FIT2015第14回情報科学技術フォーラム 開催日:2015年9月15日(火)~17日(木) 会場:愛媛大学城北キャンパス
イベント企画
ITによって教育はどのように変わるか?
9月15日(火) 13:00-15:00
第2イベント会場(講義棟1階グリーンホール)
【セッション概要】 JSTのさきがけ「社会と調和した情報基盤技術の構築」(研究総括:安浦寛人(九州大学))では、より良い社会の実現を目的とする情報基盤の要素技術の研究と、それらの技術を対象とする社会と調和させるために必要な制度や運用体制、ビジネスモデルまでも含めた総合的な研究を幅広い分野の若手研究者が進めている。
本シンポジュームでは、ITによる教育改革の可能性を、種々の角度から提案し、社会受容性や実現可能性等を技術的な側面と社会的な側面の双方から議論する。招待講演1件とさきがけの研究者からのショートプレゼンテーションを行い、参加者との議論を展開する。教育は、社会の健康管理ともいえる。個人や集団の教育情報の管理や活用などの社会的課題についても議論する。
13:00-13:05 挨拶・研究総括
安浦 寛人(九州大学 理事・副学長)
【略歴】 1978年京都大学工学研究院情報工学博士課程中退。工学博士。京都大学工学部情報工学科助手、同電子工学科助教授を経て、1991年より九州大学大学院総合理工学研究科情報システム学専攻教授。九州大学大学院システム情報科学研究院教授および研究院長を経て、2008年より国立大学法人九州大学理事・副学長。この間、(財)京都高度技術研究所研究室長、(財)九州情報システム技術研究所研究室長などを兼務。現在、(公財)福岡アジア都市研究所理事長を兼務。電子情報通信学会情報システムソサイエティ会長、JSTさきがけ領域代表等も務めている。集積回路設計から社会情報基盤の研究まで、幅広く活動している。
13:05-13:30 講演(1)・研究領域招待講演 デジタル教材の閲覧履歴を中心とした教育ビッグデータの利活用に向けて
緒方 広明(九州大学 基幹教育院/大学院システム情報科学府 教授)
【概要】 本研究では、e-Learningシステムなどの利用履歴やデジタル教材の閲覧履歴を統合して、教育ビッグデータを構成し、それを分析することによって教育の改善を行う取り組みを報告する。現在、この取り組みは、九州大学基幹教育を受講する学生2,700名を対象に行っている。
【略歴】 徳島大学工学部卒、同大学院修了。博士(工学)。徳島大学工学部助手を経て、2013年より九州大学基幹教育院教授。米国コロラド大学ボルダー校客員研究員(2001-2003年)。JSTさきがけ「情報環境と人」兼任研究員(2009-2013年)。mLearn2009 Best Paper Award, ICCE 2009 Best Technology Design Paper Award, APSCE Distinguished Researcher Award等受賞。モバイル学習、協調学習環境などの研究に従事。
13:30-13:50 講演(2)・さきがけ研究者 個別学習環境におけるマルチモーダルインタラクション
川嶋 宏彰(京都大学 大学院情報学研究科 准教授)
【概要】 対面での演習や家庭学習の環境では、ティーチングアシスタントや親などが、学び手自身に考え方などの説明を求めるとともに、理解の状況に応じて適切なヒントを出して気づきを促すという、インタラクティブな学習の場が形成される。オープンエデュケーションの個別学習では、このインタラクティブ性がしばしば失われるという問題に対し、本研究では、個々の学習者に寄り添うような対話型の学習支援システムを開発することで、学習者の特性に合わせたインタラクティブな働きかけによって、興味や学習意欲を喚起・維持することを目指している。特に本講演では、学ぶ側へ適切なフィードバックを行うための、学習者の理解の状況や集中度といった状態を、視線や表情等のメディア処理を通じて記録・推定する技術について紹介する。
【略歴】 2001年京都大学大学院情報学研究科修士課程修了。博士(情報学)。2015年より同大学院准教授。2010年6月より2012年6月までジョージア工科大学客員研究員。2014年10月よりさきがけ研究者。時系列パターンのモデル化や認識、画像メディア処理、マルチエージェントの分散協調制御の研究に従事。電子情報通信学会、情報処理学会、ヒューマンインタフェース学会、IEEE各会員。
13:50-14:10 講演(3)・さきがけ研究者 ITが変える教育-ソフトウェアによる学習意欲の維持
坂本 一憲(情報・システム研究機構 国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 助教)
【概要】 近年、情報通信技術(ICT)の教育分野に対する利活用が進んでいる。ICT利活用の例として、黒板やノートを電子化するなど、教育現場の利便性を向上させる道具として導入されるケースや、反転授業と呼ばれるビデオによる事前学習を導入することで、従来と異なる教育手法を実現する技術として導入されるケースがある。以上のようなICTの導入によって、教育者が学習者のそばにいない状態でも学習可能な環境が整いつつある。一方、従来のICTの導入例では、教材の提供等により学習者を支援することができても、学習者を褒めたり励ましたりして、学習意欲を維持する仕組みを備えていないことがあり、学習者の学習意欲を引き出して維持することが課題として残っている。本講演では、学習意欲を引き出すという課題に対して、ICT技術を利用した手法について議論する。
【略歴】 2009年早稲田大学コンピュータ・ネットワーク工学科卒。2010年同大学大学院基幹理工学研究科修士課程修了。2013年同研究科博士課程修了。同年国立情報学研究所特任助教を経て、2014年より同研究所助教および科学技術振興機構さきがけ研究者となり現在に至る。博士(工学)。プログラミング教育、モチベーション、プログラム解析、ソフトウェアテストなどに興味を持つ。情報処理学会、電子情報通信学会、日本ソフトウェア科学会、ACM、IEEE各会員。
14:10-14:30 講演(4)・さきがけ研究者 脳情報とITの融合による教育効果向上への試み -脳情報の教育における有用性-
細田 千尋(科学技術振興機構 さきがけ研究者)
【概要】 私たちの脳は、生後のさまざまな環境に適応して学習する柔軟性を持っている。近年、脳科学の進歩により、非侵襲的に脳機能や構造の変化を捉えられるようになった。それに伴い、臨界期をすぎた成人の脳でも、外部入力に応じて脳が可塑的に変化する様子を可視化する事ができるようになった。このように、脳、特に人においては、遺伝子ばかりではなく、後天的(epigenetic)な要因が脳の形成、発育、修飾に非常に大きく関わっている事が明らかになってきた。そこでまず、成人の英語能力獲得に伴う脳の可塑的変化についての研究結果を中心に、能力獲得と脳可塑性についての紹介をする。その上で、能力獲得には欠かす事のできない、‘やる気’や‘忍耐強さ’に由来する、遂行能力と脳構造の関連性について紹介する。脳科学、IT技術、学、教育、の融合による新しい観点から、あたらしい教育のあり方を検討する。
【略歴】 2010年3月東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了。博士号(医学)取得。国立精神・神経医療研究センター疾病研究第七部流動研究員、国際電気通信基礎技術研究所脳情報研究所専任研究員、東京大学大学院総合文科研究科生命環境科学系研究員を経て、2014年12月~科学技術振興機構さきがけ研究員に着任。脳可塑性と個人特性、能力、モチベーション維持の関係性を研究主題とし、現在はさきがけ研究として、生体情報フィードバックを利用したテーラーメードオンライン教育システム開発をおこなっている。
14:30-15:00 パネル討論 ITによって教育はどのように変わるか?
【概要】  4名の講演を受けて、情報技術による今後の教育改革の可能性を、種々の角度から議論する。初等中等教育から高等教育、さらには生涯教育や社会人教育における変化、教育に関する学習者や教育者の各種情報の利用や管理などの新しい問題について幅広く議論する。また、教育学、心理学、脳科学などの知見を情報技術で結びつけ、教育効果の測定やアクティブラーナーの育成等、教育手法の改革と学習者のモーティベーションの向上•維持を支援する手法やシステムについても多角的な視点から意見交換を行う。社会受容性や実現可能性等を技術的な側面と社会的な側面の双方から議論し、参加者も交えて教育の将来像を展望する。個人や集団の教育情報の管理や活用などの社会的課題についても議論する。
司会:安浦 寛人(九州大学 理事・副学長)
【略歴】 1978年京都大学工学研究院情報工学博士課程中退。工学博士。京都大学工学部情報工学科助手、同電子工学科助教授を経て、1991年より九州大学大学院総合理工学研究科情報システム学専攻教授。九州大学大学院システム情報科学研究院教授および研究院長を経て、2008年より国立大学法人九州大学理事・副学長。この間、(財)京都高度技術研究所研究室長、(財)九州情報システム技術研究所研究室長などを兼務。現在、(公財)福岡アジア都市研究所理事長を兼務。電子情報通信学会情報システムソサイアティ会長、JSTさきがけ領域代表等も務めている。集積回路設計から社会情報基盤の研究まで、幅広く活動している。
パネリスト:緒方 広明(九州大学 基幹教育院/大学院システム情報科学府 教授)
【略歴】 徳島大学工学部卒、同大学院修了。博士(工学)。徳島大学工学部助手を経て、2013年より九州大学基幹教育院教授。米国コロラド大学ボルダー校客員研究員(2001-2003年)。JSTさきがけ「情報環境と人」兼任研究員(2009-2013年)。mLearn2009 Best Paper Award, ICCE 2009 Best Technology Design Paper Award, APSCE Distinguished Researcher Award等受賞。モバイル学習、協調学習環境などの研究に従事。
パネリスト:川嶋 宏彰(京都大学 大学院情報学研究科 准教授)
【略歴】 2001年京都大学大学院情報学研究科修士課程修了。博士(情報学)。2015年より同大学院准教授。2010年6月より2012年6月までジョージア工科大学客員研究員。2014年10月よりさきがけ研究者。時系列パターンのモデル化や認識、画像メディア処理、マルチエージェントの分散協調制御の研究に従事。電子情報通信学会、情報処理学会、ヒューマンインタフェース学会、IEEE各会員。
パネリスト:坂本 一憲(情報・システム研究機構 国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 助教)
【略歴】 2009年早稲田大学コンピュータ・ネットワーク工学科卒。2010年同大学大学院基幹理工学研究科修士課程修了。2013年同研究科博士課程修了。同年国立情報学研究所特任助教を経て、2014年より同研究所助教および科学技術振興機構さきがけ研究者となり現在に至る。博士(工学)。プログラミング教育、モチベーション、プログラム解析、ソフトウェアテストなどに興味を持つ。情報処理学会、電子情報通信学会、日本ソフトウェア科学会、ACM、IEEE各会員。
パネリスト:細田 千尋(科学技術振興機構 さきがけ研究者)
【略歴】 2010年3月東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了。博士号(医学)取得。国立精神・神経医療研究センター疾病研究第七部流動研究員、国際電気通信基礎技術研究所脳情報研究所専任研究員、東京大学大学院総合文科研究科生命環境科学系研究員を経て、2014年12月~科学技術振興機構さきがけ研究員に着任。脳可塑性と個人特性、能力、モチベーション維持の関係性を研究主題とし、現在はさきがけ研究として、生体情報フィードバックを利用したテーラーメードオンライン教育システム開発をおこなっている。