情報処理学会 第76回全国大会 会期:2014年3月11日~13日 会場:東京電機大学 東京千住キャンパス 情報処理学会 第76回全国大会 会期:2014年3月11日~13日 会場:東京電機大学 東京千住キャンパス
エクサスケールを目指す技術開発最前線
日時:3月12日(水)9:30-12:00
会場:第2イベント会場 (1号館 1F 100周年ホール)
【セッション概要】京コンピュータを頂点とする我が国のスーパーコンピュータであるが,半導体技術の進歩により 2020 年ごろにはエクサ(10の18乗)フロップス級の計算システムが実現できると見込まれている。これはおよそ京の 100 倍の計算速度である。
エクサスケールの計算システムで、京とは違う何ができるのか?エクサシステムの開発のための課題は何で、どのように取り組もうとしているのか?ハードウェアだけではなく、システムソフトウェア、電力、耐故障性、アプリケーション開発などの視点も重視しつつ、講演とパネル討論で疑問に答えてゆく。
司会:須田 礼仁(東京大学 情報理工学系研究科 教授)
【略歴】1993年東京大学理学部修士課程修了。同年東京大学理学部助手。1997年名古屋大学工学研究科講師、2000年同助教授。2002年東京大学情報理工学系研究科助教授、2010年同教授。2012年現在、情報処理学会ハイパフォーマンスコンピューティング研究会主査、日本応用数理学会理事、自動チューニング研究会主査。高性能計算、数値アルゴリズム、自動チューニングの研究に従事。
9:30-10:10 講演-1 ペタからエクサへ
小柳 義夫(神戸大学 システム情報学研究科 特命教授)
【講演概要】人類のHPCの歩みを振り返り、各国がどのようにテラフロップス、ペタフロップス、エクサスケールを構想し、その実現に向けて研究開発を進めてきたかを述べる。とくに、米国が1994年からペタフロップスを構想し、2004年からエクサフロップスをめざして来たことは印象的である。現在の各国のエクサスケールへの歩みとの比較の中で、日本の取り組みについても紹介する。
【略歴】1971年東京大学理学部博士課程修了(理学博士)。その後、東大助手、KEK助手、筑波大学講師、助教授、教授を経て、1991年東京大学理学部情報科学科教授。2001年東京大学情報理工学系研究科教授。2006年工学院大学情報学部長、2011年神戸大学大学院システム情報学研究科特命教授。
 
10:10-10:50 講演-2 エクサスケールシステムソフトウェアの課題とアプローチ
石川 裕 (東京大学 情報理工学系研究科 教授)
【講演概要】エクサスケールシステムでは、同種あるいは異種プロセッサアーキテクチャを有するO(10)〜O(100)のコアが使用され、従来のメモリ階層の見直しも迫られることになる。計算ノード単体性能は向上するが、同じ比率で通信性能が向上するとは限らない。ファイル容量についてもエクサスケールが求められている。このような計算機アーキテクチャを想定した時、システムソフトウェアの課題として、コアの有効利用、データの局所性と配置、新しいメモリ階層対応、低遅延通信機構、OSノイズ除去、階層化ファイルシステム、運用時消費電力削減機構、などが挙げられる。本発表ではこれら課題を紹介すると共に文部科学省「将来のHPCIシステムのあり方の調査研究」(通称FS)の一環で進めているシステムソフトウェアの検討状況を紹介する。
【略歴】1987年慶応義塾大学大学院工学研究科電気工学専攻博士課程修了。工学博士。同年電子技術総合研究所(現産業技術総合研究所)入所。 1993年技術研究組合新情報処理開発機構出向。2002年より東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻、教授。2010年より同大情報基盤センターセンター長兼務。
 
10:50-11:30 講演-3 スーパーコンピュータにおけるアクセラレータ技術
児玉 祐悦 (筑波大学 システム情報工学研究科 教授)
【講演概要】近年、アクセラレータを搭載したスーパーコンピュータが一般的になってきた。2008年に開発されたRoadrunnerはCell Broadband Engineを搭載して1ペタフロップスを初めて超えた。2013年11月のTop500リストの一位であるTitanは最新のGPUであるK20Xを搭載し、2013年6月のTop500リストの一位であるTianhe-2はメニーコア型のアクセラレータであるXeon Phiを搭載している。このようなアクセラレータ型のスーパーコンピュータについて概観しつつ、その有効性と問題点を述べ、今後のアクセラレータ技術についての展望を述べる。
【略歴】1988年東京大学大学院情報工学専門課程修士課程修了。同年通商産業省電子技術総合研究所入所。2001年独立行政法人産業技術総合研究所に改組。2011年より筑波大学大学院システム情報工学研究科教授。データ駆動やマルチスレッドなどの並列計算機システムの研究に従事。博士(工学)。情報処理学会奨励賞、情報処理学会論文賞(1990年度)、市村学術賞(1995年)など受賞。情報処理学会、電子情報通信学会、IEEE CS各会員。
 
11:30-12:00 パネル討論 エクサへの課題:ハードからアプリまで一問一答
【討論概要】エクサスケール(京の100倍)のスーパーコンピュータを目指す研究開発が始まっているが、単に計算機をたくさん並べるだけでは、それを達成することはできない。設置面積、消費電力とも、京を単純に100倍するのでは実現不可能であるし、半導体技術の進歩による高密度化・低消費電力化を考慮しても、それとは別の技術向上により京の約10倍の効率を達成しなければならない。OSのスケーラビリティの限界を打ち破り、莫大なトランジスタゆえの高い故障率をしのぎ、多階層の並列性・多階層のメモリを使いこなすソフトウェアを開発しなければならないなど、課題は多い。本パネルでは、これらの課題をどのように解決しようとしているのか、その取り組みに迫る。
司会: 須田 礼仁(東京大学 情報理工学系研究科 教授)
【略歴】1993年東京大学理学部修士課程修了。同年東京大学理学部助手。1997年名古屋大学工学研究科講師、2000年同助教授。2002年東京大学情報理工学系研究科助教授、2010年同教授。2012年現在、情報処理学会ハイパフォーマンスコンピューティング研究会主査、日本応用数理学会理事、自動チューニング研究会主査。高性能計算、数値アルゴリズム、自動チューニングの研究に従事。
パネリスト:小柳 義夫(神戸大学 システム情報学研究科 特命教授)
【略歴】1971年東京大学理学部博士課程修了(理学博士)。その後、東大助手、KEK助手、筑波大学講師、助教授、教授を経て、1991年東京大学理学部情報科学科教授。2001年東京大学情報理工学系研究科教授。2006年、工学院大学情報学部長、2011年神戸大学大学院システム情報学研究科特命教授。
パネリスト:石川 裕 (東京大学 情報理工学系研究科 教授)
【略歴】1987年慶応義塾大学大学院工学研究科電気工学専攻博士課程修了。工学博士。同年電子技術総合研究所(現産業技術総合研究所)入所。 1993年技術研究組合新情報処理開発機構出向。2002年より東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻、教授。2010年より同大情報基盤センターセンター長兼務。
パネリスト:児玉 祐悦 (筑波大学 システム情報工学研究科 教授)
【略歴】1988年東京大学大学院情報工学専門課程修士課程修了。同年通商産業省電子技術総合研究所入所。2001年独立行政法人産業技術総合研究所に改組。2011年より筑波大学大学院システム情報工学研究科教授。データ駆動やマルチスレッドなどの並列計算機システムの研究に従事。博士(工学)。情報処理学会奨励賞、情報処理学会論文賞(1990年度)、市村学術賞(1995年)など受賞。情報処理学会、電子情報通信学会、IEEE CS各会員。