無人機の最新技術紹介
日時:3月19日(木曜日)14:40-17:00
会場:第3イベント会場(吉田南総合館 2F 共北25)
【セッション概要】無人機は,人を解することなく様々な活動を実現することで,人の手間を最小限にし,人的ミスを回避することが可能になる.更に,従来では人の力の限界や安全性の観点ではできなかった様々な応用が可能となる.例えば水中のように人の動きに大きな制限が出る場所での活動や,災害地のように危険な場所にも迅速かつ安全に活動することができる.本イベントではこのようなことが可能となる,クルマの自動運転,水中探索機,無人航空機,災害ロボットに焦点を当てて紹介するとともに,無人機システムを実現する上で必要不可欠である情報処理技術とその課題を探る.
司会:斉藤 和広 (株式会社KDDI研究所) |
| 【略歴】2010年成蹊大学大学院工学研究科博士課程前期修了.同年KDDI(株)入社.2012年より(株)KDDI研究所に勤務.以降,大規模データ活用のための分散システム,データベースシステムの研究開発に従事. |
14:40-15:15 講演(1) クルマの自動運転における情報処理技術 |
加藤 真平 (名古屋大学 情報科学研究科 准教授) |
【講演概要】2010年にグーグルが自動運転のデモンストレーションを公開して以来,市場における自動運転技術の実用化は急速に進み,自動車メーカー各社もロードマップを作成するに至っている.自動運転とは文字通り,クルマが自律的に自動で運転する技術である.認知,判断,操作という3つの要素から構成され,高度な情報処理が求められる.本講演では,自動運転にかかる情報処理技術を中心に,各要素技術の概要と最新動向,そして今後の課題について述べる. |
| 【略歴】2004年慶應義塾大学理工学部情報工学科卒.2008年同大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻後期博士課程修了.博士(工学).同年慶應義塾大学理工学部特別研究員.2009年東京大学大学院情報理工学系研究科特別研究員.同年カーネギーメロン大学訪問研究員.2011年カリフォルニア大学研究員.2012年より名古屋大学に勤務.現在,情報科学研究科准教授.オペレーティングシステム,サイバーフィジカルシステム,並列分散システムの研究開発に従事. |
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15:15-15:50 講演(2) 海中ロボットの活用事例と最新技術動向 |
小島 淳一 (株式会社KDDI研究所 プロジェクトリーダ) |
【講演概要】海中ロボットは,人間に代わって海中に潜って色々な作業を行うロボットとして発展してきた.海中ロボットは,有人潜水艇,有索式の遠隔ロボット,自律型海中ロボットに大きく分類できる.本稿では,近年めざましく発展している自律型海中ロボットについて,要素技術の概要,国内外の代表的なロボットの概要,最近の興味深い成果について述べる. |
| 【略歴】1981年東京工業大学電子物理工学科修了,同年国際電信電話(株)(現KDDI(株))に入社し,研究所に勤務.海底ケーブルの敷設・保守用の海中ロボットの研究に従事.2000年には,海底ケーブル調査用の自律型海中ロボットを実用化.最近は,東京大学等と共同で音響技術を使った絶滅危惧種のカワイルカの生態観測を行っている. |
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15:50-16:25 講演(3) 無人航空機システムの民生利用 - 課題と展望 |
原田 賢哉 (宇宙航空研究開発機構 航空本部 運航システム・安全技術研究グループ 研究領域リーダ) |
【講演概要】無人航空機システムは軍事用途として発展してきたが,近年はマルチローター機など安価で簡単に飛ばせる機体も入手できるようになり,その民生利用に対する期待が高まっている.しかし,特定の用途を除いて未だ広く社会で活用される状況には無い.その理由は墜落や航空機との衝突など安全に係る問題にある.安全を確保するために,技術のみならず法規・基準など制度的な運用環境の整備も求められている.本講演では,これらの課題に対する国内外の取り組みを概説するとともに,JAXAにおける研究開発事例を紹介する. |
| 【略歴】1995年京都大学大学院工学研究科航空工学専攻修士課程修了,2000年東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程修了.博士(工学).同年,科学技術庁航空宇宙技術研究所(現 独立行政法人宇宙航空研究開発機構)に入所し,成層圏プラットフォームプロジェクト,D-SEND(低ソニックブーム設計概念実証)プロジェクト等に従事.2005〜2006年独シュツットガルト大学客員研究員.現在は宇宙航空研究開発機構航空本部において無人航空機システムの研究開発を担当. |
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16:25-17:00 講演(4) 災害対応ロボットシステムの現状と課題 |
松野 文俊 (京都大学 工学研究科 教授) |
【講演概要】日本におけるレスキュー工学は,1995年の阪神淡路大震災を契機として萌芽し,大都市直下型の地震やNBCテロ災害などを想定して,多くの研究成果が発表されている.しかし,2011年の東日本大震災は地震動による直接的な災害だけでなく,それに起因する津波,原子力発電所の事故が複雑に折り重なった複合災害であり,新たに多くの課題が突きつけられた.本講演では,阪神淡路大震災以降の災害対応ロボットの開発現状を紹介し,東日本大震災でのロボットを用いた災害対応活動について報告する.さらに,国際救助隊サンダーバードを実現するための今後の方向性や課題について議論する. |
| 【略歴】1986年大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了.大阪大学,神戸大学,東京工業大学,電気通信大学を経て,2008年から京都大学教授(機械理工学専攻)となり,現在に至る.NPO国際レスキューシステム研究機構副会長.主に,ロボティクス・制御理論・レスキュー学に関する研究に従事.2001, 2006年度計測自動制御学会論文賞,2001年度同学会武田賞,2009年度日本機械学会ロボメカ部門学術業績賞, 2013年度情報処理学会論文賞などを受賞. |
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