情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス 情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス
デジタルフォレンジック(デジタル鑑識)を支える情報処理技術
日時:3月19日(木曜日)9:30-12:00
会場:第5イベント会場(吉田南総合館 2F 共北27)
【セッション概要】捜査や裁判(刑事・民事)に必要な情報(たとえばサーバへの侵入経路やメール発信者の真偽など)を,情報処理技術を用いて明らかにする技術や学問であるデジタルフォレンジックはPC遠隔操作事件など見られるように重要性が非常に高まっている.デジタルフォレンジックは警察などが使うだけでなく,民間でも広く使われてはじめており,このデジタルフォレンジックのためにはセキュリティ技術,自然語処理技術,パターン認識技術など多くの情報処理技術が必要とされる.それにもかかわらず,研究に従事する情報処理技術者の数が日本では非常に少ない.デジタルフォレンジックの概要と最近の動向を解説するとともに,具体的ニーズや必要な技術を明確化することにより,研究人口の増加と,日本のデジタルフォレンジックビジネスの活性化を通じて安全な日本の実現を図る.
司会:佐々木 良一 (東京電機大学 未来科学部情報メディア学科)
【略歴】1971年4月日立製作所入所.セキュリティ技術等の研究開発に従事.2001年4月より東京電機大学教授.工学博士(東京大学).2002年情報処理学会論文賞受賞.2013年IFIP Outstanding Service Award.著書に,「インターネットセキュリティ入門」岩波新書1999年,「ITリスク学 情報セキュリティを超えて」共立出版2013年等.日本セキュリティ・マネージメント学会会長,デジタル・フォレンジック研究会会長,内閣官房情報セキュリティ補佐官.
9:30-10:00 講演(1) デジタルフォレンジックの概要と最近の動向
上原 哲太郎 (立命館大学 情報理工学部 教授)
【講演概要】デジタル・フォレンジックは,サイバーセキュリティを考える上で要となる研究分野であるが,残念ながら我が国における研究活動は活発とはいえない.本講演ではデジタル・フォレンジックに関わるいくつかの学会発表を概観し,最近の研究動向を紹介する.
【略歴】1992年京都大学工学部情報工学科卒業.1995年同大学院工学研究科情報工学専攻研究指導認定退学.同大学院工学研究科助手,和歌山大学情報処理センター講師,同大システム工学部講師,京都大学工学研究科附属情報センター助教授,同大学術情報メディアセンター准教授を経て,2011年総務省勤務,通信規格や情報セキュリティ政策を担当.2013年4月より現職.NPOデジタル・フォレンジック研究会理事,NPO情報セキュリティ研究所理事,和歌山県警サイバー犯罪対策アドバイザー,芦屋市CIO補佐官などを兼務.
 
10:00-10:45 講演(2) PC遠隔操作事件から見たデジタルフォレンジック
松本 隆 (SCSK株式会社 グローバルセキュリティソリューション部 エバンジェリスト)
【講演概要】PC遠隔操作事件はネットにつながっている快適さや便利さの裏側,何の落ち度もない個人のPCが誰かに踏み台にされ,悪用され得るという可能性を広く世間に知らしめた.現状はTorのようなHidden Serviceを悪用することにより犯罪者が追跡のリスクを恐れることなく,不正アクセスを行うことが可能である.これに対しサイバー捜査の技術の要であるはずのデジタルフォレンジックは,既に技術的な限界が見えている.講演では,PC遠隔操作事件で改めて明らかになったデジタルフォレンジックの技術的限界について指摘し,研究者や技術者が取り組むべき課題について議論をしたい.
【略歴】韓国の画像処理ベンチャーでネットワークエンジニアとして活動した後,2002年ネットエージェント(株)に入社.フォレンジック調査部にてコンピュータ・フォレンジック調査及び,P2Pネットワーク調査サービスの責任者として活動.2009年より同社フォレンジックエバンジェリストとしてフォレンジック分野のISOや国内標準化に係る.2014年よりSCSK(株)エバンジェリストとして活動中.デジタル・フォレンジック研究会理事(2008~),東京電機大学サイバー・セキュリティ研究所研究員(2013~),GIAC Certified Forensics Analyst(GCFA),Certified Fraud Examiner(CFE).
 
10:45-12:00 パネル討論 デジタルフォレンジックの今後と必要な技術
【討論概要】最初にデジタルフォレンジックに関連して今後重要となる情報処理技術を,警察や弁護士,研究者,実務家の立場から提言していただく.そのような技術開発の国内外の状況を確認するとともに,そのような技術者が研究開発に参加してもらえるための戦略を議論する.
パネル司会:佐々木 良一 (東京電機大学 未来科学部情報メディア学科)
【略歴】1971年4月日立製作所入所.セキュリティ技術等の研究開発に従事.2001年4月より東京電機大学教授.工学博士(東京大学).2002年情報処理学会論文賞受賞.2013年IFIP Outstanding Service Award.著書に,「インターネットセキュリティ入門」岩波新書1999年,「ITリスク学 情報セキュリティを超えて」共立出版2013年等.日本セキュリティ・マネージメント学会会長,デジタル・フォレンジック研究会会長,内閣官房情報セキュリティ補佐官.
パネリスト:安冨 潔 (京都産業大学 大学院法務研究科 客員教授/弁護士)
【略歴】1990年慶應義塾大学法学部教授,2004年慶應義塾大学大学院法務研究科・法学部教授,2014年慶應義塾大学名誉教授・京都産業大学法務研究科客員教授.1993年弁護士登録.専門は刑事法(情報犯罪).博士(法学).警察庁情報セキュリティビジョン策定委員会委員,高度情報通信社会推進本部(2000年7月7日情報通信技術(IT)戦略本部に改組)個人情報保護検討部会委員,警察庁不正プログラム調査研究委員会委員長,情報セキュリティ政策会議基本計画検討委員会委員などを務める.2004年からデジタル・フォレンジック研究会副会長.
パネリスト:野本 靖之 (中部管区警察局石川県情報通信部長)
【略歴】2001年警察庁情報通信局技術対策課課長補佐として,サイバーテロ対策やサイバー犯罪対策の技術サポートを担当.2004年東京都警察情報通信部情報技術解析課調査官.2006年警察大学校附属警察情報通信学校教授として,情報技術の解析に関する教育訓練実務を担当.2009年警察大学校警察情報通信研究センター応用第三研究室長として,情報技術の解析に関する技術の研究開発を担当.2011年北海道警察情報通信部通信施設課長.2012年警察庁情報通信局情報技術解析課理事官.2014年4月から同課高度情報技術解析センター所長として,警察庁におけるデジタル・フォレンジックの実施を担当.2015年3月から現職.
パネリスト:上原 哲太郎 (立命館大学 情報理工学部 教授)
【略歴】1992年京都大学工学部情報工学科卒業.1995年同大学院工学研究科情報工学専攻研究指導認定退学.同大学院工学研究科助手,和歌山大学情報処理センター講師,同大システム工学部講師,京都大学工学研究科附属情報センター助教授,同大学術情報メディアセンター准教授を経て,2011年総務省勤務,通信規格や情報セキュリティ政策を担当.2013年4月より現職.NPOデジタル・フォレンジック研究会理事,NPO情報セキュリティ研究所理事,和歌山県警サイバー犯罪対策アドバイザー,芦屋市CIO補佐官などを兼務.
パネリスト:松本 隆 (SCSK株式会社 グローバルセキュリティソリューション部 エバンジェリスト)
【略歴】韓国の画像処理ベンチャーでネットワークエンジニアとして活動した後,2002年ネットエージェント(株)に入社.フォレンジック調査部にてコンピュータ・フォレンジック調査及び,P2Pネットワーク調査サービスの責任者として活動.2009年より同社フォレンジックエバンジェリストとしてフォレンジック分野のISOや国内標準化に係る.2014年よりSCSK(株)エバンジェリストとして活動中.デジタル・フォレンジック研究会理事(2008~),東京電機大学サイバー・セキュリティ研究所研究員(2013~),GIAC Certified Forensics Analyst(GCFA),Certified Fraud Examiner(CFE).