月19日(木曜日)14:40-17:10
会場:第4イベント会場(吉田南総合館 2F 共北26)
【セッション概要】近年,企業では性別・年齢・価値観など人材の多様性を活かし,働き方を改革するダイバーシティの取り組みが進められている.女性の積極的な活用も,その中の一つである.先行調査によれば,女性活用は人材確保に一定の効果をもたらし,かつ女性役員比率の高い企業ほど業績が良いという報告もある.IT業界では,この5年間のうち,女性社員の割合はほぼ12%前後であり横ばいである.また,企業の半数以上が,管理職全体における女性管理職の割合は10%以下である.このような状況となる要因として,仕事と家庭の両立が困難,「技術者」としての将来のキャリアが描けないことが考えられる.そこで,本シンポジウムでは,仕事と家庭の両立を含めたIT技術者としての働き方について講演いただく.次いで,女子大学院生の活動や自身が持つ職業観についてお話いただく.最後に,以上の講演を踏まえ,女性IT技術者の活躍について,会場の皆さんと議論を交わしたい.
司会:木塚 あゆみ (公立はこだて未来大学 システム情報科学部 特任助教)
【略歴】2008年公立はこだて未来大学システム情報科学研究科博士(前期)課程修了,システム情報科学修士.2012年には北海道大学CoSTEPにて科学技術コミュニケーションの講座を修了.岡山県立大学デザイン学部助手,フリーランスでのWebシステム開発・デザインを経て2013年より現職.メディアアートや科学館展示コンテンツ制作,ワークショップに携わってきた経験を生かして,現在,高度ICT人材育成にデザイン手法を取り入れた教育に取り組んでいる.
14:40-15:20 講演(1) 夫婦それぞれの視点から“技術者”としての仕事と家庭の両立を考える
【講演概要】日本の社会は,女性の活用を謳いながらも,実情としては「女性は自分の仕事より夫の仕事や家庭を優先させるべき」といった伝統的な価値観が強く支持されるなど,まだまだ多様性の実現において十分とはいえない状況にあります.このような環境の中で,女性が結婚・出産・育児などで生じる生活上の大きな変化やキャリアの断絶を乗り越えて,変化の速いIT業界で技術者として働き続けるには,家族,職場,社会の理解・支援,そして本人の工夫が欠かせません.本講演では,大場寧子が技術者・妻・母・会社経営者の立場から,大場光一郎が技術者・夫・父・クラウドソーシング事業に携わる者としての立場から,技術者が仕事と家庭を両立するために有効な考え方や行動について,経験を交えてお話しします.
大場 寧子 (株式会社万葉 代表取締役社長)
【略歴】1973年生まれ.1996年東京大学文学部卒業後,1996〜2001年(株)ジャストシステムにて自然言語処理関連のプロジェクトにプログラマとして従事.2001〜2006年はベンチャー企業のCTOとして主にJavaによるソフトウェア開発に携わった.2006年にRubyを使い始め,Web家計簿「小槌」でドリコム主催のAward on Railsで大賞を受賞.2007年,Rubyを専門とする(株)万葉を設立.現在も技術者としてソフトウェアの開発に従事している.著書「たのしい開発 スタートアップRuby」(2012年,共著,技術評論社)「Ruby on Rails 逆引きリファレンス」(2008年,共著,毎日コミュニケーションズ).
 
大場 光一郎 (株式会社クラウドワークス 執行役員CTO)
【略歴】1974年生まれ.2001年,伊藤忠テクノソリューションズ(株)へ入社.在職中,Rubyの導入支援やRubyを用いたクラウドサービスの開発・運用に従事.グリー(株)インフラストラクチャ部門にて,開発環境からプロダクションをつなぐDevOps周りを担当し,GitHub Enterpriseの導入による開発品質の向上や,デプロイメント支援システムをRubyで開発.Rubyやソースコード管理に関する講演,著書多数.2014年1月,(株)クラウドワークスに参画,執行役員CTOに就任.
 
15:20-16:00 講演(2) 生涯 “技術者として” 生きる
石田 厚子 (東京電機大学 情報環境学部 情報環境学科 特別専任教授)
【講演概要】生涯技術者として生きるとは,技術を通じて世の中に貢献し続けることである.技術の進歩が加速する一方で解決しなければならない問題が複雑さを増している今日,世の中に貢献していけるために,次のことが重要と考える.1. 環境の変化を,目を見開いて冷静に受け止め,柔軟に対応していく.2. 常に新しい技術に関心を持ち,学び続ける.3. 様々な分野の専門家と協力する.さらに,世の中の抱える問題の本質を掴み,相手の立場に立って最善の解決策を考える地道な活動が必要であろう.講演者が40年以上企業で働いてきた経験から,技術者のキャリアの磨き方を語る.
【略歴】博士(工学).技術士(情報工学部門).1972年東京大学理学部数学科卒業.1972〜1977年,日立製作所にてコンパイラ作成技法の研究に従事.1977〜1991年,公立の研究所,業界団体,ソフトウエアハウスなどで,研究者,SEとして,IT技術者の道を歩む.1991〜2006年,日立製作所にて,ITコンサルタント,ソリューション企画,開発に従事.2006〜2013年,日立コンサルティングにて,コンサルタントの育成に従事.2013年より石田厚子技術士事務所を自営し,技術者向けのコンサルティング・スキル研修を実施.2014年より,東京電機大学情報環境学部特別専任教授となり,情報システムに関する基礎から応用まで幅広く学生の指導に当たる.
 
16:00-16:40 講演(3) 女子学生の小さなチャレンジ
中川 みなみ (筑波大学 大学院システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻 記号計算研究室 博士前期課程 1年)
【講演概要】今日,様々なIT女子エンジニア向けのイベントが開催されています.筑波大学にも情報分野を学ぶ女子が多くいますが,大学近辺でそのような女子を対象にしたイベントは今までありませんでした.そこで,私は友人と共に筑波大学の女子限定のハッカソンを企画し,今年の7月に『Women's Hackathon at Tsukuba』を開催しました.本講演では,開催理由・当日の様子・開催して感じたことをお話します.
【略歴】1991年生まれ.2014年筑波大学情報学群情報科学類卒業.同年より筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻入学,現在に至る.木トランスデューサに関する研究に従事.
 
16:40-17:10 全体ディスカッション