連続セミナー2012「ビッグデータとスマートな社会」全6回シリーズで開催
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第2回「個人データの保護と活用」開催日:2012年7月17日(火)10:00-17:10
第2回の概要
個人データの流通を促してビッグデータを構成するには、プライバシの保護とデータの社会的共有を両立させるためのデータのガバナンスを確立する必要がある。第2回「個人データの保護と活用」では、このガバナンスにまつわる課題やガバナンスを確立するための方策を、個人データの分析やセキュリティに関連する技術、個人データに基づくビジネスモデル、個人情報保護等に関する法制度等の観点から、多角的に解説する。
コーディネータ:橋田 浩一 (独立行政法人産業技術総合研究所 知能システム研究部門 上席研究員)
【略歴】1981年東京大学理学部情報科学科卒業。1986年同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。1986 年電子技術総合研究所入所。1988年から1992年まで(財)新世代コンピュータ技術開発機構に出向。2001年から産業技術総合研究所、2012年4月より現職。専門は自然言語処理、人工知能、認知科学。サービス科学・工学の一般化としてのソーシャルeサイエンスや知の社会的共創に興味を持つ。
プログラム
SESSION.1 10:00-11:00
利用者主導型データ共有プラットフォーム
【講演概要】多くの人々の個人データを本人ではなく他者が収集し長期にわたって保管することがさまざまな問題を生む。まず、データの管理者がそのデータを他者に開示することが難しく、また個人も自分のデータを自由に利用できない、という意味で、データの流通が起こりにくい。また、データの管理に伴うコストとリスクが大きいので、大規模な個人データの分析に基づくサービスを展開するのが難しい。こうして既存のサービス事業者によって市場がロックインされれば、社会全体での価値の向上が抑制される。これらの問題を解決するには、個人データを本人が蓄積・管理し、サービス事業者を自由に選んでデータを開示できる仕組みが必要と考えられる。本講演では、その仕組みについて解説し、関連技術や具体的なユースケースを紹介する。
講師:橋田 浩一 (独立行政法人産業技術総合研究所 知能システム研究部門 上席研究員)
【略歴】1981年東京大学理学部情報科学科卒業。1986年同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。1986 年電子技術総合研究所入所。1988年から1992年まで(財)新世代コンピュータ技術開発機構に出向。2001年から産業技術総合研究所、2012年4月より現職。専門は自然言語処理、人工知能、認知科学。サービス科学・工学の一般化としてのソーシャルeサイエンスや知の社会的共創に興味を持つ。
SESSION.2 11:10-12:20
情報空間と現実空間の融合とパーソナル情報
【講演概要】大規模なパーソナル情報(個人に関する情報をいう)の利活用ニーズが高まっている。背景には、ストレージをはじめとする電子計算機の導入・利用費用が近年、劇的に逓減されたことや、大規模データ処理の技術が向上していることなどがあげられる。また、大規模データを、産業界における競争優位性の源泉とみなし、経済価値の評価の検討も海外で始まっている。一方で、EUデータ保護規制など利用者保護に重点を置く制度整備も進んでおり、透明性など保護と利用のバランスを如何に取っていくかが課題となっている。国内外の動向を中心に、進展するサービスのパーソナライズ化を取り巻く制度や技術の展望や課題について述べる。
講師:坂下 哲也 (一般財団法人 日本情報経済社会推進協会 電子情報利活用推進部 次長)
【略歴】2003年財団法人データベース振興センターにて、GIS 推進部にて企画を担当。2006年財団法人日本情報処理開発協会データベース振興センターGIS 推進部長に就任2010年より現職。
お昼休み 12:20-13:20
SESSION.3 13:20-14:30
プライバシーを保護できるデータ処理技術
【講演概要】履歴情報などのデータ処理において、データに含まれる個人のプライバシーを守る手法(プライバシー保護データ分析技術、プライバシー保護データマイニング技術)の技術動向を紹介する。講演では、履歴情報の収集活用を例に個人情報の流通モデルをおき、課題の概説(どこで何を守るのか)を行い、プライバシーを保護する代表的な手法を紹介する。手法はデータ収集時に関するものと、データ提供時に関するものに大別でき、前者からは匿名化(k-匿名化、ランダム化)や暗号化(秘密計算)、後者からは匿名化、統計化、ランダム化(Differential Privacy)などの手法について解説する。
講師:高橋 克巳 (NTTセキュアプラットフォーム研究所 主幹研究員)
【略歴】東京工業大学理学部数学科卒。東京大学情報理工学系研究科博士課程修了。博士(情報理工学)。NTT研究所にて情報検索、データマイニング、情報セキュリティの研究開発に従事。現在NTTセキュアプラットフォーム研究所情報セキュリティプロジェクトマネージャ。
SESSION.4 14:40-15:50
クラウド連携における個人・機密情報の利活用
【講演概要】クラウドは今後、複数のクラウドを融合して、複数組織で利用する「クラウドフュージョン」の形態が来ると考えられる。そこで必要となるのは、クラウド間またはオンプレミス・ラウド間で、個人情報・機密情報を安全に連携するデータセキュリティ技術である。本講演では、当研究所におけるセキュアなデータ連携技術を中心に、課題と取組みについてデモも交えて説明する。
講師:津田 宏 (株式会社富士通研究所 ソフトウェアシステム研究所 主管研究員)

【略歴】1989年東京大学大学院理学系研究科(情報科学)修士課程修了。同年、富士通研究所入社。1989-95 ICOT出向。Webマイニング、セマンティックWeb、情報漏洩対策、データセキュリティなどの研究開発に従事。情報処理学会会員。人工知能学会理事。博士(理学)。

SESSION.5 16:00-17:10
ビッグデータ時代におけるプライバシー・個人情報の保護
【講演概要】ビッグデータ時代において生じているプライバシーや個人情報保護の問題について、法的な観点から論じる。特に、個人情報の匿名化に関する法的問題を中心的に取り上げる。
講師:村上 康二郎 (東京工科大学 教養学環 准教授)
【略歴】慶應義塾大学法学部法律学科卒業、同大学院法学研究科修士課程修了、同大学院法学研究科博士課程単位取得満期退学、情報セキュリティ大学院大学情報セキュリティ研究科博士課程修了。東京工科大学メディア学部専任講師、同准教授を経て、現職。博士(情報学)、修士(法学)。