情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス 情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス
IPSJ-ONE
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日時:3月17日(火曜日)13:00-15:00
会場:第1イベント会場(百周年時計台記念館 1F 百周年記念ホール)
【セッション概要】情報処理学会では,3領域38の研究会で活動が行われ約2万人の会員が在籍しているが,異なる研究会や研究領域あるいは情報処理学会全体でどのような研究がなされ注目を集めているのかを知る機会は少ない.本企画では,その多様な研究分野を垣根なく俯瞰し,すぐれた研究を自らの言葉で語れるプレゼン力の高い,若手を中心とした研究者を,希望する研究会が主体的に推薦する形式で募集した.その結果,多数の応募の中から15名の招待講演者を厳選し,またIPSJ-ONE企画・実施委員会の推薦により4名の招待講演者を決定した.この講演会はこうした特別な招待講演者19人達による「見逃せない講演会」であり,19人が持ち時間1人5分で次々に登壇していく.さらに講演内容は専門家のみならず,高校生,学部生,他分野での聴衆が理解しやすいように内容も配慮し,招待講演者を選定した.異分野間の融合やそれぞれの研究の発展に役立て,さらなる情報処理の可能性を社会に問い,新たなコラボレーションや展開を作り出していく場とするため,マスメディア・ネットメディア,動画中継,ステージ演出を含め,講演だけで終わることのない情報発信やネットワーキングの場として多数の演出やアウトリーチを予定している.
司会:落合 陽一 (IPSJ-ONE企画・実施委員会 委員長/東京大学 大学院学際情報学府 暦本研究室 博士課程/独立行政法人日本学術振興会 特別研究員)
【略歴】メディアアーティスト,日本学術振興会特別研究員,情報処理学会新世代企画委員,筑波大学非常勤講師.米国MicrosoftResearchを経て,現在東大にて博士審査中.IPA認定スーパークリエータ,LAVAL VIRTUALグランプリ&部門賞,ACE最優秀論文賞,グッドデザイン賞,経済産業省Innovative Technologies賞&特別賞.プロジェクトは,CGCHANNELが選ぶ2014年のベストSIGGRAPH論文や,NewScientist誌が選ぶ2012年のベストビデオ等に選ばれている.自身やプロジェクトはBBCやディスカバリーチャンネルなどに特集されており,TED World Talent SearchやTEDxTokyoではスピーカーを努め好評を博した.
司会:稲見 昌彦 (IPSJ-ONE企画・実施委員会 副委員長/慶應義塾大学 大学院メディアデザイン研究科 教授)
【略歴】慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授.博士(工学).東京大学助手,電気通信大学教授,MITコンピュータ科学・人工知能研究所客員科学者等を経て2008年4月より現職.拡張現実感システム,触覚インタフェースなど,五感に関わる新規ユーザインタフェースを多数開発.米TIME誌Coolest Invention of the Year,文部科学大臣表彰若手科学者賞,義塾賞,情報処理学会長尾真記念特別賞などを受賞.
13:00-15:00 セッション
【講演概要】全19名の招待講演者が持ち時間5分で連続的に登壇する.各講演者は各研究会から推薦を受けた中より選抜された15名と,IPSJ-ONE企画・実施委員会の推薦を受けた4名であり,各々が各研究分野を代表とするような研究を行っており,またプレゼンテーション能力も卓越している.登壇順は現在調整中・下記のプログラムの記載は五十音順.

[研究会推薦]

研究会推薦:招待講演(1) 深層学習で自然言語処理を変える
[自然言語処理研究会]
Kevin Duh (奈良先端科学技術大学院大学 助教)
【講演概要】単語や句の意味はどのように表現すべきか?意味の表現を自動獲得することは可能か?これら大問題に適切な答えを与えることができれば,構文解析や機械翻訳,質問応答など,自然言語処理の様々な技術に革新をもたらすだろう.近年急速な発展を見せる深層学習はその有力な候補である.本講演では,単語の意味がニューラルネットのパラメタとして表現でき,そうした意味表現が生のテキストから自動学習できることを示す.これによって多様な言語知識や言語直感を自然言語の意味計算に統合できるようになる.画像認識や音声認識のような他の領域における深層学習とは違い,自然言語の深層学習では深さよりもむしろ「幅」が重要であることも論じたい.
【略歴】2003年米国ライス大学工学部電気工学専攻卒業.2006年米国ワシントン大学大学院電気工学研究科修士課程修了.2009年同大学院博士後期課程修了.同年NTTコミュニケーション科学基礎研究所リサーチアソシエイト.2012年奈良先端科学技術大学院大学助教.自然言語処理に関する研究に従事.
 
研究会推薦:招待講演(2) 「関係」の科学と知的なコンピュータシステム
[アルゴリズム研究会]
秋葉 拓哉 (東京大学 情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻 博士課程)
【講演概要】莫大なデータ,いわゆる「ビッグデータ」の活用に注目が集まっています.しかし,現在のシステムが得意としているのは主に「表」の形で表されるデータです.一方,人間関係,企業間の取引関係,脳,ウェブページ,概念間の関係などといった「関係」のデータの活用には多くの課題があります.本講演では,現実世界の関係に関する興味深い科学的知見を活用しそれらの課題に挑戦する私の研究を紹介します.
【略歴】2011年 東京大学理学部情報科学科 卒業.2013年 東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻 修士課程 修了.2013年 東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻 博士課程 進学.日本情報オリンピック2006優勝,ACM-ICPC 2012 世界大会 銅メダル,ICFP-PC 2013優勝.「プログラミングコンテストチャレンジブック」共著,「世界で闘うプログラミング力を鍛える150問」訳監.現在はソーシャルネットワークやウェブグラフといった大規模グラフに対するアルゴリズム設計の研究に従事.
 
研究会推薦:招待講演(3) 技術的特異点(シンギュラリティ)より向こうの世界
[インターネットと運用技術研究会]
柏崎 礼生 (大阪大学 サイバーメディアセンター 助教)
【講演概要】数学者ノーバート・ウィーナーは1961年に氏の著書「サイバネティクス」で「人間の仕事をやってくれる,新しくかつ最も有能な機械的奴隷の集団を人類が持つことになる」と語った.しかし人類が機械の奴隷となっているのが21世紀の現状であり「運用技術」というプロトコルにより偉大なる機械の恩恵に預かっている.30年後,肉体のみならず知性においても機械が人間を超越する,いわゆる「技術的特異点」(シンギュラリティ)を迎えると言われている.この潮流に対する抵抗は無意味か,我々は同化されるのか,社会的インフラとなりつつあるインターネットとその運用技術の観点から論じる.
【略歴】北海道大学大学院を二度退学後,北海道大学大学院情報科学研究科助教,東京藝術大学芸術情報センター特任助教を経て2012年から大阪大学サイバーメディアセンター助教.博士(情報科学).専門は萌え領域,経路制御,インタークラウドコンピューティング,破壊的ネットワーク.興味分野は人工生命,アニメーション,絶対領域.
 
研究会推薦:招待講演(4) 大丈夫.暗号は敵じゃない.
[コンピュータセキュリティ研究会]
金岡 晃 (東邦大学 講師)
【講演概要】ネットワークにつながる世界で身近になったセキュリティとプライバシの脅威.対策は様々なアプローチがあります.しかし対策を適用する人であるエンドユーザやサービス提供者そして開発者たちにとってそれらは「面倒くさい」「難しい」「煩わしい」というところがあります.本当に使いたい・作りたいサービスがある人たちにとっては,『セキュリティ・プライバシをしっかり!』という外部からの声は,敵からの声とさえ思っているかもしれません.そうではないよ.大丈夫だよ.いま大きく注目されている研究分野,セキュリティ・プライバシとそのユーザビリティ.そのユーザビリティについて,暗号技術にフォーカスを当ててその解決に向けたアプローチを紹介します.
【略歴】2004年筑波大学大学院博士課程システム情報工学研究科修了.同年セコム(株)入社. 筑波大学システム情報工学研究科研究員,同助教を経て2013年より東邦大学理学部講師.2010年より情報通信研究機構招へい専門員兼務.セキュリティとプライバシのユーザビリティ,暗号技術の応用,リスクの定量化に関する研究に従事.
 
研究会推薦:招待講演(5) マッチング問題と離散最適化
[アルゴリズム研究会]
神山 直之 (九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 准教授)
【講演概要】マッチング問題とは参加者間の「良い」割り当てを求める問題であり,本講演では特に参加者が相手に選好を持つ設定を考える.このような選好を持つマッチング問題は,最も基本的な問題である安定マッチング問題が提案されて以来,その数学的な美しさのみならず実用的な有益性から広く研究されてきた.この問題の特徴的な点の一つとして,経済学,計算機科学,数学といった異なった分野でそれぞれ研究され,また互いに影響を与えながら発展を遂げている点があげられる.本研究では,近年講演者が進めている,選好を持つマッチング問題に対する,離散最適化における抽象概念であるマトロイドを軸としたアプローチを紹介する.
【略歴】2004年3月京都大学工学部建築学科卒業,2006年3月京都大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了,2009年3月京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了および博士(工学),その後中央大学理工学部情報工学科助教を経て2011年10月より現職.また,2014年10月より,独立法人科学技術振興機構さきがけ研究者を兼任.
 
研究会推薦:招待講演(6) Bikeinformatics: 情報科学的二輪車研究
[高度交通システムとスマートコミュニティ研究会]
木谷 友哉 (静岡大学 大学院情報学研究科 理工系情報学分野 准教授)
【講演概要】自動二輪車の世界年間生産台数は自動車とほぼ同数の6千万台であり,特筆すべきはその世界シェアの50%以上を日本の4メーカで占めていることです.車体を傾けて旋回する二輪車は,四輪車と運動が大きく異なるため,独自の研究が必要になります.しかし,先進国では趣味性が高い乗り物として,発展途上国では市民の安価な主要交通手段として使われているため,二輪車分野では未だ情報処理技術が活用されていません.環境負荷が小さく,人間の身体動作に近い二輪車は,未来の移動手段の主役になると期待できます.情報科学的に二輪車を研究し,未来の中心的な交通インフラとしてだけでなく,センシングインフラとしても二輪車を使う私の研究プロジェクトについて紹介します.
【略歴】2000年 奈良工業高専 情報工学科卒,2006年 大阪大学 大学院情報科学研究科 博士後期課程修了,博士(情報科学).奈良先端科学技術大学院大学 助教,静岡大学 特任助教を経て,2013年より現職.組合せ最適化を基礎として,コンピュータネットワークや組込みシステムの研究に取り組み,最近は高度交通システム(ITS)の研究に従事.情報処理学会ITS研究会幹事,DPS研究会委員.自動車技術会 二輪車の運動特性部門委員会委員.16歳からバイクに乗り,21歳に重傷を負いバイクを下りるも,28歳にバイクのふるさと浜松への転勤を機に家族に無断でリターンライダーとなり今に至る.
 
研究会推薦:招待講演(7) 超低遅延HPCネットワークのためのランダムトポロジ
[計算機アーキテクチャ研究会]
鯉渕 道紘 (国立情報学研究所 准教授)
【講演概要】メニーコア並列アプリケーションと高性能計算機の大規模化が進むにつれて性能への通信遅延の影響が大きくなってきている.例えば,エクサスケールスーパーコンピュータ(スパコン)で期待されるノード間通信遅延は 1μ(マイクロ)秒である.本研究では典型的な既存のトポロジにランダムなショートカットリンクを加えたトポロジを探求する我々のアプローチにより,この数値目標が実現可能であることを示す.さらに,実装に関して1台のスパコンで2,000kmを越えるなどのケーブリング問題の解決策として我々が進めている光無線技術について述べる.
【略歴】2003年 慶應義塾大大学院理工学研究科後期博士課程修了.博士(工学).現在,国立情報学研究所准教授,総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻准教授(併任).高性能コンピュータシステムと相互結合網に関する研究に従事.2007年度情報処理学会論文賞,2013年 ASP-DAC best paper award,文部科学大臣表彰(若手科学者賞)など受賞.IEEE,情報処理学会各会員.
 
研究会推薦:招待講演(8) 解析するデータを沢山にすると,なぜか発見が減るジレンマを乗り越える〜生命情報解析を例に
[バイオ情報学研究会]
瀬々 潤 (独立行政法人産業技術総合研究所 ゲノム情報研究センター チーム長)
【講演概要】生命情報の増加速度はムーアの法則を凌ぐ.この爆発するデータを情報科学の力で解析し,医療・創薬・健康管理の発展へと繋げることが期待されているが,実際にはデータ量に反比例して発見が減る「ビッグデータのジレンマ」がつきまとう.我々は,このジレンマには結果の統計的信頼性の保証に必須である多重検定補正が,現代のビッグデータに対しては,十分な精度が出ないことを見出した.そして,データマイニングの頻出パタン列挙法を応用し,高速かつ精度良く多重検定を補正する無限次数多重検定法(LAMP)を開発した.本講演では,LAMPを紹介した上で,遺伝子情報解析に応用し,乳がん特有の細胞内活動を明らかにした例を紹介する.
【略歴】1999年東大計数工学科卒.東大大学院複雑理工学専攻を経て,2005年博士(科学)取得.東大生物情報学部教育特別プログラム特任助手(2004~2006年),お茶の水女子大情報科学科准教授(2006~2011年,2014年),東工大計算工学科准教授(2011~2014年)を経て,2014年10月より産総研CBRC研究チーム長.大規模な生命情報を解析するデータマイニング・機械学習・統計手法の開発と共に,それらを応用し,生物・医学・農学等の実験のあり方を変える研究に従事.
 
研究会推薦:招待講演(9) もしもピアノが弾けたなら~理想のピアノ学習支援システムを目指して~
[音楽情報科学研究会]
竹川 佳成 (公立はこだて未来大学 システム情報科学部 准教授)
【講演概要】「ピアノの練習はつまらない」「レッスンの日が憂鬱だった」などピアノ演奏の初期段階で挫折する人は多い.ピアノ初学者のスタートアップを支援するために,指使いなどの演奏認識技術,鍵盤へのプロジェクションマッピングによるピアノ演奏学習支援システム,補助情報からの離脱機能による自立支援システムなどを開発してきた.また,提案する学習支援システムを多面的に評価し,学習体験(理解度・学習態度・学習方略など)の変容について調査分析してきた.本発表では,一連の演奏研究を紹介すると同時に,得られた知見を技能全般へと一般化し,技能獲得にかかる時間予測やスランプ予報など新たな学習体験の創出の可能性や,知的創造時代における技能獲得活動の意義について議論する.
【略歴】2003年三重大学工学部情報工学科卒業.2005年大阪大学大学院情報科学研究科修士課程了.2007年同大学院情報科学研究科博士課程修了.同年より神戸大学自然科学系先端融合研究環重点研究部助教.2007年よりCrestMuseプロジェクト共同研究員を兼任.2012年より公立はこだて未来大学システム情報科学部助教.2014年より公立はこだて未来大学システム情報科学部准教授,現在に至る.2011年にはMIT Media Lab.にてAssistant Visiting Professorを兼務.博士(情報科学).2013年度 情報処理学会 山下記念研究賞(音楽情報科学研究会およびエンタテインメントコンピューティング研究会)をダブル受賞する.同年度に2つの異なる研究会から山下記念研究賞を受賞することは初の事例.その他受賞多数.
 
研究会推薦:招待講演(10) IPv4/IPv6ネットワーク上のシームレス通信技術
[モバイルコンピューティングとユビキタス通信研究会]
内藤 克浩 (愛知工業大学 情報科学部 情報科学科 准教授)
【講演概要】IPv4ネットワークでは,ポート・アドレス変換技術によりエンド端末間の直接通信が阻害されている.また,IPv6ネットワークは,IPv4ネットワークとの互換性がなく,エンド端末間が意識することなく相互通信を行うことは困難である.さらに,近年の端末は複数の通信インターフェースを切り替えて利用している.著者らは,IPv4プライベートネットワーク・IPv4グローバルネットワーク・IPv6グローバルネットワーク間のエンド端末間の直接通信と移動透過性を実現可能なシームレス通信技術であるNetwork Traversal with Mobility(NTMobile)の開発を進めてきた.発表では,NTMobileにより実現可能なサービスの紹介と実装概要について説明する.
【略歴】1999年慶應義塾大学理工学部電気工学科卒業.2004年名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士課程後期課程修了.同年,三重大学工学部電気電子工学科助手.2007年同大学大学院工学研究科電気電子工学専攻助教. 2011年カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員.博士(工学).無線ネットワーク,ネットワークモビリティの研究に従事.電子情報通信学会,IEEE各会員.
 
研究会推薦:招待講演(11) 人間の歌い方を真似る歌声合成システムVocaListenerと歌手の声質分析技術
[音楽情報科学研究会]
中野 倫靖 (独立行政法人産業技術総合研究所 情報技術研究部門 メディアインタラクション研究グループ 主任研究員)
【講演概要】歌声の音響信号を対象とした「歌声情報処理技術」は,商業音楽の制作における歌声合成や音高補正,カラオケの歌唱採点など,世の中の様々な場面で利用されています.本講演では,歌声の合成と分析に関する研究事例として,人間の歌い方(お手本)を真似て歌声合成できる技術 VocaListener(ボーカリスナー,略称「ぼかりす」)と,歌唱時の表情を真似てロボットの顔動作を生成できる技術VocaWatcher(ボーカウォッチャー,略称「ぼかうお」)を紹介します.また歌声分析に関する最新の成果として,複数の楽器音が含まれる音楽中のボーカルについて,歌手同士の類似度や歌手の性別を推定できる声質分析技術も紹介します.
【略歴】2003年図書館情報大学卒業,2008年筑波大学図書館情報メディア研究科博士後期課程修了.博士(情報学).現在,産業技術総合研究所主任研究員.情報処理学会,日本音響学会各会員.2006年 日本音楽知覚認知学会 研究選奨,2007年 情報処理学会インタラクション2007 インタラクティブ発表賞,2009年 情報処理学会 山下記念研究賞(音楽情報科学研究会),2010年 情報処理学会音楽情報科学研究会(夏のシンポジウム2010) ベストプレゼンテーション賞,2013年 Sound and Music Computing Conference (SMC 2013) The Best Paper Award 各受賞.
 
研究会推薦:招待講演(12) 時系列ビッグデータのための非線形解析とその応用
[データベースシステム研究会]
松原 靖子 (熊本大学 大学院自然科学研究科 助教)
【講演概要】近年の情報化社会では,Webやソーシャルメディアの発展,センサネットワークの大規模化などにより,取り扱うデータ量が飛躍的に増大している.そして,大規模な時系列データを効果的かつ効率的に解析するためのデータマイニング技術が非常に重要になっている.本講演では,Web情報,センサデータ,医療情報などを例に挙げ,時系列ビッグデータ解析に関する最先端技術を紹介する.特に,ソーシャルネットワークにおける情報伝搬モデル,Webアクセス履歴データのための情報予測技術,センサデータからの特徴自動抽出技術,疫病データを対象としたテンソル非線形解析など,最新の研究成果を紹介するとともに,時系列解析に関する研究の新しい方向性についても述べる.
【略歴】2006年お茶の水女子大学理学部情報科学科卒業.2009年同大学院博士前期課程修了.2012年京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻博士後期課程修了.博士(情報学).NTTコミュニケーション科学基礎研究所RA,日本学術振興会特別研究員PD,カーネギーメロン大学客員研究員を経て,2014年より熊本大学大学院自然科学研究科助教.大規模時系列データマイニングに関する研究に従事.ACM,情報処理学会,日本データベース学会各会員.
 
研究会推薦:招待講演(13) 歴史学の情報?
[人文科学とコンピュータ研究会]
山田 太造 (東京大学 史料編纂所 助教)
【講演概要】歴史学にはどのような情報が存在しているのか,それらはなぜ歴史学では必要とされているのか,1つの歴史資料からどのような情報が生成されるか,など歴史学(特に日本史学)を取り巻く情報とその利活用を取り上げる.特に,歴史資料の多様な情報をリンクしていくための手法や情報生成のための手法,さらに歴史学的分析を支援するためのデータマイニングの利用について取り上げる.
【略歴】博士(情報学).2005年総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻博士後期課程終了.国立情報学研究所特任研究員,東京大学史料編纂所特任助教,人間文化研究機構本部特任助教を経て,現在東京大学史料編纂所助教.専門はデータ工学・歴史情報学.日本史史料からの情報抽出・史料に対するテキストマイニング・歴史情報検索の精度向上の研究に従事.
 
研究会推薦:招待講演(14) 音声対話システムの現在と未来
[音声言語情報処理研究会]
吉野 幸一郎 (京都大学 学術情報メディアセンター/独立行政法人日本学術振興会 特別研究員)
【講演概要】近年,スマートフォンの普及と音声認識技術の向上により,音声を利用して対話を行うアプリケーションが注目を浴びている.しかしまだ,こうしたアプリケーションでは人間の秘書やコンシェルジュに話すように自由に対話を行うことが出来ない.こうしたアプリケーションは,明確なタスクゴールを意識した特定のタスクを遂行することによって実現されているが,システムに対する人間の要求は実際には複雑かつ曖昧でゴールを明確化する必要がある.こうしたユーザの要求を明確化しつつ行う対話を情報案内対話と呼び,この実現のためにどのようなアプローチを行ってきたか,またこれからどのような展望が考えられるかについて述べる.
【略歴】2009年慶應義塾大学環境情報学部卒業.2011年京都大学大学院情報学研究科修士課程修了.2014年同大学大学院情報学研究科博士後期課程修了.同年より日本学術振興会特別研究員(PD).京都大学博士(情報学).音声言語処理および自然言語処理,特に音声対話システムに関する研究に従事.2013年度人工知能学会研究会優秀賞受賞.情報処理学会,人工知能学会,言語処理学会,ACL各会員.
 
研究会推薦:招待講演(15) 「24時間飛行ドローン」と「センサ情報・映像統合配信技術」で都市を守り,未来へ導く
[ユビキタスコンピューティングシステム研究会]
米澤 拓郎 (慶應義塾大学 特任助教)
【講演概要】様々なセンサ・カメラを搭載した無人飛行機(ドローン)技術が発展しているが,ドローンで都市を見守るためには,バッテリーによる飛行時間の短さや,取得したセンサデータと映像を統合しリアルタイムかつ大規模に配信する手法が確立されていないという問題が存在する.本講演では我々が研究開発した要素技術,(1)24時間飛行可能なドローンシステム,および(2)既存映像配信サービス上でセンサデータと映像を同時に配信する手法,を組み合わせ,都市を半永久的に上空から見守れるシステムを紹介する.また,大災害により地上が破壊された状況でもドローンが自動飛行を開始できるよう,本システムは準天頂衛星を活用するという特徴も有する.
【略歴】2010年慶應義塾大学博士号取得(政策・メディア).2012年カーネギーメロン大学客員研究員.システム・ネットワーク・ヒューマンコンピュータインタラクションの交点に興味.現在,日欧共同研究ClouTプロジェクト,総務省G空間プロジェクト,NICTソーシャルビッグデータプロジェクト等においてIoTとクラウドコンピューティングの統合技術,データ解析等の研究開発に従事.2009年IBM Ph.D Fellowship Award,2013年情報処理学会山下記念研究賞等受賞.
 

[IPSJ-ONE企画・実施委員会推薦]

IPSJ-ONE企画・実施委員会推薦:招待講演(1) 身体ハッキング
遠藤 謙 (株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 アソシエイトリサーチャー/Xiborg 代表取締役)
【講演概要】人間の身体にはまだまだ隠された機能があります.それを引き出すことによって人間の生活スタイルは激変する可能性を秘めています.損なわれた機能を補うだけでなく拡張することができれば,障がい者,健常者,高齢者の身体機能の境界線がなくなり,すべての人が分け隔てなく体を動かす喜びを感じることができます.さらには,身体能力の欠如に対するネガティブな考え方も変えることができるのです.その事例として,我々のチームが行っているロボット義足や競技用義足等の紹介を通して,人間の身体能力や人間と社会との関係に起こる変革を紹介いたします.そして,我々が考える将来のパラリンピックの理想像についても紹介します.
【略歴】マサチューセッツ工科大学メディアラボバイオメカニクスグループにて博士取得.現在,ソニーコンピュータサイエンス研究所研究員.ロボット技術を用いた身体能力の拡張に関する研究や途上国向けの義肢開発に携わる.2014年には,株式会社Xiborgを起業,代表取締役に就任.2012年,MITが出版する科学雑誌Technology Reviewが選ぶ35才以下のイノベータ35人(TR35)に選出された.また,2014年にはダボス会議ヤンググローバルリーダーズに選出.
 
IPSJ-ONE企画・実施委員会推薦:招待講演(2) 3Dプリンタの次: 4DプリンタとIoTファブリケータの未来
田中 浩也 (慶應義塾大学 環境情報学部 准教授/SFC研究所 ソーシャルファブリケーションラボ代表)
【講演概要】止まったカタチだけしか出力できない「3Dプリンタ」は,もうそろそろいいように思います.次に来るのは,自由に素材を設定できる「マテリアルプリンタ」,センサやタグ,アクチュエータを埋め込んで好きな量だけデバイスを生産できる「IoTファブリケータ」,出力物が動き,かたちを変え,溶けて消えていくような「4Dプリンタ」などの方向性です.現在さまざまな企業と連携して開発している,創造性を挑発する新しいプリンタ&ファブリケータのプロトタイプ群を紹介します.
【略歴】1975年 北海道札幌市生まれ.京都大学総合人間学部,同人間環境学研究科,東京大学工学系研究科社会基盤工学専攻修了.博士(工学).2005年に慶應大学環境情報学部(SFC)に専任講師として着任,2008年より同准教授.2010年のみマサチューセッツ工科大学建築学科客員研究員.2012年より慶應義塾大学SFC研究所ソーシャルファブリケーションラボ代表.2013年には第9回世界ファブラボ会議(横浜)実行委員長.現在,文部科学省COI-Tサテライト「ディジタルファブリケーション国際研究拠点」慶應グループ研究リーダー.総務省「ファブ社会の展望に関する検討会」座長,経済産業省「新ものづくり検討会」委員,「新ものづくりネットワーク構築支援事業」委員等を歴任.専門分野は,3Dとネットワークを結びつけた創造性支援.
 
IPSJ-ONE企画・実施委員会推薦:招待講演(3) ゲーム発リアルタイム技術の今と未来
橋本 善久 (リブゼント・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長/ライフイズテック株式会社 執行役員CTO)
【講演概要】昨今のビデオゲームの表現技術の進歩は目覚しく,映画のCGや実写の映像の水準に徐々に近づこうとしています.現在の動向のご紹介とこれからの他業界への応用の可能性についてお話します.
【略歴】1973年愛知県生まれ.東京大学工学部卒業後,(株)セガでプログラマやゲームディレクターとして家庭用ゲームソフト開発に従事.その後(株)スクウェア・エニックスのCTO/R&D部門長として全社技術の推進,開発マネジメントの改善,技術者採用促進と育成等に努める.2014年春より独立し,リブゼント・イノベーションズ(株)を設立.「仕事に活気を,人生に潤いを.」をテーマに,生活・仕事・エンターテイメントがクロスする領域で人々の日常のささやかな幸せ作りに貢献するソフトウェア会社を目指す. 2014年12月より,ライフイズテック(株) 執行役員CTOを兼務.2015年1月より(株)INEI 執行役員 プロデューサーを兼務.代表作は「ソニック・ワールドアドベンチャー」,「Agni’s Philosophy ‒ FINAL FANTASY Realtime Demo」,「FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア」等.
 
IPSJ-ONE企画・実施委員会推薦:招待講演(4) ハコスコってなに?
藤井 直敬 (独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター 適応知性研究チーム チームリーダー/株式会社ハコスコ 代表取締役社長)
【講演概要】ハコスコは,理化学研究所で開発されたSR(代替現実)技術をベースとしたVR体験サービスです.ハコスコを通じて,一般の方々にあまり馴染みのないVRを,誰もが持っているスマートホンを用いて体験出来るようにするための仕組みを提供しています.この仕組みを使うことで,だれもが簡便にVR体験の入り口に立つことができ,さらにはVRを超えたSR体験への導線も準備されています.現実と仮想の境界をいかに自由に飛び越えるか,そのための仕組みをどのように作り上げるのかについてお話します.
【略歴】1965年広島県生まれ.東北大学医学部卒業.同大医学部眼科学教室にて初期研修後,同大大学院に入学,博士号取得.1998年よりマサチューセッツ工科大学(MIT)にて研究員.2004年より理化学研究所脳科学総合研究センター副チームリーダー.2008年より同センター適応知性研究チーム・チームリーダー.2014年に株式会社ハコスコを起業.現在同社代表取締役.主な著書に,『つながる脳』『ソーシャルブレインズ入門』『拡張する脳』など.