情報処理学会 第75回全国大会 会期:2013年3月6日~8日 会場:東北大学 川内キャンパス 情報処理学会 第75回全国大会
ビッグデータを支えるクラウド基盤

日時:3月8日(金)14:15-16:45
会場:第1イベント会場 (マルチメディア教育研究棟 2F M206)

【セッション概要】ビッグデータは、クラウドコンピューティングを活用した新しいアプリケーションである。データの重要性や解析結果が注目されるが、ビッグデータの処理は、コンピューティング環境にこれまでとは比べもにならないほど高い処理能力を要求する。ビッグデータの活用を進めるためのコンピューティング環境、ネットワーク環境、およびアプリケーション設計の新しい潮流について、それぞれの視点から、研究開発動向、ビジネスへの影響および将来への期待を講演して頂く。

司会:新 麗 (株式会社IIJイノベーションインスティテュート 技術研究所 主幹研究員)
【略歴】1994年電気通信大学情報工学専攻博士前期課程修了。2002年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。株式会社インターネットイニシアティブを経て2009年より現職。コンピュータネットワークの応用として、コンテンツ配信、ディジタルアーカイブ、ネットワークの自動設定等の研究開発および標準化活動に従事。
14:15-14:45 講演-1 ビッグデータとクラウドの最前線
関口 智嗣 (独立行政法人産業技術総合研究所 情報通信・エレクトロニクス分野 副研究統括)
【講演概要】研究分野だけでなくビジネス分野でも注目を集めるビッグデータは、コンピュー タやネットワーク、そしてクラウドといった基盤に対し、大きな影響を与えてく るのは確実であろう。センサ技術の発展のほか、これまで公開されていなかった 公的データのディジタル化及び解放も検討されている。本講演では、ビッグデー タの最新動向とともに、それを支えるクラウド基盤の最新動向を紹介する。
【略歴】1959年生東京大学理学部情報科学科卒、筑波大学大学院理工学研究科修士課程、東京大学大学院情報理工学研究科博士課程修了。博士(情報理工学)。1984年工業技術院電子技術総合研究所入所。2001年独立行政法人産業技術総合研究所に改組。同所グリッド研究センター長、情報技術研究部門長を歴任。現在、副研究分野統括。グリッド協議会会長、HPCIコンソーシアム理事。並列・分散コンピューティングとE-サイエンスなどの応用システムに興味を持つ。
 
14:45-15:15 講演-2 サービス定義と構成情報データベースに基づくネットワーク設定の自動化
岡部 寿男 (京都大学 学術情報メディアセンター 教授)
【講演概要】サービスに応じてネットワークシステムの設定変更を行うためには、ネットワーク機器の種類やネットワークトポロジー、運用ポリシーなど、ネットワークシステムの全体構成を意識して設定変更の箇所と内容を判断する必要がある。本研究では、管理者が、ネットワークシステムの構成を意識することなく設定変更を行うことを可能とする、Service Defined Network (SvDN) を提案する。SvDN では、構成情報データベースを用いてネットワークシステムの構成を管理するとともに、ネットワークシステムを制御するためのサービスAPIを提供する。そして、ネットワーク管理者がサービス定義として与えたポリシーからネットワークシステムの論理的な実装設計を生成し設定を自動的に行う。
【略歴】1988年京大・工・情報修士了。京大助手、助教授を経て2002年より京大学術情報 メディアセンター教授。コンピュータネットワーク、並列・分散システムの研究 に従事。電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ研究専門委員会委員長 (2005-2006年)。IEEE/IPSJ SAINT2008 Program co-Chair、SAINT2010 General co-Chair。2012年より情報処理学会理事(論文誌担当)。
 
15:15-15:35 講演-3 次世代のオープンネットワーク基盤としてのSDNの可能性
浅羽 登志也 (株式会社ストラトスフィア 代表取締役社長)
【講演概要】SDN(Service Defined Network)はソフトウェアによるインフラ制御の自動化・自律化を実現する技術である。現在、インフラ制御機能をプログラム可能としサービスとして提供できるようにするためのAPIの整備と、アプリケーションの開発が進められている。これにより、サービスプロバイダやエンドユーザが論理的なシステムの物理的配置を気にすることなく、クラウドインフラ上の抽象化されたリソースを自由に利用し、独自サービスの構築を行うことが可能となる。このようなSDNを中心としたクラウド基盤の整備は、クラウドインフラの利用効率を最大化しながら、サービスプロバイダやエンドユーザの自由度をも最大化する、次世代のオープンネットワークシステムを実現する。
【略歴】1992年、IIJに入社し、バックボーン構築、経路制御、国内外ISPとの相互接続、広域イーサネットサービスの開発などを主導。その後、同社取締役副社長(2004年)を経て、2008年に株式会社IIJイノベーションインスティテュート代表取締役に就任(現任)。2012年には株式会社ストラトスフィア代表取締役に就任(現任)、現在に至る。
 
15:35-15:55 講演-4 デファクトスタンダードから見据える次世代ソフトウェアの要素技術
林 達也 (株式会社レピダム 代表取締役)
【講演概要】主にHTTPレイヤの話から、そのレイヤを支える基礎・基盤技術について、以下のようなキーワードに関してお話します。
・ソフトウェア産業での集約と分散に関する揺り戻しとレイヤ構造
・並列分散を前提にした基盤技術に必要な設計
・人と世界に融けたコンピューティング -Webとスマートフォンの時代-
・HotTopic: PKIとTLS/SSLに新たに見えてきた課題
・認証とセキュリティ、プライバシー
・見えている一部の未来:デファクト標準化の世界から
【略歴】2000年頃から技術者向け媒体での執筆活動を開始。エンジニア、コンサルタントを経て、2004年、株式会社レピダムを設立し代表取締役に就任。研究領域の技術を実用化することをミッションとして、研究開発支援とプロトタイピングを中心としたソフトウェア開発とコンサルティングを行なっている。2009年頃から主にIETFを中心とした標準化活動に参加。現在、プログラミング言語処理系、通信プロトコル、認証・認可等のセキュリティ領域を主な活動対象としている。
 
15:55-16:45 パネル討論 ビッグデータのためのクラウド基盤とは?
【討論概要】ビッグデータをはじめとする大規模データ処理の必要性が飛躍的に増えている。一方でクラウド基盤の発展により、大規模な計算リソースが比較的安価で利用できるようになった。クラウド上でのデータ処理はネットワークを介して行う分散処理であり、ネットワークの機能・性能が処理に影響する。さらに認証やセキュリティへの考慮も必要となる。本パネル討論では、講演で紹介された最新技術を踏まえて、ビッグデータのためのクラウド基盤の課題を議論することをめざす。
司会: 岡部 寿男 (京都大学 学術情報メディアセンター 教授)
【略歴】1988年京大・工・情報修士了。京大助手、助教授を経て2002年より京大学術情報 メディアセンター教授。コンピュータネットワーク、並列・分散システムの研究 に従事。電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ研究専門委員会委員長 (2005-2006年)。IEEE/IPSJ SAINT2008 Program co-Chair、SAINT2010 General co-Chair。2012年より情報処理学会理事(論文誌担当)。
パネリスト: 関口 智嗣 (独立行政法人産業技術総合研究所 情報通信・エレクトロニクス分野 副研究統括)
【略歴】1959年生東京大学理学部情報科学科卒、筑波大学大学院理工学研究科修士課程、東京大学大学院情報理工学研究科博士課程修了。博士(情報理工学)。1984年工業技術院電子技術総合研究所入所。2001年独立行政法人産業技術総合研究所に改組。同所グリッド研究センター長、情報技術研究部門長を歴任。現在、副研究分野統括。グリッド協議会会長、HPCIコンソーシアム理事。並列・分散コンピューティングとE-サイエンスなどの応用システムに興味を持つ。
パネリスト: 浅羽 登志也 (株式会社ストラトスフィア 代表取締役社長)
【略歴】1992年、IIJに入社し、バックボーン構築、経路制御、国内外ISPとの相互接続、広域イーサネットサービスの開発などを主導。その後、同社取締役副社長(2004年)を経て、2008年に株式会社IIJイノベーションインスティテュート代表取締役に就任(現任)。2012年には株式会社ストラトスフィア代表取締役に就任(現任)、現在に至る。
パネリスト: 林 達也 (株式会社レピダム 代表取締役)
【略歴】2000年頃から技術者向け媒体での執筆活動を開始。エンジニア、コンサルタントを経て、2004年、株式会社レピダムを設立し代表取締役に就任。研究領域の技術を実用化することをミッションとして、研究開発支援とプロトタイピングを中心としたソフトウェア開発とコンサルティングを行なっている。2009年頃から主にIETFを中心とした標準化活動に参加。現在、プログラミング言語処理系、通信プロトコル、認証・認可等のセキュリティ領域を主な活動対象としている。