情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス 情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス
知のコンピューティング序章
日時:3月19日(木曜日)9:30-12:00
会場:第2イベント会場(百周年時計台記念館 2F 国際交流ホールⅡ,Ⅲ)
【セッション概要】本セッションでは,前半で,2014年度JST戦略事業「人間と調和した創造的協働を実現する知的情報処理システムの構築」(CREST)について,研究領域全体のねらいと初年度の採択された個々のチームの活動状況を報告する.後半では,上記CREST事業の元となったイニシアティブ「知のコンピューティング」について,2014年に実施したELSI(Ethical, Legal and Social Issues)ワークショップや「激論! 先端ICTの光と影」ワークショップ,開発成果の社会適用に向けたアイデアソンの内容を紹介した後に,当分野において今後取り扱うべき課題をパネル形式で幅広く議論する.
司会:茂木 強 (独立行政法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー)
【略歴】1980年京都大学理学部卒業. 同年4月三菱電機(株)入社. 汎用機からミニコンのコンパイラの開発に従事. 1991年米国スタンフォード大学留学. 以後, 情報技術総合研究所にて情報システム技術部門統括を経て, 現在は(独)科学技術振興機構研究開発戦略センターにて情報科学技術分野に関する研究開発戦略策定に従事.戦略プロポーザル『知のコンピューティング』作成メンバー.2010〜11年情報処理学会理事.
9:30-9:45 講演(1) 知のコンピューティングの狙い
岩野 和生 (三菱商事株式会社 ビジネスサービス部門 顧問)
【講演概要】(独)科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)は,コンピューティングの新たな地平線として「知のコンピューティング(Wisdom Computing:知の創造の促進と科学的発見・社会適用の加速)」の実現が重要であると考えている. 知のコンピューティングは,知の創造を促進し,科学的発見や社会への適用を加速するために,知を人間(複数)が賢く生きるための力であると定義した上で,知のコンピューティングを,知の発見,創造,集積,伝播,探索,影響(アクチュエーション)を実現し,加速することとしている. 本講演では,我々がこのように考えるに至った背景やこれまでの経緯を説明し,イニシアティブとしての知のコンピューティングの全体構想と具体的なアクティビティ全体を俯瞰する.
【略歴】三菱商事(株)企画業務部顧問 兼 ビジネスサービス部門顧問.1975年東京大学理学部卒業後,日本IBM入社.東京基礎研究所所長,米国ワトソン研究所,大和SW開発研究所所長,先進事業担当,未来価値創造事業担当を経て,2012年3月より三菱商事(株).科学技術振興機構 研究開発戦略センター上席フェロー.東京工業大学客員教授.情報処理学会フェロー,日本学術会議連携会員.Ph.D. (米国プリンストン大学).
 
9:45-10:00 講演(2) CREST「人間と調和した創造的協働を実現する知的情報処理システムの構築」概要
萩田 紀博 (株式会社国際電気通信基礎技術研究所 取締役 所長)
【講演概要】人と機械の相互作用(情報検索や対話する等)という協働過程から得られる体験が,生活の知識になり,知恵となる時代が来ている.ロボットや環境センサが人々の行動や感情を高精度に取り出して知識化できるようになるとそれを受け容れる人とそうでない人が生まれるため,倫理的・法的・社会的課題(ELSI)を考慮する必要がある.そこで,ELSIを考慮して,人と機械とのハーモニアスなバランスを考えた知的情報処理システムを構築するJST CRESTの新研究領域を立ち上げた.新研究領域のねらい,概要を紹介する.
【略歴】1978年慶應義塾大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了,同年日本電信電話公社(現NTT)武蔵野電気通信研究所に入所,NTT基礎研究所,ATR知能ロボティクス研究所所長などを経て,現職. 主な研究分野は,ネットワークロボット,ヒューマン・ロボット・インタラクション,パターン認識等.工学博士.IEEE,電子情報通信学会,情報処理学会,人工知能学会各会員,日本学術会議連携会員.
 
10:00-10:10 講演(3) 実践知能アプリケーション構築フレームワーク PRINTEPS の開発と社会実践
山口 高平 (慶應義塾大学 理工学部 教授)
【講演概要】人と機械が7種類のモード(知識,対話,表情,視線,姿勢,動作,環境)でインタラクションをとり,その相互作用を通して,人の知能と機械知能が互いに進化し続ける「知能共進化(Coevolution of Intelligence)」の枠組みを研究し,そのプラットフォームとしてPRINTEPS(PRactical INTElligent aPplicationS)の開発を始めている.PRINTEPSでは,多重知識ベース,対話システム,人センシング,環境センシング,記号接地という5種類のサブシステムを統合しており,初等教育実践,喫茶店業務支援をケーススタディとして,実験を開始したところであるが,本講演では,その初期成果も交えて,知能共進化の可能性について述べる.
【略歴】1979年大阪大学工学部通信工学科卒業,1984年同大学院工学研究科博士後期課程修了.同年大阪大学産業科学研究所助手.1989年静岡大学工学部助教授.1997年同大学情報学部教授.2004年より慶應義塾大学理工学部教授.工学博士.定理証明の研究を経て,知識システム,データマイニング,オントロジー,知能ソフトウェア工学などに関する研究に従事.2007年度大川出版賞.人工知能学会前会長.電子情報通信学会,人工知能学会,情報システム学会,AAAI,IEEE-CS等の会員.
 
10:10-10:20 講演(4) 集合視による注視・行動解析に基づくライフイノベーション創出
佐藤 洋一 (東京大学 生産技術研究所 教授)
【講演概要】本CREST領域の研究課題の一つである「集合視による注視・行動解析に基づくライフイノベーション創出」の概要について紹介します.この研究課題では,人間と調和した創造的協働を実現する知的情報処理システムの構築に向けて,複数の人々が装着するウェアラブルカメラとアイトラッカーを分散型センサとして利用する集合視により,さまざまな空間・時間スケールで起こる個人とグループの注視・行動を計測し理解する技術の開発を目指します.さらに,集合視技術を用いた人々の注視・行動の蓄積・解析・可視化にもとづき,手術室における協働支援,視覚障がい者へのナビゲーション支援など具体的な課題解決のための支援システムの構築に取り組みます.
【略歴】1990年東京大学工学部機械工学科卒.1997年カーネギーメロン大計算機科学部博士課程了.東京大学生産技術研究所研究機関研究員,講師,助教授,同大学大学院情報学環准教授を経て,2010年より同大学生産技術研究所教授.現在,同研究所副所長,同研究所附属ソシオグローバル情報工学研究センター長.コンピュータビジョンに関する研究に従事.2011年日本学術振興会賞,2010年,2008年,2006年電子情報通信学会論文賞,2011年情報処理学会50周年記念論文賞,2000年日本VR学会論文賞等を受賞.
 
10:20-10:30 講演(5) 潜在アンビエント・サーフェス情報の解読と活用による知的情報処理システムの構築
渡邊 克巳 (東京大学 先端科学技術研究センター 准教授)
【講演概要】本研究では,人間や情報システムの表層に遍在しながら気づかれていない情報を潜在アンビエント・サーフェス情報と定義し,潜在情報の計測・解明・介入の知見とノウハウに基づき解析・活用することで,人間と調和して創造的な恊働を行うための知的情報システムの構築に新たな視点を提供したいと考えている.潜在アンビエント・サーフェス情報に関して「認知科学的・脳科学的研究」「知的情報システムへの実装」「フィールドでの評価」「社会的受容性調査」の4つの項目設定し,自由に観察・活動できる環境のもとで活用できるプロトタイプの構築を目指す研究計画の概要を紹介する.
【略歴】1995年東京大学文学部心理学科卒,2001年カリフォルニア工科大学計算科学-神経システム専攻博士課程修了(PhD).産業技術総合研究所研究員,科学技術振興機構ERATO下條潜在脳機能プロジェクト意思決定Gリーダーなどを経て,2006年東京大学先端科学技術研究センター助教授(2007年より准教授).主な研究の興味は人間の心の意識的・無意識的過程の科学的解明,認知科学のその他の研究分野への拡張,産学連携を通じた社会への還元など.
 
10:30-10:40 講演(6) ソーシャル・イメージング:創造的活動促進と社会性形成支援
鈴木 健嗣 (筑波大学 システム情報系・サイバニクス研究センター 准教授)
【講演概要】本講演では,複数人からなる社会的行動を計測する手法であるソーシャル・イメージング基盤技術について紹介する.さらに,実世界に映像と音響を重ね合わせる技術を応用することで,子ども達の創造的活動を促進し,社会性形成を支援す NPO法人と連携しながら自閉症スペクトラム児等の発達支援のための実証研究を通じ,こころを理解することが困難な人々の理解を助け,こころを表出することが困難な人々の行動や情動表出を支援するという「こころを支える情報学」の実現を目指す.
【略歴】1997年早稲田大学理工学部物理学科卒,同大学院理工学研究科博士課程修了.博士(工学).同大学助手,筑波大学講師を経て,現職.主な研究分野は,人間情報学,拡張生体学,サイバニクス,人支援ロボティクス,ソーシャルロボティクスなど.1997年イタリア・ジェノヴァ大学客員研究員,2009年フランス・College de France/CNRS客員研究員 .2011年より科学技術振興機構(JST)さきがけ研究者.IEEE,ACM,電子情報通信学会,人工知能学会等の会員.
 
10:40-10:50 講演(7) 倫理・法・社会的課題に対する取組み
茂木 強 (独立行政法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー)
【講演概要】知的情報処理技術の研究開発が進展し,実社会への適用が次々と実現することに対して,そこに潜む倫理的・法的・社会的課題(ELSI)を同時に研究することは不可欠である.本講演では,2014年9月に開催された「知のコンピューティングとELSI/SSHワークショップ」,及び,11月に実施した「激論! 先端ICT の光と影」ワークショップの概要につき報告する.
【略歴】1980年京都大学理学部卒業. 同年4月三菱電機(株)入社. 汎用機からミニコンのコンパイラの開発に従事. 1991年米国スタンフォード大学留学. 以後, 情報技術総合研究所にて情報システム技術部門統括を経て, 現在は(独)科学技術振興機構研究開発戦略センターにて情報科学技術分野に関する研究開発戦略策定に従事.戦略プロポーザル『知のコンピューティング』作成メンバー.2010〜11年情報処理学会理事.
 
10:50-11:00 講演(8) 国際活動
岩野 和生 (三菱商事株式会社 ビジネスサービス部門 顧問)
【講演概要】本講演では,知のコンピューティングの国際活動として,2015年2月に米国サンホセで開催されたAAAS2015における発表“Wise Computing: Collaboration between People and Machines”の概要につき報告する.
【略歴】三菱商事(株)企画業務部顧問 兼 ビジネスサービス部門顧問.1975年東京大学理学部卒業後,日本IBM入社.東京基礎研究所所長,米国ワトソン研究所,大和SW開発研究所所長,先進事業担当,未来価値創造事業担当を経て,2012年3月より三菱商事(株).科学技術振興機構 研究開発戦略センター上席フェロー.東京工業大学客員教授.情報処理学会フェロー,日本学術会議連携会員.Ph.D. (米国プリンストン大学).
 
11:00-12:00 パネル討論 知のコンピューティング,次の一歩
【討論概要】本パネルでは,動き出した知のコンピューティングの現状を踏まえて,次の一歩について議論する.
パネル司会:岩野 和生 (三菱商事株式会社 ビジネスサービス部門 顧問)
【略歴】三菱商事(株)企画業務部顧問 兼 ビジネスサービス部門顧問.1975年東京大学理学部卒業後,日本IBM入社.東京基礎研究所所長,米国ワトソン研究所,大和SW開発研究所所長,先進事業担当,未来価値創造事業担当を経て,2012年3月より三菱商事(株).科学技術振興機構 研究開発戦略センター上席フェロー.東京工業大学客員教授.情報処理学会フェロー,日本学術会議連携会員.Ph.D. (米国プリンストン大学).
パネリスト:萩田 紀博 (株式会社国際電気通信基礎技術研究所 取締役 所長)
【略歴】1978年慶應義塾大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了,同年日本電信電話公社(現NTT)武蔵野電気通信研究所に入所,NTT基礎研究所,ATR知能ロボティクス研究所所長などを経て,現職. 主な研究分野は,ネットワークロボット,ヒューマン・ロボット・インタラクション,パターン認識等.工学博士.IEEE,電子情報通信学会,情報処理学会,人工知能学会各会員,日本学術会議連携会員.
パネリスト:山口 高平 (慶應義塾大学 理工学部 教授)
【略歴】1979年大阪大学工学部通信工学科卒業,1984年同大学院工学研究科博士後期課程修了.同年大阪大学産業科学研究所助手.1989年静岡大学工学部助教授.1997年同大学情報学部教授.2004年より慶應義塾大学理工学部教授.工学博士.定理証明の研究を経て,知識システム,データマイニング,オントロジー,知能ソフトウェア工学などに関する研究に従事.2007年度大川出版賞.人工知能学会前会長.電子情報通信学会,人工知能学会,情報システム学会,AAAI,IEEE-CS等の会員.
パネリスト:佐藤 洋一 (東京大学 生産技術研究所 教授)
【略歴】1990年東京大学工学部機械工学科卒.1997年カーネギーメロン大計算機科学部博士課程了.東京大学生産技術研究所研究機関研究員,講師,助教授,同大学大学院情報学環准教授を経て,2010年より同大学生産技術研究所教授.現在,同研究所副所長,同研究所附属ソシオグローバル情報工学研究センター長.コンピュータビジョンに関する研究に従事.2011年日本学術振興会賞,2010年,2008年,2006年電子情報通信学会論文賞,2011年情報処理学会50周年記念論文賞,2000年日本VR学会論文賞等を受賞.
パネリスト:渡邊 克巳 (東京大学 先端科学技術研究センター 准教授)
【略歴】1995年東京大学文学部心理学科卒,2001年カリフォルニア工科大学計算科学-神経システム専攻博士課程修了(PhD).産業技術総合研究所研究員,科学技術振興機構ERATO下條潜在脳機能プロジェクト意思決定Gリーダーなどを経て,2006年東京大学先端科学技術研究センター助教授(2007年より准教授).主な研究の興味は人間の心の意識的・無意識的過程の科学的解明,認知科学のその他の研究分野への拡張,産学連携を通じた社会への還元など.
パネリスト:鈴木 健嗣 (筑波大学 システム情報系・サイバニクス研究センター 准教授)
【略歴】1997年早稲田大学理工学部物理学科卒,同大学院理工学研究科博士課程修了.博士(工学).同大学助手,筑波大学講師を経て,現職.主な研究分野は,人間情報学,拡張生体学,サイバニクス,人支援ロボティクス,ソーシャルロボティクスなど.1997年イタリア・ジェノヴァ大学客員研究員,2009年フランス・College de France/CNRS客員研究員 .2011年より科学技術振興機構(JST)さきがけ研究者.IEEE,ACM,電子情報通信学会,人工知能学会等の会員.