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FIT2013第12回情報科学技術フォーラム 開催日:2013年9月4日(水)~6日(金) 会場:鳥取大学鳥取キャンパス
イベント企画
基礎理論が導く最先端技術:計算限界解明への取り組みと超高速アルゴリズム開発
[新学術領域「計算限界解明」・JST ERATO湊 離散構造処理系プロジェクト・JST ERATO河原林 巨大グラフプロジェクト共同企画]
9月6日(金)13:00-16:00
第2イベント会場(共通教育棟 C棟 2F C21)
【セッション概要】2012年度発足の文科省科研費新学術領域による研究プロジェクト「計算限界解明」、JST ERATO河原林 巨大グラフプロジェクト、また、以前のFITでも紹介させて頂いたことのあるJST ERATO湊 離散構造処理系プロジェクトの重要性、最先端の研究成果、それから出てくる夢を講演会形式(前半)とポスターセッション(後半)で紹介する。
司会:牧野 和久(京都大学 数理解析研究所 准教授)
 【略歴】1997年 京大・工・数理工 修了。博士(工学)。1997年-2000年 阪大・基礎工学 助手、2000-2002年 同 講師、2002年-2005年 同 助教授、2005年-2007年 東大・情報理工 助教授、2007-2013年 同 准教授、2013年より京大・数理解析研 准教授。
13:00-13:25 講演-1 計算限界解明:なぜ限界を?&なぜ今?
渡辺 治(東京工業大学 大学院情報理工学研究科 数理・計算科学専攻 教授)
【講演概要】科研費の新学術領域として昨年度より開始した「計算限界解明」では、計算の限界を様々な観点から解明する新たな研究領域の構築が進められている。なぜ、計算の限界の解明に挑むのか?こうした研究が情報科学技術の進展の中でどのような意義を持つのか?そして、なぜ今、新たな学問領域としての取り組みを開始したのか?などを説明する。
 【略歴】1982年東工大・理・情報科学専攻博士後期課程中退。同年・理・助手。1997年より東工大・情報理工・数理・計算科学専攻教授。2013年度より北陸先端科学技術大学院大学客員教授、計算の理論、とくにアルゴリズムの設計と解析、計算複雑さの理論の研究に従事。工学博士。情報処理学会フェロー(2009年)、電子情報通信学会フェロー(2013年)。
13:25-13:50 講演-2 離散構造処理系に関する計算量解析と実問題への適用
湊 真一(北海道大学 大学院情報科学研究科 コンピュータサイエンス専攻 教授)
【講演概要】計算機が扱う問題の多くは、離散構造の処理を基盤としている。「論理」や「集合」を始めとする様々な離散構造を統合的に演算処理する技法を体系化し、分野横断的かつ大規模な実問題を高速に処理する技術基盤を構築することを目標として「JST ERATO湊 離散構造処理系プロジェクト」が現在進行中である。このプロジェクトでは、理論(Science)と応用(Engineering)をつなぐ「Art」層を形成し、幅広い研究者が共通の言葉で議論する場を提供することを目指している。本講演では、離散構造処理に関する最近の理論的な研究成果について紹介し、それらの結果が現実の大規模データを扱う問題にどのように関係しているかを述べる。
 【略歴】1988年京大・工・情報工卒。1990年同大学院修士、1995年同博士課程(社会人)修了。博士(工学)。1990年度より2003年度までNTT研究所に勤務。1997年1~12月 スタンフォード大学 計算機科学科 客員研究員。2004年度より北大・情報科学研究科 助教授、2010年10月より同教授、現在に至る。大規模離散構造データの表現と処理アルゴリズムの研究・教育に従事。2009年10月よりJST ERATO湊 離散構造処理系プロジェクト研究総括。
13:50-14:15 講演-3 巨大グラフの解析とアルゴリズム
河原林 健一(国立情報学研究所 教授)
【講演概要】Web構造やFacebook、Twitterなど、我々の身近にある複雑ネットワークは日々膨張を続け、現在では各々10^9 に近いユーザーが利用する巨大構造をなしている。この様な巨大なネットワークは、ユーザーに相当する「頂点」と、各ユーザーを結ぶネットワークに該当する「辺」からなる「グラフ」を構成している。JST ERATO「河原林 巨大グラフプロジェクト」では、このような巨大グラフを、1.数学的に解析し、2.その解析により「高速」に動作するアルゴリズム開発、を目指している。本講演では、上記プロジェクトの概要を最初に紹介する。その後、グラフの「数学的」な知識と既知のアルゴリズムを組み合わせることにより、既存よりはるかに性能が良いアルゴリズム開発が可能である例をいくつか紹介する。
 【略歴】1998年慶応大学理工学部卒、2001年慶応大学理工学研究科後記博士課程終了(理学博士)。2003年東北大学情報科学研究科助手、2006年国立情報学研究所助教授、2009年より同教授。現在ビッグデータ数理国際センター長、およびJST ERATO河原林 巨大グラフ研究総括。離散数学、理論計算機科学からAI,データマイニングの研究に従事。2008年度IBM科学賞、2012年度日本学術振興会賞、日本学士院学 術奨励賞。
14:30-16:00 ポスターセッション 基礎理論から見えてくる最先端アルゴリズムの世界
【概要】新学術領域「計算限界解明」・JST ERATO湊 離散構造処理系プロジェクト・JST ERATO河原林 巨大グラフプロジェクトそれぞれを代表する若手研究者10名程度によりポスターセッションを行う。