情報処理学会 第75回全国大会 会期:2013年3月6日~8日 会場:東北大学 川内キャンパス 情報処理学会 第75回全国大会
ICTの英知を総動員して減災に取り組め!

日時:3月8日(金)14:15-16:45
会場:第3イベント会場 (B棟 2F B200)

【セッション概要】東日本大震災においては、防災体制や、本来役立つと考えられていたICT技術がうまく機能できなかったことが様々なところで露呈されることとなった。その一つの大きな原因が、ICT研究コミュニティと防災・減災技術の研究コミュニティとの異分野交流の少なさにある。そこで、ICT、防災・減災分野の研究者の交流と、ICT技術の具体的な減災への貢献のための具体的な方策を議論することを目的とする企画セッションを開催する。ICT、防災・減災分野の両分野において先駆的取り組みを行っている研究者による招待講演、並びに彼らとICT研究者を加えたパネリストによる、ICTによる具体的な取り組みへのシナリオについての議論を会場参加者も交えて行う。

司会:栗原 聡 (大阪大学 産業科学研究所 准教授)
【略歴】大阪大学産業科学研究所/大阪大学大学院情報科学研究科准教授。慶應義塾大学大学院卒。NTT基礎研究所、NTT未来ねっと研究所を経て2004年より現職。マルチエージェント、ネットワーク科学等の研究に従事。博士(工学)。著書『社会基盤としての情報通信』(共立出版)。翻訳『群知能とデータマイニング』(東京電機大学出版)等。博士(工学)。ACM、人工知能学会、日本ソフトウェア科学会、電子情報通信学会、人間情報学会、ESHIA、各会員。人工知能学会理事を歴任。現在日本ソフトウェア科学会理事。人工知能学会編集委員会副編集委員長、情報処理学会知能システム研究会主査。
14:15-14:25 オープニング Twitterに見るデマの拡散問題とその解決に向けた取り組み
栗原 聡 (大阪大学 産業科学研究所 准教授)
【講演概要】東日本大震災では、Twitterが情報配信としての役割を果たしたものの、デマや風評が広く拡散してしまったという問題点も指摘されている。この問題に対し、デマの拡散を病気の感染モデルに基づいてモデル化するとともに、拡散を早期に鎮火させるための戦略についての研究例を紹介する。
【略歴】大阪大学産業科学研究所/大阪大学大学院情報科学研究科准教授。慶應義塾大学大学院卒。NTT基礎研究所、NTT未来ねっと研究所を経て2004年より現職。マルチエージェント、ネットワーク科学等の研究に従事。博士(工学)。著書『社会基盤としての情報通信』(共立出版)。翻訳『群知能とデータマイニング』(東京電機大学出版)等。博士(工学)。ACM、人工知能学会、日本ソフトウェア科学会、電子情報通信学会、人間情報学会、ESHIA、各会員。人工知能学会理事を歴任。現在日本ソフトウェア科学会理事。人工知能学会編集委員会副編集委員長、情報処理学会知能システム研究会主査。
 
14:25-14:40 講演-1 事前・事後のIT
野田 五十樹 (独立行政法人産業技術総合研究所 サービス工学研究センター 研究チーム長)
【講演概要】災害対処におけるITの活用場面は、事前と事後で大きく異なる。事前には、インフラが破壊されることを想定して、ITに頼らずとも対処活動できる人材を作るための支援にこそ、ITの活用場面がある。一方、事後には、かろうじて生き残ったインフラを最大限に活用するためのITが望まれる。このベストミックスにこそ、災害のためのITの要諦がある。
【略歴】1992年京都大学大学院工学研究科修了、通商産業省工業技術院電子技術総合研究所に入所後、改組を経て、現在、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターサービス設計支援技術研究チーム長。筑波大学大学院および東京工業大学大学院の連携講座教授を兼務。博士(工学)。マルチエージェント社会シミュレーション、災害情報システム、機械学習の研究に従事。人工知能学会、情報処理学会会員。RoboCup Federation Vice President、ロボカップ日本委員会会長、防災推進機構 理事。
 
14:40-14:55 講演-2 システムズ・レジリエンス
丸山 宏 (大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所 教授)
【講演概要】東日本大震災など「想定外」の事象に対して、システムが生き残るとはどういうことか、そのためにはどのような方略があるのか、を科学的に明らかにするために、我々は領域横断的な基礎研究「システムズ・レジリエンス」に取り組んでいる。生物学、生態学、金融、ビジネス継続性、ICTシステムなど、様々なシステムから得られる共通の知見を元に、計算モデルを構築し、レジリエンスのための方略を研究している。その活動の一端を紹介する。
【略歴】1983年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。同年日本アイ・ビー・エム株式会社入社。1997年-2000年東京工業大学情報理工学研究科客員助教授。2006年-2009年日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所所長。2009年-2010年キヤノン株式会社デジタルプラットフォーム開発本部副本部長。2011年4月より現職。人工知能、自然言語処理、機械翻訳、XMLやWebサービスなどの研究に従事。
 
14:55-15:10 講演-3 スマートフォンを用いた安否確認と避難誘導アプリの開発
廣井 悠 (名古屋大学 減災連携研究センター 准教授)
【講演概要】近年急速に普及したスマートフォンを用いた防災情報の伝達・共有システムを紹介する。本無料アプリ「まもるゾウ・防災版」は2012年8月にリリースしており、現在アンドロイドマーケットにてダウンロードが可能である。またペアレンタルコントロールアプリの付加機能として開発し、ビジネスモデルを確立している。現在は1.安否確認機能(位置情報付き)、2.伝言版機能(位置情報伝達可能)、3.避難場所・避難所などの検索機能、4.避難場所・避難所などへの誘導機能、5.移動履歴送信機能を基本としており、これらの基本機能を洗練させることが近い将来の目標となる。
【略歴】東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻・博士課程(2005年4月~2007年3月)を中退し、同・特任助教(2007年4月~2012年3月)を経て、2012年4月から現職。博士(工学)、都市防災が専門。最近の主な受賞に2012年度文部科学大臣表彰若手科学者賞(2012年)、都市住宅学会学会賞(論説賞、2012年)、建築学会奨励賞(2011年)、都市計画学会論文奨励賞(2011年)、前田工学賞(2011年)、Best Presentation Award in Asia-Oceania Symposium for Fire Science and Technology (2010)など。
 
15:10-15:25 講演-4 ウェブサービス型「岩手県被災者台帳システム」を用いた被災者生活再建支援
井ノ口 宗成 (新潟大学 災害・復興科学研究所 助教)
【講演概要】災害の発生にともない、被災者の生活は大きく変化する。変化した生活から再建するに向け、行政から様々な支援が提供される。しかし、それぞれの対象要件は支援の種類によって異なる。そのため、「どの支援が誰にどこまで届いているのか」を把握することは困難である。この課題に対して我々は「被災者台帳システム」を研究開発してきた。東日本大震災は、広域・複合災害という、これまでに事例のない災害であった。そこで、ウェブサービスとして機能を配信することで、様々な自治体で共通の仕組みとして活用できる「岩手県被災者台帳システム」を構築し、新たな課題への効果的な解決策を追究した。本発表では、その最新の取り組みについて紹介する。
【略歴】京都大学大学院情報学研究科にて博士号(情報学)を取得。2008年4月~2011年3月新潟大学災害復興科学センター特任助教を経て、2011年4月~災害・復興科学研究所助教。2008年5月~2011年3月には柏崎市非常勤職員(無給)として中越沖地震の復興を現場で支援。専門分野は危機管理情報学、復興情報学。主な著書に「組織の危機管理入門―リスクにどう立ち向かえばいいのか」(丸善出版)、「日本歴史災害事典」(吉川弘文館)がある(いずれも分担執筆)。
 
15:25-15:40 講演-5 プラクティス論文に見る技術者としての基本動作
平田 圭二 (公立はこだて未来大学 複雑系知能学科 教授)
【講演概要】デジタルプラクティス(DP)誌は2012年7月号にて、ゲストエディタとして野田五十樹氏と丸山宏氏を迎え減災ICTの特集を組み、招待論文と一般投稿論文合わせて計6編の論文を掲載した。それら論文を俯瞰し、災害時緊急時に有意義な活動ができる技術者であるためには何が必要なのかを考察する。災害時は、緊急にスケーラビリティを要する対応、相当の割合で生じる間違った判断や故障を前提としたシステムの安定運用,異種装置・異種コミュニケーションメディア・異種目的をもったユーザから成る複合的なシステムの構成法が特に問題となる。DP論文の各著者たちがこのような困難な状況に一人の技術者として直面した時、普段の基本動作としてのプラクティスがいかに重要であったかを見ていく。
【略歴】1987年東京大学大学院工学系研究科情報工学専門課程博士課程修了。工学博士。同年NTT基礎研究所入所。1990~93年(財)新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT)に出向。2011年より公立はこだて未来大学教授。NTTではビデオコミュニケーションシステムt-Roomプロジェクトを率いる。現在、音楽情報処理とスマートシティの研究に従事。2010年よりデジタルプラクティス誌編集委員長。2005〜2007年及び2011年より情報処理学会理事、フェロー。
 
15:45-16:45 パネル討論 取り組みへの挑戦に向けて?
【討論概要】パネラーそれぞれの専門分野の立場からの防災・減災に向けた具体的な取り組みについての展望や、様々なICT関連研究分野を連携させ、まさにICTの英知を総動員するための道筋について、パネラーに加えて会場参加者も巻き込んで議論する。
司会: 栗原 聡 (大阪大学 産業科学研究所 准教授)
【略歴】大阪大学産業科学研究所/大阪大学大学院情報科学研究科准教授。慶應義塾大学大学院卒。NTT基礎研究所、NTT未来ねっと研究所を経て2004年より現職。マルチエージェント、ネットワーク科学等の研究に従事。博士(工学)。著書『社会基盤としての情報通信』(共立出版)。翻訳『群知能とデータマイニング』(東京電機大学出版)等。博士(工学)。ACM、人工知能学会、日本ソフトウェア科学会、電子情報通信学会、人間情報学会、ESHIA、各会員。人工知能学会理事を歴任。現在日本ソフトウェア科学会理事。人工知能学会編集委員会副編集委員長、情報処理学会知能システム研究会主査。
パネリスト:野田 五十樹 (独立行政法人産業技術総合研究所 サービス工学研究センター 研究チーム長)
【略歴】1992年京都大学大学院工学研究科修了、通商産業省工業技術院電子技術総合研究所に入所後、改組を経て、現在、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターサービス設計支援技術研究チーム長。筑波大学大学院および東京工業大学大学院の連携講座教授を兼務。博士(工学)。マルチエージェント社会シミュレーション、災害情報システム、機械学習の研究に従事。人工知能学会、情報処理学会会員。RoboCup Federation Vice President、ロボカップ日本委員会会長、防災推進機構 理事。
パネリスト:丸山 宏 (大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所 教授)
【略歴】1983年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。同年日本アイ・ビー・エム株式会社入社。1997年-2000年東京工業大学情報理工学研究科客員助教授。2006年-2009年日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所所長。2009年-2010年キヤノン株式会社デジタルプラットフォーム開発本部副本部長。2011年4月より現職。人工知能、自然言語処理、機械翻訳、XMLやWebサービスなどの研究に従事。
パネリスト:廣井 悠 (名古屋大学 減災連携研究センター 准教授)
【略歴】東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻・博士課程(2005年4月~2007年3月)を中退し、同・特任助教(2007年4月~2012年3月)を経て、2012年4月から現職。博士(工学)、都市防災が専門。最近の主な受賞に2012年度文部科学大臣表彰若手科学者賞(2012年)、都市住宅学会学会賞(論説賞、2012年)、建築学会奨励賞(2011年)、都市計画学会論文奨励賞(2011年)、前田工学賞(2011年)、Best Presentation Award in Asia-Oceania Symposium for Fire Science and Technology (2010)など。
パネリスト:井ノ口 宗成 (新潟大学 災害・復興科学研究所 助教)
【略歴】京都大学大学院情報学研究科にて博士号(情報学)を取得。2008年4月~2011年3月新潟大学災害復興科学センター特任助教を経て、2011年4月~災害・復興科学研究所助教。2008年5月~2011年3月には柏崎市非常勤職員(無給)として中越沖地震の復興を現場で支援。専門分野は危機管理情報学、復興情報学。主な著書に「組織の危機管理入門―リスクにどう立ち向かえばいいのか」(丸善出版)、「日本歴史災害事典」(吉川弘文館)がある(いずれも分担執筆)。