抄録
O-002
柔軟な居住実態に適合する緊急通報システムを用いた被災高齢者の見守りの可能性 ~熊本県益城町における「みなし仮設住宅」の教訓にもとづいて~
小松原康弘(セコム)
現在,高齢者の見守りで多く使用されているのが緊急通報システムである.緊急通報システムは,居宅に対し据え置き型での導入が前提となっている.しかし,災害で居住空間を失った被災者は,異なった場所で一時的な仮住まいを確保する.応急仮設住宅であれば,建設時に設置の可能性もあるが,既存の住宅を援用する「みなし仮設住宅」では,設置型のシステムを導入することは困難である.そこで,場所を問わず,被災者自身が容易に携帯でき,24時間体制で緊急通報システムにアクセスできる仕組みが必要であると考えた.本稿では,被災者の居住実態に柔軟に適合する緊急通報システムを提案するとともに,熊本地震の益城町で試験導入した教訓をもとに,被災高齢者の見守りの可能性を言及する.