抄録
E-010
漢字二字熟語の語彙判断における概形の影響:書字方向による違い
鈴木寛仁・矢内浩文(茨城大)
漢字二字熟語と二字を転置してできる非熟語を多数用意した刺激セットから,ランダムに1刺激ずつをディスプレイに横書きで呈示し語彙判断する課題を通じて次の人間特性が得られている.2字の概形を三角形,四角形,五角形に分類し,語彙判断時間と誤反応率を整理すると,2字の概形が同じ場合は,異なる場合に比べ語彙判断時間が長く,誤反応率が大きい.ここでは,書字方向(横書き/縦書き)が語彙判断に及ぼす影響について報告する.熟語全体の形状は書字方向に依存するため,2方向の結果を比較することにより,熟語全体の形状が処理に関わっているのか,それとも個々の漢字の概形のみが関わっているのかを判断することができるからである.