情報処理学会 第77回全国大会講演要旨

我々が音楽を耳にしたとき, その聴覚情報から連想される「イメージ」を脳内に
思い描くことがある.それは時に, 音楽体験をより情緒深いものとして感受する
ことを可能にする.本講演では, ある音楽演奏情報を入力として, そこから
人間の感情に訴える要素を抽出し,それを基に対応する映像をリアルタイムに
生成するようなシステムを提案する.提案システムは，本来，ある音楽から
リスナーが造り出すはずのイメージを自律的に生成し, リスナーが予想だに
しないような新たな「イメージ」を提示する.特に楽器演奏者をターゲットとして,
実際の楽器音に基づき映像を即時的に生成し,演奏者へフィードバックする.
そこからインスピレーションを得た演奏者が自らの演奏を変化させて, さらに
システムはそれに呼応して新たな解釈を与え続けるという, 相互に印象を
与え続けるループ系を実現することを目標とする.