イベント企画
コンペの覇者
9月3日(火) 10:00-11:45
第1イベント会場(創立50周年記念館 金光ホール)
【セッション概要】 FITの関連分野では近年「コンペ」が多く行われるようになっています。コンペは、一定のルールの下に課題を設定して達成度を競い合うもので、研究コミュニティにおいては、技術の最新の到達点が明らかになる、統一された条件下での技術の比較検討が可能になる、などのメリットが期待されています。一方、参加する側にとっては、競い合うとは言っても、主催者側でその分野での経験が浅くても参加できるように配慮されるなど、参加へのハードルが意外に低くなっている場合も少なくありません。そこで本企画では、いくつかのコンペを例にとり、近年いずれかの課題で1位を獲得された方々に、その技術や経験談を語って頂くことにしました。聴衆の皆様には、本企画を通してコンペを身近に感じて頂き、挑戦の参考にして頂ければと思います。
10:00-10:05 司会
柏野 邦夫(日本電信電話株式会社 コミュニケーション科学基礎研究所 上席特別研究員)
【略歴】 1995年東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻博士課程修了。博士(工学)。同年NTTに入社、同社コミュニケーション科学基礎研究所メディア情報研究部長等を経て、現在同社上席特別研究員。2015年より東京大学大学院情報理工学系研究科客員教授、2008年より国立情報学研究所客員教授を兼任。メディア情報の認識、探索、解析、変換技術の基礎研究と社会実装に従事。文部科学大臣表彰科学技術賞、IEEE 論文賞などを受賞。電子情報通信学会フェロー、情報・システムソサイエティ副会長。情報処理学会、日本音響学会、人工知能学会、IEEE、ACMの会員。
10:05-10:25 講演(1) AIエッジコンテスト上位解法
横尾 修平(筑波大学 大学院システム情報工学研究科 修士課程)
【概要】 経済産業省が革新的なAIエッジコンピューティングの実現に向けて、優れた技術・人材・アイディアを発掘し、新たな人材の当該分野への参画を促すために開催した「第1回AIエッジコンテスト」において、自動車車載カメラ画像処理を対象としたセグメンテーション部門第一位および審査員アイディア賞、そしてオブジェクト検出部門第三位を獲得しました。本講演では、第1回AIエッジコンテストのセグメンテーション・オブジェクト検出両部門の解法についてお話しします。具体的には、コンテストの2つの部門のタスクにおける取り組み・工夫点・用いた手法についてがメインとなります。講演を通して、セグメンテーション・オブジェクト検出タスクに関する画像認識コンテストにおける知見を共有できればと思っています。
【略歴】 長野高専を卒業後、筑波大学へと進学し、現在は同大学院の修士課程に所属。2020年4月に新卒でDeNAに入社予定。高専では数値計算に関する研究、大学では画像認識をはじめとしたComputer Visionに関する研究に従事。Kaggleや国内コンテストなどで複数入賞経験あり。
10:25-10:45 講演(2) 国際コンペティションDCASE2018への挑戦を通して
田邊 亮(株式会社日立製作所 中央研究所)
【概要】 音響認識分野で最大の国際コンペティションDetection and Classification of Acoustic Scenes and Events (DCASE) 2018 ChallengeのTask 5に参加し、第1位のスコアを獲得した。本講演では、DCASE 2018 Challenge Task 5で用いた音響識別の手法や、経験談について述べる。
【略歴】 2018年東京理科大学大学院理工学研究科機械工学専攻修士課程修了。同年、株式会社日立製作所に入社。以降、音響識別・異常検知の研究開発に従事。
10:45-11:05 講演(3) CanSat競技完全制覇までの道のり
秋山 実穂(愛知工科大学 大学院工学研究科システム工学専攻斎藤研究室 修士課程)
【概要】 CanSatとは模擬宇宙探査機であり、CanSatでは気球やロケットにより上空からCanSatを落下させ自律制御により目標位置にどれだけ近づけるかを競い合う競技である。2016年から研究としてCanSatを開始し、天然ゴムタイヤをポリカーボネートで繋いだ2輪機体をGenuinoによりGPS及び超音波センサによりゴールまでの距離0mを目指すローバを開発し、種子島ロケットコンテスト2016に参加したが、落下時にパラシュートに機体が絡まりリタイアとなった。2017年にはパラシュートを全面改良し絡まりを抑制、制御コンピュータをRaspberry Piに変更、さらにカメラを用いた画像認識機能を追加し、能代宇宙イベントでは準優勝、ARLISSでは3位の結果を得た。2018年種子島ロケットコンテストでは大会により得られた問題点を徹底的に対策した結果、長年の夢であった0mゴールを達成し、競技完全制覇により優勝した。現在Deep Learningを用いたゴール認識により、能代宇宙イベント及びARLISS世界大会全大会での優勝を目指している。
【略歴】 2018年愛知工科大学工学部電子制御・ロボット工学科卒業。現在愛知工科大学大学院工学研究科システム工学専攻に在籍。大学入学直後よりCanSatの研究に携わる。2016年ARLISS世界大会で3位、2017年能代宇宙イベントで準優勝、2017年ARLISS世界大会で3位、2018年種子島ロケットコンテストで優勝。Deep Learningを用いたCanSatの0mゴール実現手法の研究に従事。
11:05-11:25 講演(4) 画像認識コンペティションのアプローチと勝ち方
郁 青(東京大学 大学院情報理工学系研究科 修士課程)
【概要】 画像コンペの取り組み方から優勝できるテクニックについて紹介する。JSAI Cup 2018・人工知能学会データ解析コンペティション、産業技術総合研究所・衛星画像分析コンテスト、経済産業省・The 1st Tellus Satellite Challengeで優勝した解法を説明し、どんな工夫をすれば優勝できるのかを共有するつもりである。
【略歴】 中国上海生まれ、2011年に日本へ留学。2014年に東京大学へ進学し、現在は同大学院の修士課程に所属。研究室で画像認識に関する研究に従事。SIGNATEで国内のコンペを三回優勝し、総合ランキング1位を保持している。Kaggleでもsoloで金メダルを獲得する経験あり。
11:25-11:45 講演(5) 音声合成・変換の国際コンペティションへの参加を振り返って
高道 慎之介(東京大学 大学院情報理工学系研究科 助教)
【概要】 音声合成とは、計算機を用いて人工的に音声を合成する技術である。本講演では、テキスト音声合成(テキストから音声を合成する技術)の国際コンペティション Blizzard Challenge 2015 と声質変換 (音声の話者性などを変換する技術) の国際コンペティション Voice Conversion Challenge 2016 に参加した。
【略歴】 2011年に長岡技術科学大学を卒業。2013年・2016年それぞれに奈良先端科学技術大学院大学 博士前期・後期課程を修了。2018年より東京大学 助教(現職)。博士(工学)。音声合成変換、音声信号処理の研究に従事。