情報処理学会 第75回全国大会 会期:2013年3月6日~8日 会場:東北大学 川内キャンパス 情報処理学会 第75回全国大会
安全・安心な暮らしを支えるハイパフォーマンスコンピューティング ~防災・減災に向けて~

日時:3月8日(金)14:15-16:45
会場:第4イベント会場 (C棟 2F C200)

【セッション概要】2011年3月11日の震災から約2年を経て、東北地方では継続的な復興に向けた取り組みにより、徐々に震災以前の生活を取り戻しつつある。このような状況下で現在、地震・津波・豪雨等の災害の発生のメカニズム明らかにし、災害を防ぐ「防災」と災害発生時の被害の最小化を図る「減災」の 重要性があらためて認識されている。防災・減災を実現するためにはフィー ルドワーク等による調査・研究と、この調査に基づく災害発生時・後の物理現象のシミュレーションが必要不可欠である。また、これらの複雑なシミュレーションを高精度、且つ高速に実行するためには、計算科学者と計算機科学者が密に連携することが強く求められている。 本企画では、地震・津波・異常豪雨等の計算科学分野の研究者と計算機科学者を招き、防災、減災を実現するためのソフトウェアとコンピュータシステムのあるべき姿を議論する。

司会:須田 礼仁 (東京大学 情報理工学系研究科 教授)
【略歴】1993年東京大学理学部修士課程修了。同年東京大学理学部助手。1997年名古屋大学工学研究科講師、2000年同助教授。2002年東京大学情報理工学系研究科助教授、2010年同教授。2012年現在、情報処理学会ハイパフォーマンスコンピューティング研究会主査、日本応用数理学会理事、自動チューニング研究会主査。高性能計算、数値アルゴリズム、自動チューニングの研究に従事。
14:20-14:50 講演-1 気象・気候変動予測シミュレーションと大規模・高速計算
高橋 桂子 (独立行政法人海洋研究開発機構 地球シミュレータセンター マルチスケールモデリング研究グループ グループリーダー)
【講演概要】気象や気候変動予測分野で用いるソフトウェアは、流れ場の力学、水物質の相変化や放射過程の熱力学などシミュレーションの中心となる物理計算のみならず、観測データや解析、可視化のための入出力処理も広範で大規模である。加えて、様々な処理と様々な種類のデータを扱う大規模な科学ソフトウェア開発となる。この分野のソフトウェア開発の世界的動向を紹介するとともに、今後求められる計算機アーキテクチャを合わせて考えたい。世界をリードするシミュレーションを実現するためには、何を最優先に考え、ゆずれないことは何か。私たちの開発の現場を紹介しながら、今後の大規模計算科学が挑む課題について、聴衆の皆さんとご一緒に考えてみたい。
【略歴】1991年東京工業大学大学院総合理工学研究科システム科学専攻を修了、工学博士。花王株式会社、ケンブリッジ大学客員研究員、東京工業大学準客員研究員、現JAXA招聘研究員を経て、2002年より海洋研究開発センター(現(独)海洋研究開発機構)地球シミュレータセンターに勤務。現在、同地球シミュレータセンター シミュレーション高度化研究開発プログラム プログラムディレクター。
 
14:50-15:20 講演-2 東日本大震災の教訓と津波減災に向けてのシミュレーションの課題と展望
越村 俊一 (東北大学 災害科学国際研究所 教授)
【講演概要】巨大津波がエネルギー・物流の高度に集積された地域を襲う際の被害の波及は、単なる海水の侵入による施設破壊に留まらないことが2011年東北地方太平洋沖地震津波の被災過程からも明らかになった。災害の外力が複合的・連鎖的に被害を拡大させる過程を「複合災害」と呼ぶが、その発生メカニズムや被害の波及過程を予測できる技術は未だに発展途上である。ここでは、東日本大震災の被害の全貌と教訓を踏まえ、津波による複合災害の予測と減災対策への利用・普及を目的とした数値シミュレーションの課題と展望を述べる。
【略歴】2000年に東北大学大学院工学研究科博士後期課程を修了。米国海洋大気局局員研究員、財団法人阪神淡路大震災記念協会「人と防災未来センター」専任研究員を経て、2005年5月に東北大学大学院工学研究科助教授、2007年に同准教授、2012年より東北大学災害科学国際研究所・広域被害把握研究分野・教授。これまでに、土木学会論文賞、Coastal Engineering Journal Award、国土技術開発賞最優秀賞、Mohammed El-Sabh Awardなどを受賞。主な研究テーマは、次世代津波数値シミュレーションの開発、高度津波情報システムに関する研究、津波被害予測式の構築、リモートセンシングによる津波被災地の被害把握手法など。
 
15:20-15:50 講演-3 防災・減災に貢献するスーパーコンピュータ ~高メモリバンド幅アプリケーションに適したシステムの開発を目指して~
小林 広明 (東北大学 サイバーサイエンスセンター 教授)
【講演概要】防災・減災やものづくり分野では、スーパーコンピュータによるシミュレーションが不可欠になっています。これらの分野で行われるシミュレーションにおいては連続体力学の計算が中心であり、いずれも演算量に対して相対的に物理変数が多いため、キャッシュの効果が得られる例外的な場合を除けば、高い演算性能だけでなく高いメモリバンド幅もスーパーコンピュータに求められる重要な要件となっています。本講演では,ベクトル型スーパーコンピュータをベースに防災・減災分野での高性能計算について、アーキテクチャ研究者の立場で議論します。また、現在文科省で進めている「将来のHPCIシステムのあり方の調査研究」において、我々が取り組む「高メモリバンド幅アプリケーションに適したHPCIシステムのあり方調査研究」も紹介します。
【略歴】1988年東北大学博士了。同年東北大学助手。1991年東北大学講師。1993年東北大学助教授。2001年東北大学教授(サイバーサイエンスセンター長兼任)。2006年よりNII客員教授併任。コンピュータアーキテクチャ、高性能計算に関する研究に従事。工学博士。IEEE Senior Member、ACM、情報処理学会、電子情報通信学会各会員。
 
15:55-16:45 パネル討論 安全・安心な暮らしを支えるハイパフォーマンスコンピューティング ~防災・減災に向けて~
司会: 須田 礼仁 (東京大学 情報理工学系研究科 教授)
【略歴】1993年東京大学理学部修士課程修了。同年東京大学理学部助手。1997年名古屋大学工学研究科講師、2000年同助教授。2002年東京大学情報理工学系研究科助教授、2010年同教授。2012年現在、情報処理学会ハイパフォーマンスコンピューティング研究会主査、日本応用数理学会理事、自動チューニング研究会主査。高性能計算、数値アルゴリズム、自動チューニングの研究に従事。
パネリスト:高橋 桂子 (独立行政法人海洋研究開発機構 地球シミュレータセンター マルチスケールモデリング研究グループ グループリーダー)
【略歴】1991年東京工業大学大学院総合理工学研究科システム科学専攻を修了、工学博士。花王株式会社、ケンブリッジ大学客員研究員、東京工業大学準客員研究員、現JAXA招聘研究員を経て、2002年より海洋研究開発センター(現(独)海洋研究開発機構)地球シミュレータセンターに勤務。現在、同地球シミュレータセンター シミュレーション高度化研究開発プログラム プログラムディレクター。
パネリスト:越村 俊一 (東北大学 災害科学国際研究所 教授)
【略歴】2000年に東北大学大学院工学研究科博士後期課程を修了。米国海洋大気局局員研究員、財団法人阪神淡路大震災記念協会「人と防災未来センター」専任研究員を経て、2005年5月に東北大学大学院工学研究科助教授、2007年に同准教授、2012年より東北大学災害科学国際研究所・広域被害把握研究分野・教授。これまでに、土木学会論文賞、Coastal Engineering Journal Award、国土技術開発賞最優秀賞、Mohammed El-Sabh Awardなどを受賞。主な研究テーマは、次世代津波数値シミュレーションの開発、高度津波情報システムに関する研究、津波被害予測式の構築、リモートセンシングによる津波被災地の被害把握手法など。
パネリスト:小林 広明 (東北大学 サイバーサイエンスセンター 教授)
【略歴】1988年東北大学博士了。同年東北大学助手。1991年東北大学講師。1993年東北大学助教授。2001年東北大学教授(サイバーサイエンスセンター長兼任)。2006年よりNII客員教授併任。コンピュータアーキテクチャ、高性能計算に関する研究に従事。工学博士。IEEE Senior Member、ACM、情報処理学会、電子情報通信学会各会員。