抄録
B-018
仮想化環境における下位キャッシュの局所性を高めるファイルシステム
吉田光太朗・山口実靖(工学院大)
クラウド環境の普及に伴い、仮想化環境の重要性が高まっている。多くの実装で仮想化環境において物理HDDへのアクセスは二重のページキャッシュを介して行われる。一つはゲストOSページキャッシュ、もう一つはホストOSページキャッシュである。この状況では、ホストOSのページキャッシュへのアクセスは負の参照の時間的局所性を持ち、ホストOSのキャッシュヒット率はこの局所性により著しく低下する。本稿では、ホストOSキャッシュのヒット率の向上のために新しいファイルシステムを提案する。ファイルシステムはゲストOSで動作し、ページキャッシュの変わりにメモリを管理する。その結果、一部のデータへのアクセスは常にキャッシュヒットとなる。他のデータへのアクセスは、常にキャッシュミスとなる。これにより、ホストOSページキャッシュへのアクセスの参照の局所性が高まり、ホストOSのキャッシュヒット率が向上することが期待できる。提案するファイルシステムを実装し、性能評価によりその有用性を示す。