FIT2016 第15回情報科学技術フォーラム 開催日:2016年9月7日(水)~9日(金) 会場:富山大学キャンパス
イベント企画
助教が吼える! 各界の若手研究者大集合
9月9日(金) 9:30-11:30
第2イベント会場(共通教育棟A棟2階A21)
【セッション概要】 これからこの分野を背負って立つであろう、若手研究者に自分の分野の最近のトレンドとその将来を、専門外の参加者にも分かり易く、熱く語ってもらう。
9:30-9:50 講演(1) リビングラボ:開発者と消費者による価値共創プラットフォーム
杉浦 裕太(慶應義塾大学 理工学部 助教)
【概要】 現場で実際に役に立つ製品やサービスを生み出すためには、現場の声に耳を傾けることが重要です。私は情報技術を活用することで、開発する立場の人々とそれを使う立場の人々を結び付けて、両者が協力して製品やサービスの設計や検証ができる研究に取り組んでいます。開発者による多様な設計を支援するユーザインタフェース技術。デザインを消費者に提示するためのバーチャルリアリティ技術。地域や文化が異なる多様な消費者の反応や行動を計測してコンピュータ上に構成するためのセンシングやデジタルヒューマン技術。これらの技術を基軸として現場コンテクスト下で共創を実現するプラットフォーム「リビングラボ」によって生活革新を目指した研究を紹介します。
【略歴】 2013年慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科博士後期課程修了。博士(メディアデザイン学)。日本学術振興会特別研究員(DC2)、日本学術振興会特別研究員(PD)、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科特任助教、国立研究開発法人産業技術総合研究所人間情報研究部門デジタルヒューマン研究グループ産総研特別研究員を経て2016年4月より慶應義塾大学理工学部情報工学科助教。情報処理学会山下記念研究賞受賞。ヒューマンコンピュータインタラクションに関する研究に従事。
9:50-10:10 講演(2) 計算で明らかにするタンパク質の出会いとネットワーク
大上 雅史(東京工業大学 情報理工学院 助教)
【概要】 情報科学は様々な分野へと応用されてきているが、生命科学分野でも情報科学の重要性は増すばかりである。計算機・計算技術の進展と実験機器・実験技術の進展が相まって、ある遺伝子やある生体分子といった個別の研究を超えて、遺伝子集団や生体分子集団といった集団の網羅的な解析研究が現実のものとなった。本講演では、タンパク質の集団に着目し、タンパク質間相互作用という生命現象にどのように情報科学で切り込んでいくか、その事例を紹介する。
【略歴】 2014年東京工業大学大学院情報理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。2011年から2014年まで日本学術振興会特別研究員DC1、2014年から2015年まで日本学術振興会特別研究員PD、2015年から東京工業大学大学院情報理工学研究科助教、2016年に改組による所属変更、現在に至る。2016年より東京工業大学科学技術創成研究院スマート創薬研究ユニットを兼担。第4回日本学術振興会育志賞受賞。バイオインフォマティクス、創薬支援計算、計算生物物理、ハイパフォーマンスコンピューティングに関する研究に従事。日本生物物理学会理事。情報処理学会、日本生物物理学会、日本バイオインフォマティクス学会、日本蛋白質科学会、情報計算化学生物学会、ISCB、ACM SIGBio各会員。
10:10-10:30 講演(3) ハードウェアはやわらかい
高前田 伸也(NAIST 情報科学研究科 助教)
【概要】 ハードウェアが固いと誰が決めたんでしょうか。ハードウェアは固くないと速くないのでしょうか。今は柔らかいハードウェアが速くて面白いです。FPGAやリコンフィギャラブルアーキテクチャなどの柔らかいハードウェアの魅力と、それらを活用する「ゆるふわ」なハードウェア設計技術を紹介します。
【略歴】 2014年東京工業大学大学院情報理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。2011年から2014年まで日本学術振興会特別研究員。2014年から奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教。コンピュータアーキテクチャ、リコンフィギャラブルシステム、高位ハードウェア設計方式に関する研究に従事。IEEE、情報処理学会、電子情報通信学会各会員。
10:30-10:50 講演(4) IDFとコルモゴロフ複雑性の邂逅
白川 真澄(大阪大学 大学院情報科学研究科 特任助教)
【概要】 情報検索分野で生み出されたIDF(Inverse Document Frequency、逆文書頻度)は、単語の特徴度を測る尺度であり、その計算式のシンプルさにも関わらず、ロバストに機能することが情報理論の観点から示されている。一方でIDFは、複数の単語からなる単語列、すなわち単語N-gramに対してうまく機能しないという問題があり、これまではヒューリスティックに対応する必要があった。本講演では、アルゴリズム情報理論において確立されたコルモゴロフ複雑性が、IDFのロバスト性を説明する新たな根拠となること、またこれにより、IDFが単語N-gramにも適用可能となることを示す。
【略歴】 2013年大阪大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了。博士(情報科学)。2013年より大阪大学大学院情報科学研究科特任助教、2016年より兼任でハッピーコンピューター株式会社取締役となり、現在に至る。2011年Microsoft Research Asiaインターン。Webやテキストを対象としたデータマイニングに関する研究に従事。ACM、情報処理学会、日本データベース学会、言語処理学会各会員。
10:50-11:10 講演(5) 漫画に対する画像処理
松井 勇佑(国立情報学研究所 特任研究員)
【概要】 漫画は巨大なマーケットを形成するコンテンツであるが、漫画画像に画像処理を施し応用に役立てるという観点はこれまでにほとんどなかった。本発表ではこれまでに行ってきた漫画に対する画像処理の研究を「漫画を読む」「漫画を描く」という二つの観点から紹介し、画像処理技術が漫画の読書・描画体験をよりリッチなものに出来るかどうかについて議論する。
【略歴】 2016年東京大学大学院情報理工学系研究科修了。博士(情報理工学)。現在、国立情報学研究所特任研究員。コンピュータビジョン、マルチメディア処理、特に漫画・線画に対する研究に従事。
11:10-11:30 講演(6) 計算機の特徴を考慮した行列計算アルゴリズムの開発
深谷 猛(北海道大学 基盤情報センター 助教)
【概要】 様々な科学技術計算において、連立一次方程式の求解や固有値・特異値計算といった行列計算が現れます。一方、これらの計算で使用される計算機の特徴(規模やアーキテクチャなど)は様々で、今後、より複雑かつ多様になると言われています。計算機の性能をより引き出すためには、同じ行列計算の問題でも、使用する計算機の特徴に応じたアルゴリズムを用いることが求められます。本講演では、近年や近い将来の計算機の特徴を考慮した新しい行列計算アルゴリズムの開発に関する研究事例を紹介します。
【略歴】 2012年名古屋大学大学院工学研究科計算理工学専攻博士課程(後期課程)修了。博士(工学)。2010年から2012年まで日本学術振興会特別研究員(DC2)。神戸大学大学院システム情報学研究科特命助教、理化学研究所計算科学研究機構大規模並列数値計算技術研究チーム特別研究員を経て、2015年4月より北海道大学情報基盤センター助教。高性能計算、線形計算アルゴリズムに関する研究に従事。情報処理学会、日本応用数理学会各会員。