抄録
CN-001
日本におけるブラウザ”Do Not Track”の制度的可能性
加藤弘則(東大)
本稿では特定のウェブブラウザで利用可能な”Do Not Track(DNT)”の制度化の可能性について論じる。DNTとはhttpヘッダーにトラッキングを拒否する情報を付与し、サーバに伝える仕組みである。これにより、ユーザがサーバにトラッキングの拒否を明示しなくとも、主に広告で利用されうるcookieが付与された後のトラッキング拒否の意思を示すことが可能となる。その一方、我が国においてはDNTの制度化や業界で統一された枠組みが存在しないため、トラッキングを拒否する方法は主にオプトアウトである。データ利活用を成長戦略として掲げる我が国において求められるプライバシーへの配慮方法の一つとして、DNTの制度化による可能性を探りたい。