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FIT2014 第13回情報科学技術フォーラム 開催日:2014年9月3日(水)~5日(金) 会場:筑波大学筑波キャンパス FIT2014 第13回情報科学技術フォーラム HOME 一般社団法人電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 一般社団法人電子情報通信学会 ヒューマンコミュニケーショングループ 一般社団法人情報処理学会 筑波大学
イベント企画
新しい時代の情報保護と情報利活用 -セキュリティ技術、法律、マネジメント-
9月4日(木) 15:30-17:30
第1イベント会場(3A棟2F 3A204)
【セッション概要】 急速に進歩・発展する情報技術により、情報の取得・蓄積・流通・解析などが日々容易かつ効率的となりつつある。そして、高度な統合利活用の可能性がより一層拓かれようとしている。一方でその副作用として、パーソナルデータや機密情報の漏洩、情報システムへの攻撃など、社会にとっての脅威も増大している。そのため、情報の利活用の推進と情報や情報システムの保護の両立が強く求められている。しかし、この問題に簡単な解決方法はなく、技術、法律、マネジメントなどの幅広い観点からの地道な取り組みが必要である。そこで、本イベント企画では、日本学術会議 安全・安心社会と情報技術分科会メンバーを中心に、さまざまな分野で指導的立場にある方々による現状分析と将来展望に関する講演・パネル討論を行う。
全体司会:柴山 悦哉(東京大学 情報基盤センター 教授)
【略歴】 1981年京都大学理学部卒。1983年同大学院理学研究科修士課程修了。同年、東京工業大学理学部助手。その後、龍谷大学理工学部、東京工業大学理学部、同大学院情報理工学研究科を経て2008年より東京大学情報基盤センター教授。理学博士。日本ソフトウェア科学会理事長、情報処理学会理事及び論文誌編集委員長などを歴任。現在、日本学術会議特任連携会員、科学技術振興機構「ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化」副研究総括。
15:30-15:50 講演-1 個人情報保護法改正の動向
鈴木 正朝(新潟大学 法学部 教授)
【概要】 個人情報保護法改正について、政府IT総合戦略本部パーソナルデータに関する検討会での大綱とりまとめにかかる議論を踏まえながら、法改正に至る背景、改正法案の論点、積み残しの課題について説明する。
Suicaの履歴データ販売等がネット等で炎上したことなどに端を発して、現行法上の個人情報の定義及び第三者提供についての解釈論上の議論が巻き起こるとともに、ビッグデータ時代に向けての産業振興上の観点及び本人保護の観点から立法論的解決に向けて大きく転換したということである。「特定個人の識別情報」を保護することでどのような個人の権利利益を保護しているのか、特定個人を識別できずとも個人の権利利益を侵害するケースがあるのではないか。仮名化、匿名化の法的評価を含めて、個人情報保護法の議論は、一気に統計的、数理的な観点からの分析を要する問題となってきた。情報法学は情報処理研究の助力なしに成立し得ない新たな時代を迎えている。
【略歴】 1962年生れ、岩手県出身。中央大学大学院法学研究科博士前期課程修了 修士(法学)、情報セキュリティ大学院大学博士後期課程修了 博士(情報学)。ニフティを経て2005年から現職。IT総合戦略本部パーソナルデータに関する検討会委員、政府情報システム刷新有識者会議臨時構成員、厚生労働省社会保障分野サブワーキンググループ構成員、経済産業省個人情報保護ガイドライン委員会委員、日本データ通信協会Pマーク審査会会長等歴任。
15:50-16:10 講演-2 安全・安心社会を実現するセキュリティ基盤
宮地 充子(北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授)
【概要】 日本学術会議では、2010年に第21期の大型研究計画のマスタープラン2010を提言し、我が国が推進すべき大型研究計画のマスタープランを3年ごとに見直し策定することを明示した。この結果を受けて、第22期において学術の大型研究計画のマスタープラン2014の策定が進められた。
日本学術会議 情報学委員会 安全・安心社会と情報技術分科会では、サイバー攻撃等、情報システム社会の信頼をゆらがせる事故への対策、ビッグデータの安全安心な利活用の推進が緊急を要することを鑑み、「安全・安心社会を実現する情報システムのためのセキュリティ基盤」を大型研究計画のマスタープラン2014に提案した。
本講演では、安全・安心社会と情報技術分科会で策定した緊急の情報セキュリティに関する大型研究計画のマスタープラン2014について解説する。
【略歴】 1990年大阪大学大学院理学研究科修士課程修了。1990年パナソニック株式会社入社。1998年北陸先端科学技術大学院大学准教授。2002-2003年カリフォルニア大学デービス校客員研究員。2007年北陸先端科学技術大学院大学教授。情報セキュリティの研究に従事。博士(理学)。SCIS93若手論文賞、科学技術庁注目発明賞、坂井記念特別賞(情報処理学会)、標準化貢献賞(情報処理学会)、情報セキュリティ文化賞、国際規格開発賞(情報処理学会)、国際標準化奨励者表彰(産業技術環境局長表彰)、ドコモ・モバイル・サイエンス賞、The 6th International Conference on Advanced Data Mining and Applications(ADMA 2010) 最優秀論文賞、2014年文部科学大臣表彰 科学技術賞 研究部門各受賞。電子情報通信学会、情報処理学会、International Association for Crytologic Research(IACR)、日本数学会 各会員。
16:10-16:30 講演-3 マイナンバー制度に向けた動向とマネジメント
須藤 修(東京大学 大学院情報学環境 教授)
【概要】 2013年5月、国会において社会保障と税の一体改革の基盤となる番号制度関連4法案が可決された。政府は、社会保障制度と税制度を一体的に把握し、より正確な所得や社会保障支出等の情報に基づいて、公平かつ効率的な社会保障制度と税制度を構築しようと検討を行ってきた。それを可能にする情報基盤としてマイナンバーが構想されたのだった。
当初の予定では、マイナンバーの利用範囲は税、社会保障、災害などに関する行政事務に限定されているが、地方公共団体の行政効率向上、行政サービスの質の改善を考え、政府は、個人情報保護に十分に配慮した上で、行政事務適用範囲拡大、官民連携などについて検討を開始している。この講演では、システム構築の動向、マイナンバー活用拡大に向けた検討状況、官民連携、行政機関におけるマネジメント体制整備に向けた課題について述べるとともに、社会システムに及ぼすインパクトについて展望する。
【略歴】 東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士(東京大学)。東京大学助教授を経て1999年より東京大学教授。現在、東京大学大学院情報学環長、国立情報学研究所客員教授、一般社団法人次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)理事長、Member of the OECD Global Science Forum Expert Group。この間、ストックホルム経済大学客員教授(1995)、NTTサービスインテグレーション基盤研究所リサーチ・プロフェッサー(1997-1999)、日本経団連21世紀政策研究所主幹研究員(2008-2009)、政府IT総合戦略本部「新戦略推進専門調査会マイナンバー等分科会」委員(2014-)などを兼務。
16:30-17:30 パネル討論
司会:柴山 悦哉(東京大学 情報基盤センター 教授)
【略歴】 1981年京都大学理学部卒。1983年同大学院理学研究科修士課程修了。同年、東京工業大学理学部助手。その後、龍谷大学理工学部、東京工業大学理学部、同大学院情報理工学研究科を経て2008年より東京大学情報基盤センター教授。理学博士。日本ソフトウェア科学会理事長、情報処理学会理事及び論文誌編集委員長などを歴任。現在、日本学術会議特任連携会員、科学技術振興機構「ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化」副研究総括。
パネリスト:鈴木 正朝(新潟大学 法学部 教授)
【略歴】 1962年生れ、岩手県出身。中央大学大学院法学研究科博士前期課程修了 修士(法学)、情報セキュリティ大学院大学博士後期課程修了 博士(情報学)。ニフティを経て2005年から現職。IT総合戦略本部パーソナルデータに関する検討会委員、政府情報システム刷新有識者会議臨時構成員、厚生労働省社会保障分野サブワーキンググループ構成員、経済産業省個人情報保護ガイドライン委員会委員、日本データ通信協会Pマーク審査会会長等歴任。
パネリスト:須藤 修(東京大学 大学院情報学環境 教授)
【略歴】 東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士(東京大学)。東京大学助教授を経て1999年より東京大学教授。現在、東京大学大学院情報学環長、国立情報学研究所客員教授、一般社団法人次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)理事長、Member of the OECD Global Science Forum Expert Group。この間、ストックホルム経済大学客員教授(1995)、NTTサービスインテグレーション基盤研究所リサーチ・プロフェッサー(1997-1999)、日本経団連21世紀政策研究所主幹研究員(2008-2009)、政府IT総合戦略本部「新戦略推進専門調査会マイナンバー等分科会」委員(2014-)などを兼務。
パネリスト:岩野 和生(三菱商事 ビジネスサービス部門 顧問)
【略歴】 1975年 東京大学理学部数学科卒業後、日本IBM入社。1987年東京基礎研究所所長、米国ワトソン研究所、先進技術事業(EBO)、大和SW開発研究所所長、未来価値創造事業など。2012年3月より三菱商事株式会社 ビジネスサービス部門顧問。東京工業大学客員教授。独立行政法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター上席フェロー、情報処理学会フェロー、日本学術会議連携会員。米国Princeton大学よりPh. D.取得。