情報処理学会 第75回全国大会 会期:2013年3月6日~8日 会場:東北大学 川内キャンパス 情報処理学会 第75回全国大会
〜コンピュータパイオニアが語る〜 「私の詩と真実」
日時:3月6日(水)10:00-12:00
会場:第3イベント会場 (B棟 2F B200)

【セッション概要】情報処理学会歴史特別委員会ではオーラルヒストリのインタビューを進めているが、大先輩のお話は毎回大変示唆に富み印象的なので、これを広く会員の方々、特に若い世代の会員に直接お聞かせできないものかと検討してきた。そして海外の事例なども参考にし、コンピュータパイオニアあるいは情報処理学会会長経験者、またはそれらに相当する経歴の大先輩をお招きして、若い頃の研究生活の思い出や今の若い世代に伝えたい経験談などをお話いただくシンポジウムを企画した。なお本シンポジウムは第70回大会から開催しており今回が第6回目となる。

司会:浦城 恒雄 (東京工科大学 名誉教授)
【略歴】1959年東京大学理学部物理学科卒業。1991年日立製作所研究開発推進本部長。1995年同所技師長。1999年東京工科大学教授。2007年同大名誉教授。
10:00-11:00 講演-1 半導体技術の進展を牽引したコンピュータ開発
宮城 嘉男
【講演概要】1957年ゲルマニューム接合型トランジスタが使えるようになり、電気試験所がETL Mark Ⅳを生み出した。この技術をNEAC 2201を作って勉強させてもらい、1959年春NEAC 2203を完成させた。トランジスタ技術がシリコンメサ、IC、LSI、MOSへと進化するに伴い、コンピュータの高性能化を追求してNEAC 2206、NEAC 2200 Model 500、同Model 700と開発を進めた。これらの高性能化追及はややもするとその意欲が過大で、まだ研究室段階の半導体技術を先取りし過ぎた問題を起し、半導体技術者はしばしば厚い壁にぶつかることになった。しかし、この壁打破の足掻きが半導体技術を世界首位に進展させた一因になっている。因みにNECでは当時半導体技術とコンピュータ技術を一体にした組織を編成していた。
【略歴】1952年東北大学工学部通信工学科卒業、日本電気に入社。1958〜1979年コンピュータ開発に従事。1973年コンピュータ技術本部長。1979年支配人、1984〜1994年日本電気エンジニアリング(株)社長。情報処理学会理事(会誌編集1980-81年度)、IEEE東京支部理事(1983-86年度)など経歴。電気学会電気学術振興賞進歩賞(1961年)、梶井米寿記念賞(1978年)、東京都科学技術功労者表彰(1992年)、The Third IEEE Millennium Medalなど受賞。
 
11:00-12:00 講演-2 マイクロプロセッサの誕生と創造的開発
嶋 正利 (マイクロプロセッサアーキテクト)
【講演概要】大学で有機化学を専攻した若者が、コンピュータ、電子回路、半導体などの技術を習得しつつ、いかにマイクロプロセッサを創造的に開発したかの物語。世界初のマイクロプロセッサ4004は電卓やオフィス機器向け汎用LSIを開発する過程で1971年に誕生した。マイクロプロセッサは、知的能力とコンピューティング・パワーを創造的製品開発者に提供する「新時代を切り拓く技術」となり、新たなる文化を創造するための「知への道具」と、生産という文明ではなく「創造的開発という文化を重要視する時代」を人類にもたらした。マイクロプロセッサは、応用からの特異な要求を満たしつつ、コンピュータ技術を導入し、驚異的な速度で発展した。
【略歴】1943年静岡市生れ。1967年東北大学理学部化学第二学科卒業。ビジコンに入社、1968年プログラム論理方式のプリンタ付き電卓を開発。1969年インテルと世界初のマイクロプロセッサ4004を開発、1971年4004を使ったプリンタ付き電卓を開発。1972年インテルに入社、世界初のパソコンを生んだ8080マイクロプロセッサを開発。1975年ザイログに入社、Z80、Z8000を開発。2000年に会津大学教授。1997年京都賞(先端技術部門)を受賞。

 
※関連イベント
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