情報処理学会 第75回全国大会講演要旨

クラウドコンピューティングではeコマースやオンラインゲームなどデータベースをシステムの基盤とするようなアプリケーションでの利用が盛んである。
それらのアプリケーションに必要なときに必要なだけの計算資源を提供するために、アプリケーションを構成するサーバ群の負荷分散が重要となっている。
これらのシステムでは管理面、コスト面での利点から仮想化技術が利用されており、その負荷分散にはVMライブマイグレーションを利用することができる。
本論文では複数のVMをクエリの発行元とするオンライントランザクション処理の負荷分散を考える際に、単純にVMライブマイグレーションを利用しただけではむしろ性能低下を招く可能性があり、データベースのキャッシュまで考慮したVMライブマイグレーションの必要性を示す。
またデータベースサーバ間でVMがデータベースのどこを参照しているかの情報を共有することでオンライントランザクション処理の負荷分散による性能低下を防ぐ仕組みを検討する。
さらにオンライントランザクション処理におけるVMの挙動を実機を用いて詳細に解析し、オンライントランザクション処理の負荷分散においてVMライブマイグレーションを利用した場合の課題について明らかにする。