情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス 情報処理学会 第77回全国大会 会期:2015年3月17日~19日 会場:京都大学 吉田キャンパス
情報学シンポジウム「ビッグデータとヒューマンサイエンス」        ※京都大学大学院情報学研究科主催
日時:3月17日(火曜日)9:30-12:00
会場:第1イベント会場(百周年時計台記念館 1F 百周年記念ホール)
【セッション概要】情報学研究の最前線に関して,国内の主要な研究者を招へいし,招待講演方式で,一般の方々や学生,若手研究者向けに分かり易く解説して頂くことで,社会への発信を図る.
9:30-10:20 講演(1) 脳から心を読む技術:脳情報デコーディング
神谷 之康 (ATR脳情報研究所 神経情報学研究室・室長)
【講演概要】「脳から心を読む機械」は古くからフィクションに登場しますが,その可能性が科学的議論の対象となったのは,ごく最近のことです.脳の信号は心の状態や行動をコード化している「暗号」と見なすことができます.そして,その暗号を解読(「デコード」)することが脳から心を読むことにつながります.私の研究室では,コンピュータサイエンスの分野で開発されている機械学習を応用して,身体や心の状態に関するさまざまな情報を脳信号パターンからデコードする方法の開発を進めています.本講演では,人が見ているものやイメージしたものの脳活動パターンからデコードする方法を中心に紹介しながら,ブレイン-マシン・インターフェースや情報通信への応用など,この技術の可能性について議論します.
【略歴】ATR脳情報研究所・神経情報学研究室,室長.1993年東京大学教養学部教養学科卒業.1995年東京大学大学院理学系研究科修士課程修了.2001年カリフォルニア工科大学博士課程修了.2001年ハーバード大学医学部研究員,2003年プリンストン大学客員スタッフを経て,2004年からATR脳情報研究所に勤務.2006年から奈良先端科学技術大学院大学客員教員を兼任.専門は,認知・計算神経科学.現在は,脳計測信号のデコーディング技術の研究に従事.
 
司会:大羽 成征 (京都大学 情報学研究科 システム科学専攻 論理生命学分野 講師)
 
10:20-11:10 講演(2) 情報通信技術は医療をどう変えようとしているのか?
黒田 知宏 (京都大学医学部附属病院 教授)
【講演概要】1999年の電子カルテ解禁以降,臨床現場の情報化が急速に進み,今やコンピュータ無しでは臨床業務が成り立たない状況になってきました. 臨床業務は情報交換の連続ですから,情報化によって大量の情報が電子的に蓄積されるようになり,この情報の解析によって様々なことが分かりつつあります.この講演では,情報通信技術が,今,医療をどう変えようとしているのか,またどういった情報技術が求められてきているのかを,ご紹介します.
【略歴】1998年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士課程修了.同研究科助手,オウル大情報処理科学科客員教授,京都大学医学部附属病院講師,大阪大学大学院基礎工学研究科准教授,京大病院准教授を経て,2013年京大病院教授・医療情報企画部長・病院長補佐・医学研究科・情報学研究科教授に着任.医療・福祉情報学,ヒューマンインタフェース・ユビキタスコンピューティング等の研究に従事.
 
司会:中尾 恵 (京都大学 大学院 情報学研究科システム科学専攻 医用工学分野 准教授)
 
11:10-12:00 講演(3) 機械学習技術によるビッグデータチャレンジ
上田 修功 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所 上席特別研究員)
【講演概要】近年,多種多様なデータを利活用して新たな価値にするためのビッグデータ分析が注目されています.また,その分析の基盤技術として,機械学習技術が有望視されています.本講演では,機械学習技術に基づくビッグデータ分析技術と諸分野でのビッグデータチャレンジについてご紹介します.
【略歴】NTTコミュニケーション科学基礎研究所,機械学習・データ科学センタ代表(上席特別研究員).1982年大阪大学工学部通信工学科卒業.1984同大学院修士課程修了.1992年同大学院博士課程修了(工学).1984年より日本電信電話公社(現NTT)に勤務.1993年パデュー大学客員研究員,2007年奈良先端科学技術大学院大学客員教授を経て,2010年からは国立情報学研究所客員教授を兼任.専門は,統計的機械学習,パターン認識,データマイニング.現在は,超大規模データでの効率的な学習法の研究にも従事.
 
司会:大久保 潤 (京都大学 大学院情報学研究科 システム科学専攻 適応システム論分野 講師)