情報処理学会 第76回全国大会 会期:2014年3月11日~13日 会場:東京電機大学 東京千住キャンパス 情報処理学会 第76回全国大会 会期:2014年3月11日~13日 会場:東京電機大学 東京千住キャンパス
先進的ハードウェアによる超高性能データ処理へ向けて
日時:3月11日(火)9:30-12:00
会場:第1イベント会場 (1号館 2F 丹羽ホール)
【セッション概要】データ処理を高速化する手段として、先進的デバイスの利活用が有望かつ急務であることは論を俟たない。本企画では第一線の研究者による最新成果の講演ならびに将来展望に関するパネルを行う。
本企画は2部構成である。第1部では各種の先進的デバイス(Tilera、GPGPU、FPGA)を用いたデータ処理(Stream Data Processing、MapReduce等)の加速化に関して、三好健文博士、加藤真平博士、本庄利守博士、松谷宏紀博士をお招きして最新の御研究内容を御講演頂く。第2部では高性能化技法の権威であられる天野英晴博士をお招きして御講演頂いた後、参加者により先進的デバイスによるデータ処理の未来について御議論頂く。
司会:川島 英之(筑波大学 システム情報系 講師)
【略歴】1999年慶應義塾大学理工学部電気工学科卒業。2005年同大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻後期博士課程修了。同年、慶應義塾大学理工学部助手。2007年筑波大学大学院システム情報工学研究科講師、並びに計算科学研究センター講師。2011年筑波大学システム情報系講師。博士(工学)。センサデータ管理に関する研究に従事。日本データベース学会、情報処理学会、ACM、IEEE、各会員。
9:30-9:50 講演-1 FPGAによるI/Oインテンシブなデータ処理の高性能化
三好 健文(株式会社イーツリーズ・ジャパン 先端研究部)
【講演概要】FPGAを用いた計算処理装置では、処理に内在する並列性の活用で高い演算性能が期待できる。特にI/O処理を自由に実装できるため、データの近くで直接計算ができ、大量のデータを高速に処理する必要がある場合に有効であると考えられる。とはいえ、システムの構築には、独自に定義できるI/Oだけではなく、イーサネット、PCIe、SATA、メモリなどの汎用I/Oやデバイスが必要不可欠である。そこで、これら汎用I/OやデバイスにFPGAを直接接続するときの処理性能の評価結果を踏まえて、FPGAによるデータ処理システムの有効性を考察する。また、FPGA上のシステム開発の効率という観点での高位合成処理系の活用事例を紹介する。
【略歴】2007年東京工業大学院物理情報システム専攻博士課程修了。博士(工学)。同年東京大学情報理工学系研究科特任助教。東京工業大学情報理工学研究科産学官連携研究員、電気通信大学大学院情報システム学研究科助教を経て、2012年株式会社イーツリーズ・ジャパンに入社、現在に至る。FPGAによるネットワーク処理アクセラレータの研究、開発やJavaを入力言語とする高位合成処理系JavaRockの開発に従事。IEEE、ACM、電子情報通信学会、情報処理学会各会員。
 
9:50-10:10 講演-2 先進的ハードを活用したHadoop/MapReduceによるビッグデータ処理
本庄 利守 (日本電信電話株式会社 NTTソフトウェアイノベーションセンタ 主任研究員)
【講演概要】ビッグデータの処理基盤として、大量のコモディティサーバ上で、並列分散処理を実現するHadoop/MapReduceに注目が集められている。一方で、サーバを構成する各コンポーネントの進化も進んできており、現行のままでは、これらの性能を十分に発揮させることができないという事態が発生してきている。本発表では、最新ハードによるベンチマーク結果を元に、現状のHadoop/MapReduceの課題を示すと共に、それらを克服するアイディアとして、メニーコアCPU (Tilera/Intel Xeon Phi)やFPGAなどの先進的ハードウェアを用いたHadoop/MapReduceのアクセラレーションに関する研究を紹介する。
【略歴】1998年東京工業大学大学院情報理工学研究科数理・計算科学専攻 修了。1998年日本電信電話株式会社に入社。 現在、NTTソフトウェアイノベーションセンタにて、大規模分散処理技術の研究開発に従事。博士(工学)。
 
10:10-10:30 講演-3 リアルタイム系ビッグデータ利活用のためのアクセラレータ型オンボードデータベース
加藤 真平 (名古屋大学 大学院情報科学研究科 准教授)
【講演概要】本講演では、時々刻々と変化する実世界情報に対して、アクセラレータ技術を使ってリアルタイムにデータ処理を行うためのデータベース管理システム(DBMS)を検討する。リアルタイムデータ処理向けのDBMS技術として、データをメモリ上に展開してデータアクセスの低遅延化を図るインメモリデータベース(IMDB)が注目されているが、我々はそのIMDBの発展系としてデータをアクセラレータ上に展開し、アクセラレータプログラミング特有のホスト-デバイス間データ通信遅延を被ることなくデータ処理の高速化を実現するオンボードデータベース(OBDB)を検討する。特にアクセラレータとしてGPU、アプリケーションとして移動体データの管理と可視化を考える。
【略歴】2004年慶應義塾大学理工学部卒業。2008年慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻博士課程修了。博士(工学)。2009年から2011年までカーネギーメロン大学、2011年から2012年までカリフォルニア大学にて客員研究員。現在、名古屋大学大学院情報科学研究科の准教授としてサイバーフィジカルシステムと移動体データ処理の研究に従事。
 
10:30-10:50 講演-4 ハードウェアによる様々な構造型ストレージの高速化
松谷 宏紀 (慶應義塾大学 理工学部 講師)
【講演概要】大量のデータを蓄積、検索するために、従来のリレーショナルデータベースに加え、水平スケーラビリティに優れた種々の構造型ストレージが利用されるようになってきた。構造型ストレージは主として特定用途に特化した構造を取るため、リレーショナルデータベースや他の構造型ストレージと組み合わせた相補的な利用法が注目されている。本発表では、まず、種々の構造型ストレージをデータ構造の観点から分類し、次にそれぞれをどのようにハードウェアで高速化すれば良いかを既存研究の紹介を交えながら議論、検討する。
【略歴】2004年慶應義塾大学環境情報学部卒業。2008年慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻博士課程修了。博士(工学)。現在、慶應義塾大学理工学部情報工学科専任講師。2009年度から2010年度まで日本学術振興会特別研究員SPD。計算機アーキテクチャ及び結合網の研究に従事。2013年4月から国立情報学研究所客員講師(兼任)。2013年10月からJSTさきがけ研究員(兼任)。
 
11:10-11:40 講演-5 温故知新 ―コンピュータシステムの歴史を紐解きつつ、データ処理のH/Wによる高性能化の将来を探る―
天野 英晴 (慶應義塾大学 理工学部 教授)
【講演概要】ビッグデータ処理は、ネットワークを飛び交い、データベースに分散されるデータを主体にしたコンピューティングであり、かつての個別のコンピュータシステム高速化の歴史になかった性質を持つ。FPGAを中心としたリコンフィギャラブルシステムはこのための高速化の主役になりうる可能性を持つものの、プログラミング、メモリモデルに多くの問題点を持っており、一方で、GPU、SIMDなどのアクセラレータは計算にウエイトを置き過ぎている。今までのコンピュータシステムのHWによる高性能化の歴史を振り返りながら、今後のビッグデータ用高速化の可能性を探る。
【略歴】1986年慶應義塾大学工学部電気工学専攻修了、工学博士。現在、慶應義塾大学情報工学科教授。コンピュータアーキテクチャの研究に従事。
 
11:40-12:00 パネル討論 先進的デバイスがデータ処理に与えるインパクト
【討論概要】Web・通信・製造・サイエンス等において生じるデータ量は膨大である。データ処理を高速化する手段として、先進的デバイスの利活用が有望かつ急務であることは論を俟たない。本パネルでは先進的デバイスがデータ処理に与えるインパクトや、先進的デバイスによるデータ処理の未来について議論する。
司会: 川島 英之(筑波大学 システム情報系 講師)
【略歴】1999年慶應義塾大学理工学部電気工学科卒業。2005年同大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻後期博士課程修了。同年、慶應義塾大学理工学部助手。2007年筑波大学大学院システム情報工学研究科講師、並びに計算科学研究センター講師。2011年筑波大学システム情報系講師。博士(工学)。センタデータ管理に関する研究に従事。日本データベース学会、情報処理学会、ACM、IEEE、各会員。
パネリスト:三好 健文(株式会社イーツリーズ・ジャパン 先端研究部)
【略歴】2007年東京工業大学院物理情報システム専攻博士課程修了。博士(工学)。同年東京大学情報理工学系研究科特任助教。東京工業大学情報理工学研究科産学官連携研究員、電気通信大学大学院情報システム学研究科助教を経て、2012年株式会社イーツリーズ・ジャパンに入社、現在に至る。FPGAによるネットワーク処理アクセラレータの研究、開発やJavaを入力言語とする高位合成処理系JavaRockの開発に従事。IEEE、ACM、電子情報通信学会、情報処理学会各会員。
パネリスト:本庄 利守 (日本電信電話株式会社 NTTソフトウェアイノベーションセンタ 主任研究員)
【略歴】1998年東京工業大学大学院情報理工学研究科数理・計算科学専攻 修了。1998年日本電信電話株式会社に入社。 現在、NTTソフトウェアイノベーションセンタにて、大規模分散処理技術の研究開発に従事。博士(工学)。
パネリスト:加藤 真平 (名古屋大学 大学院情報科学研究科 准教授)
【略歴】2004年慶應義塾大学理工学部卒業。2008年慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻博士課程修了。博士(工学)。2009年から2011年までカーネギーメロン大学、2011年から2012年までカリフォルニア大学にて客員研究員。現在、名古屋大学大学院情報科学研究科の准教授としてサイバーフィジカルシステムと移動体データ処理の研究に従事。
パネリスト:松谷 宏紀 (慶應義塾大学 理工学部 講師)
【略歴】2004年慶應義塾大学環境情報学部卒業。2008年慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻博士課程修了。博士(工学)。現在、慶應義塾大学理工学部情報工学科専任講師。2009年度から2010年度まで日本学術振興会特別研究員SPD。計算機アーキテクチャ及び結合網の研究に従事。2013年4月から国立情報学研究所客員講師(兼任)。2013年10月からJSTさきがけ研究員(兼任)。
パネリスト:天野 英晴 (慶應義塾大学 理工学部 教授)
【略歴】1986年慶應義塾大学工学部電気工学専攻修了、工学博士。現在、慶應義塾大学情報工学科教授。コンピュータアーキテクチャの研究に従事。