イベント企画
デジタルとアナ“ログ”の共創 -ログの先に見える未来-
9月13日(水) 9:30-12:00
第3イベント会場(2号館241号講義室)
【セッション概要】 現代は記録(ログ)の時代と言っても過言ではないでしょう。その昔からある日記や写真などのアナログ記録はもちろんのこと、個人のさまざまな体験や経験がデジタルログとして大量に記録され、集積され、解析されるようになりました。もちろん、SNSなどで多くの人たちと共有できるようにもなりました。これらにより、自分自身を振り返ることが容易になっただけでなく、他者や社会にも多様な影響を与えていると思います。本イベントでは、様々な分野の専門家にお集まり頂き、招待講演にて、アナログやデジタルなログが生活や仕事、社会に与えた変化をご紹介頂きます。パネルディスカッションでは、デジタルとアナログが共創する将来をご討論頂き、ログの先に見える未来に迫ります。
司会:小川 克彦(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
【略歴】 1978年に慶應義塾大学工学部修士課程を修了し、同年NTTに入社。画像通信システムの実用化、インタフェースデザインの研究、ブロードバンドサービスや端末の開発に従事。NTTサイバーソリューション研究所所長を経て、2007年より現職。工学博士。専門は、ヒューマンセンタードデザイン、ネット社会論。主な著書に「つながり進化論」(中央公論新社)、「デジタルな生活」(NTT出版)がある。
9:30-9:35 オープニング 人生のログを考えよう
小川 克彦(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
【概要】 ツイッターで気のおもむくままにつぶやく。インスタグラムで日常の風景を投稿する。フェイスブックで記念アルバムを作る。私たちの日常はログで溢れています。そんなログの先にある未来はどうなるのか。本イベント「デジタルとアナ“ログ”の共創 -ログの先に見える未来-」の趣旨を説明します。
【略歴】 1978年に慶應義塾大学工学部修士課程を修了し、同年NTTに入社。画像通信システムの実用化、インタフェースデザインの研究、ブロードバンドサービスや端末の開発に従事。NTTサイバーソリューション研究所所長を経て、2007年より現職。工学博士。専門は、ヒューマンセンタードデザイン、ネット社会論。主な著書に「つながり進化論」(中央公論新社)、「デジタルな生活」(NTT出版)がある。
9:35-9:50 講演(1) 知を扱う科学のあり方 - 身体の内と外をつなぐ
諏訪 正樹(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
【概要】 ライフログも含め、昨今のIT技術は身体の外からの見えの、多様なる観測を可能にしてきた。一方、身体は本人が内側から感じる対象でもある。外からの見えと内からの感覚をつないで初めて、社会の中で人は「生きている」感や自分らしさを得ることができる。従来の意味での「科学」は、身体の内と外をつなぐ方法論としては不完全である。人の知を扱う科学はどうあるべきかを問いたい。
【略歴】 慶應義塾大学環境情報学部教授。1984年東京大学工学部卒、1989年同大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)。日立製作所基礎研究所、スタンフォード大学にて客員研究員、シドニー大学建築デザイン学科主任研究員を経て、2000年より中京大学情報科学部助教授、2004年同大学教授、2008年4月より現職。身体知、感性、コミュニケーションの知の学びの過程を探究する。学びの手法「からだメタ認知」と研究方法論「一人称研究」を提唱。
9:50-10:05 講演(2) リアルとバーチャルをつなぐライフログと企業イノベーション
河本 敏夫(株式会社NTTデータ経営研究所 情報戦略コンサルティングユニット ビジネス・ソリューション・コンサルティンググループ シニアマネージャー)
【概要】 かつては製品開発力だ、価格だ、人材だと言われてきた企業の競争力の源泉が、データ、アルゴリズム、ビジネスモデルの3つに収斂されていく潮流が来ている。
グローバル企業がデータ獲得競争を繰り広げる中で、これまでデータ収集対象の中心であった消費者の購買行動・消費選択行動のデータに加えて、消費者の生体情報、心理情報、環境情報が次のターゲットとなっている。誰が何をいつ選択したかという消費選択行動は、スマートフォンの普及によってネット上のバーチャルな情報として蓄積が進んでいるが、IoT技術の進展に伴い、今後は、どのような人がどのような状態・環境に置かれた中で選択した結果なのか、というリアルの情報との紐付けがポイントとなる。本講演では、データの質や量がどのように企業間競争に影響を与えているかを解説するとともに、リアルとバーチャルの融合が進むと、どのような新サービスが生まれ、企業が提供する顧客体験はどう変化するのか、先進事例を交えながら「情報未来」を構想する。
【略歴】 総務省入省。通信業界・郵政事業に関する政策立案・制度設計に携わった後、転出。株式会社NTTデータ経営研究所に入社。通信・メディア・広告・教育・飲食・不動産など幅広い領域における新規事業開発、競争戦略立案を主導。社会潮流を踏まえた構想・ビジョン策定と、異業種間アライアンスと先進テクノロジーに基づく新規事業開発を得意とする。
2016年度から、デジタルコグニティブサイエンスセンターのシニアマネージャーを兼任。
10:05-10:20 講演(3) カンブリアンゲームとクラウドの無意識
安斎 利洋(システムアーティスト )
【概要】 「カンブリアン・ゲーム」はイメージがイメージを喚起し、分岐することで連想のグラフ構造を作る。Web上に写真の樹を作るコラボレーションとして、2002年から現在も継続し、多くの優れた連衆(メンバー)がかかわるムーブメントとなっている(http://cambrian.jp/)。しかしカンブリアン・ゲームは、多くの人々が共有する連想を集約するシステムとして働くわけではなく、むしろそこから逸脱し、なおかつ共感を得るぎりぎりの創発的エッジを探索する。これは、ときおりSNS上で自発的にくりひろげられる「大喜利」にもみられる力学である。人工知能研究が、連想強度の集積したビッグデータとニューラルネットワークの成功を得て演繹的推論 deduction から帰納的推論 induction に関心を移すなかで、何を推論すべきかを推論することまで含めた アブダクション abduction をどう構成するか。カンブリアン・ゲームはそのヒントを含んでいる。  【イベント企画資料はこちら】
【略歴】 1956年生まれ。システム・アーティスト。プログラマー。1980年代にCG作家として活動を開始。制作と並行してペイントシステムの開発を手がける。1990年代「連画プロジェクト」を中村理恵子と開始。プラネタリウム描画環境「マジック・ケプラー」、P2Pペイントシステム「Interwall」などメディアアート作品を制作。2000年代「カンブリアンゲーム」「触覚的自我」など創発的ワークショップを設計。武蔵野美術大学非常勤講師。
10:20-10:35 講演(4) 現代版藩札(地域通貨)のススメ
山田 智樹(株式会社セブン銀行 セブンラボ 次長)
【概要】 大都市圏への一極集中の一方で、地方と呼ばれる多くの自治体は、人口流出だけでなく経済(お金)流出が深刻だ。加えて高齢化も進み、このままでは豊かな地域文化や産業保全は非常に難しい。約900の自治体が近い将来消滅するともいわれる中、政府は様々な交付金や補助金を梃に地方創生に取り組んできた。しかし大都市圏の自己増殖は更に地方から人やお金を流出させ、ますます地域間格差が広がっている。江戸時代、地方が活況だった頃、それを支えた仕組みが「藩札」と呼ばれる地域通貨だった。地域内の経済を地域内で循環させるこの仕組みは、地方創生の切り札として有効ではないかと考える。現代版藩札は、ITを活用し、意志あるお金をその意思通りに執行することが可能な媒体になり、その履歴は簡単に可視化できる。本講演では、これを可能とする技術事例と、全国にリアルネットワークを有する企業が地域創生にどう取り組むのか提案したい。
【略歴】 1993年立命館大学国際関係学部卒。大手旅行代理店にて企業・自治体・研究機関向けの海外視察を企画提案。1997年セブン-イレブン・ジャパン入社。加盟店経営相談の現場を経てグループ内IT事業会社(セブンドリームドットコム)でサービス事業立ち上げを経験。2012年 セブン銀行転籍。グループ外へのATM拠点拡大チームを率いる。2015年経産省主催の起業家育成プログラムでのシリコンバレー選抜派遣をきっかけに、昨年より新事業開発に取組む。
10:35-10:50 講演(5) ログ活用も螺旋状に進化する
阿部 匡伸(岡山大学大学院 自然科学研究科 教授)
【概要】 インターネットは我々の日常生活に入り込み、その便利さの恩恵を受けない日はない.最近では、IoTに代表されるようにサイバースペースの情報だけでなくリアルワールドに結びついた情報もマージされ始めている。このサイバースペースとリアルワールドの融合は興味深い。例えば、情報の信憑性である。サイバースペースであるがゆえに、物理的な制約から解き放たれて世界中の情報が手に入り、見ず知らずの人との交流も可能となった。その一方で、情報の信憑性が疑われもしている。サイバースペース情報への偏重である。リアルワールドの実体と結びつけ物理的な制約を導入することで、情報の信憑性の向上が期待できる。いわばリアルワールドへの回帰である。今後はサイバースペースとリアルワールドの双方で補完しつつログ活用は変容していくのではないか?本講演では、ライフログがリアルワールド情報の最たる例と位置づけネット社会の将来について展望する。
【略歴】 1984年 早大大学院修士課程了。同年日本電信電話公社(現NTT)入社。1987年~1991年ATR自動翻訳電話研究所出向。1989年MIT滞在研究員。NTT サイバーソリューション研究所プロジェクトマネージャを経て、2010年より岡山大学大学院自然科学研究科教授。この間、音声信号処理、音声合成、ライフログの研究に従事。博士(工学)。IEEE、日本音響学会、電子情報通信学会、情報処理学会等の会員。
11:00-12:00 パネル討論 ログの先に見える未来
【概要】 工学のみならず、様々な分野の専門家にお集まりいただき、デジタルとアナログが共創する将来を議論し、ログの先に見える新たな未来に迫ります。
司会:小川 克彦(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
【略歴】 1978年に慶應義塾大学工学部修士課程を修了し、同年NTTに入社。画像通信システムの実用化、インタフェースデザインの研究、ブロードバンドサービスや端末の開発に従事。NTTサイバーソリューション研究所所長を経て、2007年より現職。工学博士。専門は、ヒューマンセンタードデザイン、ネット社会論。主な著書に「つながり進化論」(中央公論新社)、「デジタルな生活」(NTT出版)がある。
パネリスト:諏訪 正樹(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
【略歴】 慶應義塾大学環境情報学部教授。1984年東京大学工学部卒、1989年同大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)。日立製作所基礎研究所、スタンフォード大学にて客員研究員、シドニー大学建築デザイン学科主任研究員を経て、2000年より中京大学情報科学部助教授、2004年同大学教授、2008年4月より現職。身体知、感性、コミュニケーションの知の学びの過程を探究する。学びの手法「からだメタ認知」と研究方法論「一人称研究」を提唱。
パネリスト:河本 敏夫(株式会社NTTデータ経営研究所 情報戦略コンサルティングユニット ビジネス・ソリューション・コンサルティンググループ シニアマネージャー)
【略歴】 総務省入省。通信業界・郵政事業に関する政策立案・制度設計に携わった後、転出。株式会社NTTデータ経営研究所に入社。通信・メディア・広告・教育・飲食・不動産など幅広い領域における新規事業開発、競争戦略立案を主導。社会潮流を踏まえた構想・ビジョン策定と、異業種間アライアンスと先進テクノロジーに基づく新規事業開発を得意とする。
2016年度から、デジタルコグニティブサイエンスセンターのシニアマネージャーを兼任。
パネリスト:安斎 利洋(システムアーティスト )
【略歴】 1956年生まれ。システム・アーティスト。プログラマー。1980年代にCG作家として活動を開始。制作と並行してペイントシステムの開発を手がける。1990年代「連画プロジェクト」を中村理恵子と開始。プラネタリウム描画環境「マジック・ケプラー」、P2Pペイントシステム「Interwall」などメディアアート作品を制作。2000年代「カンブリアンゲーム」「触覚的自我」など創発的ワークショップを設計。武蔵野美術大学非常勤講師。
パネリスト:山田 智樹(株式会社セブン銀行 セブンラボ 次長)
【略歴】 1993年立命館大学国際関係学部卒。大手旅行代理店にて企業・自治体・研究機関向けの海外視察を企画提案。1997年セブン-イレブン・ジャパン入社。加盟店経営相談の現場を経てグループ内IT事業会社(セブンドリームドットコム)でサービス事業立ち上げを経験。2012年 セブン銀行転籍。グループ外へのATM拠点拡大チームを率いる。2015年経産省主催の起業家育成プログラムでのシリコンバレー選抜派遣をきっかけに、昨年より新事業開発に取組む。
パネリスト:阿部 匡伸(岡山大学大学院 自然科学研究科 教授)
【略歴】 1984年 早大大学院修士課程了。同年日本電信電話公社(現NTT)入社。1987年~1991年ATR自動翻訳電話研究所出向。1989年MIT滞在研究員。NTT サイバーソリューション研究所プロジェクトマネージャを経て、2010年より岡山大学大学院自然科学研究科教授。この間、音声信号処理、音声合成、ライフログの研究に従事。博士(工学)。IEEE、日本音響学会、電子情報通信学会、情報処理学会等の会員。