情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス 情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス
ソーシャル・ビッグデータが切り拓く新しい社会 −ビッグデータの可能性と課題−
日時:3月18日(水曜日)9:30-12:00
会場:第1イベント会場(百周年時計台記念館 1F 百周年記念ホール)
【セッション概要】日々増え続ける膨大な量のデータ,いわゆる「ビッグデータ」は我々の身の回りの自然や社会の現象を理解し,よりよい社会へと改善するための鍵を握る次なるフロンティアです.この挑戦にはデータベース,機械学習,人工知能,データマイニング,プライバシー保護に関して既存の処理スケールを飛躍的に上回る次世代の技術開発が不可欠です.さらにビッグデータの活用には産官学の連携とともに複合的取り組みが必要となり,行政,金融,医療,教育,交通,観光,防災,農業等の分野を横断して活用するための,プラットフォームの構築と実社会へのアプリケーションの提供が求められます.そこで本イベントでは地域社会からグローバル社会における社会課題解決に貢献するビッグデータをソーシャル・ビッグデータと位置づけ,その考え方や使い方,さらにその可能性と課題についてイノベーションを鼓舞するような講演とバネルディスカッションを企画しました.
司会:蓑輪 正 (独立行政法人情報通信研究機構 主任研究員)
【略歴】2002年東大・院・工・了,博士(工学).同年 (独)総合通信研究所入(2004年情報通信研究機構に改組). ワイヤレス通信の誤り訂正符号や情報セキュリティの分散符号に関する研究開発を経て,現在,IoTにおけるビッグデータへの機械学習の応用に関する研究開発に従事.2005〜2007年米国スタンフォード大学客員研究員(日本学術振興会海外特別研究員).2009年内閣府総合科学技術会議出向.現在,同機構ソーシャルICT推進研究センター主任研究員.平12電気通信普及財団テレコムシステム技術学生賞受賞.IEEE会員.
9:30-9:40 オープニング
9:40-10:00 講演(1) ソーシャルビッグデータの利活用・基盤技術のためのオープンテストベッドJOSE
寺西 裕一 (独立行政法人情報通信研究機構 研究マネージャー)
【講演概要】ソーシャルビッグデータの利活用に必要な観測データの取得・伝送・蓄積・分析といった一連のプロセスを扱う基盤技術には,研究途上にあり,実用化に至っていないものが多い.国内でも様々な研究開発が行なわれているが,それらの技術を実用化していく上では,センサー,コンピュータ,ストレージ,ネットワークを実際に用いた実証や動作検証が必須となる.また,分析の結果,得られる状況情報が,どの程度公共の目的で実用的か等について,実際のフィールドで検証できる必要がある.しかし,上記のような実証・検証を行なう実験環境を,一般の企業や研究機関が用意することは,従来容易ではなかった.本講演では,こうした研究のための共通の実験環境を提供する大規模オープンテストベッドとして,我々が構築・運用を行なっている JOSE (Japan-wide Orchestrated Smart/Sensor Environment)について,その概要を示すとともに,具体的な実験の事例を紹介する.
【略歴】1995年3月大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程修了.1995年4月日本電信電話(株)入社.2004年3月博士(工学)(大阪大学).2005年1月大阪大学講師,2007年11月大阪大学准教授を経て,2011年8月〜現在,情報通信研究機構,大阪大学招へい准教授.情報処理学会論文賞(2011年).ユビキタス・新世代ネットワークサービス基盤の研究開発に従事.
 
10:00-10:20 講演(2) 交通ビッグデータ利活用基盤技術
豊田 正史 (東京大学 生産技術研究所 准教授)
【講演概要】大規模な商用車向けドライブレコーダデータを蓄積し,長期間にわたる運転挙動の観測に基づき運転者の支援を可能とする交通ビッグデータ利活用基盤技術の研究開発について紹介する.GPS,加速度計等を含む大規模かつ長期間の時空間データを蓄積し,気象データ等の環境データを統合した解析を可能とするデータベース技術,および,長期間にわたる多数の運転者の運転挙動の観測に基づき運転者を支援する解析・可視化技術の開発を開始しておりその一端を示す.
【略歴】東京大学生産技術研究所准教授.1994年東工大・理・情報科学卒.1996年同大大学院情報理工学研究科修士課程了.1999年同大学院情報理工学研究科博士後期課程了.博士(理学).同年,科学技術振興事業団計算科学技術研究員.ウェブマイニング,ユーザインタフェース,ビジュアルプログラミングに興味をもつ.ACM,IEEE CS,情報処理学会,日本ソフトウェア科学会各会員.
 
10:20-10:40 講演(3) 認知行動療法支援基盤とライフログ情報の活用
長谷川 晃朗 (株式会社国際電気通信基礎技術研究所 適応コミュニケーション研究所 室長)
【講演概要】これまで,うつ病などの精神疾患に効果のある認知行動療法の実施を支援するためのICT基盤の構築を進めてきた.認知行動療法において重要とされる日常生活での対処技術の実践・練習を,携帯端末上でいつでも,どこでも行え,また,その記録をインターネットを介して医師などの臨床家に開示することで,面接時以外でのフィードバックを可能にする支援基盤として構築を進めている.さらに,携帯端末で収集したライフログ情報や外部のソーシャル・ビッグデータを活用することで,さらなる支援を目指している.本講演では,認知行動療法の支援基盤に関する取り組みについて紹介する.
【略歴】2000年明治大学大学院理工学研究科電気工学専攻博士後期課程修了.博士(工学).同年 岐阜大学工学部 助手.2002年(独)通信総合研究所 専攻研究員.2004年(株)国際電気通信基礎技術研究所 研究員を経て,2013年より,スマートネットワーク研究室 室長.コグニティブ無線通信技術,無線オンデマンド技術などの研究開発に従事.電子情報通信学会,IEEE各会員.
 
10:40-11:00 講演(4) ビッグデータ活用とプライバシー保護
美馬 正司 (株式会社日立コンサルティング 公共本部 シニアマネージャー)
【講演概要】ソーシャル・ビッグデータには様々な活用,発展が期待される一方,パーソナルデータが含まれている場合も少なくなく,プライバシーへの配慮は不可欠と言えます.このような社会環境変化を踏まえ,我が国では個人情報保護法の改正が検討されており,海外に目を向けると,他の先進諸国においても同様の議論が同時進行で進められているところです.そこで,今後のソーシャル・ビッグデータの円滑な推進に役立つことを企図し,国内外におけるビッグデータとプライバシーに関する議論の動向を紹介するとともに,日立製作所,日立コンサルティングにおける取組についても紹介します.
【略歴】徳島大学卒業後,ITベンダー系シンクタンク,科学技術政策系シンクタンクを経て日立コンサルティングに入社し,現職.法政大学大学院都市政策プログラム修了(経済学修士).総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻(博士課程)単位取得退学.日立コンサルティングでは,情報大航海プロジェクト等,国の大規模プロジェクトのプロジェクトマネジメントやプライバシー等,関連した制度面の検討に従事.最近ではオープンデータ,医療情報化等のテーマにおいても活動.ISO/IEC JTC 1/SC 27 WG5 委員,単著「自治体ITガバナンス」(ぎょうせい),「ライフログ活用のすすめ」(日経BP).
 
11:00-12:00 パネル討論 ビッグデータの可能性と課題
【討論概要】ICTはネットワークを通じて情報やサービスを流通させる基盤技術として発展してきた.近年,社会で生み出される大量のデータを解析し活用させるビッグデータ処理技術に注目を集める中で,情報の流通から異種・異分野の情報に横串を通して収集・解析・利活用を行う基盤技術としてICTを活用することに注目を集めている.このような社会で活用されるICT技術をソーシャルICTと定義して,今後のビッグデータの可能性と課題を議論する.
パネル司会:木俵 豊 (独立行政法人情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所 研究所長)
【略歴】1990年3月神戸大学自然科学研究科計測工学専攻修了,同年(株)神戸製鋼所入社,1999年3月神戸大学自然科学研究科情報メディア科学専攻博士後期課程修了(工学博士),2001年4月(独)通信総合研究所入所,2007年4月(独)情報通信研究機構知識処理グループリーダー,2011年4月より同機構ユニバーサルコミュニケーション研究所長.電子情報通信学会データ工学専門委員長.
パネリスト:豊田 正史 (東京大学 生産技術研究所 准教授)
【略歴】東京大学生産技術研究所准教授.1994年東工大・理・情報科学卒.1996年同大大学院情報理工学研究科修士課程了.1999年同大学院情報理工学研究科博士後期課程了.博士(理学).同年,科学技術振興事業団計算科学技術研究員.ウェブマイニング,ユーザインタフェース,ビジュアルプログラミングに興味をもつ.ACM,IEEE CS,情報処理学会,日本ソフトウェア科学会各会員.
パネリスト:長谷川 晃朗 (株式会社国際電気通信基礎技術研究所 適応コミュニケーション研究所 室長)
【略歴】2000年明治大学大学院理工学研究科電気工学専攻博士後期課程修了.博士(工学).同年 岐阜大学工学部 助手.2002年(独)通信総合研究所 専攻研究員.2004年(株)国際電気通信基礎技術研究所 研究員を経て,2013年より,スマートネットワーク研究室 室長.コグニティブ無線通信技術,無線オンデマンド技術などの研究開発に従事.電子情報通信学会,IEEE各会員.
パネリスト:美馬 正司 (株式会社日立コンサルティング 公共本部 シニアマネージャー)
【略歴】徳島大学卒業後,ITベンダー系シンクタンク,科学技術政策系シンクタンクを経て日立コンサルティングに入社し,現職.法政大学大学院都市政策プログラム修了(経済学修士).総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻(博士課程)単位取得退学.日立コンサルティングでは,情報大航海プロジェクト等,国の大規模プロジェクトのプロジェクトマネジメントやプライバシー等,関連した制度面の検討に従事.最近ではオープンデータ,医療情報化等のテーマにおいても活動.ISO/IEC JTC 1/SC 27 WG5 委員,単著「自治体ITガバナンス」(ぎょうせい),「ライフログ活用のすすめ」(日経BP).
パネリスト:寺西 裕一 (独立行政法人情報通信研究機構 研究マネージャー)
【略歴】1995年3月大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程修了.1995年4月日本電信電話(株)入社.2004年3月博士(工学)(大阪大学).2005年1月大阪大学講師,2007年11月大阪大学准教授を経て,2011年8月〜現在,情報通信研究機構,大阪大学招へい准教授.情報処理学会論文賞(2011年).ユビキタス・新世代ネットワークサービス基盤の研究開発に従事.