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FIT2013第12回情報科学技術フォーラム 開催日:2013年9月4日(水)~6日(金) 会場:鳥取大学鳥取キャンパス
イベント企画
受賞者フォーラム:メディア認識・理解の最前線と若手へのメッセージ
9月4日(水)15:30-17:30
第2イベント会場(共通教育棟 C棟 2F C21)
【セッション概要】本企画では、パターン認識・メディア理解およびその関連分野において、最近、学会、学術会議、団体等による賞を受けた受賞者5名を招待し、講演とパネル討論とを行う。講演では、各招待者が、受賞対象となった研究開発について、分野内外の両方の聴衆を対象としながら、具体的な技術内容とそのインパクトを説明しつつ苦労話やエピソードを語る。パネル討論では、モデレータのもとで、今後研究すべきテーマや研究における留意点等について会場の参加者を含めて討論を深めつつ、後に続くべき若手研究者や学生へのエールをおくる。したがって本企画は、当該分野の研究者だけでなく広く分野外のFIT参加者にとっても、メディア認識・理解分野の優れた研究を知る機会となり、また若手研究者や学生がモチベーションを高める貴重な機会ともなるはずである。
司会:柏野 邦夫(日本電信電話株式会社 コミュニケーション科学基礎研究所 主幹研究員・特別研究員)
  【略歴】1995年東大大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。同年NTTに入社。現在、同社コミュニケーション科学基礎研究所 主幹研究員、特別研究員、メディア認識研究グループリーダー。音響・映像認識に関する研究に従事。電子情報通信学会業績賞、IEEE Transactions on Multimedia 論文賞、前島賞などを受賞。
15:30-15:47 講演-1 物体の見えのモデリングから人の視覚へ
佐藤 洋一(東京大学 生産技術研究所 教授)
【講演概要】講演者は、物体の見えに関するモデルをコンピュータで自動的に作りあげる「イメージベースドモデリング」と呼ばれる技術の研究に取り組み、異なる条件下で観測された画像列から実在物体の形状・反射特性をモデル化する技術、画像から実環境の光源分布を推定する技術、実画像と仮想世界の像を自然な陰影で融合させる技術などで成果を得ている。これら一連の業績に対し、2010年度日本学術振興会賞を受賞した。さらに、最近では、物体の見えを正確に再現するためのモデリング技術に加え、人がどのようにものを見るのかにも興味を持ち、人の視覚特性を考慮した画像提示や、人の視覚的注意の引付けに関する視覚的顕著性とその応用に関する研究に取り組んでいる。本講演では、これらの研究をその背景とともに紹介する。
  【略歴】1990年東大・工・機械工学科卒。1997年カーネギーメロン大計算機科学部博士課程了。東大・生産技術研究所講師、助教授、同大学大学院情報学環准教授を経て、2010年より同大学生産技術研究所教授。コンピュータビジョンに関する研究に従事。2010年日本学術振興会賞、2009年、2008年及び2006年電子情報通信学会論文賞、2010年情報処理学会50周年記念論文賞、1999年日本VR学会論文賞、ACCV2010 Sang Uk Lee Award、ICPR2008 Best Industry Related Award等を受賞。
15:47-16:04 講演-2 一般化学習ベクトル量子化の開発と実用化
佐藤 敦(日本電気株式会社 情報・メディアプロセッシング研究所 主席研究員)
【講演概要】パターンを認識する際に用いられるテンプレートを自動設計するために考えた、一般化学習ベクトル量子化と呼ぶ学習方法に関して、その概要と誕生の経緯について紹介する。本手法は、ベイズ決定理論における一般的な損失を最小化する枠組みとして定式化されており、識別器の学習ばかりでなく、特徴変換の学習など様々な拡張がなされて来た。文字認識や顔認識などで、本手法は実用的な性能を示し、製品への搭載によって、産業の効率化や社会の安心安全に貢献している。このような研究成果の実例を紹介しつつ、実用化にあたって苦労したことや、特に研究をマネジメントする際に気をつけていることなどを述べ、若手への期待を込めたメッセージとしたい。
  【略歴】1989年東北大学大学院理学研究科博士課程了。理学博士。同年NECに入社。1994~1995年米国ワシントン大学客員研究員、2008年米国マサチューセッツ工科大学客員研究員。現在、NEC情報・メディアプロセッシング研究所主席研究員。パターン認識、機械学習の研究開発に従事。2012年度電子情報通信学会業績賞、2012年度関東地方発明賞神奈川県知事賞、2011年度先端技術大賞「フジサンケイビジネスアイ賞」、2010年度情報処理学会喜安記念業績賞、2009年度人工知能学会現場イノベーション賞銀賞 受賞。電子情報通信学会、人工知能学会、IEEE各会員。
16:04-16:21 講演-3 大規模事例を用いる高速なパターン認識とその応用
岩村 雅一(大阪府立大学 大学院工学研究科 准教授)
【講演概要】高速で高精度な文書画像検索、カメラベース文字認識、特定物体認識などを実現したことに加えて、それらのデモ発表に対して幾つかの賞をいただいた。これらの技術はいわゆる学習を行わず、高速な検索技術を用いて大量の事例から所望の事例を探し出すことによって実現される。このようなアプローチは、これまで主流であった、事前の学習によって識別器を鍛えるサポートベクターマシンなどとは真逆の考え方に基づく。本講演ではこれらの技術とその内幕を紹介すると共に、海外の研究者との交流や国際的な学会活動を通して気付いた事、得られたものを紹介する。
  【略歴】1998年東北大学工学部通信工学科卒業。2003年同大学院博士課程修了。現在、大阪府立大学大学院工学研究科准教授。博士(工学)。パターン認識、コンピュータビジョンに関する研究に従事。電子情報通信学会論文賞、IAPR/ICDAR Best Paper Award、IAPR Nakano Award、ICFHR Best Paper Award、IAPR/ICDAR Young Investigator Award等受賞。
16:21-16:38 講演-4 手書きインタフェースの実用化
中川 正樹(東京農工大学 工学部 教授)
【講演概要】今講演では、2012年度の日刊工業新聞社モノづくり連携大賞特別賞を受賞した内容、それに先立ち、2010年度の全国大学特許収入一位になった発明の内容を紹介し、それらに至った研究経緯を要約する。思考支援環境としての手書き、そして、いずれは普及すると予想した直接指示・直接操作インタフェースへの思いを持ち続け、手書きパタンデータの集積、手書き認識モデルの高度化・高速化・小型化、ユーザインタフェースの考案、そして、手書きにふさわしいアプリケーションの提案などを行ってきた。それらを踏まえて、最近の研究活動を紹介する。マルチリンガルの手書き文字列認識、図や表と文字の分離、数式認識、奈良文化財研究所との共同による出土木簡の解読支援、そして、教育分野への応用などである。
  【略歴】1977年 東大・理・物理卒。1979年 同大大学院修士課程了。同大在学中英国 Essex 大学留学(M.Sc. with distinction in Computer Studies)。1979年 東京農工大・工・助手。現在、教授。オンライン手書き認識、手書きインタフェース、その教育利用などの研究に従事。理学博士。2008年、International Association of Pattern Recognition Fellow。2009年、電子情報通信学会フェロー。2011年、iLabo株式会社設立、技術顧問。
16:38-16:55 講演-5 滑らか拘束とバイヨン寺院
池内 克史(東京大学 大学院 情報学環 教授)
【講演概要】2011年の秋、バルセロナにおけるICCVにて、画像処理におけるなめらか拘束の提案という基礎的な研究に対して、IEEE-CS Significant Researcher Awardを受賞した。2012年の春には、文化遺産のモデル化という分野の構築に対して、紫綬褒章を受章した。両者は、全く異なる研究業績に対してであるように見える。今回のパネルでは、この2つがどのようにつながるのか、そこからの私なりの研究ポリシー、これを通しての若手へメッセージを語る。
  【略歴】1949年大阪生まれ。1973年京都大学工学部機械工学卒、1978年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程了。工学博士。MIT人工知能研究所(2年間+1年間)、電総研(5年間)、CMUロボティクス研究所(10年間)を経て、1996年より東大生研。IEEE-CS Marr賞、IEEE-RAS Most Active Distinguished Lecturer 賞、IEEE-CS Significant Researcher賞、紫綬褒章など受章。IEEE fellow。電子情報通信学会、情報処理学会、ロボット学会、フェロー。
16:55-17:30 パネル討論 社会的評価の高い研究とは~表彰受賞者が語る研究の社会的インパクトと醍醐味~
【パネル討論概要】長年地道に研究して評価を受ける研究者もいれば、若くして社会から高い評価を受け賞を受賞するような研究者も存在する。このパネルでは、最近(過去3年以内)に表彰された受賞者5名をパネリストとして招き、受賞対象の技術的内容や受賞の意義とインパクトを説明していただき、若手の研究者が社会的に認知される研究へとプロモートできるヒントを探ってゆく。
司会:鷲見 和彦(青山学院大学 理工学部・情報テクノロジー学科 教授)
  【略歴】1982年京大工学部電気電子工学科卒業。1984年 同学院修士修了(電気電子工学専攻)。同年三菱電機株式会社生産技術研究所。1988年同産業システム研究所。2002年同先端技術総合研究所。2003-2006年京都大学大学院情報学研究科研究員(COE)客員教授。2007-2010年三菱電機先端技術総合研究所センサ情報システム技術部長。2011年青山学院大学理工学部教授、現在に至る。電子情報通信学会・情報処理学会会員・計測自動制御学会・ロボット学会会員。工博。
パネリスト:佐藤 洋一(東京大学 生産技術研究所 教授)
  【略歴】1990年東大・工・機械工学科卒。1997年カーネギーメロン大計算機科学部博士課程了。東大・生産技術研究所講師、助教授、同大学大学院情報学環准教授を経て、2010年より同大学生産技術研究所教授。コンピュータビジョンに関する研究に従事。平成22年日本学術振興会賞、平成21年、平成20年及び平成18年電子情報通信学会論文賞、平成22年情報処理学会50周年記念論文賞、平成11年日本VR学会論文賞、ACCV2010 Sang Uk Lee Award、ICPR2008 Best Industry Related Award等を受賞。
パネリスト:佐藤 敦(日本電気株式会社 情報・メディアプロセッシング研究所 主席研究員)
  【略歴】1989年東北大学大学院理学研究科博士課程了。理学博士。同年NECに入社。1994~1995年米国ワシントン大学客員研究員、2008年米国マサチューセッツ工科大学客員研究員。現在、NEC情報・メディアプロセッシング研究所主席研究員。パターン認識、機械学習の研究開発に従事。2012年度電子情報通信学会業績賞、2012年度関東地方発明賞神奈川県知事賞、2011年度先端技術大賞「フジサンケイビジネスアイ賞」、2010年度情報処理学会喜安記念業績賞、2009年度人工知能学会現場イノベーション賞銀賞 受賞。電子情報通信学会、人工知能学会、IEEE各会員。
パネリスト:岩村 雅一(大阪府立大学 大学院工学研究科 准教授)
  【略歴】1998年東北大学工学部通信工学科卒業。2003年同大学院博士課程修了。現在、大阪府立大学大学院工学研究科准教授。博士(工学)。パターン認識、コンピュータビジョンに関する研究に従事。電子情報通信学会論文賞、IAPR/ICDAR Best Paper Award、IAPR Nakano Award、ICFHR Best Paper Award、IAPR/ICDAR Young Investigator Award等受賞。
パネリスト:中川 正樹(東京農工大学 工学部 教授)
  【略歴】1977年 東大・理・物理卒。1979年 同大大学院修士課程了。同大在学中英国 Essex 大学留学(M.Sc. with distinction in Computer Studies)。1979年 東京農工大・工・助手。現在、教授。オンライン手書き認識、手書きインタフェース、その教育利用などの研究に従事。理学博士。2008年、International Association of Pattern Recognition Fellow。2009年、電子情報通信学会フェロー。2011年、iLabo株式会社設立、技術顧問。
パネリスト:池内 克史(東京大学 大学院 情報学環 教授)
  【略歴】1949年大阪生まれ。1973年京都大学工学部機械工学卒、1978年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程了。工学博士。MIT人工知能研究所(2年間+1年間)、電総研(5年間)、CMUロボティクス研究所(10年間)を経て、1996年より東大生研。IEEE-CS Marr賞、IEEE-RAS Most Active Distinguished Lecturer 賞、IEEE-CS Significant Researcher賞、紫綬褒章など受章。IEEE fellow。電子情報通信学会、情報処理学会、ロボット学会、フェロー。