FIT2016 第15回情報科学技術フォーラム 開催日:2016年9月7日(水)~9日(金) 会場:富山大学キャンパス
抄録
RN-002
『説文解字』小徐本の版本比較における字形差判断基準の調査
鈴木俊哉(広島大)・鈴木 敦・菅谷克行(茨城大)
2003年にはじまる中国・台湾による古漢字の標準文字符号化提案は、甲骨・金文・説文小篆という典型的な3分割に基づいたもので、これを時代順に進めるというものであった。しかし、甲骨の標準化が成功しなかったことから方針を変更し、もっとも資料が安定している説文小篆の標準化に変更された。2003年の提案では、北京師範大学の小篆フォントを基盤に、大徐本・小徐本・木部残巻・段注本・説文義証・通訓定声・説文句読から字形を採集する計画であった。 2015年の提案では版本評価は無くなり、単に藤花榭本から作成したフォントを標準化せよというものになったが、他の版本に見える異字形は別字符号化せよという方針はそのままであった。本稿では、この方針の妥当性評価の材料として、徐鍇の著作の研究における字形差の弁別基準を調査した。