抄録
M-023
TCP輻輳制御を考慮した高遅延高パケットロス率環境におけるHTTP/2通信性能の向上
小田尚輝・山口実靖(工学院大)
ウェブページの転送プロトコルとしてHTTP/2が提案され,今後は本プロトコルが普及していくと予想される.
HTTP/2では,HTTP/1.xのHoLブロッキング問題を,ストリームとフレームを用いて単一コネクションにより解決する手法が採用されているが,コネクションが単一であることに起因する課題も指摘されている.
本稿ではまず,単一コネクションのHTTP/2の通信が多くの環境にて多コネクションのHTTP/1.1の通信と同等の性能を提供できることと,高遅延高パケットロス率環境にて同等の性能を提供できないことを紹介する.
また,HTTP/2が高遅延高パケットロス率環境にて高い性能を提供できない理由が低い輻輳ウィンドウの値にあることを紹介する.
そして,TCP輻輳制御アルゴリズムの振る舞いを修正することによりHTTP/2の転送速度を向上させることが可能であることを示し,輻輳制御アルゴリズムとHTTP/2転送性能の関係についての考察を行う.