情報処理学会 第75回全国大会講演要旨

GMRES法は，大規模で疎な非対称行列を係数に持つ連立1次方程式の解法の1つで
ある．この解法の収束を向上させる方法として，前処理が有効である．ILU分解
を前処理とする場合，fill-inの棄却方法によって，前処理行列に大きな違いが
生まれる．Flexible ILU分解は，分解後の下三角行列の各列および上三角行列
の各行の最大非ゼロ要素数の基準となるパラメータを設定する解法である．
即ち，計算中の各列や各行のノルムに応じて最大非ゼロ要素数を変化させること
になる．本発表では，数値実験により，Flexible ILU分解とその他の棄却方法のILU分解との比較を行い，その有効性を示す．