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FIT2014 第13回情報科学技術フォーラム 開催日:2014年9月3日(水)~5日(金) 会場:筑波大学筑波キャンパス FIT2014 第13回情報科学技術フォーラム HOME 一般社団法人電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 一般社団法人電子情報通信学会 ヒューマンコミュニケーショングループ 一般社団法人情報処理学会 筑波大学
イベント企画
時空間を制限したプライバシー情報保護活用のための社会基盤の構築に向けて
9月4日(木) 9:30-12:00
第3イベント会場(3A棟4F 3A403)
【セッション概要】 携帯端末の高性能化や普及、TwitterやFacebookをはじめとするソーシャルネットワークサービス(SNS)の台頭により、個人に関わる膨大なデジタルデータ(ライフログ)を含んだ様々なデータがインターネット上に蓄積されつづけている。一方で、蓄積されたライフログに対して、災害時や緊急時に必要となる個人情報や属性情報の利活用が困難になっており、災害時や緊急時において、通信を介して個人情報を利活用できる情報システムが求められている。本パネルディスカッションでは、時間軸(災害時など特別な場合)、空間軸(実世界における特別な場所)におけるプライバシー情報保護活用基盤の社会の要請について議論する。具体的には、時間軸におけるプライバシー情報保護活用基盤として、行政や民間と個人のライフログデータを連携させて一元管理し、ライフログ利用が自律的に地域分散で判断処理できる情報システムについて議論する。一方、空間軸におけるプライバシー情報保護活用基盤については、プライバシー情報の中でも人間の内面的な情報(趣味、嗜好、行動傾向、購買傾向など)を積極的に開示可能な特別な場所において、ソーシャルメディアとセンシングデータの融合や情報活用・情報推薦の手法、ユーザのプライバシー情報の開示とユーザの得る利得がマッチするプライバシー情報保護活用基盤について議論する。
司会:岡本 学(NTTサービスエボリューション研究所 主幹研究員)
【略歴】 1989年九州芸工大・芸術工・音響設計卒。1991年同大大学院情報伝達専攻修了。2007年九大・芸術工博士過程後期単位取得退学。1991年NTT入社。以来、通信システム音響系の構築技術・再生方式、およびICTサービスのシステム設計等の研究開発に従事。現在NTTサービスエボリューション研究所主幹研究員。日本音響学会、電子情報通信学会、IEEE各会員。博士(芸術工学)。
9:30-9:40 オープニング
9:40-9:50 講演-1 話題提供とIDデータコモンズの可能性
曽根原 登(国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授)
【概要】 携帯端末の高性能化や普及、TwitterやFacebookをはじめとするソーシャルネットワークサービスの台頭により、個人に関わる膨大なデジタルデータ(ライフログ)がインターネット上に蓄積されつづけている。一方で、蓄積されたライフログに対して、災害時や緊急時に必要となる個人情報や属性情報の利活用が困難になっており、通信を介して個人情報を利活用できる情報システムが求められている。本提案は、時間軸(災害時など特別な場合)、空間軸(実世界における特別な場所)におけるプライバシー情報保護活用基盤の構築について提案する。特に、時間軸におけるプライバシー情報保護活用基盤として、行政や民間と個人のライフログデータを連携させて一元管理し、ライフログ利用が自律的に地域分散で判断処理できる情報システムを提案する。具体的には、個人情報や個人属性情報を用いて、被災地のどこに誰が住んでおり、その人は子供か大人か、手助けのいる人か、あるいは寝たきりなのか、など適切な救援や救助計画を素早く策定する方法について議論する。  【講演資料はこちら】
【略歴】 1978年、NTT入社。以後、ファクシミリの研究実用化、コンテンツ流通システム等の研究実用化に従事。1988年~1992年、国際電気通信基礎研究所(ATR) 視聴覚研究所出向。2004年より、国立情報学研究所情報流通基盤研究部門 教授。情報流通システム、認証システムの研究開発に従事。2006年~現在 国立情報学研究所 情報社会相関研究系 研究主幹・教授1999年~2003年、東京工業大学連携講座 客員教授。工学博士、電子情報通信学会、映像情報メディア学会、画像電子学会など会員。
9:50-10:00 講演-2 公的統計データとオープンデータの活用
椿 広計(統計数理研究所 データ科学研究系 教授)
【概要】 統計法の2007年60年ぶりの大改正により、公的統計は、「国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる情報」として位置づけられた。また、「公的統計は、広く国民が容易に入手し、効果的に利用できるものとして提供されなければならない」とされた。特に、国勢統計、国民経済計算を含む基幹統計は、全国的な政策の企画立案・実施、民間の意思決定や研究活動などに資するものとして位置づけられており、国民には正しい報告を行う義務が課されている。もちろん、公的統計の作成に用いられた個人又は法人などの秘密は保護することも規定されている。一方で、統計作成に利用された調査票情報(ミクロデータ)は、統計の作成あるいは公益性のある研究・教育に利用できる二次利用制度も立ち上がった。さらに、匿名化されたデータの提供も開始されている。現在、二次的利用制度としてのオーダーメード集計は、研究教育目的以外の民間利用も認めてはという流れが生まれつつある。ミクロデータを適切にモデル化することを通じた意思決定の質は、これまでの集計データよりもかなり向上する。それだけに、このデータが特定の地域、法人の不利益となるような利用が行われることについては監視が必要である。  【講演資料はこちら】
【略歴】 1982年東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了、1982年東京大学工学部計数工学科助手、1987年慶應義塾大学理工学部数理科学科講師、1997年筑波大学社会工学系助教授、2000年同教授、2013年同名誉教授、2007年統計数理研究所教授、2010年同副所長、現在に至る。専門は応用統計学。応用統計学会長、統計関連学会連合理事長、日本品質管理学会副会長、統計審議会委員、内閣府統計委員会匿名データ部会長などを歴任。
10:00-10:10 講演-3 政府・自治体における個人データの「時効」とアーカイブ
古賀 崇(天理大学 人間学部総合教育研究センター 准教授)
【概要】 公文書館(近現代的な公的アーカイブ)の運営においては、記録・情報の作成時には秘匿されるべきものであっても、「時の経過」とともに秘匿すべき事情が消滅し、公開してよい情報がある、とする考え方が、世界的観点でも定着を見ている。こうした「時の経過」=「時効」は、個人データについてはどの程度当てはまるだろうか。また、情報の性質自体が変化する中で、個人データの「時効」をどのように考えればいいのだろうか。本講演では、「忘れられる権利」をめぐる最近のアーカイブ関係者の議論も参照しながら、時間軸を意識したプライバシー情報・個人情報の保護・活用について、ささやかな問題提起を行いたい。  【講演資料はこちら】
【略歴】 1996年3月に東京大学法学部政治コース卒業後、東京大学大学院教育学研究科修士・博士課程および米国シラキュース大学情報学大学院修士課程にて図書館情報学を学ぶ。国立情報学研究所(NII)助手・助教(2004年4月~2008年12月)、京都大学附属図書館研究開発室准教授(2009年1月~2012年3月)などを経て、2012年4月より現職。政府情報の管理・保存・アクセスに関する制度・政策的課題、情報政策一般、博物館・図書館・文書館の連携などに研究関心をもつ。現在、国際図書館連盟(IFLA)政府情報・官庁刊行物分科会(GIOPS)委員、記録管理学会理事・編集委員、日本図書館情報学会理事、日本図書館協会国際交流事業委員会委員。
10:10-10:20 講演-4 救急医療における個人情報管理
倉本 秋(高知医療再生機構 理事長)
【概要】 個人情報保護の名目で個人に関わるデータを「個人の幸福」、「科学の発展」のために利用できない状況は、演者の知りうる狭い医療の領域においても、何10年と続く文化である。「リスクのある限り認めない」意見と「多少のリスクは認める」意見が仮に正規分布するならば、-2σ以上の人(97.7%)が「(良いことや医療の進歩のためには)多少のリスクは認める」と答えると思えるのに、利活用の基準は-2σ以下にfixされたままである。災害時や緊急時にさえ利用できない個人情報、それはシステム以前の問題のように思える。FITに集うみなさんに、利活用の基準を右に振る文化を醸成し、生命が助けられる大きな力を発揮していただけるよう、医療の側からみた風景をお話したい。  【講演資料はこちら】
【略歴】 1976年東京大学医学部卒業。東京大学消化管外科学助教授を経て、1998年高知大学医学部附属病院総合診療部教授、2003年同病院長。2010年より現職。医療の現場、医療を取り巻く環境や、さらにその周辺に興味を持って活動している。総務省2010年事業で、ICT利活用による「地域医療連携ネットワーク構築」や、「救急医療情報連携システム構築」を高知県で実施。NII客員教授、日本専門医機構理事などを兼任。
10:20-10:30 講演-5 空間軸を限定したプライバシー情報保護活用基盤
馬場口 登(大阪大学 大学院工学研究科電気電子情報工学専攻 教授)
【概要】 プライバシー関連研究の動向として、プライバシー情報の「保護一辺倒」から「適切な保護と開示の両立」に推移することの重要性を述べる。プライバシー情報の取り扱いに、益々敏感になりつつあるのが、今日の社会の様相といえる。新しいサービスを作り出すには、プライバシー情報の適切な「開示」が必要となるが、いつ、いかなる場所においてもその開示を求めるのは不可能である。本講演では、フィールドと呼ぶ、特定の目的・用途のために確立されている実世界の中の限られた空間を対象に、フィールド来場者のプライバシー情報の「開示」と来場者が得る「利得」が調和する情報基盤HIFI(Harmonized Information Field)について述べる。  【講演資料はこちら】
【略歴】 1979年大阪大学工学部通信工学科卒業、1981年同大学大学院前期課程修了。現在、大阪大学大学院工学研究科教授。1996-97年カリフォルニア大学サンディエゴ校文部省在外研究員。工学博士。マルチメディア処理、視覚的プライバシー保護処理に関する研究に従事。PCM2006、IAS2009Best Paper Award、FIT2009論文賞。電子情報通信学会フェロー。PRMU研専・EMM研専元専門委員長。
10:30-10:40 講演-6 プライバシー情報の保護と活用を両立させる技術基盤
高橋 克巳(NTTセキュアプラットフォーム研究所 主席研究員)
【概要】 プライバシー情報の保護と活用に関して、暗号分野から貢献の可能性について述べる。暗号技術はもともと情報を秘匿するもので、暗号鍵の管理を行うことで情報の秘匿と開示を制御してきたが、近年はその概念を超えて、多様できめ細やかな情報の制御が可能になっている。紹介する技術は、時間や場所や人といった条件によって開示の制御ができる暗号(インテリジェント暗号)、複数人の合意によって開示の制御ができる暗号(秘密分散)、情報の開示ではなく統計などの所定の計算結果のみが開示される暗号(秘密計算)などを含む。また現在注目の匿名化技術についても述べる。情報の保護と活用の両立のためには、暗号等の情報技術をベースに人を含む系のマネジメントを融合した基盤を構築することが重要であることを提案し議論の一助とする。
【略歴】 1988年東京工業大学理学部卒。2006年東京大学大学院情報理工学系研究科博士後期課程修了。1988年NTT入社。以来、情報検索、データマイニング、暗号、情報セキュリティ、プライバシー保護の研究開発に従事。博士(情報理工学)
10:40-10:50 休憩
10:50-11:50 パネル討論
パネリスト:曽根原 登(国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授)
【略歴】 1978年、NTT入社。以後、ファクシミリの研究実用化、コンテンツ流通システム等の研究実用化に従事。1988年~1992年、国際電気通信基礎研究所(ATR) 視聴覚研究所出向。2004年より、国立情報学研究所情報流通基盤研究部門 教授。情報流通システム、認証システムの研究開発に従事。2006年~現在 国立情報学研究所 情報社会相関研究系 研究主幹・教授1999年~2003年、東京工業大学連携講座 客員教授。工学博士、電子情報通信学会、映像情報メディア学会、画像電子学会など会員。
パネリスト:椿 広計(統計数理研究所 データ科学研究系 教授)
【略歴】 1982年東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了、1982年東京大学工学部計数工学科助手、1987年慶應義塾大学理工学部数理科学科講師、1997年筑波大学社会工学系助教授、2000年同教授、2013年同名誉教授、2007年統計数理研究所教授、2010年同副所長、現在に至る。専門は応用統計学。応用統計学会長、統計関連学会連合理事長、日本品質管理学会副会長、統計審議会委員、内閣府統計委員会匿名データ部会長などを歴任。
パネリスト:古賀 崇(天理大学 人間学部総合教育研究センター 准教授)
【略歴】 1996年3月に東京大学法学部政治コース卒業後、東京大学大学院教育学研究科修士・博士課程および米国シラキュース大学情報学大学院修士課程にて図書館情報学を学ぶ。国立情報学研究所(NII)助手・助教(2004年4月~2008年12月)、京都大学附属図書館研究開発室准教授(2009年1月~2012年3月)などを経て、2012年4月より現職。政府情報の管理・保存・アクセスに関する制度・政策的課題、情報政策一般、博物館・図書館・文書館の連携などに研究関心をもつ。現在、国際図書館連盟(IFLA)政府情報・官庁刊行物分科会(GIOPS)委員、記録管理学会理事・編集委員、日本図書館情報学会理事、日本図書館協会国際交流事業委員会委員。
パネリスト:倉本 秋(高知医療再生機構 理事長)
【略歴】 1976年東京大学医学部卒業。東京大学消化管外科学助教授を経て、1998年高知大学医学部附属病院総合診療部教授、2003年同病院長。2010年より現職。医療の現場、医療を取り巻く環境や、さらにその周辺に興味を持って活動している。総務省2010年事業で、ICT利活用による「地域医療連携ネットワーク構築」や、「救急医療情報連携システム構築」を高知県で実施。NII客員教授、日本専門医機構理事などを兼任。
パネリスト:馬場口 登(大阪大学 大学院工学研究科電気電子情報工学専攻 教授)
【略歴】 1979年大阪大学工学部通信工学科卒業、1981年同大学大学院前期課程修了。現在、大阪大学大学院工学研究科教授。1996-97年カリフォルニア大学サンディエゴ校文部省在外研究員。工学博士。マルチメディア処理、視覚的プライバシー保護処理に関する研究に従事。PCM2006、IAS2009Best Paper Award、FIT2009論文賞。電子情報通信学会フェロー。PRMU研専・EMM研専元専門委員長。
パネリスト:高橋 克巳(NTTセキュアプラットフォーム研究所 主席研究員)
【略歴】 1988年東京工業大学理学部卒。2006年東京大学大学院情報理工学系研究科博士後期課程修了。1988年NTT入社。以来、情報検索、データマイニング、暗号、情報セキュリティ、プライバシー保護の研究開発に従事。博士(情報理工学)
11:50-12:00 クロージング