情報処理学会 第75回全国大会 会期:2013年3月6日~8日 会場:東北大学 川内キャンパス 情報処理学会 第75回全国大会
招待講演-5
川島 隆太(東北大学 加齢医学研究所 教授)
スマート・エイジング ~脳機能解析学が拓く新しい超高齢社会~
日時:3月8日(金)13:00-14:00
会場:第1イベント会場 (マルチメディア教育研究棟 2F M206)
【講演概要】スマート・エイジングは、「エイジングによる経年変化に賢く対処し、個人・社会が知的に成熟すること」と定義されます。個人が高齢期を知的に成熟する人生の発展期として積極的に受容できるようにするためには、①脳を積極的に使う、②身体を積極的に動かす、③バランスのとれた栄養を摂る、④社会や他者と積極的に関わる、この4つの原則が肝心です。①の脳を積極的に使う習慣に関しては、認知心理学、脳機能解析学の知見より、我々は作動記憶訓練を提唱してきました。作動記憶訓練を自分のできるぎりぎりの難しさで続けることによって、大脳前頭前野の体積が増え、記憶力以外の能力も向上する転移効果が生じます。④のコミュニケーションに関しては、複数の脳活動の同時計測が可能な超小型の脳機能計測機器の開発により、コミュニケーション中に脳活動が他者の脳活動と同期する現象を発見し、コミュニケーションの質と量の定量化のチャンレンジを行っています。

【略歴】1985年東北大学医学部卒業、1989年東北大学大学院医学研究科修了、スウェーデン王国カロリンスカ研究所客員研究員、東北大学加齢医学研究所助手、同講師、東北大学未来科学技術共同研究センター教授を経て2006年より現職。主な受賞として、2008年「情報通信月間」総務大臣表彰、2009年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞」。著書に「元気な脳が君たちの未来をひらく」(くもん出版)「さらば脳ブーム」(新潮新書)など。