イベント企画
人や物を運ぶICT
9月5日(木) 9:30-12:00
第1イベント会場(創立50周年記念館 金光ホール)
【セッション概要】 政府が主導する「スマート物流サービス」プロジェクトへの注目にともない、情報通信技術 (ICT) を利用して人や物を運ぶためのサービスが提案され、研究開発が進められている。本イベントでは、輸送分野および物流分野におけるICTの導入に関して、講演を行う。
9:30-10:30 講演(1) ドローンにも搭載可能な手のひらサイズの中赤外分光イメージング
石丸 伊知郎(香川大学 創造工学部 教授)
【概要】 近年、空の産業革命とも呼ばれドローンによる様々な新規サービスの創出が期待されている。その例として、海や森林の栄養の指標であるクロロフィル分布の可視化や農場の地質調査、またコンクリート構造物の塩害被害調査など、高頻度で自由度の高い環境や大型構造物の計測が期待されている。一方、中赤外分光法は、その分光吸光度から未知成分を同定、また濃度を定量化することが可能であることが良く知られている。我々は、2次元の分光画像を取得できる手のひらサイズの中赤外フーリエ分光イメージング装置を開発してきた。本講演では、赤外分光法の基礎から、低画素数カメラを用いた数十万円程度の手のひらサイズ2次元中赤外分光イメージング装置について紹介する。
【略歴】 1987年大阪大学工学部産業機械工学科卒業後、(株)日立製作所に入社して生産技術研究所にて自動化設備や半導体集積回路の光学検査装置の研究開発に従事した。1999年に機械学習による熟練技能の自動化技術の研究に関して東京大学より博士(工学)授与された。2000 年に香川大学工学部に赴任後、医学部や農学部と連携して医療や環境分野での新たな光計測技術の研究に従事している。JST研究成果展開事業【先端計測分析技術・機器開発プログラム】などの助成を受けながら、新たな分光イメージング技術の研究開発を行っている。
10:30-11:00 講演(2) 和気町におけるドローンを活用した地方創生の可能性
庄 俊彦(和気町役場 総務部まち経営課 主査)
【概要】 和気町では買い物難民・交通弱者の問題、災害時の緊急対応、農作物の鳥獣害対策、老朽化した公共インフラの点検など、中山間地域特有の地域課題が山積しており、解決に向けた取組が喫緊の課題となっている。和気町ではこれらの地域課題の解決に無人航空機「ドローン」を活用したいと考えており、2018年度には約10㎞離れた過疎地域へドローンで食料品・日用品を運ぶ実証実験を実施した。2019年度においても様々な実証実験に多くの民間企業と連携して取り組み、サービスの実用化を目指しているところである。
講演では、和気町のドローンを活用した地方創生への可能性についてだけでなく、実際の実証実験等を通じて市町村職員の視点で感じた今後の全国へのドローン普及への課題や気付きについて説明する。
【略歴】 和気町出身。岡山大学経済学部卒。2003年和気町役場入庁産業振興課勤務。担当業務は農林振興等。2006年岡山県大阪事務所出向。担当業務は企業誘致。2009年和気町役場産業振興課。担当業務は企業誘致・観光等。2016年地方創生課。担当業務は人口減少対策(和気町まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定など)、ドローンを活用したまちづくり等。2018年まち経営課。~現在に至る。担当業務は地方創生課時代と同じ。
11:00-11:30 講演(3) 地域公共交通サービスにおけるオープンデータ対応への取り組み
平田 康之(株式会社リオス 移動体ビジネス事業部 シニアリーダー)
【概要】 地域公共交通サービスの一部として、携帯電話網を使用しリアルタイムにバスの運行状況(バスロケーションシステム)を提供することにより、バス利用者の利便性向上に努めてきました。昨今、国土交通省の公共交通政策として標準的なバス情報フォーマットの拡充が進められており、バスロケーションシステムにおいても対応を進めることが求められています。両備グループの事例を基に、弊社サービスであるバスロケーションシステム「Bus-Vision」による標準的なバス情報フォーマットへの対応事例や、オープンデータに対応することで見えてきたこれからの地域公共交通サービスへの在り方についてご紹介させていただきます。
【略歴】 1983年岡山県生まれ。2005年、株式会社リオスへ入社後、バスロケーションシステムや車や人などの移動するもの全般のロケーション管理を行うシステムの開発を主に担当。