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被災地における選挙情報提供の課題:被災者の情報環境の観点から
○河村和徳(東北大)
 2011年は4年に1度の統一地方選挙の年であったが、3月11日に起こった東日本大震災によって、岩手・宮城・福島の被災3県の統一地方選挙は延期されることになった。岩手県の知事選・県議選は9月に、宮城県と福島県の県議選は11月にそれぞれ延期されたのであった。
 被災地での地方選挙は、普段の選挙よりも選挙情報を集めることが困難と予想され、片山善博総務大臣(当時)は、2011年7月29日の参院政治倫理・選挙制度特別委員会において、被災地の有権者に対し、選挙の情報を提供する手段として情報技術を積極的に活用する必要があることを指摘し、選管ホームページ上への選挙公報の掲載は法的に可能であるという判断を示した。
 WEB上での選挙公報の掲載は選挙法制上は大きな転換点となったものの、実際の現場での効果は限定的であった。どうやら被災者が置かれていた情報環境が効果を妨げていたようであり、それについて本報告では検討する。

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