情報処理学会 第75回全国大会 会期:2013年3月6日~8日 会場:東北大学 川内キャンパス 情報処理学会 第75回全国大会
大学教育と産業界での人材育成の連続化に向けて                   [資料]
~情報専門教育、カリキュラム標準、資格制度、スキル標準の有機的連携~   [ご意見等はこちら]

日時:3月6日(水)15:30-18:00
会場:第4イベント会場 (C棟 2F C200)

【セッション概要】教育における真の産学連携は、大学教育の一部を企業に委託することに留まるのではなく、大学教育、産業界での人材育成、情報系の資格制度、カリキュラム標準やスキル標準の策定などを一貫した教育・人材育成システムとして設計し、産学がそれぞれの強みを生かしてシステムの構築や運営に貢献することを通じて達成されるべきである。本シンポジウムでは、情報処理学会が実施したJ07フォローアップ調査の結果、情報系の資格制度やスキル標準、情報系のカリキュラム標準など、IT技術者のスキルアップを目的とした様々な取り組みを踏まえ、情報系人材の能力を戦略的に高める教育・人材育成システムのあり方について議論する。

司会:掛下 哲郎 (佐賀大学 工学系研究科 准教授)
【略歴】九州大学情報工学科卒業。同博士後期課程修了。工学博士。現在、佐賀大学知能情報システム学専攻准教授。2001年度より学科の教育システムの構築を推進し、2003年度にJABEE認定を受けた。その後、JABEE認定活動、2008年度より高度IT資格制度およびIT専門職大学院等を対象とする認証評価機関の構築に取り組んでいる。データベースおよびソフトウェア工学を専門とする。情報処理学会、電子情報通信学会等会員。
15:30-15:50 講演-1 産学連続化教育とは何か [資料]
大場 善次郎 (東洋大学 総合情報学部 学部長・教授)
【講演概要】経済・社会活動の基盤となっている情報通信システムに関わる「求められる人材」は、量から質へ、近年では、「イノベーション創出を担える人材」へと質的にも変化している。更に、世界経済の低迷から、企業活動に伴う人材採用面での国際化も一段と進み、大学教育への要求も厳しく、現在まで展開してきた産学連携教育は変革を迫られている。一方、海外でも同様な人材要求の下、多様な学科統合による融合型教育、企業研修と大学教育の混合型教育や契約学科など、国と大学の特長を活かした新しい産学連携が始まっている。海外の事例も参考に、日本の大学と地域の特性に沿った新しい体系の産学連続化人材育成を、早急に開始すべきでしょう。
【略歴】福岡県出身。1967年東京大学電気工学科卒業後新日鐡に入社。新日鉄ソリューションズ(株)を経て、2002年4月東京大学工学系研究科教授、2009年6月東京大学名誉教授。2009年4月より東洋大学総合情報学部長。2003年4月から2007年3月まで北海道大学情報科学研究科教授兼担、2009年8月NPO法人「高度ICT人材育成支援センター」副理事長(事務局長)等を併任。現在、工学教育(特にICT分野)、ソフトウェア工学に関心をもつ。主な編・著:「ソフトウェアエンジニアリング講座1~4」(日経BP社)。
 
15:50-16:10 講演-2 情報処理技術者試験が求める能力とIPAの取り組み [資料]
片岡 晃 (独立行政法人情報処理推進機構 IT人材育成本部 調査役)
【講演概要】
・IPAのIT人材育成本部における、スキル標準、産学連携、情報処理技術者試験などの取組みの全体像と今後の方向性について
・IT業界やIT技術者に対する魅力醸成活動(広報誌など)の紹介
・IT利活用人材育成に向けてのスキル標準、産学連携における取り組みについて
・ITパスポート試験の位置付けと普及に向けての取り組み、共通キャリア・スキルフレームによる産学と情報処理技術者試験の連携、および、各試験がIT人材に求める能力について
・産構審
・人材育成WGの結果を受けた、次世代高度人材(融合IT人材)育成に向けたIPAの取組み
【略歴】1980年京都大学工学部を卒業。松下電器(現パナソニック)で、コンピュータ事業の設立に参加し、PCやUNIXサーバなどの商品企画・開発に従事するとともに、JEIDAでPC関連の標準化委員を担当。その後、SE部門の責任者としてシステム設計や構築、および事業推進を担当し、2006年より本社で、全社情報通信事業における事業創造・事業支援のリーダを担当。また、関連IT会社の経営会議メンバーとして経営企画などを統括。2012年4月より、IPAのIT人材育成企画部に出向中。
 
16:10-16:30 講演-3 J07フォローアップ調査と情報処理学会の取り組み [資料]
掛下 哲郎 (佐賀大学 工学系研究科 准教授)
【講演概要】ビジネス活動や社会において必要とされる高度IT人材の育成や可視化を目的として情報処理学会が行っている最近の取り組みを紹介する。情報処理教育委員会では、大学教育に対してしばしば指摘される産学間のミスマッチを可視化し、分析結果をフィードバックすることで産官学の相互理解を促進するために、教育機関における教育成果および情報系学科出身者に対する産業界の要求レベルに関する定量的な実態調査(J07フォローアップ調査)を行った。また、ITプロフェッショナル委員会では、ITスキル標準レベル4以上の人材を可視化し、彼らを中核とする情報系プロフェッショナルコミュニティを構築するために、国際的通用性も考慮した高度IT資格制度の検討を進めている。
【略歴】九州大学情報工学科卒業。同博士後期課程修了。工学博士。現在、佐賀大学知能情報システム学専攻准教授。2001年度より学科の教育システムの構築を推進し、2003年度にJABEE認定を受けた。その後、JABEE認定活動、2008年度より高度IT資格制度およびIT専門職大学院等を対象とする認証評価機関の構築に取り組んでいる。データベースおよびソフトウェア工学を専門とする。情報処理学会、電子情報通信学会等会員。
 
16:30-16:40 講演-4 CS2013の要求について [資料]
角田 博保 (電気通信大学 情報理工学研究科 准教授)
【講演概要】ACM/IEEE-CSではComputer Science カリキュラム 2013(CS2013)を検討中である。現在、 Strawman draftが公表されている。J07はその前身のCC2005を大いに参考にしている。CC2005はCC2001(CS2001)、IS2002、SE2004、CE2004、IT2006から構成されており、CS2013はCS2001に対応する部分の改訂案となっているが、引続きCS以外の改訂案が提案されると期待される。CS2013はそれらの先駆けと考えられるので、CS2013についての動向を調べることは意味がある。本講演では、CS2013における 知識、技能の要求レベルについて検討し、J07-CSとの比較をおこなう。
【略歴】1974年東京工業大学情報科学科卒業。1981年同大学院博士課程単位取得退学。1982年電気通信大学計算機科学科助手。現在、電気通信大学大学院情報・通信工学専攻准教授。理学博士。ACM、電子情報通信学会、日本ソフトウェア科学会、日本認知科学会、ヒューマンインタフェース学会、人間中心設計機構各会員。情報処理教育委員会幹事、コンピュータ科学教育委員会委員長、アクレディテーション委員会幹事、コンピュータと教育研究会主査。計算機システムのヒューマンインタフェース、教育支援システム、文字列処理等に興味を持つ。
 
16:40-16:50 講演-5 技術者育成システムの全体最適化は困難か [資料]
児玉 公信 (株式会社情報システム総研 取締役副社長)
【講演概要】情報系高度技術者を育成するためには、教育システムだけでなく、技術者の仕事のあり方や処遇も含めた大きなシステムの再構築が必要である。しかし、そのシステムのOwnerは誰なのか。これが定まらないために、部分システムはそれぞれの局所最適化に走っていく。全体システムの再構築のためには、現在の担当省庁の枠を越えた新しい機関をOwnerとして立てて、ビジョンを描き、ステークホルダと調整しつつ、設計、構築、運営、保守に当たる必要がある。そこには、学会と産業の積極的関与が必須である。とはいえ、その実現は難しい。局所最適を承知で、学会として可能なことを具体的に考えよう。ただ、それが資格認定の要件であるとしたら、矮小ではないか。
【略歴】東京都立大学(心理学専攻)卒業。石油元売り、大学受託研究員、鉄鋼系情報子会社を経て、現在、(株)情報システム総研取締役副社長。技術士(情報工学部門)。博士(情報学)。モデリングとシステム思考に基づく基幹情報システム再構築のコンサルなどに従事。はこだて未来大客員教授ほか。情報処理学会技術士委員会委員長、情報システム教育委員会委員。文部科学省科学技術・学術審議会専門委員、情報処理技術者試験委員。
 
17:00-18:00 パネル討論 産学連携による包括的な教育・人材育成システムの構築
【討論概要】情報系人材の能力を戦略的に高める教育システムを構築するために、大学における情報専門教育や企業でのIT人材育成システムだけでなく、情報系専門教育カリキュラムやIT資格制度等も含む総合的な人材育成戦略のあり方について議論する。
司会: 角田 博保 (電気通信大学 情報理工学研究科 准教授)
【略歴】1974年東京工業大学情報科学科卒業。1981年同大学院博士課程単位取得退学。1982年電気通信大学計算機科学科助手。現在、電気通信大学大学院情報・通信工学専攻准教授。理学博士。ACM、電子情報通信学会、日本ソフトウェア科学会、日本認知科学会、ヒューマンインタフェース学会、人間中心設計機構各会員。情報処理教育委員会幹事、コンピュータ科学教育委員会委員長、アクレディテーション委員会幹事、コンピュータと教育研究会主査。計算機システムのヒューマンインタフェース、教育支援システム、文字列処理等に興味を持つ。
パネリスト:筧 捷彦 (早稲田大学 理工学術院 教授)
【略歴】1970年東京大学大学院修士課程修了、東京大学工学部助手、立教大学理学部講師・助教授を経て現職。情報処理学会フェロー、情報処理教育委員会委員長。
パネリスト:大場 善次郎 (東洋大学 総合情報学部 学部長・教授)
【略歴】福岡県出身。1967年東京大学電気工学科卒業後新日鐡に入社。新日鉄ソリューションズ(株)を経て、2002年4月東京大学工学系研究科教授、2009年6月東京大学名誉教授。2009年4月より東洋大学総合情報学部長。2003年4月から2007年3月まで北海道大学情報科学研究科教授兼担、2009年8月NPO法人「高度ICT人材育成支援センター」副理事長(事務局長)等を併任。現在、工学教育(特にICT分野)、ソフトウェア工学に関心をもつ。主な編・著:「ソフトウェアエンジニアリング講座1~4」(日経BP社)。
パネリスト:片岡 晃 (独立行政法人情報処理推進機構 IT人材育成本部 調査役)
【略歴】1980年京都大学工学部を卒業。松下電器(現パナソニック)で、コンピュータ事業の設立に参加し、PCやUNIXサーバなどの商品企画・開発に従事するとともに、JEIDAでPC関連の標準化委員を担当。その後、SE部門の責任者としてシステム設計や構築、および事業推進を担当し、2006年より本社で、全社情報通信事業における事業創造・事業支援のリーダを担当。また、関連IT会社の経営会議メンバーとして経営企画などを統括。2012年4月より、IPAのIT人材育成企画部に出向中。
パネリスト:掛下 哲郎 (佐賀大学 工学系研究科 准教授)
【略歴】九州大学情報工学科卒業。同博士後期課程修了。工学博士。現在、佐賀大学知能情報システム学専攻准教授。2001年度より学科の教育システムの構築を推進し、2003年度にJABEE認定を受けた。その後、JABEE認定活動、2008年度より高度IT資格制度およびIT専門職大学院等を対象とする認証評価機関の構築に取り組んでいる。データベースおよびソフトウェア工学を専門とする。情報処理学会、電子情報通信学会等会員。
パネリスト:児玉 公信 (株式会社情報システム総研 取締役副社長)
【略歴】東京都立大学(心理学専攻)卒業。石油元売り、大学受託研究員、鉄鋼系情報子会社を経て、現在、(株)情報システム総研取締役副社長。技術士(情報工学部門)。博士(情報学)。モデリングとシステム思考に基づく基幹情報システム再構築のコンサルなどに従事。はこだて未来大客員教授ほか。本会技術士委員会委員長、情報システム教育委員会委員。文部科学省科学技術・学術審議会専門委員、情報処理技術者試験委員。